故人を荼毘に付した際、東日本では全てのご遺骨を骨壷に納めますが、西日本では一部のご遺骨しか納めません。そのため、東日本と西日本では骨壷の大きさも違います。
一部しか収骨しなかった場合、火葬場に残されたご遺骨は粉骨されて永代供養されるケースが多いです。では、ご遺骨を一切引き取らずに火葬場に残し、供養してもらうことは可能なのでしょうか?
今回インタビューをしたのは、ご遺骨を引き取らない「0葬」のサービスを提供する葬儀24ドットコム代表の近藤純一さんです。実際に「0葬」は可能なのか、サービスを開始しようと思ったきっかけなどを伺いました。
もくじ
東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で葬儀の施行を行う葬儀24ドットコム
葬儀24ドットコムは東京都渋谷区にある葬儀社です。
東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県(木更津以北)でお葬式の施行を行っています。
自社斎場は有していませんが、東京都内だけでも50箇所の斎場と提携しており、「代々幡斎場」「桐ケ谷斎場」「落合斎場」「堀之内斎場」「臨海斎場」などがよく選ばれています。
ご遺骨を引き取らないという選択「0葬」ができる葬儀社
基本的なプランは4つで、「火葬プラン」「家族葬プラン」「一般葬プラン」「1日葬プラン」です。そのほかにも「0葬プラン」と「WEB墓」という独自のサービスを提供しています。
「0葬」は宗教学者の島田裕巳氏の著書『0(ゼロ)葬ーあっさり死ぬ』で生まれた言葉です。お通夜やお葬式などを行わないことに加え、ご遺骨を引き取らない弔い方のことを指します。
※「ご遺骨をひきとらない」という選択ができる火葬場は限られています
「WEB墓」はインターネット上のお墓のサービスです。生前から利用することができ、その人の歩みや写真などの思い出を共有することができます。
想いで.com:https://www.tsuitonet.com/
葬儀24ドットコム代表の近藤さんへインタビュー
【編】
まずはじめに、簡単な自己紹介をお願いいたします。
近藤純一と申します。東京都渋谷区で2009年から葬儀社「葬儀24ドットコム」を運営しています。
弊社の企業理念は、「笑顔の葬儀」を提供し、故人様、ご家族様を総合サポートすること。「お葬式」というと「弔い(故人)」に対する配慮、対応を想像しがちですが、ご遺族の皆さまや関係者の方々にご満足、ご安心していただくことを大切にしています。
【編】
お葬式は故人さまだけでなく、残された方々のために行うものでもありますもんね。
創業されたきっかけを教えてもらえますか?
前職は、葬儀社向けの人材派遣会社の役員をしていました。諸処あって人材会社はたたんだのですが、前職の先輩がインターネットの広告媒体を中心とした葬儀社を設立したんです。その先輩からの勧めもあり、創業しました。
前職から「葬儀」に関わっていたため、お葬式やその後のお墓などのことで悩む人たちの話をよく耳にしました。より豊かなシニアライフを送ってもらうために、どんなサポートができるだろう・・・、と今でも自問自答の日々です。
お葬式やお墓の問題を解決し、豊かなシニアライフを送って欲しい
【編】
ご家庭によって事情もさまざまですし、時代とともにお葬式やお墓のあり方も大きく変わり始めましたしね・・・。
そうなんです。特に令和時代になって、超少子高齢化やコロナウィルス感染拡大防止などから人が集まれない、「密」をはばかるようになりました。
お葬式は故人との最後のお別れの場です。今までと同じことをするだけでは、ご遺族の皆さまの悩みを解決することはできない。「葬儀屋が社会に貢献できるとは?」を自身なりに考え続け、その結果「0葬」「WEB墓」を基軸に「お墓・葬儀」に問題を解決していこうと方針を固めました。
そのほかにも生前から「終活」を通して、葬儀・墓などをもう一度見つめ直して「豊かなシニアライフ」を送る人を増やす活動を行っています。
【編】
「0葬」の名前は聞いたことはありましたが、実際にお話を伺うまでどういった形式なのかまで知りませんでした。
「ご遺骨を引き取らない」という選択をするんですよね。実際に火葬場にご遺骨を残していくことは可能なのでしょうか?
一部火葬場では問題ありません。ただ、まだ対応している火葬場は少ないのが実情です。
弊社で調査を行ったところ、東京都では18箇所中「2箇所」だけ全骨引き取らなくても問題ないという結果でした。神奈川県、埼玉県、千葉県も同様で、全骨を引き取らないこと良しとする火葬場は83箇所中12箇所しかありませんでした。
選択肢が増えることで助かる人たちがいることに気づいた「0葬」との出会い
【編】
結構少ないのですね・・・。
近藤さんはなぜ「0葬」を実現したいと考えているのですか?
宗教学者である島田裕巳先生の出会いがきっかけです。島田先生は前途の著書を執筆していた当時、NPO団体(自然葬=散骨を啓蒙している団体)の会長を務めており、私はその団体に2010年から出入りをしていました。その縁もあって、「0葬」の取材に協力、同行したんです。
正直、最初は半信半疑でした。「ご遺骨を引き取りたくない」「引き取れない」というご遺族がいるのか、火葬場で全て引き取ってもらうことは可能なのか・・・。
ただ、実際にご遺族の方々のお話を伺い、ご家庭の事情で「ご遺骨を引き取れない」方もいるのだと知りました。弊社が「0葬」に対応することでご遺族の皆さまの悩みが解決するのならと「0葬」の実現を目指しました。
「お墓の心配が要らない」
「墓守の必要ない」
「ご遺骨の事でもめる事がない」
これらの問題がなくなることで、助かる人々はいると思います。ぜひひとつの選択肢として考えて欲しいです。お墓不足の問題解決にもつながると考えています。
実際に弊社を利用したお客様から、こんなお言葉をいただきました。
『先日、母親の葬儀でお世話になりました。5月には海洋散骨を予定しています。自分には2人の娘がいますがすでに嫁いでおり、彼女たちに迷惑を掛けたくないし、私が亡くなった際は「0葬」でお願いしたいです。』
私も自分が亡くなった時は0葬にして欲しいと思っています。
【編】
あまりイメージができていなかったのですが、やはりご家庭の事情は側から見ても全くわかりませんもんね・・・。
選択肢が増えることで、少しでも多くの人の悩みが解決すればいいなと思います。
この仕事をやっていて「よかった」と思う瞬間や「やりがい」を教えてください。
ほとんどのお客様は、葬儀が終わるとほっとした気持ちになるようで、心からのお礼を言っていただけます。
表情なども初めて会った日とは全く違うんです。これは今までほとんど経験したことのない、人間の死(故人さまのご逝去)から火葬までの数日間、怒涛の多忙と気遣いなどから解放された、という事だと思っています。この「ほっとした気持ち」を共有できた時にやりがいを感じています。
【編】
慣れないことの連続で大変だと思いますが、大切な人が亡くなったという事実を受け入れる役割をお葬が果たしてくれるのでしょうね。気持ちに一区切りつけることができるのだと思います。
最後に、近藤さんが思う葬儀社選びのポイントを教えてください!
昔は悪質な葬儀社もいたと聞きますが、現在活躍されている葬儀社はほとんどが誠実に葬儀の施行を行っている良い葬儀社だと思います。その中でも「良い葬儀社」を選ぶポイントは、事前相談を数社してみることですね。担当者とのフィーリングや費用などが合うところを選ぶと良いです。
近年は儀式や形式よりも、ご遺族の意思を尊重する弔い方が増えてきました。どれだけ柔軟に対応してくれるのかも判断基準に入れると良いと思います。
弊社も基本プランは用意しておりますが、ご希望に応じて柔軟な対応を行っています。事前相談もいつでも承っているので、お気軽にお問い合わせくださいませ。
葬儀デスクより
ご遺骨を引き取らない「0葬」。昔からお墓に故人のご遺骨を納骨することで供養をしてきたわたしたちにとっては、まだまだ馴染みのない言葉だと思います。もしかすると「供養にならないのでは・・・?」と心配される人もいるのではないでしょうか。
弔い方はそれぞれの家族の数だけ存在します。大切なのは故人を思う気持ち、無理をしてまで弔ってもううことは望んでいないはずです。
お葬式やお墓のかたちが大きく変化している現代。もしかしたら「0葬」も選択肢のひとつとして検討される時代がくるかも知れませんね。
全ての人が「お葬式」や「お墓」で悩まないような時代になることを願っています。