粗供養における解釈の違い・受け取る側と贈る側のマナーを解説

粗供養における解釈の違い・受け取る側と贈る側のマナーを解説

葬儀にはさまざまな専門用語があり、地域によっては葬儀社ですら聞き慣れない言葉もあります。

特に「粗供養(そくよう)」は、なかなか聞き慣れない言葉なうえに、人によって解釈が全く違います。

解釈の違いによって贈り方やタイミングなども異なるので、きちんと理解して正しく贈ることが大切です。

また、粗供養には贈る側だけでなく受け取る側にもマナーがあります。贈り物をいただいたとき、ついやってしまう当たり前のことですら、粗供養の場合は失礼にあたることがあるので、贈る側だけでなく受け取る側もマナーを身に着けておきましょう。

そもそも、粗供養とはどのようなものなのでしょうか?

粗供養における解釈の違いと、受け取る側と贈る側のマナーについて解説します。


粗供養(そくよう)の意味と解釈の違いを解説

粗供養は人によって解釈が全く違います。解釈の違いによって贈るタイミングが違うので、受け取る側も贈る側も解釈の違いを理解しておきましょう。

まずは粗供養の意味と、それぞれの解釈の違いについて解説します。

粗供養は供養のためにいただいたものに対するお礼

「粗供養」とは葬儀や法要などで供養のためにいただいたものに対して、感謝の意味を込めて贈るお礼のことです。粗供養として贈る品物を「粗供養品」と呼びます。

なお、粗供養は主に西日本を中心に使われているので、東日本ではあまり耳にしない言葉かもしれません。

西日本では葬儀や法要の返礼品の表書きに「粗供養」が使用されますが、東日本の場合は「志」を使う場合がほとんどです。

ちなみに、地域によっては先祖の「祖」を用いて「祖供養」と書くケースもありますが、ご先祖様への供養という意味でも使われるため「粗供養」とするのが一般的です。

粗供養にはさまざまな解釈がある

粗供養の解釈は主に「香典返し」「会葬御礼」「ご仏前のお返し」の3つに分かれます。粗供養に関してさまざまな説があり、地域によって考え方が違うため解釈の違いが生じています。

  • 香典返し:四十九日が満ちた「満中陰」で渡す品物。
  • 会葬御礼:香典の有無に問わず、葬儀に参列された方全員に渡す品物。
  • ご仏前のお返し:法要などでご仏前に供えた物品や金品に対するお返し(引き出物)。

地域によっては「粗供養を香典返しと解釈するのは間違い」「香典返しも法要の返礼品も全て粗供養とする」など、さまざまな考え方があります。

考え方次第ではあるものの、基本的に「粗供養」という言葉をどの解釈で使っても間違いではありません。住んでいる地域の風習に倣って解釈して良いです。

ただし、地域によって考え方が違うということは、考え方に沿わない「粗供養」の使い方をすると、間違っていると指摘されたりマナーを知らないと思われたりする可能性があります。

そのため、地域の風習や考え方がわからない場合は、葬儀社に聞いてみるとよいでしょう。

粗供養を贈る時期は解釈によって異なる

粗供養にはさまざまな解釈がありますが、贈る時期は解釈の違いに合わせて異なります。

以下は、代表的な考え方である3つ解釈による粗供養を贈るタイミングです。

  • 香典返し:葬儀の際にお渡しするか、四十九日後に贈る。
  • 会葬御礼:葬儀の際に渡す。
  • ご仏前のお返し:法要の際に渡す。

香典返しは本来、四十九日後にいただいた香典の金額に合わせた品物を贈りますが、遺族の手間が非常に増えるとして、近年では葬儀の際に即日でお渡しするケースが増えています。

そのため、会葬御礼=香典返しと混同されがちです。しかし、香典返しは香典をいただいた方に返すのに対し、会葬御礼は香典の有無に問わず葬儀の参列者全員にお渡しするものなので意味が異なります。

粗供養を受け取る側と贈る側のマナーを解説

粗供養を受け取る側と贈る側のマナーを解説

粗供養を贈る側にマナーがあるのはもちろんですが、受け取る側にも変わったマナーがあります。

ついやってしまう当たり前の行為が、粗供養の場合は失礼にあたることもあるので、贈る側だけでなく受け取る側もきちんとマナーを理解しましょう。

粗供養を受け取る側と贈る側のマナーをそれぞれに分けて詳しく解説します。

粗供養を受け取る側のマナー

粗供養を受け取ったときの対応次第で相手の失礼にあたることがあるので、受け取る側も対応に注意する必要があります。

受け取ってもお礼は贈らないこと

なにか品物をいただいたときはお礼を言うのが当たり前ですが、粗供養の場合はお礼をする必要はありません。そもそも返事すら必要ありません。お礼を贈るのは最も失礼にあたるので注意しましょう。

粗供養の返事自体が不要な理由は、不幸が「後を引く」「長引く」という意味を連想するため、粗供養に返事をするのはふさわしくないと考えられています。

遺族の方が大変な中、自分に対してお気遣いいただいたことに対する気持ちを伝えるなら、「ありがとう」ではなく「恐れ入ります」「恐縮です」など、相手の気遣いに対する挨拶をするのがマナーです。

受け取りの連絡をする場合は伝え方に注意する

粗供養を受け取ったときは返事は不要ですが、郵送の場合は受け取ったことを知らせても問題ありません。

やはり、郵送だと贈った側は無事に届いたか不安な面もあるので、余計な気遣いをさせないためにお知らせはした方がよいでしょう。

電話でも問題ありませんが、はがきや手紙でも大丈夫です。あまり深い付き合いではない方の場合はメールでも問題ありません。

ただし、届いたことを知らせる際もお礼を言うのではなく、届いた旨を伝える程度にとどめてください。そもそも粗供養自体が相手からのお礼なので、大げさに感謝を伝える必要はありません。

そのため、暑中見舞いや寒中見舞いなどの季節の挨拶や、なにか連絡があるときのついでに「お気遣いいただき恐縮です」と伝える程度でも良いです。

粗供養を贈る側のマナー

粗供養は解釈の違いによってそれぞれ違うマナーがあるので、贈る側は考え方に合わせて贈るとよいでしょう。

贈る品物の金額は解釈によって異なる

粗供養で贈る品物の金額はどう解釈するかによって異なります。

  • 香典返し:香典の2分の1~3分の1程度。高額の場合は4分の1程度。即日返しの場合は3,000円~5,000円程度。
  • 会葬御礼:500~1,000円程度。
  • ご仏前のお返し:500~1,000円程度。

弔問客からいただいた香典やお供え物は、遺族の負担を減らすために贈られたものです。そのため、粗供養は遺族の負担にならない程度のものを用意すれば問題ありません。基本的には500~1,000円程度で大丈夫でしょう。

なお、会葬御礼を粗供養とし、香典返しを粗供養に含まない場合は、それぞれ別個で用意する必要があります。

香典返しを後日贈る場合は香典の2分の1~3分の1程度の品物が適切ですが、葬儀当日に渡す場合は会葬御礼の金額を含めて3,000円~5,000円程度になるように用意するとよいでしょう。

葬儀社や地域によってどこまでを粗供養として解釈するか違うので、考え方に合わせて金額を調節してください。

粗供養には消耗品や故人の好きなものを贈る

粗供養で贈る品物にもマナーがあります。

そもそも粗供養はお祝いごとで贈るプレゼントではないので、基本的に消え物(消耗品)を選びましょう。

消耗品を贈った方がいい理由は、「悲しみを長引かせないようにする」「悲しみが消える」と考えられているからです。

また、粗供養は多くの人にお渡しするものなので、あまり好みが分かれないようなものを選ぶとよいでしょう。

●食べ物
和菓子・洋菓子、かつお節や粉だし、海苔、油など日持ちするものを選びましょう。

●飲み物
お茶がおすすめ。紅茶やコーヒーは好みが分かれるので注意。お酒は慶事を強く連想させるので基本的にNGです。

●洗剤や石鹸
「悲しみを洗い流す」という意味を持つのでおすすめです。

●カタログギフト
軽くてかさばらないことに加え、相手に好みのものを選んでもらえます。

●タオルやハンカチ
消耗品ではありませんが、「悲しみをぬぐう」という意味があるので粗供養として贈っても問題ありません。

また粗供養では、故人が好きだったものを贈るのもいいとされています。

例えば、お酒は粗供養としてふさわしくない品物ですが、故人が大のお酒好きだった場合、気に入っていた銘柄のものを贈るのは問題ありません。

お酒やお金を直接イメージするものはNG

お金や、お金を直接イメージしてしまうものは基本的にNGです。例えばビール券や商品券など。

絶対に選んではいけないわけではなく、強い希望があれば問題ないとされています。相手に合わせて粗供養を選ぶ場合や、相手の希望である場合はビール券や商品券を選んでも問題ありません。

粗供養の解釈によって表書きや水引も変わる

粗供養の表書きや水引は解釈によって変わります。

粗供養の表書きは「粗供養」を使いますが、地域によっては「祖供養」や「志」を使います。また、満中陰に贈る場合は「満中陰志」が使われることも。

ちなみに、粗供養自体があまり使われる言葉ではないので、「志」を使うケースが多いです。

なお、神式やキリスト教では「偲び草」や「偲草」「しのび草」が使われます。

また、水引の色は解釈による違いだけでなく、地域差もあります。以下は、粗供養として贈る場合の一般的な水引の色の例です。

  • 香典返し:黒白
  • 会葬御礼:黒白
  • ご仏前のお返し:黃白

水引は、地域によってほかの色を使う場合があります。ただし、地域や解釈の違いに関係なく、「2度と繰り返してほしくないこと」を意味する「結び切り」を選びます。

ちなみに結び切りは弔事だけでなく、結婚式でも使われる種類です。


粗供養は解釈の違いによってタイミングや金額が異なる

粗供養には主に3つの解釈があり、地域や人によってそれぞれ解釈が違います。粗供養を贈るタイミングや品物の金額は、粗供養をどう解釈するかによって異なります。

近年では、葬儀の場において香典返しと会葬礼品を即日にお渡しする、統一してもよいなどさまざまな変化がありますが、地域差があるものなので、葬儀社と相談しながら粗供養を用意するとよいでしょう。

粗供養がどう解釈されているか、特に定まっていない地域なら、負担のかからない範囲で粗供養を用意しましょう。

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