喪主になったら必ずやること完全ガイド【役割から心構えまで】

投稿:2024-04-22
喪主になったら必ずやること完全ガイド【役割から心構えまで】

誰かが亡くなった際、葬儀を取り仕切る重要な役割が「喪主」にあります。喪主には、死亡時から遺体の手配、葬儀の準備、会葬者への対応、法要の手配など、多岐にわたる務めが課されます。この記事では、喪主に求められる主な務めと、心構えや注意点を紹介しています。

喪主とは

喪主とは、遺族の代表者であり、葬儀を取り仕切っていく役割を持つ人のことを言います。具体的には、通夜や葬儀の際に挨拶をしたり、葬儀社との打ち合わせを行ったりします。

また、葬儀に直接関連することだけでなく死亡届の提出や保険・サービスの解約といった諸手続きも行います。実は、誰が喪主になるかというのには厳密な規定がなく、配偶者や長男・長女が行うことが多いですが、遺言で指定された人物が喪主を務めることもあります。喪主と似た言葉に「施主」というものがあり、元々は葬儀を取り仕切る者が「喪主」、葬儀費用を負担する者が「施主」でしたが、現代では喪主が施主を兼務することがほとんどです。喪主は非常にやることが多いため、あらかじめやらなければならないことのリストアップなどをして、漏れがないように意識しながら手続きを進めていくのがよいでしょう。

この記事では、喪主になったときにやるべきことを葬儀前・通夜と告別式当日・葬儀後と分けてそれぞれ解説していきます。また、喪主になったときの心構えなどについても解説していきます。

喪主になったらやることリスト

喪主になったらやることリスト

喪主となると、死亡から葬儀、その後の法要まで、多くの役割と手続きを行う必要があります。これらを漏れなく対応するためには、事前の準備が重要です。ここでは、喪主に求められる主な6つの務めをご紹介します。喪主を任された際の参考にしてください。

1.【 死亡から通夜前まで 】喪主になったらやること

1-1.死亡確認

まず真っ先に行うべきことは、死亡診断書や死体検案書を発行してもらうことです。入院中に亡くなった場合はその病院の医師が死亡診断書を書いてくれます。

自宅や外出先で亡くなった場合は、その原因が治療中の病気や事故での怪我によるものとされれば死亡診断書を発行してもらえますが、そうでない場合は、事件性などを詳しく調べるために死体検案書という別の書類を発行してもらうことになります。これらの書類は、死亡の事実を知った日から7日以内に市町村役場へ提出しなければいけません。

1-2.遺体の安置対応

病院で亡くなった場合でも、安置しておけるのは数時間程度です。そのため、遺体をどこかに移動させ、葬儀・火葬まで安置させておく必要があります。遺体を自宅に安置し、通夜まで行ったあと、葬儀・告別式の段階で斎場に搬送するというご家庭も少なくありません。

しかし遺体を安置するスペースがない、遺体の保全対応が取れないといった理由で自宅で安置することが難しいときは葬儀社や斎場の安置室を利用することができます。この場合は費用こそかかりますが、精神的な負担などは少なくなるでしょう。

1-3.家族・親族への連絡

死亡の事実を知らない家族や親族がいれば、すぐに連絡することが望ましいでしょう。特に遠方に住んでいる家族や親族であれば葬儀に参列するために、勤め先や学校で忌引きの手続きをしたり、移動手段を確保したりといった時間が必要になります。訃報は迅速かつ確実に伝える必要がありますので、伝える方法は電話が最も適しています。

しかし、電話で連絡する場合、死亡の事実はなるべく早く伝えるべきことではありますが、家族など身内以外の親戚であれば早朝や深夜の時間帯は避けましょう。

1-4.葬儀社に連絡・打合せ

葬儀を執り行うために、葬儀社と連絡・打ち合わせをする必要があります。故人の宗派や菩提寺(先祖代々の法事を依頼しているお寺)があるかどうかを確認し、葬儀の規模・種類を決めていきます。

近年では葬儀の形式も幅広くなっており、通夜や法要を行わない一日葬や、火葬だけを行う直葬といったものもありますので、親族間でよく相談することをおすすめします。

1-5.訃報の連絡

家族や親族のほかにも、生前に故人と関わりのあった人々へ訃報の連絡をする必要もあります。訃報とは人が亡くなった事実を伝えるものですので、親族ではなくとも、故人と特に親しかった人にはなるべく早く、可能であれば死亡を確認した当日中に送るのが望ましいでしょう。

訃報には故人の名前や享年、喪主とその連絡先を記載します。訃報を送った時点で葬儀の日取りや場所が決まっていなかった場合、また後日改めて連絡を送るようにしましょう。

1-6.返礼品・会葬礼状準備

通夜や葬儀に参列してくださった方、そして香典を包んでくださった方へお返しする返礼品と、返礼品に添えるお礼状(会葬礼状)の準備も必要です。返礼品には、通夜返礼品・会葬返礼品・香典返しの3種類がありますが、最近では、これらを区別せず一律に香典返しとしてお渡しする場合も珍しくありません。

返礼品にはお茶やお菓子などの飲食物や、石鹸や洗剤などの消耗品といういわゆる「消えもの」を選ぶことが多いです。これらは手元に残りませんので、「不幸を残さない」という意味に繋がります。

2.【 通夜当日 】喪主になったらやること

通夜当日は、喪主としての役割が本格的に始まります。遺族を代表し、様々な対応を求められます。ここでは、通夜当日に喪主として行うべき5つの主な務めをご紹介します。

2-1.葬儀社との事前打ち合わせ

通夜当日に、改めて葬儀社と打ち合わせをし、タイムスケジュールの確認や会場設営を始めていくことになります。流れを確認する中で疑問に感じたことがあれば葬儀社に質問しましょう。

会場設営は葬儀社が主導して行ってくれますが、任せきりにせず、自分達でも改めて必要なものを確認すると、不測の事態が起こるリスクを軽減することができます。

2-2.遺族代表として弔問者対応

喪主は遺族の代表です。お通夜が始まる前に受付の準備を済ませ、落ち着いて弔問客への対応ができるようにしましょう。葬儀の規模にもよりますが、通夜の30分〜1時間ほど前には受付の準備が終わっているのが望ましいです。

芳名帳や筆記用具の準備、通夜返礼品などが不足していないかの確認も済ませておきましょう。

2-3.通夜振る舞い

通夜振る舞いとは、通夜のあとに行う食事会のことです。遺族から僧侶や参列者への感謝の意を伝えるものであり、故人を偲びながら、故人と最後の食事をともにするものでもあります。こちらは喪主によるお礼の挨拶で始まりますので、内容を考えておきましょう。

同様に閉会の挨拶も喪主が行いますが、こちらでは葬儀・告別式の会場や開始時間も合わせて伝えるようにするとより丁寧です。

2-4.僧侶への挨拶とお布施

通夜において、僧侶は故人が安らかに眠れるように、また遺族の方が安心できるようになど、さまざまな意味を込めてお経をあげてくれます。その重要な役割への感謝の気持ちを伝えるためにも、通夜の会場に到着したときやお布施を渡すときにはきちんと挨拶をしましょう。

お布施は僧侶へのお礼として渡す金銭ですが、金額に迷うことがほとんどかと思われます。そういったときは葬儀社に相談するのがおすすめです。

2-5.遺族代表者挨拶

読経や焼香が終わり、僧侶が控室に下がったあとに、喪主が遺族を代表して挨拶を行います。通夜振る舞いがない場合はここで葬儀・告別式の案内をすることになるでしょう。通夜・葬儀と、喪主は挨拶をする機会がとても多くなります。悲しみや緊張の中で、「挨拶の内容を忘れてしまうかもしれない」という不安があることも少なくないでしょう。

遺族代表の挨拶では、実はメモなどを用意しても問題ありません。大切なのは形式だけではなく、僧侶や参列者への感謝と、故人を偲ぶ気持ちを伝えることだからです。

3.【 葬儀・告別式当日 】喪主になったらやること

通夜に続いて、葬儀・告別式当日も喪主には重要な役割が課せられます。故人を偲び、参列された方々をもてなすためにも、喪主は以下の4つの務めを果たす必要があります。

3-1.遺族代表として弔問者対応

通夜に引き続き、葬儀・告別式でも喪主は遺族代表として弔問者へ対応をすることになります。会場でお悔やみの言葉を受けたときは挨拶を返しますが、参列者が多いと長く話すことも難しくなりますので、簡潔なもので問題ありません。

火葬場に向かうときにトラブルが起こらないように、参列する人数も改めて確認しておくと安心です。通夜と同様、僧侶への挨拶も忘れないようにしましょう。

3-2.喪主挨拶

告別式では、式の終了時に喪主が締めの挨拶を行います。喪主挨拶ではまず、参列くださったこと、そして故人に対する生前の厚意への感謝の気持ちを述べましょう。加えて、故人の生前のエピソードなどを入れた、参列者が故人を偲び、想いを馳せることができるような挨拶の内容にしましょう。

この挨拶のタイミングは出棺前になりますので、あまり長くなりすぎないようにまとめるのがベターです。

3-3.火葬場へ同行

告別式が終われば火葬場に向かうことになり、もちろん喪主も同行する必要があります。火葬許可証がなければ火葬することができませんので、忘れずに持っていくようにしましょう。僧侶が同行せず、精進落としにも参加しない場合はここで御膳料を渡すことになります。

また、実は火葬場に向かう車にも座り方のマナーが決まっています。喪主は基本的に霊柩車に乗りますが、葬儀社によっては喪主に1号車へ乗るよう勧めるところもありますので、あらかじめ尋ねておくとよいでしょう。

3-4.弔問客のもてなし

葬儀や火葬のあと、「精進落とし」という形で料理が振る舞われることもあります。これは故人が極楽浄土に行けるようにと四十九日まで遺族が肉や魚を避けた料理(精進料理)のみを食べていた風習に由来し、その精進期間が明けたときに食べる料理を精進落としと呼んでいましたが、現代では故人への供養や参列者へのおもてなしとして扱われている場合が多くなっています。

精進落としも通夜振る舞いのように喪主の挨拶と献杯の作法がありますので、意識しておきましょう。

4.【 葬儀後 】喪主になったらやること

葬儀が無事執り行われた後も、喪主には大切な役割が残されています。心身のケアと並行しながら、以下の5つの手続きや準備を行う必要があります。

4-1.挨拶回り

葬儀後は、式の進行を務めた僧侶や神職、故人の恩人や勤務先の上司・同僚、そして弔事をいただいた方や葬儀を手伝ってくださった方などに挨拶回りをすることになります。

挨拶回りは喪主と遺族の1名ずつで行うのが一般的です。挨拶回りを行わないが参列してくださった方や、どうしても遠方で挨拶回りの難しい方にはお礼状を送りましょう。

4-2.各種手続き

人が亡くなったあとには多くの手続きが必要になります。まずは「死亡届」と「火葬許可申請書」を提出する必要があります。これらを提出しなければ火葬を執り行うことができません。火葬許可申請書は死亡を確認してから24時間後でなければ提出できない点に注意が必要です。

また、故人が年金を受給していた場合は、年金受給停止の手続きを10〜14日以内に行うことが義務付けられています。同様に、介護保険の被保険者であった場合も14日以内に資格喪失の手続きを行わなければなりませんので、よく確認しておきましょう。

そのほかにも、各種社会保険や銀行口座・携帯電話などの解約手続き、故人が遺言書を残していればその検認や相続の手続きなども必要です。

4-3.法要の準備

法要は、葬儀後に改めて故人を偲び冥福を祈るための儀礼です。仏教の行事ですが、故人がそれ以外の宗派であった場合でも同じ目的のために会食を行うことなどもあるでしょう。法要の中でも遺族以外が参列することが多いものとして「初七日」と「四十九日」、「一周忌」があります。これらは執り行うべきおおよその日程が決まっていますので、早めに準備を済ませ、スムーズに参列者に連絡することを心がけましょう。

ちょうど7日後・49日後が平日などで参列が難しいときは、その前の土日祝日に法要を行う場合が多いです。また、最近では葬儀と同日に初七日法要を行うこともあるようです。

4-4.遺品整理

遺品整理もいずれやらなければならないことのひとつです。しかし、心の整理がつかないうちは難しいことでもありますので、無理に着手することはないでしょう。

とはいえ、故人が賃貸物件に住んでいた場合や、施設の退所期限が定められている場合などはなるべく早く行う必要があると言えます。どうしても着手できない場合は遺品整理の業者に依頼するという手もありますが、業者に頼んだことによるトラブルが全くないというわけではありませんので、慎重に選ぶ必要があるでしょう。

4-5.心身のケア

大切な人を亡くしたときの悲しみは筆舌に尽くしがたいものです。葬儀や挨拶回りなどが終わり、忙しさから解放された瞬間に強い悲しみに襲われることも珍しくありません。そういった感情は心だけでなく身体の不調にも繋がっていきますので、無理は禁物です。手続きが一通り済んだあとは、自分自身の悲しみや辛い気持ちをゆっくりとケアしていくことを考えましょう。

遺族ケア(グリーフケア)をサポートしているクリニックや相談窓口もありますので、悲しみから立ち直ることが難しい場合はそういったところを利用することも検討してみてください。

5.【 その他 】喪主になったらやること

喪主には前述した主要な務めの他にも、いくつかの付随的な対応が求められます。費用の精算や香典の整理、喪服のクリーニングなど、以下の4つの事柄にも注意を払う必要があります。

5-1.葬儀に関する費用精算

葬儀費用は、慣習としては喪主が負担するものとなっています。しかし法的に決まっていることではありませんので、トラブルを避けるためにも、遺族で話し合って負担の割合をあらかじめ決めておくとスムーズでしょう。

また、葬儀費用の支払いは、葬儀から1週間〜10日以内に期限が設定されている場合がほとんどです。しかし実際の支払い方法や期限については葬儀社によって異なりますので、通夜前の打ち合わせの際に確認しておくようにしましょう。

5-2.香典帳の整理

通夜や葬儀には多くの方が訪れ、それぞれ香典を渡してくださるので、内容をきちんと記帳しておく必要があります。そのために使われるのが香典帳です。香典帳をもとに香典返しを行っていくため、記帳されたデータの整理は早めに取り掛かった方がよいでしょう。

また、香典帳への記入漏れなどがある可能性も否定できませんので、香典返しが終わるまで香典袋は捨てずに取っておくことをおすすめします。

5-3.喪服のクリーニング

喪服は着る機会も少なく、あまり長時間着るものではないためクリーニングは必要ないと考える方もいるかもしれません。しかし実際には汗や皮脂の汚れ、通夜振る舞いや精進落としなどがあれば気づかない間に食べこぼしなどが付いていることが多いため、着るたびにしっかりとクリーニングに出すようにしましょう。

面倒だからと言って家で洗濯するのは絶対にNGです。喪服は特別な生地を使っていますので、その品質を保全するためにもクリーニング店に依頼しましょう。

5-4.仏壇・神棚の準備

本来仏壇とは「家の中に置くことのできるお寺」といった役割でしたが、現在では「先祖や故人を供養するためのもの」という捉え方をされています。神道であれば祖霊舎(それいしゃ)と呼ばれる神棚がその役割を果たします。目に見える形の仏壇や神棚があることで、故人との心の繋がりを感じ取ることができることでしょう。

近年では、仏壇を置くスペースがないという方でも起きやすいコンパクトサイズの仏壇なども登場しており、仏壇を準備しやすくなっています。

喪主の心構えと注意点

喪主の心構えと注意点

喪主には多くの役割と責任が課せられます。精神的にも肉体的にも大きな負担となるでしょう。そのため、喪主を務める際は、以下のような心構えと注意点を意識することが重要です。

精神的・肉体的負担に備える

喪主は死亡後の手続きから葬儀・火葬、そして法要まで、非常に多くの役割をこなさなければなりません。事前にいつ喪主になるという予告もないため、心の整理がつかないまま、不慣れな手続きなどを行っていくことになります。精神的な負担はもちろん、連絡や打ち合わせの連続で肉体的にも疲弊してしまうことでしょう。

負担そのものを避けることは難しいですが、あらかじめ喪主は大変なものなのだと心構えをしておくことで、大変な時期を少し乗り越えやすくなるはずです。

家族間で役割分担をする

喪主はやるべきことがとても多く、通夜や告別式での挨拶など原則として喪主でなければ務められない役割もあります。しかし事前の準備や金額の負担は喪主以外でも引き受けられますので、家族間で役割を分け、一人に負担がかかりすぎることを防ぐことも大切です。

また、実は、喪主は複数人で務めても問題ないとされていますので、親や兄弟、子供と共同喪主になって葬儀の手続きを進めていくという方法もあります。

トラブル防止に注意する

葬儀ではさまざまなトラブルが起こりえます。例えば喪主や親族間で希望する葬儀の形式が異なっていたり、葬儀会社の見積もりと請求される実費が異なっていたりといったケースが聞かれます。こういったトラブルを防ぐためには、事前に葬儀に関する情報を集めておくことが大切でしょう。

例えば、最近では家族葬や直葬といったコンパクトな葬儀も見られますが、そのメリットやデメリットを調べたり、葬儀社について調べて信頼できそうな業者を探したりといった方法が考えられます。

専門家への相談も検討する

葬儀に詳しい、慣れているという方はあまり多くはないでしょう。自分だけで準備を進めていると、どれだけ気を付けていても手落ちになってしまう部分が出てきてしまいます。

また、僧侶へのお布施の金額のように明文化されていない慣習もあり、判断に迷ってしまうことがあるでしょう。そのため、葬儀社を始めとした専門家に早めに相談しておくことをおすすめします。早めに相談すればそれだけ葬儀の準備にも余裕を持つことができますよ。

まとめ

誰かが亡くなることは悲しく、想像もしたくないことでしょう。しかしいつか必ず別れのときが訪れるものです。親しい方が亡くなった場合、喪主として葬儀を取り仕切る立場になる可能性は否定できません。それまでに、あらかじめ葬儀に関する知識を身に着けておくことはきっと役立つはずです。

喪主はやるべきことが非常に多いため、事前にチェックリストなどを作っておくとよりトラブルのリスクを減らすことに繋がります。この記事が、故人を後悔なく見送るための参考になれば幸いです。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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