宮型霊柩車が廃止の危機?令和時代の霊柩車について考える

投稿:2021-01-07
宮型霊柩車が廃止の危機?令和時代の霊柩車について考える

近年、宮型霊柩車を街で見かける機会がなくなりましたが、ライフスタイルの変化によって宮型霊柩車が廃止の危機に晒されています。

携帯電話はスマートフォンになり、キャッシュレス化が進んで現金を持たない人が増えたように、かつての当たり前が新しい常識で塗り替えられてようとしているのです。そして、霊柩車も宮型霊柩車が当たり前の時代は終わりました。

宮型霊柩車が減少した理由と、令和における新しい時代の霊柩車について解説します。

宮型霊柩車を見かけなくなった理由を解説

簡素な葬儀が増えているため、シンプルな洋式霊柩車が選ばれるようになったことが、派手な宮型霊柩車が減っている理由のひとつとして挙げられます。しかし、葬儀のスタイルが変化していることだけが宮型霊柩車が減っている理由ではありません。

なぜ宮型霊柩車を街中で見かけなくなったのか、減少している理由を解説します。

宮型霊柩車はかつて霊柩車の7割以上を占めていた

霊柩車というと、神社や寺院を模した宮型霊柩車のイメージが強いですが、近年ではあまり見かけなくなりました。霊柩車自体は現在も変わらず街中を走り続けていますが、宮型霊柩車が減ったことで霊柩車そのものの存在が目立ちにくくなっています。

かつて霊柩車の中でも宮型霊柩車は7割以上を占めており、全国で1,000台以上が毎日のように走っていました。しかし現在は、台数だけでなく出勤回数自体も激減しており、宮型霊柩車が廃止の危機に晒されています。

火葬場設置を巡る問題により宮型霊柩車の出入りが禁止に

宮型霊柩車が激減した理由のひとつに、火葬場設置を巡る問題があります。平成に入ってから新しく火葬場を設置する際に、葬儀を連想させやすい宮型霊柩車の出入りを自治体が禁止するケースが増えました。

実際に地元住民からの要望で、愛知県名古屋市港区にある名古屋市第二斎場では宮型霊柩車の出入りを禁止にしています。葬儀場から名古屋市第二斎場に向かう際に生活道路を通るため、住宅街に近いところでは存在が目立つ霊柩車の使用を控えて欲しいとの声が届き、自治体が宮型霊柩車の出入りを禁止にしました。

そして、名古屋市第二斎場と同様に近隣住民への配慮で、宮型霊柩車の出入りを禁止する動きが全国で広がっています。ちなみに、2016年に全国霊柩自動車協会が行った調査によると、すでに全国で150以上の火葬場で宮型霊柩車の出入りを規制していました。

宮型霊柩車は車両代や維持費が高額

平成から令和にかけて長く続いている不況にて、1回あたりの葬儀にかける費用が大幅に減少しました。ライフスタイルの変化だけでなく、金銭的な事情によって葬儀を簡素な形式で済ませるケースが増えています。

そして、葬儀費用の大幅減少によって、レンタル代が高い宮型霊柩車の出勤回数が減りました。

宮型霊柩車は車両自体が2,000万円以上するうえに、メンテナンスにかかる費用も高額です。出番が少なく売上が増えない状況で、車両を維持することが難しくなったのも宮型霊柩車が減っている理由のひとつです。

宮大工の減少や外部突起物規制も減少の原因

宮型霊柩車の出勤が少なくなっただけではなく、そもそも宮部分を制作する宮大工自体も減っています。

宮大工は宮部分を作ることに加えて改修も行うため、多くの人材を確保しなければなりません。しかし、宮大工自体が減っているので、宮型霊柩車を作ったり改修を行ったりするための人材を確保できなくなったという事情も減少の原因として挙げられます。

さらに2001年6月に「道路運送車両の保安基準」が改定されました。道路運送車両法第三章の規定に基づいた「乗用車の外部突起に係る協定規則(第26号)」が改定され、外形突起物が厳しく規制されるようになりました。

そのため、新しく宮型霊柩車を作ること自体が容易ではない状況に。厳しい外部突起物規制は、宮型霊柩車の減少をさらに加速させる原因となりました。

宗教・思想の多様化への対応・・・宮型は仏教、神道式の会葬にしか用いることはないが、逆に仏教式でも洋型は用いられる。また昭和天皇の大喪の礼の際も洋型が使用された。

「霊柩車以外の何者でもない」見た目が忌避される・・・あまりにも目立ち過ぎるため嫌う声が近年多くなり、宮型の乗り入れを禁止する自治体も増えた。

火葬場の自主規制で宮型の使用を禁止するようになったり、葬儀社も宮型の取り扱いをやめるなど、宮型を選びたくても選べない状況にもなってきた。

霊柩車 – Wikipedia

令和時代の霊柩車は多様化に対応できる万能型がさらに増える

令和時代の霊柩車は多様化に対応できる万能型がさらに増える

かつての主流だった宮型霊柩車が廃止の危機に晒されている中で、令和時代では多様化に対応できる万能型の霊柩車が増えるでしょう。

これから続いていく令和時代の霊柩車のあり方や、すでに始まっている変化について紹介します。

2009年から万能型の洋式霊柩車が増えている

かつては霊柩車の7割以上を占めていた宮型霊柩車が減少している一方で、現在主流となっているのが洋型霊柩車です。洋型霊柩車の数は、2009年には宮型霊柩車を上回っています。

洋型霊柩車はリムジン型霊柩車とも呼ばれており、宮型霊柩車のような派手な装飾はなくシンプルなデザイン。大型のステーションワゴンやセダンをベースに改造して作られているので、走っていても目立ちにくいのが特徴です。

車体色は黒が圧倒的に多く、白やシルバーなども増えつつありますが、いずれも目立ちにくい色が選ばれています。

ちなみに現在の主流である洋型霊柩車以外に、ご遺体とご遺族を一緒に移動できるバス型霊柩車もあります。

バス型霊柩車は大型バスもしくはマイクロバスを改造して作られており、火葬場まで距離が長い場合や、大雪など気象条件が厳しい地域でよく見られる霊柩車です。見た目は一般的なバスとほとんど変わらないため、洋型霊柩車同様に目立ちにくく、今後も増え続ける可能性が高いでしょう。

洋式霊柩車は仏式や神式以外のあらゆる葬儀に対応できる

目立ちにくいデザインだけが洋型霊柩車が増えている理由ではありません。

近年、日本でも宗教が多様化したことで、仏式以外の葬儀も増えています。宮型霊柩車は仏式と神式でしか用いることができませんが、洋型霊柩車はあらゆる宗教の葬儀に対応できます。

目立ちにくいだけでなく、万能型で使いやすいことも洋型霊柩車が増えている理由のようです。

令和時代では耐久性や安全性が高く目立ちにくい霊柩車が増える

令和時代ではあらゆる面でますます多様化の動きが見られる可能性が高く、葬儀にも多様化の影響は出るでしょう。そのため、今後も洋型霊柩車の需要がさらに拡大する可能性が考えられます。

現在、葬儀で用いられている洋型霊柩車は、ステーションワゴンやセダンをベースに車体を切断し、棺が入るように延長部分をつなぎ合わせた「ストレッチ型(車体延長型)」が主流です。

しかしストレッチ型の洋型霊柩車は、時間経過とともに切断部分にヒビが入り、車体トラブルに繋がりやすい問題点があります。

そして新しく増えつつある霊柩車が「ノンストレッチ」の洋型霊柩車です。切断部分がないため、ストレッチ型のようにヒビが入ることもなく、従来よりも耐久性や安全性に優れています。もちろんデザインも目立ちにくいので、霊柩車だと気付かれないこともあるようです。

近年の情勢を考慮すると、やはり霊柩車に最も強く求められる条件は、とにかく「目立たないこと」。宮型霊柩車のように目立つのではなく、霊柩車が走っていることを気付かれないくらいが丁度いい時代に変化しています。

あらゆる常識が新しく変わり続ける令和時代では、多様化する社会の流れに対応できる万能型の霊柩車がますます増えることでしょう。

死や葬儀を連想させる宮型霊柩車の需要減少はやむを得ない

宮型霊柩車が廃止の危機に晒されている背景には、目立つデザインゆえに死や葬儀を連想させてしまうことが大きく影響していると考えられます。

葬儀は悲しい、辛い、寂しいなどネガティブな感情が渦巻く場なので、目立ちすぎる宮型霊柩車が疎遠されて、需要が減少してしまうのはやむを得ないことではないでしょうか。

しかし、日本での需要が減少する一方で、アジアの仏教国中心に宮型霊柩車が脚光を浴びつつあります。「走る寺」や「走る神殿」として歓迎され、次々とモンゴルなどに寄与されています。

今後は日本よりも海外で、宮型霊柩車を目撃する機会が増える可能性もゼロではないかもしれません。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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