「一回忌」と「一周忌」は言葉が似ているため、混同されがちです。迷ったことがある方も多いのではないでしょうか。
実は、それぞれ独立した、全く異なる法要なのです。
「回忌」とは故人が亡くなってから行う葬儀を一回目として数える一方、一周忌は故人が亡くなって満一年後の法要のことをさします。
一回忌と一周忌の違いについて、数え方や迷わず覚えるコツも含め詳しく解説します。
もくじ
一回忌とは故人が亡くなって行う葬儀のこと
一回忌は、故人の葬儀のことをさします。一回忌は、昔主流であった「数え年」で数えます。数え年は生まれた年を1歳として数え、正月を迎えるたびに年齢を1歳重ねる計算方法です。そのため、亡くなった年が1年となり、故人が亡くなって行う葬儀のことを一回忌と呼ぶのです。
ちなみに、現代では満年齢で計算されることが主流で、生まれた年を0歳として数えています。昔は全て数え年で世の中が動いていたため、未だに長寿のお祝いの行事や法要などは数え年で行われることが多いのです。
一回忌と一周忌の違いを解説
一回忌と一周忌は完全に異なるものです。数字は同じなので、別称なだけで同じことを指すように勘違いされることもしばしばあります。
しかし、それぞれが独立した、しかるべきタイミングで行うべき法要なので注意しましょう。
一周忌とは故人が亡くなって1年後の命日のこと
本来、故人が旅立ってから百日目に「百か日忌法要」を執り行います。
しかしながら現代においては、親族一同を集めようとしても予定がなかなか合わないため、四十九日法要の次は一周忌法要を執り行うのが主流となりました。
「一周忌」とは故人が亡くなってからちょうど一年後の命日、その際に行われる法要の事を指します。
基本的には故人が亡くなった月日と同じ祥月命日、または祥月命日より早めの日程で行います。
一周忌が済むと、喪に服す期間である「喪中」が明けるのです。ちなみに「〇周忌」という数え方は一周忌以降はしません。
一回忌と一周忌で一番大きく異なる点は数え方
一回忌と一周忌は混同されてしまいがちですが、忌日、つまり亡くなった命日を起点として考えると整理しやすいです。
亡くなった命日が1回目の忌日、すなわち一回忌になります。亡くなってから満1年後の一周忌をあえて「回忌」で表現するならば、「二回忌」といえるでしょう。
一周忌以降は、全て「回忌」で表現されるため、三回忌法要は、満2年後の3回目の忌日に行われる年忌法要となります。
- 葬儀 :一回忌
- 1年後:一周忌(二回忌)
- 2年後:三回忌(二周忌)
一回忌と一周忌の理由は追善供養
一回忌と一周忌の法要を行う理由として、「追善供養」が挙げられます。
追善供養とは、故人の代わりに生きている人が善行をすることで徳を積み、故人の冥福を祈る行為です。
仏教では生前の行いに対して死後7日毎に7回の裁きを受け、極楽浄土に行けるかが決まるとされています。これは亡くなった人は来世に生まれ変わる輪廻転生の考え方で、来世には六道という6つの世界があると考えられているからです。
それぞれ、天、人間、修羅、畜生、餓鬼、地獄とされ、どの世界に決まったとしても煩悩という苦しみがあります。
ただし、六道の他に極楽浄土という煩悩がない世界も存在し、四十九日までの法要は愛する故人が極楽浄土に行けるよう願いを込めて、私達は手を合わせるのです。
それ以降の年忌法要は仏様への感謝の気持ちを伝え、故人をより良い世界へと導いてもらうためのものです。
一回忌や一周忌などの追善法要は故人にとっての大事な節目となるので、遺族は親族や友人を招いて比較的規模の大きい法要を催します。
仏式では年忌行事(三回忌など)を続けていき、最終年忌である五十回忌の法事が終わると、死者である仏が一説では神(氏神)になると信じられています。
最終年忌には弔い上げを行います。弔い上げをすることで故人は祖先の一人というくくりになるので、個人としての供養の儀式はなくなります。その後は寺院と相談し永代供養が行われるのが一般的です。
一回忌と一周忌の流れをそれぞれ解説
一回忌と一周忌は実際にどのような法要を行うのか、それぞれの流れを詳しく解説します。
一回忌の流れ〜亡くなってから数日で行う通夜〜お葬式
一回忌は、故人が亡くなってから数日以内に行われることが一般的です。そのため、確実に素早く相手に伝わる連絡手段を選ぶことが重視されます。
相手が年配であれば電話やFAXを、若い人であればメールやLINEを使用するなど使い分けましょう。
お布施の全国平均はどれだけ少なくとも約15万円です。お車代と御膳料は要らない場合もあるので、確認しましょう。
香典の表書きは薄墨を使い、「御香典」か「御香料」にすると宗派を選ばないので安心です。
一般的に会社の同僚や友人の場合は、20代は3千円〜5千円程度、30代以上は1万円〜5万円程度包むと良いとされています。
両親や親族の場合は、20代は5万円程度、30代以上なら5万円〜10万円程度が相場です。
年齢が上がるにつれて、包む金額の相場も上がっていきます。
服装において遺族は正喪服か準喪服が一般的で、参列者はそれより格が高い喪服を身につけると逆にマナー違反になるので注意です。
喪主は葬儀において挨拶の機会がたくさんあるので、それぞれ原稿を書いて練習することをおすすめします。
一周忌の流れ〜亡くなって1年目の命日に行う法要
一周忌は、事前に計画を立てることができるので、連絡は慌てなくても大丈夫です。ただし、場所と日時が決まったら2か月程前までにはお寺に連絡をしましょう。お寺の確認が取れた後、参列者に連絡をします。
参列者が多い場合は、往復はがきや返信用のはがきを同封した案内状を手配しましょう。
一般的には法要の1ヵ月前までに案内状を送り、2週間前までに出欠席の確認をとれるようにします。
僧侶へのお布施は3万円~5万円が相場とされますが、御車代が5千円程度、会食されない場合、御膳料が1万円程度追加でかかります。
香典は不祝儀袋を使いますが、「御香典」か「御香料」と濃い墨で書くと、一部の宗派や宗教が違う場合でも対応できるので安心です。
法要に参列するだけの場合は5千円~1万円、お斎にも参加する場合は1万円~2万円、卒塔婆を墓に立てる場合は5千円程多く包みます。
一周忌の服装は葬式と同じで遺族は正喪服か準喪服が一般的で、参列者は特に指定がなければ準喪服か略式喪服で参列するのが無難です。
施主は始まりの挨拶では、故人の氏名を戒名で呼びましょう。そして僧侶にも挨拶した後、読経と焼香が続きます。焼香が全員終わった段階で、終了時の挨拶を行います。
まとめ|一回忌と一周忌は似ているようで全く異なるもの
言葉が似ているため、混同されやすい一回忌と一周忌。「回忌」の数え方は「数え年」であることを理解しておきましょう
また、「周忌」は亡くなってから満1年後の法要、一周忌にしか使われません。「回忌」の数え方を中心に覚えておくと良いですね。
一回忌も一周忌故人の供養するための大切な法要です。しっかりと意味を理解し、意味を混同しないよう気をつけていきましょう。