鯨幕とは?お葬式だけでなく、慶事でも使われる鯨幕の意味と正しい使い方

投稿:2021-11-05
鯨幕とは?お葬式だけでなく、慶事でも使われる鯨幕の意味と正しい使い方

「鯨幕(くじらまく)」とは葬儀で使われている縦模様の白と黒の幕のことであり、「鯨」という文字が使われているのには理由があります。

お葬式は白と黒の印象が強いですが、儀式のしきたりの歴史をさかのぼると何とも驚く興味深い背景がありました。

実際に鯨幕を使わなければならない場面で慌てないよう、正しい使い方やレンタルする場合の価格などを知っておきましょう。

それに加え鯨幕と紅白幕や青白幕(浅黃幕)との違いも、その意味と役割をまじえて詳しく解説します。

なぜ弔事で鯨幕を使う?意味や由来、役割

弔時で鯨幕を使うのには意味があり、慶事でも使われるのは知られているところでしょう。

使われるようになった背景と使われる場面を解説します。

鯨幕を使う意味|鯨幕と呼ばれる起源は鯨の白黒ツートンから

鯨幕とは葬儀の際に使われる、白黒の縦縞が交互になっている幕のことです。

漢字の通り海で暮らす哺乳類、あの体の大きな鯨の色が関係しています。

由来は諸説ある中でも、鯨の脂肪の白と外皮の黒からきているという説と、お腹の白と背中の黒のコントラストを表わしている説が特に有名です。

どちらにしても鯨が由来で出来た言葉であることは確かなようです。

鯨幕はただ故人を弔うために飾るのではなく、葬儀会場の仕切りや目隠しとして活躍してくれる、お葬式にとって欠かせない道具と言えるでしょう。

お葬式で白黒の鯨幕を使うようになった背景

古代の日本では黒は高貴な色と位置付けられていたため、鯨幕は神事の場で用いられてきましたが、使用場所が今とは少し異なっていました。

なんとおめでたい場所でも、変わらず鯨幕が使われていたのです。

現代人の大多数のイメージである、葬儀イコール白と黒の色合いというのは、明治時代の文明開化がその定着に大きく関わっています。

西洋文化の影響で黒は弔いの意味合いのほうが強まり、やがて白黒の鯨幕は主に弔事の顔となりました。

実は慶事にも使われている鯨幕

日本の歴史では黒は格式高い色とされていたので、鯨幕は江戸時代までは、結婚式にも使われていました。

私たちからすると驚きや違和感がありますが、実はその流れは未だに途絶えてはおらず、現在でも皇室の催事や出雲大神宮の大祭などの特別な慶事では見ることができます。

古式のしきたりにのっとった行事では、当時に使用していた道具と決まりごとに沿って進行されるためです。

家族葬の場合、鯨幕は使われない

以前人気のあった自宅葬では室内と屋外両方に鯨幕が提げられていましたが、近年利用者が増えている家族葬は仕様が異なります。顧客のニーズに合わせ、葬儀会社は家族葬用ホールやルームの提供に力を入れており、その場合鯨幕は使われません。

このまま家族葬の件数が増えれば、今後見る機会が減ることも考えられます。

現代において簡素化される一方ですが、鯨幕には弔いの意が込められているものだと考えれば、歴史を後世に伝えていくのも私たちの一つの責任と言えるのではないでしょうか。

弔事・慶事に使われる鯨幕、「紅白幕」「青白幕」の違いとは

弔事で使われる鯨幕は「黒と白」のコントラストが一般的ですが、そのほかにも「紅白幕」や「青白幕」も存在します。

それぞれの意味や違い、使われ方を解説します。

「紅白幕」は入学式などの慶事に使われる

歴史は意外にも浅く、慶事に紅白幕が使われる習慣は昭和以降に定着しました。

ちなみにおめでたい時に見かける紅白饅頭は、室町時代に元より海を渡ってきた林浄因が結婚式にて配ったことが始まりとされています。

昭和の初期から戦後の数年間は、国で祝うような特別な日には、学校でも紅白饅頭が配られていたようです。

そのことが入学式や卒業式などの学校での祝いの行事に紅白幕が登場する所以かもしれません。

鯨幕と同様に紅白幕も、外国からの影響により途中でしきたりが変えられた興味深い歴史を持っているのです。

「青白幕」は地鎮祭などで使われ、浅黄幕とも呼ばれる

実は地方によっては歴史が鯨幕よりも古いとされ、葬儀に使われることもあるようです。

青白幕を浅黄幕と呼んでいるのは建築業界ですが、そもそも浅黄とは日本独自である薄い藍色のような色合いを指します。

そして浅黄幕とは、歌舞伎の舞台全面に幕を張り一気に落として、奥の舞台装置を見せる一種の舞台演出になくてはならないもの。

同じ浅黄色を青白幕が使っているため、そのように呼ばれるようになったと言われています。

鯨幕をレンタル・購入する場合の費用相場と注意点

鯨幕を「2泊3日」借りた場合の、レンタル費用の相場です。

  • 高さ180センチ×横約5メートル(一般的):2,500円程度
  • 高さ180センチ×横約9メートル(少し大きめ):3,500円程度

上記の値段は幕自体のレンタル費用であり、送料は別であることがほとんどでで、また設置が楽なように、あらかじめひもが通った状態の幕を発送希望の際は追加料金がかかります。

レンタルした鯨幕を使う時に一番気を付けなければいけない点は、ガムテープと両面テープの使用です。

ひもを使いたくないばかりに直接幕を張ってしまうと、粘着部分がどうしても残り、返却時にクリーニング代を請求されることもあります。汚さないように気をつけて、節度のある使用を心がけましょう。

鯨幕を購入する場合の費用相場と注意点

鯨幕を購入すす場合の費用相場は、下記となります。

  • 高さ180センチ×横約5メートル(一般的):15,000円程度
  • 高さ180センチ×横約9メートル(少し大きめ):20,000円程度

鯨幕の中でも綿製の厚手のものは、一般的なナイロン製よりも格式が高くなるので、比例して1.5倍程度高くなります。事前にどのようなタイプが適切か調べておくと安心です。

購入から7日から10日前後はかかるので、余裕を持って注文しましょう。

急ぎ入り用の際は、注文した業者にいつ頃到着の目安か、到着までの期間を短くする方法はないか確認してくださいね。

まとめ〜地域や宗派のしきたりにのっとって鯨幕を使用するのがベスト

それぞれの幕を使う意味や歴史を振り返ると、興味深いストーリーがあったのではないでしょうか。

現在も古式のしきたりにのっとるものは幕の種類も考える必要がありますが、一般的な弔事には鯨幕を使ってまず間違いはありません。

心配な方は必ず確認作業を行って、気持ち良く故人を送ることができるよう準備をしましょう。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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