相続手続き完全ガイド|期限から必要書類まで徹底解説

投稿:2024-06-18
相続手続き完全ガイド|期限から必要書類まで徹底解説

大切な人が亡くなった時、悲しみに暮れる一方で、様々な手続きに頭を悩ませることと思います。 相続手続きは、被相続人の財産と想いを次の世代へ継承するために必要なものです。しかし、複雑で煩雑な手続きが多く、何をすればいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、相続手続きの流れを分かりやすく解説し、必要な書類や期限についても詳しく説明します。 また、相続手続きをスムーズに進めるための注意点についてもご紹介します。

相続手続きが必要な理由

相続とは、亡くなった方(被相続人)の権利義務を相続人に承継する制度です。相続人に遺産を適切に引き継ぐためには、法的な手続きが必要です。その主な理由は以下の通りです。

  • 遺産の正確な内容を確認するため
  • 相続人を特定し、遺産分割の割合を決めるため
  • 相続税の申告や納付が必要かどうか確認するため
  • 被相続人の債務を確認し、相続放棄や限定承認の要否を判断するため

遺産の承継には複雑な手続きが伴うため、適切な相続手続きを行うことが重要です。これを怠ると、遺産の分配や税金の支払いが円滑に行えず、相続人同士のトラブルを招く可能性があります。

また、法的手続きを踏むことで、遺産の管理や分割が合法的に行われ、後々の問題を未然に防ぐことができます。

相続手続きは、相続発生日から段階的に進める必要があります。それぞれの期限を守りながら、以下の流れに沿って手続きを進めましょう。

相続手続きの流れ

相続手続きの流れ

まず、死亡届を市区町村役場に提出します。これは、死亡を公式に確認するために必要な手続きです。

1. 相続発生日から7日以内に行う手続き

相続手続きは、相続発生日から段階的に進める必要があります。最初のステップとして、相続発生日から7日以内に行う手続きがあります。これらの手続きは、故人の死亡を公式に報告し、その後の手続きを円滑に進めるために欠かせないものです。

死亡届の提出

まず、死亡届を市区町村役場に提出します。これは、死亡を公式に確認するために必要な手続きです。

必要書類死亡届
書類の入手時期死亡が確認された時
書類の取得場所医師もしくは役所
申請資格者親族または同居者
提出先死亡者の本籍地または所在地、死亡地にある役所
発揮される効力戸籍への記載・住民票の抹消、火葬・埋葬の許可、税務署への通知

火葬許可証の取得

死亡届を提出すると、火葬許可証が発行されます。この許可証がないと火葬を行うことができません。

必要書類火葬許可証
書類の入手時期役所に死亡届を提出する際に同時に
書類の取得場所死亡者の本籍地または所在地、死亡地にある役所
申請資格者死亡届の届出人or届出人の配偶者や親など直系親族か、直系親族の代理人
提出先火葬場の管理事務所
発揮される効力「火葬許可証」はご遺体の火葬の許可を証明する

埋葬許可証の取得

火葬後に、埋葬許可証を取得します。これにより、故人の遺骨を埋葬することができます。

必要書類埋葬許可証
書類の入手時期死亡届提出後
書類の取得場所死亡者の本籍地または所在地、死亡地にある役所
申請資格者ご家族または葬儀社
提出先お寺または霊園や納骨堂の管理事務所
発揮される効力我が国の法律において、埋葬とは「死体を土中に葬ること」と定められているため、土葬するための許可証

2. 相続発生日から10日以内に行う手続き

被相続人が亡くなった時から10日以内に行わなければならない手続きについて解説します。

年金受給者死亡届の提出

故人が年金を受給していた場合、年金受給者死亡届を提出する必要があります。死亡後10日以内に、厚生年金の受給停止手続きをしましょう。国民年金の場合、提出期限は14日以内です。

必要書類年金受給者死亡届
書類の入手時期死亡した日から10日(国民年金は14日)以内
書類の取得場所市・区役所または町村役場の国民年金の窓口
申請資格者3親等以内の親族
提出先国保年金課、各出張所、または年金事務所
発揮される効力亡くなられた方がまだ受け取っていない年金があるときは、亡くなられた方と生活をともにしていた遺族の方が未支給分の年金を受け取ることができます。

2. 相続発生日から14日以内に行う手続き

被相続人が亡くなった時から14日以内に行わなければならない手続きについて解説します。

介護保険被保険者証の返却

故人が介護保険に加入していた場合、市区町村に被保険者証を返却します。これにより、介護保険サービスの利用が停止されます。

必要書類介護保険資格取得・異動・喪失届
書類の入手時期資格を喪失してから14日以内
書類の取得場所市町村役場のサイトか役所の窓口
申請資格者遺族
提出先管轄の役所の介護保険課
発揮される効力介護保険の被保険者が亡くなった場合、自動的に被保険者の資格が失われるわけではないので、資格喪失手続きを行う

世帯主変更届の提出

故人が世帯主だった場合、新しい世帯主を選任して世帯主変更届を市区町村役場に提出します。

必要書類世帯主変更届
書類の入手時期世帯主が死亡した日(または世帯主の変更があった日)から14日以内
書類の取得場所役所の窓口 もしくは 市区町村のサイト
申請資格者新たに世帯主になる本人もしくは同一世帯の世帯員
提出先居住地の市区町村の役所
発揮される効力住民票に登録されている世帯主が死亡した場合、もしくは転出などの理由で居なくなった場合に新しい世帯主へと変更を行う

3. 相続発生日から3ヶ月以内に行う手続き

被相続人が亡くなった時から3ヶ月以内に行わなければならない手続きについて解説します。

故人の財産調査

相続手続きを進めるためには、故人の財産状況を把握することが重要です。調査自体には期限はありませんが、相続放棄の期限が3ヶ月であるため、この期間内に調査を終えることが望ましいです。

必要書類被相続人の死亡を証明する戸籍謄本、請求者が相続人であることを証明する戸籍謄本、請求する相続人の印鑑証明書、通帳や手紙など相続財産の資料が分かるもの
書類の入手時期死亡届提出後
書類の取得場所役所
申請資格者相続人または代理人
提出先金融機関など
発揮される効力被相続人が死亡し、請求者が相続人であるという証明になる

相続放棄・限定承認の申し立て

相続放棄や限定承認を希望する場合は、家庭裁判所に申し立てを行います。

必要書類相続放棄申述書
書類の入手時期死亡届提出後
書類の取得場所裁判所のホームページ
申請資格者申請資格者:相続人または代理人
提出先被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
発揮される効力相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない相続放棄を申請する

4. 相続発生日から4ヶ月以内に行う手続き

被相続人が亡くなった時から4ヶ月以内に行わなければならない手続きについて解説します。

準確定申告

故人の死亡時までの所得について準確定申告を行います。これは相続発生日から4ヶ月以内に税務署に提出する必要があります。

必要書類準確定申告書
書類の入手時期死亡届提出後
書類の取得場所国税庁のホームページ
申請資格者相続人
提出先亡くなった人の住所地を管轄する税務署
発揮される効力税務所にて、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額および税額を計算する

4. 相続発生日から10ヶ月以内に行う手続き

被相続人が亡くなった時から10ヶ月以内に行わなければならない手続きについて解説します。

相続税申告

被相続人が亡くなった時から10ヶ月以内に行わなければならない手続きについて解説します。

必要書類相続税申告書
書類の入手時期相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内
書類の取得場所国税庁のホームページ、税務署の窓口
申請資格者被相続人の遺産を取得した法定相続人や受遺者
提出先被相続人の住所地を所轄する税務署
発揮される効力相続税の申告が必要な者は納税者自らが申告書を作成し税額を確定させる

5. 期限のない手続き

これまでに解説した手続き以外にも、相続には様々な手続きが必要です。 ここからは、期限に縛られない手続きについて解説します。相続税申告の期限である10ヶ月以内に終えることが望ましいです。

遺言書の有無の確認

まず、故人が遺言書を残しているかどうかを確認します。遺言書がある場合、それに基づいて相続手続きを進めます。

必要書類遺言書情報証明書
書類の入手時期遺言者の死亡を知った後
書類の取得場所法務局のWEBサイトもしくは最寄りの法務局
申請資格者相続人や受遺者など、遺言執行者、これらの親権者・成年後見人などの法定代理人
提出先遺言書保管所
発揮される効力遺言書の閲覧や内容の確認が可能となります

遺言書の検認

遺言書が見つかった場合は、家庭裁判所に検認の申立てを行います。検認は申し立てから1〜2ヶ月かかるためできるだけ速やかに行うようにしましょう。

必要書類申立書
書類の入手時期遺言者の死亡を知った後
書類の取得場所裁判所の公式サイト
申請資格者遺言書の保管者又はこれを発見した相続人
提出先遺言者の最後の住所地の家庭裁判所
発揮される効力相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続き

相続人調査

相続人を確定させるための調査を行います。この調査が終わらないと遺産分割協議を始めることができません。

必要書類各戸籍謄本
書類の入手時期相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内
書類の取得場所亡くなった人の最後の本籍地の役所
申請資格者配偶者、直系の血族
提出先金融機関や法務局、税務署等
発揮される効力相続人第一順位である子どもの有無と人数を確定させる

遺産分割協議の開始

相続人全員で遺産分割協議を行います。これにより、遺産の分配方法を決定します。

必要書類遺産分割協議書
書類の入手時期相続開始がわかった時点
書類の取得場所なし(書式は決まっていない)
申請資格者法定相続人
提出先金融機関、証券会社、法務局、運輸支局、税務署
発揮される効力遺産相続の内容について相続人全員が合意したことを証明できる

遺産分割協議書の作成

協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員の署名・押印を行います。

必要書類遺産分割協議書
書類の入手時期相続開始がわかった時点
書類の取得場所なし(書式は決まっていない)
申請資格者法定相続人
提出先金融機関、証券会社、法務局、運輸支局、税務署
発揮される効力遺産相続の内容について相続人全員が合意したことを証明できる

相続手続きに必要な書類

相続手続きに必要な書類

相続手続きを進めていく上で、様々な書類が必要になります。主な書類は以下の通りです。

戸籍関係の書類

  • 被相続人(亡くなった方)の最新の戸籍謄本
  • 相続人全員の最新の戸籍謄本または除籍謄本

死亡を証明する書類

  • 死亡診断書(死体検案書)
  • 火葬許可証または埋葬許可証

遺言書(ある場合)

  • 自筆証書遺言や公正証書遺言など

財産目録を作成するための書類

  • 預貯金通帳、銀行の残高証明書
  • 不動産の登記簿謄本
  • 生命保険証券
  • 株券、投資信託残高証明書など有価証券関係
  • デジタル資産の控え
  • その他財産の所有を示す書類

印鑑証明書、本人確認書類

  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 運転免許証、健康保険証など本人確認書類

その他

  • 相続人代表者を選任した場合の委任状
  • 遺産分割協議書(遺言がない場合)
  • 遺言検認申立書(遺言がある場合)

相続手続きにかかる費用

相続手続きには、戸籍謄本や印鑑証明書の発行費用、税金、専門家への依頼費用などがかかります。

また、相続税や準確定申告の際には、それぞれの税金の支払いも必要です。具体的な費用は財産の種類や金額によって変わるため、早めに概算額を確認しておくことが重要です。

相続手続きの注意点

相続手続きの注意点

相続手続きを進める上で気をつけたいポイントがいくつかあります。

期限内に適切に行う

相続手続きには法定の期限があり、遅れると罰則が課される可能性があります。特に相続税の申告や納付期限は厳守する必要があります。期限に余裕をもって手続きを進めましょう。

遺言書の有無を確認する

被相続人が遺言書を残していた場合、その内容が最優先されます。遺言書があれば遺産分割はその通りに進める必要があるため、有無の確認は欠かせません。

遺産分割協議は慎重に行う

複数の相続人がいる場合、遺産分割をめぐってトラブルになるリスクがあります。十分に協議を重ね、全員が納得のいく分割となるよう注意が必要です。

相続税の申告が必要かどうか確認する

一定額以上の遺産価額があれば相続税の申告と納付が義務付けられます。申告が必要かどうかを早めに確認し、万が一の場合は期限に遅れないよう対策を立てましょう。

専門家に相談する

相続手続きは複雑で分からないことが多いため、専門家への相談をおすすめします。司法書士や税理士に遺産相続の手続きを依頼すれば、安心して進めることができます。

相続は複雑な手続きが多い

相続には複雑な手続きが多く、特に以下のようなケースでは専門家の助けが必要です。

  • 海外資産の相続
  • 法的に複雑な家族の構造
  • 遺言が新しい形式(デジタル遺言、ビデオ遺言など)

デジタル資産も忘れずに

現代では、デジタル資産の相続も重要です。以下のようなデジタル資産も忘れずに手続きを行いましょう。

  • ソーシャルメディアのアカウント
  • オンラインバンキング
  • デジタルウォレット

相続手続きの専門家を探すなら葬儀のデスク

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相続には専門的な知識が求められ、自分一人で手続きを進めるのは難しい場合が多いものです。相続手続きをスムーズに進めるためには、弁護士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

葬儀のデスクでは「相続相談サービス」を提供しており、初めての方でも安心してご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。

まとめ

相続手続きは、被相続人の財産と想いを次の世代へ継承するために必要なものです。この記事では、相続手続きの流れを分かりやすく解説しました。相続手続きは複雑な場合も多いので、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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