陰膳(かげぜん)は葬儀で食べる精進料理|主な品目と歴史を解説

陰膳(かげぜん)は葬儀で食べる精進料理|主な品目と歴史を解説

陰膳(かげぜん)とは、現代ではお通夜や葬儀で食べる精進料理のことを意味します。

現代ではあまり使われないため、あまりご存知ない方も多いのではないでしょうか?

もともとは、戦地など遠方で暮らしている家族の無事を祈願したり、故人を偲んだりするためのものでした。

陰膳は現代でも、故人の浄土への旅の安全を祈願してお供えするという意味合いは残されています。

陰膳の主な品目と歴史について解説します。


陰膳の意味と歴史を解説

陰膳の意味と歴史について、解説します。

陰膳は元来は遠くにいる家族や故人のために供えた食事

陰膳とは、元来は長期の旅行や離れて暮らしている家族のために、その人の分まで食事を用意することです。

旅先など家族と離れている間に事故に遭ったり、飢えたりすることのないようにお供えする安全祈願としての意味があります。

現在は陰膳はあまり見かけなくなりましたが、戦時中は全国どこの家庭でも戦地へ行った家族のために陰膳を準備していたのです。

現在はお通夜や葬儀の食膳も陰膳と呼ぶ

現在の陰膳は、亡くなられた家族のためにお通夜や葬儀の席で故人を偲ぶために用意する食膳のことを意味します。

陰膳は故人が極楽浄土へ辿り着くまでの道のりの無事を願って準備されるものです。そのため、四十九日までお供えできます。

陰膳をしない宗派もある

宗派によっては、陰膳をしない場合があります。代表的宗派は、浄土真宗です。

浄土真宗では、人は亡くなったらすぐに仏様になるという即身成仏(そくしんじょうぶつ)の考えがあるため、故人が無事に極楽浄土へたどり着けるようにと願う陰膳は必要ありません。

陰膳の主な品目と基本的なマナー

陰膳の主な品目と基本的なマナー

陰膳の主な品目と基本的なマナーについて解説します。

陰膳で使う仏具

陰膳では、仏膳椀という特別な食器などの仏具を使います。

陰膳で使う仏具とそれらの使い方について紹介します。

陰膳で使用する食器の「仏膳椀」

陰膳で使用する食器のことを「仏膳椀(ぶつぜんわん)」といいます。

仏膳と呼ばれる小さな脚付き台の上に5つの食器と箸が収まっているもので、色や素材はさまざまな種類があります。

プラスチック製のものは、比較的安価で手入れがしやすいため、よく用いられる仏膳椀です。木製や高級感のある漆塗りの仏膳椀もあり、人気がありますが、手入れに手間がかかるというデメリットがあります。

器の並べ方と使い方

まず、中央の上座に檀を設け、檀に故人の写真と位牌を飾ります。

そして、陰膳は中央の上座にある故人の写真や位牌の前に配膳し、膳は必ず「膳引き」と呼ばれる台に乗せるようにしましょう。

お箸は、故人の写真や位牌の前に置くきます。

料理の向きについては、陰膳は仏さまに召し上がっていただくために用意する料理なので、箸や親碗に近い方を、仏壇や祭壇に向けて置きましょう。

こちらから見ると逆になりますので注意が必要です。

陰膳の食器類には種類があり、それぞれ仏膳に配置する場所や使い方が決められています。

名称配置する場所使い方
高坏(たかつき)膳の中央香の物(漬け物)を乗せる
親碗(おやわん)座席から見て手前の左側ご飯を盛る
汁椀(しるわん)座席から見て手前の右側味噌汁や吸い物を入れる
壷椀(つぼわん)座席から見て奥の右側煮豆、胡麻和えや、なますなどの和え物を盛る
平椀(ひらわん)座席から見て奥の左側煮物やあえ物を盛る
1番手前

陰膳は基本的に精進料理

陰膳に盛り付けるのは、「一汁三菜」の精進料理です。

料理の内容は特に決まっていません。野菜のお浸しや煮物、汁物など、普段から口にしているようなものを出しましょう。

精進料理は、禅宗の僧侶が仏教を学びに中国に行った際に覚えてきたものであると言われています。

精進料理とは

精進料理(しょうじんりょうり)とは、仏教の戒に基づき殺生や煩悩への刺激を避けることを主眼として調理された料理のことを言います。

「精進」は仏教用語です。

精進には、美食を戒めて粗食をし、精神修養をするという意味があるので、精進料理は、動物性の食品を使わず、野菜や穀物などの植物性の食品のみを使って調理されます。

精進料理で避けるべき食材

仏教では生き物を殺すことを「殺生(せっしょう)」と呼び、避けるとの考え方をします。

そのため、精進料理にも牛肉・豚肉・鶏肉をはじめ、魚や卵など動物性の食材を使いません。

そのほかにも、ニンニク、ネギ、ニラ、らっきょうなどの臭いの強い植物は、「五葷(ごくん)」と呼ばれ、強壮作用があることから、煩悩を刺激して修行の妨げになるとの理由で使うことが禁じられています。

最後に「お下がり」を家族が口にすることが供養になる

陰膳として用意した食事は、会食が済んだら「お下がり」として家族で残さずいただくのがマナーとされています。

「お下がり」をいただくこと自体が故人の供養となるからです。

会場が自宅以外の場合でも、大切な供養のひとつとして陰膳を持ち帰ることになっています。


陰膳は故人の浄土への旅の安全を祈るもの

陰膳は、故人の極楽浄土への旅の安全を祈るためのものです。四十九日までは陰膳をお供えできます。

陰膳をお供えして、お下がりを御家族でいただくことがまた供養にもなるのです。

あまり馴染みがないかもしれませんが、故人への想いを伝えるためにも、陰膳をお供えしてみてはいかがでしょうか。

リメンバーフォト【ピリオド.】|終活や記念の品に大切な写真を

おすすめの記事