葬儀や法要のお布施とは?金額相場、渡し方、封筒の書き方まで解説

投稿:2024-10-30

お布施は葬儀や法要において、僧侶への感謝の気持ちを表すものです。

一般的なお仕事に対する報酬を支払うのとは違い、お布施の渡し方には独自のマナーがあります。また、金額も決められているケースが少ないため、自分できちんと調べて用意する必要があります。

また、お布施は地域や宗派によって異なる慣習があり、一概に決まりを述べることは難しいのが現状です。

この記事では、葬儀や各種法要におけるお布施の基本的な考え方や一般的な相場、適切な渡し方や封筒の書き方などについて詳しく解説します。

お布施とは?

お布施とは?

お布施とは、仏教において僧侶や寺院に対して行う寄進や喜捨のことを指します。葬儀や法要の際に僧侶へ渡すお金も、お布施に含まれます。

仏教におけるお布施の本来の意味は、自分の持ち物を他者に施すことで執着を捨て、悟りに近づくための修行のひとつとされています。また、お布施には「法施」「財施」「無為施」の3種類があり、これらを総称して「三施」と呼ばれています。

お布施の種類内容
財施(ざいせ)お金、食べ物、衣服などの物を寄付すること
法施(ほうせ)僧侶が説法を行って仏の教えを説くこと
無畏施(むいせ)他社の不安や恐れを取り除くこと

現代の葬儀や法要におけるお布施は、主に財施の形で行われています。僧侶への感謝の気持ちを表すと同時に、寺院の維持や仏教の普及に貢献する役割を果たしています。

そして、お布施は単なる謝礼ではなく、仏教の教えを実践する機会でもあり、故人の冥福を祈り、自身の心を浄化する意味合いも含まれているのです。

法要のお布施の金額相場

法要のお布施の金額相場

法要は、故人の命日や特定の期間に行われる追悼の儀式です。法要の種類によってお布施の金額相場が異なります。主な法要とそれぞれのお布施の金額相場について解説します。

なお、各法要のお布施の金額は、あくまで一般的な相場であり、実際には地域や寺院、家庭の事情によって異なります。また、お布施の金額は、法要の規模や参列者の数、僧侶の人数などによっても変動することがあるため、予めよく確認することをおすすめします。

初七日法要

初七日法要は、亡くなってから7日目に行われる最初の法要です。

仏教では、人が亡くなってから49日間は中陰(ちゅういん)と呼ばれる期間にあるとされています。中陰の間に故人の魂が浄化されていくと考えられており、初七日は中陰で最初の区切りとなる日です。

初七日法要でのお布施の金額相場は3〜5万円程度です。

また、葬儀から間もない時期に行われるため、通常は葬儀と一緒に行われることが多いです。葬儀と同時に行う場合は、葬儀のお布施に含まれるケースが一般的でしょう。

四十九日法要

四十九日法要は、亡くなってから49日目に行われる重要な法要です。

四十九日は中陰期間の最後を飾る法要です。四十九日をもって、故人の魂が完全に浄化され、新たな世界に生まれ変わると信じられています。

四十九日法要でのお布施の金額相場は3〜5万円程度です。

四十九日法要は比較的大規模に行われることが多いため、お布施の金額も高めになる傾向があります。

一周忌法要

一周忌法要は、亡くなってから1年後に行われる法要です。遺族が新しい生活に慣れ始める頃に故人を偲ぶとともに、新たな一歩を踏み出す節目として行います。

一周忌法要でのお布施の金額相場は3〜5万円程度です。

一周忌は四十九日法要と同程度の規模で行われることが多いため、お布施の金額も同じくらいになります。

納骨法要(納骨式)

納骨法要は、故人の遺骨を永遠の安息の地に納めるという重要な儀式として、遺骨を墓や納骨堂に納める際に行われます。

一般的には四十九日や一周忌の法要に合わせて行われることが多いですが、単独で行うこともあります。

納骨法要でのお布施の金額相場は1〜5万円程度です。

ほかの法要と同時に行う場合は、その法要のお布施に含まれることが多いです。

開眼法要

開眼法要は新しい仏像や位牌に魂を入れ、ご本尊として祀るための儀式です。開眼法要で魂を入れることにより、仏像や位牌が単なる物体から信仰の対象へと変わるとされています。

なお、開眼法要は一般的に納骨や一周忌などの法要と同時に行われますが、単独で行うこともあります。

開眼法要でのお布施の金額相場は以下の通りです。

  • 他の法要と同時に行う場合:4〜10万円程度
  • 単独で行う場合:3〜5万円程度

新盆(初盆)法要

新盆法要は、亡くなってから最初のお盆に行われる法要です。地域によっては大規模に行われることもあります。

新盆法要でのお布施の金額相場は3〜5万円程度です。

なお、初盆以降に行われるお盆の法要では、1〜3万円程度が一般的です。

お彼岸法要

お彼岸法要は、春分の日と秋分の日を中心とした1週間(彼岸週)に行われる法要です。

彼岸とは仏の世界(悟りの境地)を指します。お彼岸の時期に先祖の供養を行うことで、自身も仏の世界に近づけると考えられています。

地域や寺院によっては、僧侶もしくは檀家が複数集まって行う合同法要になることもあります。

お彼岸法要でのお布施の金額相場は以下の通りです。

  • 個別法要の場合:3〜5万円程度
  • 合同法要の場合:3千円〜1万円程度

三回忌法要以降

法要は三回忌(3年目)、七回忌(7年目)、十三回忌(13年目)など、年数を重ねるごとに各回忌で行います。

三回忌以降の法要でのお布施の金額相場は1〜3万円程度です。

回忌が進むにつれて規模が小さくなる傾向がありますが、お布施の金額は大きく変わらないことが多いです。

弔い上げ法要

弔い上げ法要は、一般的に三十三回忌(33年目)または五十回忌(50年目)に行われる、最後の法要です。弔い上げ法要以降は通常の先祖供養として扱われます。

 弔い上げ法要でのお布施の金額相場は3〜5万円程度です。

最後の法要となるため、お布施の金額は比較的高額になる傾向があります。

お布施以外に必要な費用

お布施以外に必要な費用

葬儀や法要の際には、お布施以外にも僧侶に渡す費用がいくつかあります。お布施以外に必要な費用について解説します。

御車代

御車代(おくるまだい)は、僧侶の交通費として渡す費用です。自宅や斎場まで来ていただく際の実費相当額を渡します。

御車代の金額相場は5千〜1万円程度です。

御車代の金額は、実際の交通費を考慮して決めます。例えば、公共交通機関を利用する場合は運賃を目安にします。遠方から来ていただく場合は、実際にかかった交通費に応じて金額を増やす場合が一般的です。

ただし、以下のような場合は御車代が不要になることもあります。

  • 菩提寺の住職が来る場合
  • 寺院で法要を行う場合
  • お布施に含まれている場合

なお、御車代を渡す際はお布施とは別の封筒に入れ、わかりやすく「御車代」と明記してください。

御膳料

御膳料(ごぜんりょう)は、僧侶に食事を提供する代わりに渡す費用です。通夜や葬儀の後に僧侶を食事に招待できない場合に渡します。

御膳料の金額相場は5千〜1万円程度です。

御車代と同じく渡す際はお布施とは別の封筒に入れ、「御膳料」と明記してください。

なお、僧侶を実際に食事に招待する場合は、御膳料を渡す必要はありませんが、食事の内容や場所については事前に僧侶や寺院と相談することをおすすめします。

戒名料

戒名料は、故人に戒名(法名)をつけてもらう際に必要な費用です。戒名の格によって金額が大きく異なります。

戒名の種類内容金額
信士(しんじ)・信女(しんにょ)一般的な戒名10万円以上
居士(こじ)・大姉(だいし)やや格の高い戒名50~70万円
院居士(いこじ)・院大姉(いんだいし)最も格の高い戒名100万円以上

戒名料は基本的に、お布施とは別に渡しますが、葬儀社を通す場合はまとめての支払いになることもあります。また、戒名料の金額は寺院によって大きく異なる場合があるため、事前によく確認しましょう。

なお、戒名の格は故人の生前の功績や遺族の希望によって決まります。そのため、高位の戒名が必ずしもいいわけではありません。

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お布施の準備

お布施の準備

お布施を準備する際には、封筒の書き方やお札の入れ方、包み方などにマナーがあります。当日失敗しないために、お布施の正しい準備方法について解説します。

お布施の封筒の書き方

お布施の封筒の書き方を解説します。

  1. 表面上部中央に「御布施」と記入
  2. 表面右下に旧字体の漢数字で略さず金額を記入(例:「壱萬園也」)
  3. 表面左下に自分の氏名を記入(苗字のみでも可)

金額を記入する際は一般的な漢数字ではなく、以下のような改変されにくい旧字体の漢数字を使用します。


(いち)

(に)

(さん)

(ご)

(ろく)

(しち)

(はち)

(じゅう)

(せん)

(まん)

お布施の封筒を書く際は、黒のボールペンもしくは筆ペンを使用し、丁寧な字で書いてください。

また4は「死」、9は「苦」を連想させる数字のため使用しません。

お札の入れ方

香典では「準備する間もなく急いで駆けつけた」想いを表現するため、新札ではなく折れ目などが付いた使用感のあるお札が望ましいとされています。

一方でお布施の場合は、お悔みではなくお礼であるため、できるだけ新札を用意することが望ましいです。新札が用意できない場合は、きれいな紙幣を使用してください。

お札を入れる際は肖像画が描かれている面を上にして重ね、折らずにそのまま入れましょう。

なお、お札の枚数が多い場合は、大きい金額の紙幣を使用し、硬貨は入れないでください。

布施の包み方

お布施の正式な包み方は、奉書紙(ほうしょがみ)を使用して包むのが一般的です。ただし、奉書紙を用意できない場合は白封筒でも問題ありません。

  • 奉書紙:より格式高い印象を与える。主に葬儀や重要な法要で使用。
  • 白封筒:一般的に使われる封筒で、日常的な法要や寺院への寄付などで使用。

それぞれの正しい布施の包み方は以下の通りです。

奉書紙を使用する際の包み方白封筒を使用する際の包み方
1.奉書紙を三つ折りにする
2.お札を中に入れる
3.両端を内側に折り込む
4.表面に金額と氏名を記入する
1.中袋にお札を入れる
2.中袋を白封筒に入れる
※白封筒口はのり付けなどをせず開けたままにする

お布施を渡す手順とマナー

お布施を渡す手順とマナー

お布施を渡す際には、適切な手順とマナーを守りましょう。ここではお布施を渡す際の基本的な流れと注意点について解説します。

1.僧侶に挨拶する

お布施を渡すタイミングは法要や読経が終わった後、僧侶が退出する前に渡すのが一般的です。

お布施を渡す前に、まずは僧侶へ丁寧に挨拶をします。場所は玄関先や控室など、ほかの参列者の目につきにくい場所を選びましょう。

僧侶へ挨拶をする際は感謝の言葉とともに、深々とお辞儀をしましょう。

2.袱紗からお布施袋を取り出す

お布施袋は事前に袱紗(ふくさ)に包んで持参します。

袱紗を両手で持ち、僧侶の前で広げて中からお布施袋を取り出します。袱紗は僧侶側に向かって開きましょう。

なお、葬儀や法要など弔事の場合、袱紗の色は黒や紫色など、暗い寒色を選びましょう。

3.袱紗をたたみ、その上にお布施袋を置く

袱紗をたたんだ後、その上にお布施袋を置きます。より丁寧な作法として、木製や漆塗り切手盆(きってぼん)を用意し、その上に袱紗とお布施袋を置くこともあります。

袱紗のたたみ方
1.上座(僧侶側)に向かって半分に折る
2.左右を内側に折り込む
3.下部を上に折り上げる

切手盆を使用する際は、盆の上に袱紗を敷き、さらに上へお布施袋を置きます。

4.お布施を差し出す

両手で丁寧にお布施を持ち、軽く頭を下げながら僧侶に差し出します。差し出す際に「お布施です。よろしくお願いいたします」などと声をかけるとよいでしょう。

お布施を差し出す際は、目線を少し下げて声を控えめにするとスマートです。

5.僧侶が受け取る

僧侶がお布施を受け取ったら、再度軽く頭を下げて感謝の意を表します。

僧侶から「ありがとうございます」などと声をかけられたら、再度お辞儀をしてください。

6.その他

もしも、僧侶が複数人いる場合や、お布施以外の費用を支払う必要がある場合は、状況に合わせて対応しましょう。

僧侶が複数人いる場合

一般的には主導的な立場の僧侶(導師)にまとめて渡します。そのため、まずは導師を確認しましょう。

個別に渡す場合は、導師の許可を得てから地位の高い方から順に渡します。

お車代や御膳料などがある場合

お布施以外にお車代や御膳料などがある場合は、それぞれ別の封筒に入れて渡します。

封筒には「御車代」「御膳料」と明記したうえで、渡す際には「こちらはお車代(御膳料)です」と一言添えると丁寧です。

まとめ

葬儀や法要におけるお布施は、故人への供養と僧侶への感謝を表すものです。

お布施の金額相場や渡し方、封筒の書き方など、基本的なマナーを理解しておくことで、心からの感謝の気持ちを適切に伝えることができるでしょう。

地域や宗派によって異なる慣習もあるため、事前に確認し、適切な対応を心がけましょう。

また、お布施以外にも御車代や御膳料、戒名料などの必要な費用があることを忘れずに準備しましょう。お布施以外の費用も含めて、故人を偲び、僧侶や寺院への感謝を表すことが大切です。

なお、お布施の準備や渡し方に不安がある場合は、葬儀社や寺院の担当者に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けることで、より円滑に儀式を進めることができるでしょう。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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