「御霊前」で大丈夫?香典の表書きや金額の書き方、渡す時のマナーとは

投稿:2020-11-19
「御霊前」で大丈夫?香典の表書きや金額の書き方、渡す時のマナーとは

通夜や葬儀、法要に参列する際に用意するのが「香典」です。

香典の表書きは「御霊前」と表記するのが一般的ですが、実は宗教・宗派によっては「御霊前」ではマナー違反になる可能性があります。例えば浄土真宗やキリスト教などです。

その他にも、細かなルールはたくさんあります。「御霊前」の意味や正しい使い方、また香典のマナーまで詳しく解説します。

御霊前とは?意味と正しい使い方を解説

通夜や葬儀などの法要の際、ご遺族に不祝儀袋にお金を入れた「香典」を渡すのが一般的です。

故人への供養と、葬儀から法要まで様々な費用が掛かかるため、その一部を負担するという相互扶助の意味合いがあります。

ただ香典袋にお金を包むだけでは、何のために包んだのかよく分かりませんよね。

そのため、ご遺族に香典袋を贈る際は外袋に「表書き」記入します。一般的には「御霊前」や「御仏前」です。

この表書きには基本的なマナーがあり、表記を間違えてしまうとご遺族に対してマナー違反になりかねないため、事前に意味や使い方を確認しておきましょう。

「御霊前」とは故人の「霊」に捧げ供えるという意味

御霊前とは、香典袋に表記する言葉のことです。

それ以外にも「御香料」や「御香奠(御香典)」などと表記することもあり、葬儀の宗教や相手の宗派などに合わせて使いわけます。

では「御霊前」という言葉にはどのような意味合いが含まれているのでしょうか。

「御霊前」には、故人の霊に捧げ供えるという意味があります。捧げ供えるものは、故人を弔うための金銭です。

白無地あるいは蓮の花の絵柄がデザインされた包みに「御霊前」と表書きをします。そうする事によって、この包みはどのような意図で包んだかが伝わるようになります。

「御霊前」は四十九日まで、以降は「御仏前」と書く

一般的には「御霊前」という表書きは四十九日以降は使いません。四十九日以降は「御仏前」と書きます。

なぜ、四十九日以降は「御霊前」を使わないのでしょうか。

仏教ではご逝去してから四十九日後に、閻魔大王に仏になれるかどうかを審判されると考えられています。四十九日後にはじめて仏となり、成仏するのです。

そのため、四十九日を迎えるまでは、仏になる前というニュアンスで「御霊前」という表現をします。

四十九日以降は成仏して仏になったと考えっるため、御霊前ではなく「御仏前」と香典袋に記入しましょう。

御霊前を使わない宗派や宗教

宗派・宗教によっては、四十九日を迎える前でも「御霊前」を使いません。

浄土真宗や、臨済宗・曹洞宗などは、「御仏前」と書きます。浄土真宗は、霊魂不滅や輪廻転生の考えをしないためです。「霊」という存在に供えるか、「仏」なのか、という違いがあります。

御香典の表書きの表現を、以下の表にまとめました。

宗派・宗教表書き場面
浄土真宗以外の仏教宗派御霊前通夜・葬儀・告別式
全ての仏教宗派御香典・御香料通夜・葬儀・告別式・法要
全ての仏教宗派御仏前通夜・葬儀・告別式・法要
神式・神道御玉串料・御榊料・御神饌料・御神饌料・御霊前通夜・葬儀・法要
キリスト教・無宗教御花料通夜・葬儀・法要

細かいルールはありますが、一般的には「御霊前」を表書きとして使うという事を覚えておけば問題ありません。どうしても心配な場合は、葬儀社などに確認してみましょう。

御霊前の正しい書きや基本的なマナーを解説

御霊前の正しい書きや基本的なマナーを解説

香典のルールには、大きく分けて6個のポイントがあります。

  1. 宗派・宗教によって「不祝儀袋」を変える
  2. 故人との関係度によって、香典の相場がある
  3. 「不祝儀袋」のお金の入れ方のルール
  4. 中袋の書き方
  5. 薄墨の筆書きをする
  6. 香典を渡す時のルール

それぞれ詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

1.宗派・宗教によって不祝儀袋の種類を変える

宗派・宗教によって表書きの書き方が異なるように、不祝儀袋も種類が異なります。

種類特徴
仏式蓮の絵柄がデザインされいます。水引は、「結び切り」あるいは、「あわび結び」がされたものを用います。
神式・神道白無地の不祝儀袋を使います。「双白」「双銀」「黒白」の結び切りを使います。
キリスト教式白無地または、十字架・白ユリがデザインされた不祝儀袋を使います。これは、水引を使いません。
共通袋ほとんどの宗教に共通して活用可能です。白無地に水引は「黒白」か「双銀」の結び切りを使います。

基本的には、「仏式」や「共通袋」を把握しておけば問題ないでしょう。

不祝儀袋のデザインや形には様々な意味合いがあります。例えば、水引の「結び切り」や「あわび結び」は、一度結んだらほどくのが大変難しい結び方です。そこから、「繰り返さない」という意味で、この結び方の水引を使います。

2.故人との関係性によって納める金額を変える

香典袋に納める金額は関係性によって異なります。以下が平均金額の相場です。

【平均金額】

亡くなった方20代30代40代50代
祖父母9,000円14,000円17,000円38,000円
32,000円33,000円52,000円
兄弟姉妹14,000円21,000円25,000円52,000円
おじ・おば7,000円12,000円12,000円21,000円
上記以外の親戚7,000円7,500円9,000円13,000円
職場関係4,000円5,500円5,000円6,000円
勤務先社員の 家族4,000円5,000円5,000円5,000円
友人・知人5,000円5,000円6,000円6,000円
隣人・近所5,000円5,000円4,000円6,000円
参照:全日本冠婚葬祭互助協会(全互協) 香典に関するアンケート調査(平成28年度)

平均金額を紹介しましたが、包む金額は偶数を避け、奇数にするのがマナー。奇数は、「割り切れない」という意味があるため縁起が良いとされています。

反対に偶数は「割り切れる」数のため故人とのつながりを切ると連想させてしまう数だと考えられており、縁起が悪い数字だからです。

また、「4」と「9」は「死」「苦」を連想させる数字とされているので、「4」と「9」も避けるのがマナー。

香典袋には「4」と「9」を避け、奇数の金額分を納めるように注意しましょう。

3.不祝儀袋のお金の入れ方のルール

香典袋には、新札と汚れた紙幣を入れることはNGです。

新札は、前もって不幸を予期していたような印象を与えてしまいます。ただし、汚れたお札も、ご遺族側に失礼なので注意しましょう。

その一方で、普段お財布に入れているお金を使うのも気が引けてしまうものです。そこで、新札を折りたたんで包むという方法があります。

最近では、あまりこだわらない人も増えているようですが、マナーとして覚えておきましょう。

また、袋に入れる時のお札の向きは、肖像画が書かれている方を裏向きにして入れます。考え方としては、中袋を裏にした時を軸に考えると間違いありません。

4.中袋の書き方には注意

香典袋にいくら包むか決まったら、中袋を書きます。中袋とは、氏名住所・金額・郵便番号・電話番号を書くためのものです。金額は、旧字体の漢数字で表記します。

漢数字の正式な表記の一覧を下記は下記を参考にしてください。

金額旧漢字
3千円参仟円(参仟圓)
5千円五仟円または伍仟円(五仟圓または伍仟圓)
1万円壱萬円(壱萬圓)
2万円弐萬円(弐萬圓)
3万円参萬円(参萬圓)
5万円五萬円または伍萬円(五萬圓または伍萬圓)
7万円七萬円(七萬圓)
10万円拾萬円(拾萬圓)

「0、1、2、3・・・」に続く数字を用いないのは、アラビア数字であるからです。アラビア数字は横から書きますが、漢数字は一般的に縦書きをします。

中袋の表記方法は全て縦書きのため、漢数字を使うのがふさわしいです。

5.「御霊前」の表書きは薄墨の筆ペンで書くこと

香典袋は、薄墨の筆を使って書きます。薄墨を使うのは、故人を追悼する気持ちを表すための意味合いがあります。薄墨は普段使う墨よりも、水分量を増やして濃度を薄くしたものです。

ただし、これは四十九日までの香典の表書きの方法です。それ以降は、濃墨を使いましょう。

6.香典を渡す時のルール

香典を渡す時は、袋のまま渡してはいけません。袱紗と呼ばれる、無地や吉祥柄などの刺繍を施した物を包んだりする柔らかい布で包み、目の前で袱紗から取り出して渡します。

注意が必要なのは、祝儀袋と不祝儀袋では包み方が異なること。不祝儀袋の包み方の手順は、以下参考にしてください。

  1. 袱紗をひし形状に開き、中央に不祝儀袋を表向きで、縦に置きます。
  2. 袱紗を右、下、上の順にたたむように折ります。
  3. 最後、左側を折ります。折ると、布の端が余るので裏に回します。

香典を渡すのは、自分が弔問したタイミングです。

また、相手に渡す時はお悔やみの言葉の述べましょう。袱紗に包んだ不祝儀袋を取り出し、お悔やみの言葉を述べて、受付または遺族の方に両手で手渡しします。

香典に関するマナーは多い|一つひとつ確認しよう

香典を渡す時には、様々なルールがあることを解説しました。

  • 御霊前や御仏前など宗教や宗派によって表書きの表記方法が異なる
  • 故人との関係度によって包む金額が変わる
  • 不祝儀袋には、お金の入れ方や墨の濃さまでルールがある
  • 香典は必ず袱紗に包む。相手の前で袱紗から取り出して、手渡しする

これらのルールを守れば、一般的な葬儀や法要などの時に香典のマナーについては困らないでしょう。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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