死亡診断書と死亡届の違いとは?それぞれの書き方と提出方法を解説

投稿:2020-10-01
死亡診断書と死亡届の違いとは?それぞれの書き方と提出方法を解説

「死亡届」と「死亡診断書(死体検案書)」は同じA3用紙上の別の書類のことです。医師から死亡診断書を受け取ったら、死亡届を記入し押印した後役所に提出します。

死亡診断書は死亡を証明する公文書で医師が記入するものです。一方、死亡届は故人の戸籍情報などを記載し、葬儀社が代行で提出をすることもできます。

故人が亡くなった際、様々な手続きが必要となりますが、まずこの書類の提出から始まります。それぞれの書き方と注意点、提出方法について詳しい解説を見ていきましょう。

死亡診断書と死亡届の違い

死亡届と死亡診断書はA3の1枚の書類のことです。同じ用紙ではありますが、それぞれ別の書類になります。

死亡診断書と死亡届の違いを、それぞれ詳しく解説します。

同じ一枚の用紙の中に死亡診断書と死亡届がある

大切な人が亡くなった時、役所に届け出を出さなければなりません。A3サイズの専用用紙一枚で、左側は死亡届、右側は死亡診断書(死体検案書)からなる二部構成の書類です。

多くの方は医療機関で亡くなりなり、そのまま病院で死亡診断書が発行されます。

一方、事故死や自殺などは医師の診療管理下にないため、法医学の専門医による検案を行い、事件性がないか死亡確認や死因、死亡時刻などを判断する必要があります。その他にも、専属医のいない老人ホームや警察で安置された場合なども検案が必要です。この場合は、死亡診断書ではなく死体検案書として発行されます。

死亡届けと比較すると、死体検案書は多少時間がかかるケースが多いです。

ちなみに、孤独死など自宅で亡くなったケースでは、病院で診察を受けていたかで対応が異なるので注意が必要。

病院で診察を受けていた人は、主治医が死亡診断書を作成するのが一般的で、その際に治療していたケガや病気との関連を調べるために、診察が行われます。生前の診察から24時間以内に死亡した場合は、診察をせずに死亡診断書が発行されることがほとんどです。

もし、診察歴がない場合は、死亡診断書ではなく死体検案書が発行されます。

病院通いしていなかったのに死亡した場合、事件性が疑われ精密な診察が必要だからです。

死亡診断書と死体検案書は同じ項目を記入するのに書類を名前で区別しているのは、死因などの特定により慎重な診察が求められるためです。

死亡診断書の書き方と提出方法

死亡診断書(死体検案書)は死亡を証明する公文書で、人間の死亡を医学的、法律的に証明するものであり、文書がないとそもそも葬儀を執り行えません。死亡を診断した医師、または歯科医師のみが発行できます。

万が一内容に不備があると、担当医師に修正や追記を依頼しなければならず、非常に手間がかかる上、受理されない限り火葬を行うことができません。

死亡診断書の書き方や印鑑の種類について確認していきましょう。

死亡診断書は医師が記入するもの

右半分にある死亡診断書は私達ではなく医師が記入します。しかし、未記載部分や記載不備があると役所では受理してもらえません。

もし病院から死亡診断書部分のみのA4サイズで発行された場合は、A3サイズの死亡届の右半分の死亡診断書部分に直接貼り付けて提出します。その際、役所によっては届け出人の割り印が必要になることがあります。

死亡診断書の内容

  1. 氏名・性・生年月日
  2. 死亡した日時
  3. 死亡した場所
  4. 死亡の原因
  5. 死因の種類(病死・自然死、あるいは外因死、不詳の死)
  6. 外因死の追加事項(死亡の状況など)
  7. 生後1年未満で病死した場合の追加事項
  8. その他特に付言すべきことがら
  9. 診断年月日・病院名・医師の氏名など

間違った場合は二重線で消して、すぐ横か上下の空白部分に書きますが、通常と異なり二重線の上には訂正印を押す必要はありません。

訂正があった場合も死亡届を受理後、役所が捨て印を使用して削除や訂正した部分を加筆訂正、削除を何字行ったか記載してくれます。

ちなみに死亡届に使用する印鑑は、実印ではなく認印でも可、100円ショップにある印鑑でもOKです。ただしシャチハタは、ゴム製で形が変わる可能性があるのでNGでとされています。

死亡診断書の注意点

死亡診断書と死体検案書は、必要でない部分を二重線で消し、空欄には斜線を引かなければいけません。

第三者に追記をされないための対策ですが、実は無いことも多いのが実情、もしない場合でも役所は受け入れてくれるようです。

何よりも大事なのは診断書の一番下にある医師の署名で、直筆であれば印鑑は必要ありません。名前を含めた全てをプリンタ等で発行した場合は、医師の印鑑が必要です。

ちゃんと捺印があるか、病院で頂いた際にチェックしておくとよいでしょう。

死亡診断書は健康保険でカバーできないため、公的医療機関や大学病院で発行してもらう場合3,000円から5,000円、私立の病院は高めで2万円前後かかるところもあります。

また、介護施設などでも医師が死亡診断書を発行することがありますが、それは入所者100人に対して1人の常勤医師の配置が義務づけられているからです。入所手続きの書類に、死亡診断書発行の金額も記載されている施設もあり、相場は5,000円〜1万円。

死体検案書は死亡診断書と内容は変わらないものの、調査に時間と手間をかかるため、金額が跳ね上がり平均3万円〜10万円かかります

死亡届の書き方と提出方法

死亡届の書き方と提出方法

死亡届は死亡診断書とは違い、自身で記入が必要な書類です。不備があった場合は再提出になることもあるので、手続きが遅れないよう、注意点を見ていきましょう。

死亡届の書き方と間違えやすい4つの注意点

死亡届は、特に注意して記入しなければならない点が5つあります。

1.氏名〜字体の誤りで再提出になることも

市区町村によっては死亡診断書での氏名は新字体で、死亡届は旧字体などの違いで、再提出となる場合があります。

2.本籍〜本籍が不明な方は事前に戸籍謄本の確認を

本籍が不明な方は、一人のみの「戸籍抄本」、又は全員が記載されている「戸籍謄本」を確認しましょう。事前にとっておくと安心です。

3.仕事〜本人だけではなく同じ世帯の人の職業も確認

「死亡したときの世帯の主な仕事」では、本人だけではなく、世帯に一緒にいる方の職業で当てはまる項目はチェックを入れます。

4.届出人〜同居している親族でなくとも良い

死亡届の手続が可能の方は同居の親族が基本となりますが、「親族・同居者・家主・地主・家屋管理人・土地管理人等・後見人・保佐人・補助人・任意後見人」でもよいとされています。

ただし埋葬許可証の名義は死亡届の届出人と同一になるので、喪主を務める方の名前を記入します。

死亡届と死亡診断書の提出方法

提出先は死亡地か死亡者の本籍地、届出人の住所地です。よほどの理由がない限りは、手続きに余計な時間をかけないよう、本籍地か住所登録地で届出を行ったほうが良いでしょう。

死亡届の受付は、各役所にて基本24時間365日対応をしていますが、一部例外もあるので確認してください。喪主の身体が不自由などの理由で、死亡届の届出人の記載者と役所の窓口に届けを行う人が違っても、身分証明書があれば以下が届出人の該当者になります。

  1. 同居の親族・同居していない親族
  2. 同居者
  3. 家主・地主・家屋管理人・土地管理人・公設所の長
  4. 後見人・保佐人・補助人(葬儀社)

もし対応できる人がいない時は、補助人として葬儀社が代行で提出までしてくれますので、相談してみてはいかがでしょうか?

死亡届の提出期限は届出者が死亡の事実を知った日から7日以内、海外で死亡した時は3ヵ月以内です。

死亡届を役所に提出し受理されると、火葬許可証が発行されます。死亡届と死亡診断書は、他手続きに必要になる場合も考えられるので、コピーを取っておくとよいです。

死亡届と死亡診断書の提出後にやるべきこと7つ

死亡届と死亡診断書提出後も、主に7つの手続きが待っています。

1.ご遺体を火葬し荼毘にふす

死亡届を役所に提出して受理されると火葬許可証が発行され、同時に埋葬許可証の写しがもらえます。火葬許可証が無ければ火葬の受付がされないので、大事な書類です。

火葬後、埋葬許可証に日付と火葬場の捺印がされてから、正式に発行されます。

埋葬許可証は紛失すると納骨ができなくなるので、火葬場の職員は手渡しせずお骨箱に一緒に入れることがほとんどです。火葬場の使用料は各市町村で決められており、故人の住民票のある市町村で行うと市民価格で利用できますが、そうでない場合市民以外の火葬料金が高額になるので注意しておきましょう。

2.世帯主を変更する(14日以内)

世帯主が亡くなったら14日以内に、住んでいる市区町村の役所や役場に、世帯異動届を提出します。提出する際には、新たな世帯主を決めて記入する必要がありますが、仮に夫婦2人だけだった場合は必要ありません。

3.健康保険の資格喪失届を提出する(14日以内)

死亡から14日以内に最寄りの年金事務所に出向き、健康保険の資格喪失届を提出しましょう。その際故人の保険証も返還しますが、会社の健康保険に入っていた場合は、会社に保険証を返さなければなりません。

残された家族が亡くなった人の扶養に入っていた場合は、新たに国民健康保険や会社の健康保険に加入する必要があります。

4.年金の資格喪失届を提出する(10日以内)

国民年金の場合は最寄りの年金事務所か、住民票がある市区町村の役所や役場で10日以内に手続きします。

死亡した配偶者の扶養に入っていた場合、国民年金の第3号被保険者から第1号被保険者への変更手続きもあわせて必要です。

5.不動産の名義変更する

故人が不動産を所有していたとしたら、期限はありませんがなるべく早く法務局で名義変更が必要になります。必要な書類は、死亡を証明する住民票の除票や亡くなった家族の戸籍・除籍謄本、相続する不動産の固定資産評価証明書などで、それに加え遺言書の検認手続きもしなければいけません。

負担が大きいなら、司法書士に任せるのもひとつの手です。

6.葬祭費の申請する(2年以内)

国民健康保険では、被保険者が死亡した場合に死亡してから2年以内なら葬祭費が支給されます。

亡くなった家族がサラリーマンだった場合、会社が加入する健康保険組合からも葬儀の補助が支給されることがありますので確認してみましょう。

7.介護保険の資格喪失届する(14日以内)

対象となるのは、第1号被保険者(65歳以上の介護保険の被保険者)と第2号被保険者(40歳から65歳未満の介護保険の被保険者)が亡くなった場合です。死亡から14日以内に市区町村の福祉課などの窓口に提出しましょう。

ただし40歳から65歳未満の対象者であっても要介護・要支援の認定を受けていない方は、資格喪失届を出す必要はありません。

ちなみに、75歳以上の後期高齢者が死亡した場合は、後期高齢者医療制度の資格を失うため資格喪失の手続きが必要です。

まとめ|死亡届と死亡診断書はそれぞれ異なる人が作成する書類

死亡届は自身が記入するので、不明点があれば都度分かる人に聞きながら記入します。

葬儀社は相談に乗ってくれるエキスパートなのでおすすめです。

医師が記入する死亡診断書はただ受け取るだけでなく、故人の氏名が正しいか、署名・捺印(プリンタ記載の場合)があるか念のため一度目を通しましょう。

死亡届と死亡診断書はその後の手続きに直接的に関わってくるため、再提出とならないよう注意点をあらかじめ念頭に入れておくと良いですね。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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