日本一の神社数を誇るお稲荷様とは?正体やご利益など詳しく解説

投稿:2021-07-30
日本一の神社数を誇るお稲荷様とは?正体やご利益など詳しく解説

キツネの像や赤い鳥居の印象が強い「稲荷神社」は、その名の通り「お稲荷様」を祀っている神社です。

日本にはさまざまな神社がありますが、お稲荷様を祀る神社の数は最も多く、全国に3~4万社ほどあると言われています。

日本一の神社数を誇るお稲荷様ですが、多くの人に信仰されているものの正体をあまり知られていないのが実情です。

そもそもお稲荷様とはどのような神様なのでしょうか?

意外と知られていないお稲荷様の正体やご利益を詳しく解説します。

神社数が日本一多いお稲荷様の正体を解説

お稲荷様を祀る稲荷神社は、全国に3~4万社ほどあると言われており、日本一の神社数を誇っています。

そして京都の観光スポットとして有名な「伏見稲荷大社」は、稲荷神社の総本宮であり、稲荷信仰の原点である稲荷山に位置しています。

お稲荷様は日本で最も信仰されており、多くの人が参拝に訪れる神様ですが、正体を知っている人は意外と少ないです。

お稲荷様とはどんな神様なのか、正体やキツネとの関係について解説します。

お稲荷様は稲の豊作にご利益がある神様

お稲荷様とは豊作にご利益があると崇敬されている神様です。

「稲が生る(なる)」から「いなり」となり、お稲荷様と名付けられました。稲とは植物の稲でもありますが、そもそもは「命の根」を意味します。

神道は日本の宗教ですが、稲作自体はチベットやインドなど大陸から伝わってきた技術なので、お稲荷様のルーツも大陸からだという説が有力です。

日本で最も多くの神社数を誇っている理由は、稲の豊凶は日本人にとって生死をわけるほどの大きな関心ごとだったため、稲作の神様であるお稲荷様への信仰が広まったとも考えられます。

お稲荷様は神社だけでなく寺院や民間でも祀られている

お稲荷様が祀られているのは神社が多いですが、実は寺院や民間で祀られるケースもあります。

寺院で祀られているのはインドの神様「荼枳尼天(だきにてん)」です。荼枳尼天は人をも食らう夜叉と呼ばれる一方で、身分や貧富の差に関係なく平等に手を差し伸べてくれる神様として知られています。

一方、民間で信仰されているのは神社と同じ「お稲荷様」です。

民間信仰は定まった宗教ではないため、お稲荷様以外にも山神や水神などいろいろな神様が本尊として祀られています。

道路脇や建物の影にある小さな祠にキツネの像が鎮座していたり、油揚げが捧げられていたりする場合は、民間信仰によるお稲荷様の祠です。

お稲荷様の正体はキツネではなく「宇迦之御魂大神」

日本にある3万社以上の稲荷神社でキツネ像が備えられており、中にはキツネをお稲荷様として信仰する神社もあります。

しかし、お稲荷様はキツネそものもでもなければ、キツネの姿をしている神様でもありません。

お稲荷様の正体は「宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)」です。「倉稲魂命(うかのみたまのみこと)」とも呼ばれている神様で、「宇迦」は穀物や食物を意味しています。

性別が明確にわかるような記述はどこにもありませんが、古くから女神として信仰されてきました。

キツネの正体はお稲荷様の眷属

稲荷神社に鎮座しているキツネの正体は、お稲荷様の眷属(使者)です。

キツネは農事が始まる春から収穫期の秋にかけて人の里に姿の現し、収穫が終わると山に戻っていきます。そのため、古くから農耕の守り神のような存在として考えられていました。

人々な守り神のような存在であるキツネを霊獣「白虎」として信仰し、五穀豊穣の神様であるお稲荷様の使いだと考えたことが、稲荷神社にキツネが鎮座するようになった由来だと言われています。

お稲荷様のご利益と参拝方法を解説

お稲荷様のご利益と参拝方法を解説

お稲荷様はもともと稲の豊作にご利益がある神様として信仰されていましたが、時代の流れによってさまざまなご利益がある神様として信仰が続いています。

お稲荷様にはどのようなご利益があるのか、参拝方法の手順とともに解説します。

お稲荷様のご利益は商売繁盛や五穀豊穣など

お稲荷様のもともとのご利益は「五穀豊穣」ですが、現在では「商売繁盛」や「家内安全」の神様として信仰されています。

神社によってお稲荷様のご利益に多少の違いがあるようですが、いずれにしても財産や生活を豊かにする神様として信仰されています。

  • 五穀豊穣:穀物が豊かに実ること
  • 商売繁昌:商売が栄えること
  • 産業興隆:産業の勢いがついて盛んになること
  • 芸能上達:芸能(音楽や演劇など)が上達すること
  • 家内安全:家族の安全と健康
  • 交通安全:事故なく過ごすこと

お稲荷様は江戸時代に信仰が急速に拡大しました。

江戸時代までは五穀豊穣の神様として信仰されていましたが、幕府の改革などで知られる田沼意次が、屋敷にお稲荷様を祀ってから運が開けたという評判が流れたことをきっかけに信仰が広がりました。

武士たちは田沼意次を真似し、庶民である商人たちもならって商売繁昌の神様としてお稲荷様を信仰の対象に。

さらに江戸では木造建築が密集し火事が多かったため、庶民は家屋や店舗を火災から守ってくれる家内安全の神様としてもお稲荷様を祀り始めました。

そして参勤交代で江戸を訪れていた各地の大名が、お稲荷様を信仰している江戸の様子を目にして、稲荷信仰は全国へと拡大していったのです。

お稲荷様への参拝方法は「2礼2拍手1礼」が基本

稲荷神社は日本各地にあるため、お稲荷様に願いを届けたいときは、ぜひ近くの稲荷神社でお参りをしてみましょう。

ただし、神社は穢れを最も嫌うので、参拝するときは手順を守ってお稲荷様に願いを届けることが大切です。

まず、神社に到着したら鳥居をくぐる前に神前に向かって会釈をします。鳥居は神社の入り口であり、その先は神の領域なので足を踏み入る前にきちんと敬意を示しましょう。

なお、参道を歩くときは真ん中を避けて端を通るのがマナーです。参道の真ん中は神様の通り道なので、人が歩いていたら邪魔になってしまいます。

そしてお参りをする前に、必ず手水舎で手と口を清めてください。神社は穢れを最も嫌うので、手水舎で心身ともに清めます。

手水の手順は以下の通りです。

  1. 右手で柄杓を持って左手を清める。
  2. 左手持ち替えて右手を清める。
  3. 右手に再度持ち替えて左手に水を注ぎ、口を清める。(※柄杓に直接口を付けるのはNG)
  4. 口もとを手で隠し。低い位置で水を吐き出す。
  5. 柄杓を立てて中に残った水で柄を清め、元の位置に戻す。

手水舎で心身ともに清めたら、本殿前でお参りをします。神社でのお参りは「2礼2拍手1礼」が基本です。

鈴を鳴らしてからお賽銭を入れ、頭を深く2回下げて、2回拍手し願いを伝え、最後にもう1回頭を深く下げましょう。

ちなみに寺院でお参りする場合は頭を深く1回下げてから合掌し願いを伝え、一礼をします。寺院では基本的に拍手をしません。また焼香台がある場合は参拝後に行ってください。

お稲荷様は商売繁盛などのご利益がある日本一信仰されている神様

お稲荷様はキツネだと思われがちですが、正体はキツネではなく「宇迦之御魂大神」という穀物や食物の神様です。

キツネはお稲荷様の使者であり、人々の願いをお稲荷様に届けるために稲荷神社に鎮座しています。

お稲荷様はもともと五穀豊穣の神様として信仰されていましたが、江戸時代より商売繁盛や家内安全なども信仰されるようになりました。

現在もさまざまなご利益がある神様として信仰され続けており、日本一の神社数を誇っています。全国各地に稲荷神社は点在しているので、ぜひ近所の稲荷神社を探してみてください。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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