戒名のお布施はいくら?実際の値段や意味を詳しく解説

投稿:2020-10-30
戒名のお布施はいくら?実際の値段や意味を詳しく解説

戒名とは、寺院の僧侶から名付けていただくあの世での名前のことです。仏の弟子になったことを示す名前ともいわれ、故人の成仏を願うものでもあります。

戒名という言葉を知っている方は多いでしょう。

しかし、つけていただく名前によって、お布施の金額が大きく変わることをご存知ですか?実は戒名にはランクがあり、このランクで値段が大きく変わるのです。

知らずにお願いしてしまうと、思わぬトラブルにつながることも・・・。

戒名の意味やランク、実際に包む金額相場や気をつけるべきポイントを詳しく解説します。

戒名の意味やランク、実際の値段を解説

仏教において、亡くなったあとに付けてもらう名前のことを戒名(かいみょう)といい、浄土真宗では法名(ほうみょう)、日蓮宗では法号(ほうごう)といいます。

戒名をつけてもらう際のお布施は2万円〜100万円と大きな幅があり、この金額差は寺院や戒名のランク(位号)によって相場が異なるためです。

戒名の意味やランク、実際の値段などについて解説します。

戒名とはあの世での名前のこと

戒名とは、人が亡くなって極楽浄土へ行き、仏の弟子になったしるしとして授かるものと言われています。

現代では仏弟子にならない人がほとんどであるにもかかわらず、なぜ戒名が必要なのでしょうか?

これは、故人があの世で迷わないようにするためです。

仏教ではこの世で使われていた名前を俗名と呼びますが、仏様のいる極楽浄土へ行く際、俗名のままだと迷ってしまうと考えられています。

そのため、仏教の寺院で納骨をする場合は戒名が必要になるのです。

戒名は葬儀の際に白木位牌(しらきいはい)に書き込んでもらい、祭壇に安置をします。

戒名は、先祖代々にお世話になっているお寺である、菩提寺(ぼだいじ)に授けてもらうもの。

菩提寺が遠方である場合や都合がつかない場合は、葬儀の際に同じ宗派の別の寺院にお勤めを依頼することもありますが、基本は菩提寺に依頼しましょう。

戒名料はランクによって大きく変わる

戒名にはランクがあり、戒名料はランクによって大きく異なります。戒名のランクや金額等詳しく解説します。

4つの構造から成る戒名

戒名は4つの要素から構成されています。

「院号」「道号」「戒名」「位号」に分類され、基本的に文字数が多いほど「位が高い戒名」です。

院号

「院号」は、社会的に何らかの貢献を果たした人や、寺院を建てるために尽力した人に授けられるものです。

「〇〇院」「〇〇院殿」となり、古くは貴族や将軍の戒名につけられたものでした。このような背景から、現代は院号がついていない戒名も多くなっています。

道号

「道号」は、仏教の教えを得た人や格の高い人などにつけられるものです。

戒名の名前につけられる字のような存在で、故人の俗名や生前に縁のあった字などを用いることが多いとされています。

そして道号は、子どもに与えられることはなく、宗派によってはそもそも存在しません。

戒名

「戒名」は、2字から成り立つ死後の名前です。

本来の意味ではこの2文字だけで「戒名」ですが、現在は形式上4つの要素を併せて「戒名」と呼んでいます。

宗派によっては、法号や名号などと称することもあるものです。

位号

「位号」は戒名の後につける文字で、故人の性別や年齢、信仰心によって変わります。

そして位号に関しても、生前に社会や寺院に貢献しているほどより格式の高いものが与えられるのが一般的です。

戒名のランクと宗派別お布施の金額相場

戒名には宗派ごとにいくつかのランクがあり、信士(しんし)・信女(しんにょ)から、上は院居士(いんこじ)となります。

院号は、寺院へ大きく貢献した人に与えられるもので、先祖の社会的地位を示すものとされていました。

ランクが高いほど戒名料も高くなり、寺院によって金額が異なるため、「こちらの寺院で聞いたら2万円だったが、あの寺院で聞いたら30万円だった」というのはよくある話です。 

もっとも菩提寺があるのであれば、その寺が決めている金額をお布施として寄付することになります。

宗派別に戒名のランクごとの戒名料の相場は、以下の通りです。

浄土宗の場合

  • 信士・信女  :30~40万
  • 居士・大姉  :50~60万円
  • 院信士・院信女:70万円~
  • 院居士・院大姉:ー

真言宗・天台宗の場合

  • 信士・信女  :30~50万
  • 居士・大姉  :50~70万円
  • 院信士・院信女:80万円~
  • 院居士・院大姉:100万円~

日蓮宗の場合

  • 信士・信女  :ー
  • 居士・大姉  :ー
  • 院信士・院信女:30~50万円
  • 院居士・院大姉:100万円~

浄土真宗の場合

  • 釋・釋尼   :20万~
  • 院釋・院釋尼 :50万円~
  • 院信士・院信女:ー
  • 院居士・院大姉:ー

臨済宗の場合

  • 信士・信女  :30~50万
  • 居士・大姉  :50~80万円
  • 院信士・院信女:ー
  • 院居士・院大姉:100万円~

曹洞宗の場合

  • 信士・信女  :30万円~
  • 居士・大姉  :50~70万円
  • 院信士・院信女:100万円~
  • 院居士・院大姉:100万円~

※戒名のランクは上から下にいくほど高くなります。

※男性が〇〇△△信士・居士・院信士・院居士、女性が〇〇△△信女・大姉

宗派やランクによって、金額が異なることがわかります。戒名料については直接菩提寺にたずねると確実です。

生前につけてもらう生前戒名

戒名は、生前に付けることも可能です。

「生前戒名」というやり方で、自分自身で納得のいく名前をつけてもらいやすく、「生前から仏の道に入る」のはとても尊いことだと信じられている宗派もあります。

自分が亡くなってしまう前に戒名を付けておくことは、トラブル回避にも繋がるでしょう。

本人が僧侶と確認し合うことができますので、納得のいかない戒名になってしまうことや、金額面でのトラブルを防げます。

また、一部の宗派や地域によっては、生前戒名の方が安く済むケースもあります。生前戒名の相場は5万円から40万円程度なので、亡くなった後に戒名をつけるよりも、グンと費用を抑えられる可能性があるのです。

遺族の負担を軽くしたい人にも向いていますね。

ただ、前述したように、菩提寺以外で葬儀や戒名をつけてもらうと納骨を断られてしまう場合もあるため、納骨予定の菩提寺でつけてもらわなくてはなりません。

あらかじめ自分の家の菩提寺を確認した上で、しっかりと相談し、戒名を付けてもらいましょう。

そして、生前戒名を選択していることを家族にきちんと説明しておくことが重要となります。

せっかく戒名を授かっていても、葬儀を担当する家族がそれを把握していないと死後に再び戒名づけをおこなってしまう可能性があるためです。

戒名をつける時に気をつけるべきポイント

戒名をつける時に気をつけるべきポイント

戒名をつける時の対応によっては、思わぬトラブルに巻き込まれることがあるのです。

気をつけなければならないポイントについて、解説します。

菩提寺があれば菩提寺に頼むこと

通常、自分の家に菩提寺があれば、そこの僧侶に葬儀や戒名づけなどを依頼、お墓に入るまでを菩提寺にお願いするのが一般的です。

しかし、普段あまり熱心に信仰していないと自分の家に菩提寺があることを知らずに過ごしていることもあるでしょう。

依頼した葬儀社が紹介してくれたお寺を利用し、葬儀や戒名づけをすべてそこの僧侶にお願いして、いざ納骨のタイミングになって菩提寺が発覚したというケースもみられます。

もしの寺院で葬儀や戒名づけを済ませていると菩提寺が納骨を拒む可能性があります。そうなると、改めて菩提寺に納骨するために、葬儀や戒名づけをやり直さなくてはいけないかもしれません。

手間も金銭も2倍になってしまうため、自分の家に菩提寺があるかどうかは葬儀前に必ず確認しておきましょう。

祖先よりもランクが高い戒名は控える

身も蓋もない言い方をすると、お布施をたくさん納めれば誰でも高いランクの位号をつけることが可能です。

しかし、一般的には先祖と同じお墓に埋葬される場合は先祖よりランクの高い戒名はつけないことが暗黙のルールとなっています。

ただし新たにお墓を建てる場合は、このルールは適用されません。

夫婦のランクは揃える

配偶者がすでに亡くなって、納骨されている場合、同じお墓に入るなら同程度の位の戒名をつけた方が望ましいとされています。

しかし、戒名はあくまでもお寺への貢献の度合いや、それぞれの生き方によって授かるものです。

特に、院号は「生前にお寺を建立するほど寺院に貢献した人」といった意味があり、相当の身分や地位の人、功績のあった人などに与えられます。

両親や伴侶が院号だからといって、院号を求める必要はありません。

また、立派な戒名を授けられるとお布施も高額になるのが一般的です。さらに後々お寺から高額な寄付を求められることもあります。

位の高い戒名を授かるということは、今後お寺を守り続けていくという責任を負うことでもあるのです。

戒名料に関するトラブル

戒名料はどのような場合でもかなり高額で、そのルールを知らないと、いつの間にか高いランクの戒名を授けられて高額のお布施を納めなければならなくなった、などのトラブルに見舞われます。

そのようなトラブルを防ぐためには以下のような対策を講じましょう。

まず一番良いのは、生前に戒名料の確認を寺院や葬儀社に確認しておくこと。

もしもそれができないまま亡くなってしまった場合は、戒名をお願いする際にそのお布施の相場を確認します。

戒名料は、戒名をつける費用だけではなく、葬儀での読経料も含めて請求されることも多いので、その点も確認が必要です。

最近は戒名料を明確にしている寺院や葬儀社も増えているので、もしも菩提寺に戒名をつけてもらわなくても問題ないのであれば、戒名料が明確なところを選んでも良いでしょう。

戒名のお布施の渡し方

戒名を授けてもらう際のお布施は、のし袋に入れて渡しましょう。当然、お札を裸で渡すようなことは大変失礼に当たります。

のし袋は5本か7本の紫銀の水引がついたもの、ハスの花の印刷がされているものがあればベストです。

地域によって黄白の水引にする場合もあります。

そして、表書きは「御戒名料」と書き、文字は薄墨ではなく、濃いインクにするのがマナーです。

まとめ|戒名の値段はランクによって大きく変わる

戒名は、あの世での名前のことです。故人の冥福を願い、つける名前でもあります。

戒名の値段は戒名のランクによって大きく変わるので、大切な故人をおだやかな気持ちで見送るためにも、事前に戒名料の相場を理解し、トラブルにならないよう気をつけましょう。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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