
故人との最期の時間を過ごす場所となる葬儀場は、故人や家族にとって思い出深い場所にもなります。
そして、葬儀場選びは葬儀そのものの雰囲気にも影響します。
葬儀場の情報はインターネット上にもたくさんありますが、百聞は一見にしかずで実際に自分の目で見て確かめた方が、得られる情報は多いです。
万が一の際に備えて葬儀場へ見学に行く場合、どのような部分を見るべきなのか、チェックリストにしてご紹介。また、見学前に知っておくことで、より効率液で適切に情報を得られるようになる、基礎知識も解説します。
もくじ
なぜ葬儀場の見学が重要?

葬儀場の見学は、実際に葬儀を行う場所を事前に確認できる機会です。見学を通じて得られる情報や体験は、後悔しない葬儀場選びに繋がります。
葬儀場見学のメリット | ||
安心感を得られる | 実際の施設や設備を自分の目で確認することで、葬儀当日の不安を軽減できる。 | |
適切な選択が可能になる | 複数の葬儀場を比較することで、自分たちのニーズに最も合った場所を選べる。 | |
費用の明確化できる | 見学時に見積もりを取ることで、予算管理がしやすくなる。 | |
サービスの質を確認できる | スタッフの対応や提供されるサービスの内容を直接確認できる。 | |
後悔のない選択ができる | 十分な情報を得た上で決定することで、後悔のない葬儀場選びに繋がる。 |
「百聞は一見にしかず」と言われるように、パンフレットやホームページを見るだけではわからない部分も多く、実際に目で見たほうが得られる情報はたくさんあります。
事前に葬儀場を見学しておくことで、いざという時に慌てることなく、故人にふさわしい葬儀を執り行うことがでるでしょう。
葬儀場見学のベストタイミングは?

葬儀場見学は、思い立ったらできるだけ早めに行きましょう。
自分の葬儀について考える場合は、健康なうちの終活の一環として訪れることをおすすめします。
親族の葬儀について考える場合は、体調を崩しがちになる、足腰が悪くなるなど高齢化を感じたときに、万が一に備えて見学しておくと安心です。
また、転居や引っ越しの際に、地域情報を集める一環として地元の葬儀場を確認しておくのもよいでしょう。
葬儀場の見学は余裕を持って始めることがベストです。手遅れになる前に見学をすることで、複数の葬儀場を比較検討しつつ、じっくりと質問や相談ができます。
また、葬儀の内容を決めること自体が大きな負担になるため、見学によってある程度葬儀場の情報を把握できていれば、いざという時の負担を大きく軽減することができます。
見学前に知っておきたい! 葬儀の基礎知識

葬儀場を見学する際は、葬儀の基礎知識を知っておくと、より適切な選択をしやすくなります。
葬儀場見学の前に知っておきたい葬儀の基礎知識をご紹介します。
葬儀の種類
一般的な葬儀の種類と特徴をまとめてご紹介します。
葬儀の種類 | 特徴 | 参列者 | 予算目安※相場ではない |
一般葬 | 通夜と告別式を行う従来型の葬儀 | 親族、友人、知人、職場関係者など幅広く参列 | 100〜200万円程度 |
家族葬 | 近親者のみで行う小規模な葬儀 | 主に家族や親族のみ | 50〜150万円程度 |
一日葬 | 通夜を省略し、告別式のみを行う | 家族もしくは家族葬よりやや多め | 50〜200万円程度 |
直葬 | 儀式を行わず、火葬のみを行う最もシンプルな形式 | 家族のみ | 20〜50万円程度 |
社葬 | 会社や団体が主催する大規模な葬儀 | 社員、取引先、業界関係者など多数 | 500〜数千万円 |
近年では家族葬や一日葬が増えており、よりシンプルで宗教色の少ない葬儀が好まれています。規模が小さいほど費用も抑えられるため、予算とすり合わせて選ぶとよいでしょう。
結局いくらかかる? 葬儀費用の内訳
葬儀は単純に式典だけでなく、さまざまな部分に費用が発生します。葬儀ではどのような費用が発生するのか、まずは主な内訳をご紹介します。
基本料金 | 葬儀社の人件費、運営費など。 |
祭壇料 | 祭壇の設営費用。 |
棺・骨壷代 | 棺と骨壷の費用。素材で費用が大きく変動する。 |
式場使用料 | 葬儀会場の使用料。規模が大きいほど高くなる。 |
霊柩車代 | ご遺体を運ぶ車両の費用。 |
返礼品代 | 参列者へのお礼の品の費用。参列者の数だけ増える。 |
飲食費 | 通夜や告別式後の食事代。参列者の数だけ増える。 |
供花代 | 祭壇に飾る花の費用。 |
僧侶への謝礼 | 読経などを行う僧侶への謝礼。 |
火葬代 | 火葬にかかる費用。自治体や公営・民営かによって大きく変動。 |
費用を抑えるならば、家族葬や一日葬など葬儀の規模を小さくしたり、返礼品・飲食を簡素化することがポイントです。
例えば、10人程度の家族葬ならば、通夜・告別式で2日間に渡って実施する場合、およそ50〜100万円程度かかります。通夜を省略する一日葬と組み合わせて行う場合は、20~50万円程度まで抑えられます。
地域や葬儀社によって費用は大きく異なるため、具体的な見積もりは実際に問い合わせて確認することをおすすめします。
宗教・宗派による葬儀の違い
宗教・宗派によって葬儀の特徴が変わります。
宗教 | 特徴 | 儀式 | 服装 |
仏式(仏教) | 読経、焼香、戒名の授与が一般的 | 通夜、告別式、火葬、初七日法要など | 喪服(黒の礼服) |
神式(神道) | 神主による祝詞(のりと)の奏上 | 湯灌、納棺、出棺、火葬など | 男性は紋付袴、女性は黒留袖 |
キリスト教式 | 聖書朗読、讃美歌、祈りが中心 | 前夜式(通夜に相当)、告別式、埋葬 | 黒の礼服(十字架などの装飾は控える) |
無宗教式 | 特定の宗教色を排除し、故人を偲ぶ会として行う | 自由に設定可能(音楽演奏、映像上映など) | 喪服や平服など、指定がない場合が多い |
日本の葬儀は仏式が9割以上を占めていたほど、仏教の伝統に基づいて執り行われることが多いです。近年では無宗教式も増えていますが、ある程度は仏教式の流れに習った形式で進行されます。
また、同じ仏教でも焼香する際の回数が違うなど、教義や伝統に基づいた特徴があります。特定の宗教・宗派に入信している場合は、必ず宗派ごとの葬儀について調べておくとよいでしょう。
なお、葬儀社によって対応できる範囲が異なるため、葬儀場を見学する際は、希望する宗教・宗派の葬儀に対応可能かどうかを確認してください。
これで安心! 葬儀場見学チェックリスト

葬儀場を見学する際に確認するべきポイントを、チェックリストにまとめてご紹介します。
施設の設備と雰囲気
施設の設備と雰囲気を確認する際のポイントをご紹介します。
場所 | 確認ポイント |
式場 | ・広さは適切か・清潔感があるか・照明や音響設備は充実しているか・祭壇の種類や大きさは選べるか・参列者の動線は適切か |
安置室(見学可能な場合) | ・清潔で静かな環境か・温度管理は適切か・家族が付き添える広さがあるか |
親族控室 | ・くつろげる雰囲気か・トイレやシャワー設備はあるか・宿泊可能か(遠方の参列者が予想される場合)・荷物の保管スペースは十分か |
会食室 | ・十分な広さがあるか・清潔感があるか |
その他 | ・バリアフリー対応がされているか・喫煙所は適切に設置されているか・全体的な雰囲気は故人にふさわしいか |
スタッフの対応とサービス内容
見学の際はスタッフの対応とサービス内容もよく確認しましょう。
見るべき部分 | 確認ポイント |
スタッフの態度 | ・丁寧で親切な対応か・質問に対して分かりやすく説明してくれるか・押し売りのような態度はないか |
提供サービス | ・葬儀の形式や規模に応じた柔軟な対応が可能か・急な変更にも対応してくれるか・葬儀後のアフターフォローはあるか |
料金体系 | ・料金プランは分かりやすいか・追加料金の発生条件は明確か・支払い方法は柔軟か(分割払いなど) |
宗教・宗派対応 | ・希望する宗教・宗派の葬儀に対応可能か・僧侶や神主の手配は可能か |
アクセスと駐車場の有無
葬儀場へのアクセスは、参列のハードルを大きく左右する部分です、公共交通機関でのアクセスが悪い場合は、参列者の自家用車を十分に停められる広さの駐車場があるかを確認するとよいでしょう。
見るべき部分 | 確認ポイント |
公共交通機関からのアクセス | ・最寄り駅やバス停からの距離・タクシーの利用のしやすさ |
車でのアクセス | ・主要道路からのアクセスの良さ・カーナビで検索しやすいか |
駐車場 | ・十分な台数が確保されているか・大型車の駐車は可能か・無料か有料か・近隣にも駐車場はあるか |
周辺環境 | ・周辺環境・飲食店やコンビニが近くにあるか・目立つランドマークがあるか |
葬儀場見学の流れ

葬儀場見学の一般的な流れをご紹介します。
なお、ご紹介する流れはあくまでも一般的なケースであり、葬儀場によって順番が前後したり、内容が異なる場合もあります。あくまで参考程度にとどめていただきますと幸いです。
1. 事前予約
葬儀場の見学は飛び込みではなく、必ず事前に予約をしましょう。事前予約はホームページもしくは電話などで行います。
予約の際は以下の点を伝えておくとスムーズです。
- 見学希望日時
- 見学人数
- 主な質問事項
- 希望する葬儀の形式や規模(分かっている場合)
予約時に必要な情報を伝えておくことで、葬儀場側も適切な準備ができ、効率的に知りたい情報を得られるようになります。
2. 受付
予約した時間に葬儀場へ到着したら、まず受付で氏名・予約時間を伝えましょう。
受付が完了すると、見学担当者に案内してもらえるので、指示に従って進みます。
3. 施設見学
葬儀場の施設は、実際に葬儀を行う場合を想像しながら見学することで、より具体的なイメージを掴みやすくなります。
例えば、祖父の葬儀の際は車椅子の祖母が参列するので、ここの段差が気になる、スロープが多くて最適など、参列者の状況を考慮するとよいでしょう。
チェックリストを参考に、確認するべきポイントや希望をリストアップして、より適切な葬儀場なのか判断することをおすすめします。
また、気になる部分や不明点があれば、その場で担当者に質問してください。
4. 担当者との質疑応答
施設見学の後は、担当者との質疑応答の時間があります。質疑応答は、見学だけではわからない部分を明確にする時間です。事前にいくつか質問事項を用意しておくと、より明確な情報を収集できます。
とくに葬儀費用、プラン内容、オプションサービスについては、非常に大切な部分なので詳しく聞きましょう。支払い方法や返金規定についても確認しておくと、いざというときに役立ちます。
見学中に気になったことや疑問に思ったことは、遠慮せずに質問してください。不安要素を残したままだと、葬儀場選びの際に迷ってしまいがちなので、気になる点はすべてはっきりさせておきましょう。
質問をする際は、具体的な状況を想定して聞くと、より詳細な回答を得られます。例えば、「家族葬を10人程度で行う場合、どのようなプランがありますか?」といった具体的な質問をするとよいでしょう。
5. 見積もり
最後に、希望する葬儀の内容に合わせて見積もりを出してもらいます。見積もりを確認する際の見るべきポイントをご紹介します。
- 基本料金に含まれるサービスの内容
- オプションサービスの料金
- 追加で発生する可能性のある費用
- 値引きや割引の可能性
- 支払い方法と期日
- キャンセル料の規定
見積もり内容に不明な点がある場合は、必ず担当者に質問し、納得できるまで説明を求めましょう。
複数の葬儀場を見学する場合は、各葬儀場の見積もりを比較検討することで、より適切な選択ができます。
【規模別】葬儀場見学で確認すべきこと

葬儀の規模によって、確認すべきポイントが異なります。
一例として、10人程度の家族葬と50人規模の一般葬を想定した場合の確認ポイントを解説します。
10人程度の家族葬の場合
家族葬は、近親者のみで行う小規模な葬儀です。10人程度の家族葬を想定している場合は、以下のポイントを重点的に確認しましょう。
式場の広さ | ・10人程度を収容できる適切な広さの式場があるか・小規模な葬儀に適した親密な雰囲気があるか |
安置室と親族控室 | ・家族が故人と過ごせる十分なスペースがあるか・宿泊設備は整っているか |
会食 | ・少人数での会食に適した個室はあるか・料理のメニューは少人数向けに調整可能か |
費用 | ・小規模葬儀向けの割安なプランはあるか・必要最小限のサービスで構成されたプランはあるか |
プライバシーへの配慮 | ・他の葬儀と動線が重ならないよう配慮されているか・小規模葬儀専用のスペースはあるか |
対応の柔軟性 | ・急な参列者の増減に対応できるか・家族の希望に応じてカスタマイズ可能か |
50人規模の一般葬の場合
50人規模の一般葬は、親族だけでなく友人や知人も参列する、比較的大規模な葬儀です。50人程度の葬儀を想定している場合は、以下のポイントを重点的に確認しましょう。
式場の広さ | ・50人以上が快適に参列できる広さがあるか・立ち見が出ないよう十分な座席数があるか |
駐車場 | ・50人規模の葬儀に対応できる駐車スペースがあるか・送迎バスの手配は可能か |
受付スペース | ・混雑時でもスムーズな受付ができる広さがあるか・受付業務のサポートは充実しているか |
会食スペース | ・50人規模の会食に対応できる広さがあるか・立食と着席の選択は可能か |
設備の充実度 | ・音響設備や映像設備は充実しているか・大型の祭壇や生花祭壇に対応可能か |
スタッフのサポート体制 | ・50人規模の葬儀進行をサポートできる体制があるか・司会進行のサービスは提供されているか |
アクセス | ・公共交通機関からのアクセスは良好か・タクシー乗り場や送迎バスの発着所はあるか |
その他 | ・返礼品の種類や手配は豊富か・急な参列者の増加にも対応可能か・悪天候時のバックアッププランはあるか |
葬儀場見学の持ち物と服装

葬儀場見学の際に必要な持ち物をまとめてご紹介します。
- 筆記用具:メモ用(スマートフォンでもOK)
- カメラ(許可を得て使用):後で見返すために撮影しておくと便利
- 見学の予約票や案内状:予約確認のために持参する
- 質問リスト:事前に準備した質問事項をまとめておく
- 身分証明書:契約や見積もりの際に必要になる場合がある
- 印鑑:即日契約を検討している場合は持参する
なお、見学の際の服装については、とくに厳密な規定はありません。
しかし、葬儀を実際に行っている場面に遭遇する可能性もあるため、華美な装飾や派手な色は避けて、清潔感のある服装を心がけましょう。
また、葬儀場内をたくさん移動するため、歩きやすい靴を選ぶとよいでしょう、
基本的には、ビジネスカジュアルやスマートカジュアルといった、フォーマルすぎず、カジュアルすぎない服装が適しています。
まとめ

葬儀場の見学は、故人にふさわしい最後のお別れの場を選ぶための機会です。余裕を持って葬儀場見学へ行くことで、より自身や家族に合った葬儀場選びが可能になります。
葬儀場を見学する際は、より具体的で効率的に情報を得るために、基本的な知識を把握しておくことをおすすめします。また、希望や気になる点がある場合は、事前にチェックリストとして用意しておくと、より充実した葬儀場見学を実現できるでしょう。
いざというときに備えて、まずは近隣の葬儀場から見学してみてはいかがでしょうか。