昔は、お葬式で「花輪」が飾られている光景を目にした方も多かったのではないでしょうか。
しかし最近では、家族葬など小規模で静かなお葬式を行うことも増えたため、葬儀会場に花輪が飾られる機会も減りました。花輪は、サイズも大きく「足」が必要なため、贈るにさわしくない場面もあるためです。
花輪を贈ってもいいのか、悩むこともあるでしょう。
お葬式に使用する花輪の意味や贈るにふさわしい状況、花輪の費用相場などを解説します。
もくじ
葬儀に使用する花輪の意味や贈るにふさわしい状況を解説
葬儀の際に贈る花のひとつに「花輪」があります。
花輪の意味や贈るにふさわしい状況について解説や意味を解説します。
花輪(はなわ)は葬儀会場の周りを飾る円形の花
花輪(はなわ)は、通夜や葬儀会場の周りを飾る花のこと。輪の形に花を活けて、足のついた台の上にその円形の花輪を置くのが一般的です。
花輪は、生花で作られることもありますが、造花が使われることも多く、白、黄色、青、紫などの色の花を使用します。
葬儀のときに使われるものは、足の部分に「親戚一同」など贈り主を示すプレートが飾られます。
ちなみに、キリスト式のお葬式の場合は花輪を贈ることができません。
家族葬の場合は花輪を飾る場所がないことも多く、あらかじめ辞退しているケースもあるので注意しましょう。
花輪が贈られることが減っている理由
花輪は、昔から葬儀における象徴的なアイテムでした。花輪は特殊なかたちであり目立つため「そこで葬儀をやっているのだ」という目印にもなっていたほどです。
しかし、現在では下火になりあまり使われなくなってきました。葬儀場のスタッフでも花輪を見たことがない人もいるようです。
もちろん希望すれば花輪を飾ることも可能ですが、花輪が好まれなくなってきた背景にはいくつかの理由があります。
花輪は、ほかの花とは異なり「足」が必要です。そして円形で大きいため、飾るにはある程度のスペースを要します。
近年葬儀も縮小傾向にあり、花輪を飾るためのスペースが確保できず、花輪を飾らないケースが増えているのです。
もうひとつの理由としては、最近では、大規模な葬儀より家族葬など静かにお見送りをしたいと希望するケースが多くなってきたことが挙げられます。
花輪は「ここで葬儀を執り行っている」という一種の目印にもなるものです。静かにひっそりを葬儀を執り行いたいというニーズには「花輪」は不向きであると言えるでしょう。
もちろん「花輪は葬儀に不適当だ」ということではありません。
しかし、こうした背景から、現在では花輪を据える葬儀は徐々に減少傾向にあります。
花輪を贈るのが適しているケース
それでは、花輪を贈るのが適しているケースについて紹介します。
花輪は大きいため、とても目立つという点と設置するのに場所をとるという点が特徴です。
社葬や一般葬など、比較的広い葬儀場で大規模に行われる葬儀には、花輪を贈るのが適しています。
最近多くなっている家族葬では、静かに身内だけで執り行われることが多いため、大きすぎるサイズのお花は迷惑になってしまう可能性も。
葬儀場の規模の規模やご遺族の希望を伺ってから贈ると良いでしょう。
花輪を贈るタイミングはお通夜の前
花輪を贈るときは、通夜が始まる前に会場に届くよう手配します。お通夜に間に合わない場合は、お葬式開始に間に合うように贈ると良いです。
花輪は遅くとも「葬儀」の前に葬儀場に飾ることができるよう、迅速に手配する必要があります。
花輪は、飾るのにスペースが必要なため、必ず遺族や葬儀場に贈っても良いか事前に確認しましょう。
キリスト式の葬儀では、花輪は送りません。
その他に葬儀で贈る花を解説
「花輪」のほかに葬儀で贈る花は、「供花」「枕花」が一般的です。
それぞれの花の種類を解説します。
花瓶にような容器に据えられた「供花」
供花とは、「きょうか」または「くげ」と読みます。
故人や神様にお供えする花のことで、葬儀では故人の霊を慰めるためのものです。
花輪も供花の一種と言えますが、一般的には、供花とは花瓶のような容器に据えられた花のことを意味し、花輪とは区別されます。
供花はスタンド型のものやフラワーアレンジメント型のものもあり、それほどスペースをとらずに設置できるのが特徴です。
供花で使われる花の種類は、仏式・神式、キリスト式でそれぞれ異なります。
故人の枕元に飾る「枕花」
枕花は「まくらばな」と読みます。故人の枕元に飾る花のことです。
昔はご遺体を自宅に搬送して、翌日に葬儀会場へという流れが多く、枕花はご自宅に安置している段階から故人の枕元に飾られているものでした。
現在でも、ご自宅にご遺体を搬送して安置する場合には、枕花をご自宅にいるときから飾ります。
枕花は、自宅で故人の枕元に飾るお花のため、親族や、故人と非常に親しかった人が贈るのが一般的です。派手な色の花を避け、あまり大きすぎないものを選ぶのがマナー。
枕花は、長く飾れるフラワーアレンジメントなどがよく選ばれます。
供花や花輪が葬儀で使用するのに対し、枕花は通夜の前までに届ける必要があり、到着が早く届きすぎてもマナー違反になってしまいますので、贈るタイミングには注意が必要です。
この他に、「献花」というものがありますが、これはお焼香の代わりに祭壇へお供えする花のこと。
献花は喪家が用意するものなので、献花を自分で購入して持参したり、葬儀用の献花を贈ったりする必要はありません。
葬儀に使用する花輪の費用相場
では、葬儀に使用する花輪の費用相場について解説します。
花輪の費用相場は15,000~20,000円
花輪の費用相場は15,000円~20,000円程度です。
会社名義の場合など、この相場費用より高価な物を贈るのが良い場合もあるかもしれませんが、相場費用くらいの金額の花輪であれば問題ありません。
花輪は一対(2つ)ではなく一基(1つ)が一般的
供花を数えるときには「一対」または「一基」と数えます。一対とは花輪が2つ、一基は1つのことです。
花輪は、一基を贈るのが一般的だとされています。
立場による違いがあり、友人など個人で出される場合は一基、親戚の方や会社関係からの場合は一対で出される方が多いです。
極端に相場以下、相場以上のものは避ける
供花の相場については、一対の場合は2万円~4万円程度になります。一基の場合は7,000円~2万円程度。
相場を大きく上回る花輪もありますが、あまりにも高額な花だとご遺族の方に気を遣わせてしまう可能性もあります。
相場はあくまでも目安として、故人との関係もふまえ、適切な価格帯の供花を選びましょう。
葬儀に花輪を贈る時は先方へ確認してから送ること
花輪は、葬儀場に飾るためのスペースが必要です。
ご遺族に確認せずに花輪を贈ると、飾るスペースがなかったり、あまり周りの人に知らせずひっそりと葬儀を執り行うはずが花輪の存在で目立ってしまったりと迷惑をかけてしまいます。
最近では、家族葬のように、ひっそりと葬儀を行いたいと希望する人が増えてきたこともあり、花輪を贈るケースも少なくなりました。
しかし、ご遺族に確認にして贈って良いという回答であれば、花輪を贈っても問題ありません。特に、大規模な葬儀場で執り行われる葬儀には、花輪を贈る方が適している場合もあります。
葬儀の規模やご遺族の意向を確認して、本来の目的である故人を悼むことができるよう、マナーに気をつけて花輪を贈りましょう。