葬儀の価値観や経済情勢など、さまざまな要因で増えている「直葬」。
直葬は火葬のみで弔う最も簡素なお見送りであり、費用相場も一般葬や家族葬など、ほかの葬儀と比較すると費用は圧倒的に安いです。
ただし、住んでいる地域や葬儀の内容によっては、同じ直葬でも大きく費用が変わります。
直葬の費用相場について、葬儀社・火葬場に支払うそれぞれの利用料とともに解説します。
もくじ
火葬のみで弔う「直葬」の費用相場を解説
多様化が進んでさまざまな形式の葬儀が登場していますが、その中でも最もシンプルな葬儀が「直葬」です。従来のお葬式を比較すると、費用相場は非常に安くなります。
では直葬の費用相場について、葬儀の内容に触れながら解説します。
直葬とはお通夜や告別式を行わなわず火葬のみで弔う
「直葬」とはお通夜や葬儀式・告別式を行わず、火葬のみで弔うものです。火葬のみで弔うため「火葬式」とも呼ばれています。
直葬の流れは主に2パターンあります。
- 遺体を安置した後、そのまま火葬を行う。
- 遺体を安置している場所で簡単なお別れを行い、出棺後に火葬場に移動し火葬を行う。
基本的には火葬のみで弔いますが、「2」のように火葬場や安置所に僧侶を招き、読経をしてもらうケースもあります。
ちなみに儀式を省くという点で類似している「一日葬」は、お通夜のみを省く葬儀です。葬儀式や告別式は一般葬と同じように行われるため、費用相場は直葬よりも高額になる傾向があります。
直葬の費用相場は20~30万円程度
直葬にかかる費用の相場はだいたい20~30万円程度です。
大手葬儀社が提示している直葬のプランは15万円前後ですが、ほとんどの場合「火葬場の使用料」が含まれていません。
火葬場の使用料を含めると、直葬の費用相場はだいたい20~30万円程度になります。
以下は大手葬儀社の直葬プランの一例です。(2022年)
- イオンのお葬式:税込147,400円
- 小さなお葬式:税込97,900円/税込174,900円
- よりそうお葬式:税込89,100円/税込148,500円
一般葬の平均費用は187万円ほど(中央地は150万円程度)なので、直葬は一般葬の約5分の1から6分の1程度まで費用を抑えられることがわかります。
ただし先述した通り、火葬料などプランに含まれていない項目が追加費用としてかかるケースがほとんどです。必要なもの全てを含めた「総額」を確認しましょう。
経済的な理由で直葬を選ぶケースが増えている
さまざまな形式の葬儀がある中でも半数以上は「一般葬」が選ばれており、「直葬」が選ばれる割合はまだ数パーセント程度でしかありません。
自由に葬儀の内容を決められる現代において、あえてシンプルな直葬を選ぶ理由はさまざまですが、やはり経済的な理由で選ばれるケースが多いです。
ほかにも「葬儀の意味を理解していない」「宗教観が変わった」「参列者がいない」などの理由が挙げられます。
現在はまだ直葬の割合は少ないかもしれませんが、経済情勢の悪化や少子高齢化などの社会問題がどんどん深刻になっており、解決の糸口が見つかる期待もできない今後において、直葬が選ばれる割合は年々増えていく可能性が考えられます。
直葬にかかる費用の内訳を解説
直葬は最もシンプルで最も費用が抑えられる葬儀ですが、それでも経済的負担が少ないわけではありません。
しかしなぜ、火葬だけを行うのに20~30万円ほどの費用がかかってしまうのでしょうか?
直葬にかかる費用の内訳を、葬儀社へ支払う費用と火葬場の使用料にわけて解説します。
葬儀社へ支払う費用は10~20万円程度
まず直葬を行うにあたって、火葬場への手配や葬儀の準備を行ってくれる葬儀社へ支払う費用は、だいたい10~20万円程度が相場です。
費用内訳は以下の通りです。
- 遺体を搬送する費用:13,000円~(病院から安置所、安置所から火葬場までの搬送費)
- 安置所利用料:3,000~20,000円程度(日数や場所によって異なる)
- 棺:30,000~80,000円程度
- 骨壷:8,000~19,000円程度
- ドライアイス:8,000~10,000円×日数分
- 火葬手続き代行:50,000~150,000円(死亡届、火葬許可申請書の提出含む)
- 人件費:30,000~100,000円程度
火葬場の利用料は無料~5万円程度
火葬場は地域と公営か民営かで利用料が変わります。公営は無料~5万円程度、民営だと5~15万円程度です。
直葬の場合、火葬場の利用料がプランに含まれていないケースが多いので、火葬場の利用料が含まれているかどうかを確認して費用を比較しましょう。
火葬場に僧侶を呼ぶ場合は別途でお布施が必要
直葬でも僧侶を呼んで読経してもらうことができます。僧侶を火葬場に呼ぶ場合は、別途お布施やお車代が必要です。
お布施の相場はだいたい3~5万円程度で、中にはお布施の費用が含まれているプランもあります。ただし、僧侶を招かない場合は省ける費用です。
ちなみに、火葬場でのお別れの時間は限られています。火葬場に僧侶を招く場合は、事前に葬儀社にスケジュール等を相談しましょう。
直葬は費用相場が比較的安く経済的な負担が抑えられる葬儀
直葬は火葬のみを行う最もシンプルで、比較的費用を安く抑えられる葬儀です。
実際に経済的な理由で選ばれるケースが増えており、経済情勢の悪化や少子高齢化などの社会問題が深刻になっていくほど、直葬が選ばれる割合が増えていく可能性が考えられます。
ただしどの葬儀社も必ず取り扱っているわけではないうえに、周囲の同意や理解を得られないケースもあるので、相談と確認をしながら葬儀の形式を選ぶと良いでしょう。