忌み言葉|お葬式の場で避けるべき忌み言葉の基本マナー

投稿:2020-10-29
忌み言葉|お葬式の場で避けるべき忌み言葉の基本マナー

「忌み言葉」という言葉を耳にしたことはありますか?

忌み言葉とは、冠婚葬祭などの特定の場において避けるべき言葉のことをさします。

葬儀の挨拶や弔電、また結婚式のスピーチをする際など、忌み言葉をさけて言葉選びをしなければなりません。

しかし、忌み言葉の中には、日常会話として使っている言葉も多く、うっかり言ってしまいそうになることも。

また冠婚葬祭の中でも、弔事は突然訪れるものです。十分に準備の時間を取れないケースもあるため、事前にポイントを抑えておきたいですね。

弔事、通夜や葬儀の際に気をつけるべき忌み言葉について詳しく解説します。

葬儀における忌み言葉を解説

「忌み言葉(いみことば)」とは、結婚式や葬儀などの特定の場所に出席する際に使わない方がよいとされている言葉のことです。

「忌詞」「忌言葉」「忌み詞」と書かれることもあります。

日本には「言霊」という言葉があるように、古くから言葉には魂が宿るとされ、交わす一言ひとことに深い意味があると考えられてきました。

通夜、葬儀における忌み言葉や言い換えについて、解説します。

冠婚葬祭などの特定の場で避けるべき忌み言葉

忌み言葉とは、信仰上の理由や葬式・葬儀・告別式・結婚式などの特定の場面での使用を控える「不吉な意味の語」を連想させる言葉です。

主に葬儀では、不幸が続くこと、重なることを連想させるものが該当し、結婚式では離別を連想させるものなどが該当します。

忌み言葉に気をつける場面はお葬式よりも結婚式などのケースが多いですが、「お悔やみの言葉・弔辞・弔電」のときも、「忌み言葉」を避けるのがマナーです。

忌み言葉を言い換えることができると、マナー違反の言動や遺族に対して失礼になる言動をとってしまうことがなくなります。

宗教によって異なる忌み言葉

宗教的な要素が関わる葬儀における忌み言葉から解説します。仏式葬儀における忌み言葉は、以下の通りです。

  • 浮かばれない
  • 浮かばれぬ
  • 迷う

神式・キリスト教式葬儀での忌み言葉は、以下の通り。

  • 成仏してください
  • 供養
  • 冥福
  • 往生

仏教以外のお葬式でこれらの言葉を使うのは、厳密にはマナー違反です。できるだけ宗教に合った言葉を使うようにしましょう。

お悔やみの言葉としてよく使われる「冥福」ですが、「冥福を祈る」とは仏教の考え方であの世への旅路(冥途)を終えて故人が無事に成仏することを祈る言葉です。

死生観の異なるキリスト教や神道、また仏教の中でも「冥途」という概念がない浄土真宗ではこの言葉は使いません。

不幸が重なることを連想させる「重ね言葉」

不幸が重なることを連想させる重ね言葉は、以下の通りです。

  • またまた
  • 次々
  • 返す返す
  • 重ね重ね
  • いよいよ
  • くれぐれも
  • いろいろな
  • たまたま
例文
「かさねがさね感謝致します。」
「たびたびお世話になりました。」
「くれぐれもよろしくお伝えください。」
「いろいろな場面での思い出があります。」
「たまたま趣味が一緒でした。」

日常的に使う言葉ではありますが、お葬式の場においては不幸が重なることを連想されるため、使用は控えましょう。

不幸が続くことを連想させる言葉

不幸が続くことを連想させる忌み言葉は、以下の通りです。

  • 再び
  • また
  • 続いて
  • 追って
  • 引き続き
  • 繰り返し

例文
「再びお会いしたときには」
「引き続きよろしくお願いいたします。」
「追ってご連絡します。」
「繰り返しお世話になりました。」

「重ね言葉」と同様、不幸が続くことが連想される言葉のため、お葬式の場にはふさわしくありません。

不吉とされている言葉

霊的な恐怖や故人の死に間接的に繋がるような言葉など、一般的に不吉だと感じられるような言葉も忌み言葉です。

不吉とされている言葉は、以下の通りとなります。

  • 消える
  • 浮かばれない
  • とんでもないこと
  • 迷う
  • 「四」
  • 「九」

例文
「今までの思い出が消えてしまいそうです。」
「志し半ばで浮かばれないですね。」
「こんなめに遭うなんてとんでもないことです。」
「何回も迷うこともありました。」

実は、数字の「四」や「九」も忌み言葉です。四は「し」と読み、「死」を、九は「く」と読み、「苦」を連想させます。

「四苦八苦」という重なる苦しみを表現する慣用句も忌み言葉です。

縁起が悪いとされている言葉

死の瞬間に気持ちを引き戻してしまうような、または、死が他の人にも近づいてくるような表現は使わないようにしましょう。

  • 終わる
  • 敗れる
  • 流れる
  • 切れる
  • 途切れる
  • 最後に
  • 終わりに
  • 頼りない
  • 頑固な
例文
「その人との関係も終わってしまいました。」
「その戦いには敗れてしまいました。」
「その話も流れてしまいました。」
「交友も途切れていました。」

「生」や「死」について直接的な言葉

直接の死因を聞くのはもちろん、「死ぬ」「急死」「生きていた」などの命に関わる直接的な表現も避けるようにしましょう。

死に直接つながる、または、死を連想させるような言葉は当然避けるべき忌み言葉です。死がその場の遺族の方などを引き込むことを連想させてしまうからです。

以下、死を連想させる言葉の例となります。

  • 死ぬ
  • 急死
  • ご存命中
  • 生きる
例文
「こんなに早く死んでしまうとは残念です。」
「奥さまの急死には大変ショックを受けました。」
「ご存命中にはお世話になりました。」
「お子さんが成人するまでは生きていて欲しかった。」

これらの言葉は下記のように言い換えることができます。

  • 死ぬ→逝去
  • 急死→突然のこと
  • 生きていた→お元気な頃

忌み言葉を使わないために、言い換えを知っておこう

「生」や「死」について直接的な言葉

不幸を連想させてしまう忌み言葉は、不幸が続いたり繰り返したりすることを連想させる言葉でもあります。

生や死を直接的に表現する言葉も、ご遺族を傷つけるだけでなく不快な思いをさせてしまうため言い換えが必要です。

不幸を連想させてしまう忌み言葉の言い換え

不幸を連想させてしまう忌み言葉の言い換えの例は、以下の通りです。

  • 再び→今一度
  • 追って→後ほど
  • 引き続き→これからも
  • 忙しい→多用
  • 次に→その後・新たに
  • 死ぬ→ご逝去
  • 生きていたころ→ご生前・お元気だったころ
  • 急死→突然のこと・急逝

不幸が続くような連想をさせる忌み言葉の言い換え

重ね言葉の言い換えの例は、以下の通りです。

  • 重ね重ね→深く・加えて
  • いろいろ→多くの・さらに・もっと
  • 度々→よく
  • 次々→たくさん・休みなく
  • くれぐれも・重々→十分に・よく・どうぞ
  • ぜひぜひ→ぜひとも・ぜひ
  • ますます→もっと
  • みるみる→見るまに
  • 近々→近いうちに
  • わざわざ→あえて
  • どんどん→たくさん
  • 日々→毎日
  • ときどき→時折
  • たまたま→思いがけず・珍しく
  • だんだん→少しずつ
  • つくづく→心から
  • いよいよ→一段と
  • ますます→一段と・よりいっそうの
  • 返すがえすも→本当に・まことに・思い起こせば・振り返ると

忌み言葉の言い換えを覚えるためのポイント

忌み言葉の言い換えを覚えるためのポイントは2つあります。

1つ目は、故人の宗教や宗派を知ることと宗派を問わず忌み言葉にならない表現を覚えること。

2つ目は故人の死に関する直接的な表現を避けることです。

この2つのポイントを把握すると言い換えがしやすくなります。この2つのポイントについて、解説します。

どの宗教宗派では使える「哀悼の意を表します」

葬儀の場でよく耳にする「ご冥福をお祈りします」という言葉は仏教用語なので、神道やキリスト教式では使いません。

浄土真宗は仏教ですが、亡くなった後すぐに極楽浄土に生まれ仏様になるという教えであるため、「冥福」「霊前」という言葉を使いません。

このように、同じ宗教であっても宗派によって忌み言葉とされる言葉が違います。

仏教でいう「冥福」は、キリスト教ではプロテスタントであれば「召天」、カトリックであれば「帰天」という言葉を使いましょう。

単に忌み言葉の言い換えを覚えておくだけでなく、宗教や宗派によっても異なる言い換えを覚えておくと安心です。

故人の宗教宗派や言い換えがわからなかった場合は、下記の挨拶をすると良いでしょう。

「哀悼の意を表します」
「安らかなお眠りをお祈り申し上げます」

宗教や宗派に関係なく使える万能な言葉です。ひとつは覚えておくといざという時に安心ですね。

遺族が触れてほしくない可能性がある話題を避ける

ご遺族と会話をする場面でも、忌み言葉を言い換える必要があります。葬儀では故人を偲びご遺族の悲しみに寄り添うことが大切です。

そのため、会話の中では「死」を意味する直接的な表現は避けましょう。特に、会話の内容で避けるべきは、故人の死因についてです。

ご遺族側から説明があった場合を除き、こちらから死因を問うような会話は避けましょう。

遺族への安易な励ましは避けること

遺族は、大切な家族を失い、強い喪失感と深い悲しみの中にいます。大切な家族を亡くすことは、人間の人生において最も大きなストレスです。

そう簡単に癒えるものではありません。大切な家族を失ったときの喪失感を癒すためには、無理せずに十分に悲しむことも必要なのです。

「泣いていたら故人が悲しむ」
「早く忘れて元気を出して」
「あなたが頑張らないとダメ」

このような安易な励ましは、遺族を苦しめることになりかねません。

「あの時(生前)こうしていれば……」
など、遺族に後悔させるような言葉かけも、遺族を深く傷つけてしまいます。

「気持ちをお察しします」
「どんなにお辛いことかと思います」

こういった、遺族の悲しみに寄り添う言葉かけが適切です。遺族の気持ちに寄り添い、共に悲しむという姿勢が大切です。

まとめ|忌み言葉は避け遺族へ気遣いを忘れないこと

葬儀では、家族を亡くして悲しみに暮れている遺族と挨拶などの言葉を交わす場面が多くあるものです。

忌み言葉が遺族の耳に入ることで遺族を深く傷つけてしまうこともあるかもしれません。

遺族を思ってかけた言葉が失礼にあたらないように、忌み言葉の言い換えを覚えておくといざという時に役立ちます。

故人の死を経験し、悲しみに暮れる遺族の心に寄り添う気持ちを大事にして、遺族への気遣いを忘れないようにしましょう。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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