葬儀を行う際、会場を用意する必要があります。近年は自宅で葬儀を行う家庭が少なくなり、専用の式場を借りるケースが一般的となりました。
そして、葬儀を行うことができる会場として「斎場」「葬儀場」「火葬場」があります。
ほとんど同じ意味で使われることが多い言葉ですが、実は似ているようで違う施設を指しています。
そもそも斎場とはどんなものなのか、火葬場や葬儀場との違いを交えて解説します。
もくじ
斎場の定義と火葬場・葬儀場の違いを解説
葬儀を行う会場として知られる斎場ですが、火葬場や葬儀場も斎場同様に葬儀に関係する施設を指します。
では、斎場と火葬場、葬儀場の明確な違いはあるのでしょうか?
斎場の定義とそれぞれの違いを解説します。
斎場とは葬儀の儀式を行う場所のこと
斎場とは葬儀の儀式全般を行うことができる場所のことです。
お通夜から葬儀式、告別式までを行うのはもちろん、中には火葬ができる施設が併設された斎場もあります。
また、葬儀後の会食ができる部屋や、遺族が宿泊できる施設まで備えられている斎場もあります。
葬儀場は火葬以外の葬儀の儀式を行う場所
斎場と葬儀場の明確な違いはありません。
ただ、斎場は火葬場が併設されているイメージが強い一方で、葬儀場は火葬を除く葬儀全般の儀式ができる場所という認識で使われることが多いです。
そのため葬儀場で葬儀を行う場合は、火葬の際は火葬場もしくは斎場へ移動する必要があります。
火葬場は火葬をする設備が整っている場所
火葬場は火葬炉がある場所のことです。火葬中に遺族が待機する場所や、霊安室などが併設されています。
なお、火葬場を併設している葬儀場には、名称に斎場と付くケースが多いです。
公営斎場と民営斎場の違いとは
斎場には公営の施設と民営の施設があります。設備自体に大差はありませんが、それぞれ違った特徴があります。
公営斎場と民営斎場の違いを、メリットとデメリットを交えて比較解説します。
公営斎場は行政が運営する斎場のこと
公営斎場は地方自治体などの行政が運営する斎場のことで、各都道府県でそれぞれの地域ごとにいくつか設置されています。
たとえば東京都大田区にある「臨海斎場」や、BCS賞を受賞した岐阜県各務原市の「瞑想の森市営斎場」、三重県津市の「いつくしみの杜」などが有名です。
公営斎場の特徴
公営斎場は複数の自治体が共同で運営・管理を行っているケースが多いです。
大きな特徴としては、故人もしくは喪主の住所が指定の区域内にあれば、利用料金が割安になること。
なお公営斎場は街や地域の名が付いているケースが多いですが、地域名が入っていても必ずしも公営であるとは限らないので注意しましょう。
公営斎場の利用料金
公営斎場の利用料金は式場利用なら30,000~100,000円程度、火葬炉の利用なら無料~50,000円程度が相場です。
式場利用料 | 火葬炉 | その他 | |
臨海斎場 | 100,000円 | 2,000~40,000円 | 待合室:20,000円 |
瞑想の森市営斎場 | プランにより異なる | 大人:10,000円 | – |
いつくしみの杜 | 31,420~83,800円 | 大人:3,000円 | 霊安室:3,140円 |
なお、指定区域外からの利用の場合は、1.5~3倍ほどの料金になります。
公営斎場のメリット
公営斎場のメリットはやはり、運営元の自治体に所属している場合は利用料金が比較的安くなるところです。
利用料金は斎場によって異なるので、中には民営とあまり変わらないケースもありますが、安いところなら無料〜数千円程度で火葬炉が利用できます。
また葬儀で使用できる式場が併設されているケースも多いので、わざわざ葬儀場から火葬場へ移動する必要がないところも公営斎場のメリットです。
公営斎場のデメリット
公営斎場のデメリットは、運営元の自治体外からの利用の場合は、利用料金が割高になってしまうところです。
さらに、公営斎場は民営よりも数が少ないので、予約が取りづらいデメリットもあります。
また小さな自治体の場合、施設が老朽化していたり設備が最低限だったりするケースもあります。高齢者が多く参列する場合、段差や階段が多い施設は負担になるので、バリアフリー面はとくに気にするべき点です。
古い施設だとバリアフリーに対応していない可能性もあるので、注意しましょう。
民営斎場は民間企業が運営する斎場のこと
民営斎場は文字通り、民間企業が運営・管理する斎場のことです。
では民営斎場の特徴を解説します。
民営斎場の特徴
民営斎場は公営斎場と比較いて施設の数が多いので、予約が取りやすく、規模や条件に合った施設を見つけやすい特徴があります。
また、駅近や大通り周辺、インターチェンジなどアクセスしやすい場所にあるケースが多いです。
民営斎場の利用料金
民営斎場の利用料金は葬儀社のプランによって異なりますが、簡素で比較的費用が抑えられているプランの場合は20~40万円程度、こだわりを追求すると100万円以上かかることも。
全体的に公営斎場よりも利用料金が高い傾向があるので、少しでも費用を抑えたい場合は葬儀社としっかり相談をしながらプラン内容を決めましょう。
民営斎場のメリット
民営斎場のメリットはやはり、数が多いので予約が取りやすく、設備がきちんと整っている点です。
中には宿泊施設にお風呂やシャワーブース、テレビ、食堂などが併設されていたり、全面バリアフリーで高齢者や体が不自由な方に配慮した設備を整えていたりする民営斎場もあります。
式場に使用方法も個別の要望に対応してもらいやすいです。
民営斎場のデメリット
民営斎場のデメリットは公営と比較すると費用が割高な点です。
費用はプランによる部分が大きいですが、安さを求めるのであれば公営斎場を選ぶべきでしょう。
また民営斎場は火葬場が併設されていないケースが多いため、式場とは別途で予約や支払いを行う必要があります。
ある程度は葬儀社にお任せできますが、手間かかってしまうのも民営斎場のデメリットだと言えるでしょう。
火葬場や葬儀場を斎場と呼ぶことはあるが全く同じものではない
火葬場や葬儀場を斎場と呼ぶこと自体は間違いではありません。
しかし、間違いではないもののイコールでつながるような全く同じものというわけでもありません。
全く同じではないからこそ、基本的な役割と違いを理解することで、施設を探す際の情報整理が行いやすくなります。