葬儀で棺に六文銭を入れる意味とは?現代における六文銭の意味とその役割

投稿:2021-12-26
葬儀で棺に六文銭を入れる意味とは?現代における六文銭の意味とその役割

六文銭は、故人が三途の川を無事に渡って成仏できるようにという気持ちを込めて葬儀の際に棺の中に入れられるものです。

昔は実際に六文銭を棺の中に入れていましたが、現代では棺に金属を入れることを禁じられているため、六文銭を印刷した紙を棺の中に入れて故人を弔います。

六文銭の意味やその役割について詳しく解説します。

葬儀で棺に六文銭を入れる意味

葬儀で使われる六文銭はあの世で使うお金と考えられており、冥銭(めいせん)とも呼ばれます。

葬儀を行う際、非常に重要な役割をするもので、故人の旅立ちに欠かせない持ち物です。

葬儀で六文銭が使われるようになった背景や意味を解説します。

六文銭は三途の川の渡し賃の役割

仏教には、六道(天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道)の異なる世界があり、自身の行いによって次に生まれ変わる世界が変わると考えられています。

宗派にもよりますが、人は亡くなると冥土の旅に出て、49日目に成仏するというのが仏教の一般的な考え方です。

その旅の7日目に差し掛かるのが、あの世とこの世とを隔てる「三途の川」。泳いでいくことは許されず、舟を使って渡らなければなりません。この三途の川を渡らないと、成仏することができないのです。三途の川を渡るために舟の渡し賃が、「六文」と言われています。

六文銭には諸説あり、仏教の六道には私達を救済してくれる地蔵菩薩が存在しますが、お賽銭の意味でそれぞれ一文ずつ渡す結果、合計で六文が必要になるという話もあります。

そのため元々の仏教では六道銭(ろくどうせん)というのが正しい呼び方です。

地域によっては六文ではなく、もっと大きな単位のお金を棺に入れる風習もあります。故人があの世でも苦労しないようにとの遺族の願いです。

実はあの世とこの世の境に川が流れているという考え方は、日本だけのものでも仏教に限ったことでもありません。

世界的に広く存在する考え方で、渡し賃として必要な小銭などを故人に持たせるという習わしも各国に見られます。

近年ではペットのためのお葬式も一般的ですが、あの世への旅の途中の魔除けとして、同じように棺に入れます。

ちなみに、三途の川には流れの速度が異なる三つの瀬があり、生前の行いによって橋、浅瀬、流れの速い深みが割り振られることから、三つの道という意味で意味で「三途の川」と呼ばれるようになりました。

「三途の川」に関する情報はこちらの記事がおすすめです。

現代では代わりに紙に印刷された六文銭を入れる

昔は実際のお金を「六文」棺に納め故人を弔っていました。

しかし現代では、「文」という単位のお金が存在していないことに加え、棺に金属類を入れて火葬することは禁じられています。

そこで六文銭を印刷した紙か、もしくは六文銭を模した木製の副葬品を棺に入れるようになりました。

大きい単位のお金を入れたい場合も同様で、火葬で燃えるということが前提のため、実際の貨幣の代わりに印刷したもなどを納めます。

一円玉やお札は燃えるものではありますが、現金を燃やす行為は、貨幣損傷等取締法に触れるため推奨できません。

六文銭を入れる頭蛇袋は故人のバッグ

頭蛇袋は「ずたぶくろ」と読み、経典や仏具、施しを受けたものを入れるための布製の白い袋のことです。

僧侶が托鉢(たくはつ)を行うときに首から下げています。故人の旅立ちに際しての死装束の一つでもあり、僧侶と同じように首にかけるのです。

頭陀袋はバッグのような役割を果し、三途の川の渡し賃である六文銭が入っています。地域によっては頭陀袋にお米や穀物を入れたり、近親者の髪の毛や爪を入れる場合も。

頭陀袋を作る際には、生きているものと死んだものとの関わりを希薄にしなければなりません。玉止めはせずに針をつけたままにして、複数人で作っていくのが決まりです。

六文銭と一緒に棺に入れる故人の思い出の品

日本では昔から棺に副葬品を入れる風習があり、故人にゆかりがあるものや思い出の品が選ばれます。具体的には故人が好きだった花束や服、故人が大切にしていた手紙や故人への手紙、故人の写真などが選ばれることが多いです。

故人の死後の幸福を祈って、朱印帳や千羽鶴を入れることもありますが、燃やすと爆発の恐れのあるものや公害となる可能性のあるもの、貴金属や不燃物、お金などは棺に入れることは禁止されているので気を付けましょう。

メガネや貴金属などは火葬することはできませんが、どうしても副葬品にしたいのであれば火葬後に骨壷には入れられます。

また生きている人の写真を入れることは不吉とされているので、家族写真を入れることは避けたほうが良さそうです。棺に入れることが可能かどうかの詳細は、葬儀社の担当者に確認してくださいね。

 
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著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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