冠婚葬祭の行事を執り行う際に避けては通れないのが、経済的な問題です。
そこで多くの人に利用されているのが、毎月の積立で冠婚葬祭にかかる費用の一部が負担できる「互助会」の制度。特に準備もなしに急に執り行われるお葬式で、互助会に助けられたケースも多いでしょう。
しかし、互助会を利用しても、結果的にお葬式費用があまり安くならないケースもあります。
互助会は数年に渡って積み立てていくもの。支払っている中で環境や考え方が代わり不要になった場合は解約できます。
ただし、互助会の解約は満期であっても解約手数料がかかるので注意が必要です。
解約手数料はどのくらいかかるのか、互助会の解約手続きの方法とともに解説します。
もくじ
冠婚葬祭の積み立てを行う互助会とは
冠婚葬祭の行事の中でも、特にお葬式で利用されるケースが多い互助会。積立した掛金を冠婚葬祭の費用の一部に充てることができますが、近年互助会をめぐるトラブルが増加しています。
そもそも互助会とはどのようなサービスなのでしょうか?
互助会のサービス内容と、互助会の落とし穴について解説します。
互助会とは積立した金額を冠婚葬祭の一部に充てられるサービス
冠婚葬祭の行事を執り行う際に、最も問題になりやすいのが費用についてです。
希望のプランがあっても予算が足りない、予算内の抑えるために工夫をしないといけない、そもそも行事を執り行うだけの費用を準備できないなど、人によってさまざまな問題があるでしょう。
特にお葬式は結婚式などと違って予め準備しておく行事ではないので、急な出費で経済的負担も決して小さくはありません。
そこで多くの人に利用されているのが「互助会」です。
互助会とは、一定期間毎月決まった金額を積立して、冠婚葬祭の行事にかかる費用の一部に充てられるサービスのこと。
さらに、積立に加えて会員向けに割引価格で、提携・所持している式場をお得に利用できる互助会もあります。
例えば通常は100万円のお葬式プランが、互助会の会員限定で3割引の70万円で利用でき、積立金を費用に一部に充ててさらに負担を減らせるということです。
いざというときに備えられるサービスとして非常に多くの人に利用されており、一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)によると、平成27(2015)年3月時点で加入者は2,434万口にもおよぶとのこと。
ちなみに本人が加入者ではなく、親が互助会の会員である場合も利用可能なケースがあるので、冠婚葬祭の行事を執り行う前に確認してみるとよいでしょう。
互助会は積立貯金ではないので現金で受け取れない
互助会で積立したお金は、冠婚葬祭の行事を執り行う際に費用の一部として充てられますが、積立貯金ではないのでそのまま現金で受け取れるわけではありません。
積立をしても利用できるのはサービスのみであり、サービスを利用しないまま満期を迎えても現金が戻ってくるわけではありません。
なお、互助会のサービス内容は組織ごとに違うので、現金での受け取りができない分、入会前にきちんとサービス内容を確認しましょう。
互助会でお葬式費用が安くならない可能性がある
互助会は基本的に会員の積立金と、提携・所持している式場の利用料で運営しています。
互助会を利用するときは、基本的に互助会が提携・所持している式場を利用することになるので、用意された中から希望に合う式場を選ばなくてはなりません。
日本の結婚式はホテルやチャベルが圧倒的に人気であり、互助会の式場を利用するカップルはほとんどいないのが現状です。そのため、互助会を利用する機会はお葬式が多く、トラブルもお葬式関係に集中しています。
互助会で多いトラブルのひとつが、実際は「お葬式費用が安くならないこと」です。
互助会では葬儀プランと価格が予め決められています。
一見魅力的なプランもありますが、実際に会員用のプランを利用しても大量のオプションを付けられてしまい、互助会を利用しない場合と同じくらいの葬儀費用がかかってしまうケースも。
さらに近年は家族葬や一日葬など、規模を縮小して一般葬よりも安価で執り行えるお葬式が増えています。
規模の小さな葬儀プランを用意している互助会はまだまだ少ないので、結果的に互助会を利用しない方が安く抑えられる可能性もあります。
そもそも互助会は戦後間もないころに、会員同士が協力して助け合う「相互扶助」の考えで作られたシステムなので、時代が変わった現代の考え方や環境とは相性が悪い部分が多いのが現実です。
お葬式費用の互助会を解約する方法と手数料の目安を解説
お葬式費用のために入会していた互助会は、解約することが可能です。解約に関する条件などは互助会によって異なりますが、手続きは基本的に書面で行うことができ、解約すれば積立金も戻ってきます。
では互助会の解約手続きの方法と、手数料の目安を解説します。
互助会の解約手続きは書面で行う
互助会の解約手続きは基本的に書面での手続きが可能です。
まずは手元に証書を準備し、契約内容を確認してください。その後、互助会の窓口に電話をして、解約に必要な書類を送付してもらいましょう。
あとは送付してもらった必要書類に記入をして、郵送または窓口に提出しれば完了です。
契約者本人であれば、書面のみで解約手続き可能ですが、契約者が故人の場合は法定相続人全員の戸籍証明書や印鑑証明などが必要です。
まずは「全国冠婚葬祭互助会連盟(全互連)」もしくは「全日本冠婚葬祭互助協会」に問い合わせましょう。
なお、故人が互助会会員であるかどうかも全互連と全互協で確認できます。
また故人の契約書などが見当たらない場合は、引き落とし記録が残っている通帳を探しておきましょう。
会員である証明ができれば、契約者本人でなくても解約できるので、証明ができるものを用意して、必要書類を送付してもらってから手続きを行ってください。
サービスを利用していなくても解約には手数料がかかる
互助会を解約する場合、積立金は解約が受理された日からだいたい45日以内に返金されます。
ただし、サービスを一切利用していなくても、解約時には必ず手数料がかかります。手数料の金額や割合は、互助会の組織によって異なるので、契約書などに記載されている解約手数料の項目を確認してください。
なお、返金される積立金の金額は手数料を引いた金額になります。
互助会の解約手数料目安は掛金の10~20%程度
互助会の解約手数料の目安は掛金の10~20%ほどです。互助会の解約手数料は組織によって異なります。
満期を迎える前に解約をすると手数料が高くなるケースが多いので、加入時期や期間に注意して解約手続きに進みましょう。
お葬式費用の互助会は解約手数料がかかるので手続きは慎重に
お葬式費用に充てられるケースが多い互助会ですが、会員数自体は多いものの、新規で加入する人の数は年々減少しています。
互助会はたしかに冠婚葬祭の行事をお得に利用できるサービスですが、実際はあまり安くならないケースも多く、近年増加している規模が小さいお葬式に対応している互助会はまだまだ少ないのが現実です。
規模が小さいお葬式や格安のお葬式と比較すると、互助会を利用しても安くなるとは言い切れないうえに、オプションを追加すれば一般葬でもそこまで費用を抑えられるわけではないことも・・・。
考え方や環境が変化して、互助会が不要となった場合はいつでも解約できますが、サービスを一切利用していなくても解約手数料が掛金の10~20%程度かかります。
解約をする際や新たに契約をする際は、解約手数料を考慮して慎重に手続きを進めましょう。