火葬する時の温度は800度~1,200度|その意味や燃焼時間を解説

投稿:2022-06-18
火葬する時の温度は800度~1,200度|その意味や燃焼時間を解説

日本では火葬率が99.986%と、ほとんどすべての人が火葬場にて荼毘にふされます。家族を亡くし、適切な納骨を行うためにも火葬炉によってどのような違いがあるのかを知っておくことはとても重要です。

火葬をするときの温度は、意外と知られていませんが、一般的には800~1,200度と決められています。

故人の体格によっても差があるため、従来は「火葬技師」という火葬場の火を扱う職員の熟練技術により火葬温度や時間の調整をしていました。最近では、燃焼具合を確認しながら、コンピュータで温度管理をする火葬場も増えています。

火葬の燃焼方式の種類や火葬炉の温度によって、遺骨の残り方など異なる点も多いです。

火葬の燃焼方式の種類、現在の火葬になった背景、温度や燃焼時間などはそれぞれに理由が存在します。火葬をする時の温度から解説します。

火葬をする時の温度について温度は決められている?その意味とは

火葬をする時の温度はどのくらいなのか、その意味を解説します。

火葬をする時の温度は800〜1,200度

火葬場の火葬炉の温度は、ダイオキシンなどの有害物質が発生しにくい800度以上にするよう定められています。

火葬炉とは、火葬場に設けられたメインの設備で、遺体を火葬するための炉(火床)のことです。

旧式の火葬炉と最新の火葬炉では温度に大きな違いがあり、旧式は800~950度程度だったものが、最新型では900~1,200度程度と更に高温になりました。

温度は高ければ高いほど良いというものではありません。

火葬炉の温度があまりにも高い場合、火葬時間の短縮はできますが、骨が灰になってしまいご遺骨の形状を保てなくなってしまいます。反対に火葬炉の温度が低い場合は、大きな骨が燃え残ってしまい、骨壺に骨を納めることができません。

現状では900~1,200度程度がベストであると考えられています。

火葬温度が800〜1,200度に設定された背景や意味とは

なぜ、火葬炉の温度が800~1,200度に設定されているのかと不思議に感じる方もいるのではないでしょうか。

「遺体がきれいに焼けるのに適した温度」という理由もありますが、もっと明確な理由があります。

平成12年に厚生労働省から出された「火葬場から排出されるダイオキシン類削減対策指針」によって、有害物質が発生しない温度にしなければならないという規制がされました。この指針で「火葬炉の燃焼中の温度は800度以上に保つこと」と定められたため、火葬炉の温度が800~1,200度に設定されるようになったのです。

火葬場には「大気汚染防止法」が適用されませんが、前述した規制により、現在日本で使用されている火葬炉の多くは主燃料炉の温度が800度以上になるように設計されています。

火葬炉の燃料は都市ガスや液化石油

旧式の火葬炉の燃料は薪や重油、石炭が使用されていたため、火葬炉には煙突が必須でその煙突から黒い煙が出ていました。

これに対し2000年以降に作られた最新型の火葬炉は、火葬中に排出される未燃焼ガスによる有毒物質の発生を防ぐため、再燃焼室が設けられています。燃料も都市ガスや液化石油に変わったため煙が減り、煙や悪臭など有害物質の排出を極力抑えられるようになったのです。

従来の長い煙突が不要となり、近隣住民への配慮ができるようになりました。

現在運用されている火葬炉の多くは、平成以降に新設されたものがほとんどです。

ご遺骨になるまでの火葬時間は平均60〜70分

火葬炉には小窓が設けられており、火葬中の棺を観察することができる構造となっています。火葬炉の火を扱うのは「火葬技師」という火葬場の火を扱う専門の職員です。

旧式の火葬炉は火葬技師の熟練技術で成り立っており、火葬技師が火葬炉の中を観察して温度調整を行っていましたが、火葬炉の温度は800~950度までしか上がらないため火葬時間は2〜3時間かかっていました。

しかし最新型の火葬炉は、コンピューター制御で職員の技術に依存しにくくなり、炉内温度は900~1200度と高温で燃焼するため火葬時間が約70分(火葬60分+冷却10分)と短くなりました。

一般的に身体の大きなご遺体ほど、火葬時間が長くなる傾向があると言われていましたが、最新型の火葬炉ではそれほど違いがないようです。

ただし、女性など脂肪の多いご遺体の場合は、炉の温度が脂肪によって上がりすぎてしまうため、炉の故障防止やご遺骨の形を保つために通常よりも低温で火葬されることがあります。低い温度で火葬した場合は、火葬時間が長くなることも多いです。

 
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著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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