「氏子(うじこ)」とは同じ氏神を信仰しお祀りする人|氏子と氏神の関係を解説

投稿:2021-12-05
「氏子(うじこ)」とは同じ氏神を信仰しお祀りする人|氏子と氏神の関係を解説

「氏子(うじこ)」とは、同じ氏神様を祀る人のことです。日本で暮らしているのなら、必ずどこかの神社の氏子に属しています。

氏子になるには、その土地の神社で「氏子入り」という儀式を行うのが一般的ですが、ここ近年ではお宮参りと氏子入りを同一とするケースが増えてきました。

氏子について、その意味や成り立ちなどを詳しく解説します。

氏子(うじこ)とは同じ氏神を信仰する人のことを指す

氏子とは、同じ氏神様を祀る人のことをさします。氏子の歴史や本来の意味を詳しく解説します。

氏子は本来血族をあらわす言葉

現代では、氏子は氏神を信仰する人との広範囲の解釈となっていますが、元々は血族を意味する言葉でした。

氏とは、古代日本・大和朝廷時代まで男系もしくは母系祖先を同じくする一族、氏族のことです。(大伴氏・物部氏・蘇我氏・中臣氏)そして氏子は氏族の血縁者をあらわすものでした。

氏族の氏長(首長)が一族の先祖や祖神(物部氏:饒速日命/ニギハヤヒノミコト)、または信仰する神を守り神として一族の神社(氏社)に祀ったのが始まりです。

氏社は氏族ごとに数があり、そのひとつに藤原氏の氏社である春日大社があります。

中臣氏・藤原氏の氏神(天児屋命/あめのこやねのみこと)と守護神(鹿島神である建御雷神/たけみかづち)を祀った氏社です。

一説では、藤原氏の祖である中臣鎌足の出身地が茨城県鹿島市といわれ、もしもそうであれば春日大社の守護神である建御雷神は鎌足にとって産土神(うぶすなのかみ/出身地の神様)となります。

氏の集団構成(生活共同体)

氏長ー氏子(血族/親族)ー部曲(かきべ/一族に使える臣下や農民)ー奴婢(奴隷)

氏長は氏神の祭祀を司り、氏社や氏寺の建立・維持の一切を担う役目であり、血族である氏子は氏長に従い、氏神を信仰し、氏長に任命された者が祭祀に携わる神職についていました。

現在では本来の意味である、同族による管理維持を行う氏社自体がなくなったこともあり、氏子=血族の定義はなくなりました。

そしてもう一つの定義である、氏子=氏神信仰者との意味も薄れましたが、今もなお、地域の人々によって神社は支えられています。

氏子の集まりを氏子中(うじこじゅう)と呼び、その中から選ばれた代表を氏子総代と呼びます。氏子総代は町内会などで持ち回るのがほとんどです。

神社のお祭りなどは、氏子総代を中心に氏子中によって運営、さらには神社保持の補助や例大祭などへの寄進、地元民へも寄進を呼びかけます。

―お寺の檀家とは違う―

  • 氏子・・・氏神さまを信仰
  • 檀家・・・先祖供養や葬儀、法要をおこなう菩提寺を支える

―氏子総代の役割―

  • 氏子をまとめる
  • 神社の清掃
  • 神社の運営&保持
  • 神社内の施設の増設もしくは撤去の判断※最終判断は宮司がおこなう
  • お祭りの準備やサポート
    ※しめ縄・門松制作/式典や祭典の会場設営/境内での授与品販売

居住地で氏神、氏子は決まる

氏神と氏子の意味は、平安時代以降に産土神(うぶすなのかみ)と産子(うぶこ)に変化し、さらに時代の流れとともに呼称が戻されました。現在の氏神と氏子は、本来の氏神と産土神が混ざり、そして氏子の定義は信仰の有無かかわらず神社がある地域の全住民となりました。

その変遷とともに詳しく解説します。

―産土神(うぶすなのかみ)と産子(うぶこ)―

平安時代に貴族階級ができると氏族という大きな単位から家単位へと変わり、氏社も祖神や先祖だけではなく、その家がある土地の神や鎮守神、もしくは出身地の産土神を氏神として祀る氏社が増えていきました。

例えば藤原氏では、古代から続いた氏族・中臣氏から家単位で分かれると、その土地に新たな氏社を築いたのです。全国にある八幡神社(藤原神社)などがそれにあたります。

そこで産土神や鎮守神を守護神として祀りました。

氏長者(家長)以外のその家の血族と臣下たち、および血縁ではなく地縁(その土地の住民)による信仰者のことを産子と呼んだのです。

のちに産子は再び氏子と呼称を変えて、氏神の信仰の有無にかかわらずお祭りに参加する人々も含めた広範囲の意味となり現在に至ります。

神社本庁でも、その地域に住んでいる人すべてを氏子とするとの考えを有しています。

神社本庁  / 氏神様より

居住区の神社を知りたい場合は、お住いの都道府県の神社庁のHP、もしくは町内会の役員・氏子総代に教えてもらうことができます。

また、神社がある場所が商業地区の場合、そこにある企業やお店が氏子となって支えています。

IT時代であっても神様をお祀りしている企業は多く、中には自社ビルの屋上に鳥居を設けている会社もあります。(商いの神様であるお稲荷様)

むしろ一般人よりも企業の方が、氏子として熱心に活動をしているともいえるでしょう。

崇敬神社は自分の地元の氏神様でない神社を選び崇敬すること

崇敬神社は自分の地元の氏神様でない神社を選び崇敬すること

氏子と崇敬の違いを解説します。

氏子=自分が住む地域にある神社を崇拝
崇敬者=自分が住む地域外にある神社を崇拝

崇敬者が敬う神社を崇敬神社、そしてその集まりを崇敬会といい、代表的なのが明治神宮です。

氏子と崇敬者は崇拝する神社が住まいの地域にあるかないかの違いですが、その両方を崇拝することも許されています。

もちろん神棚に崇敬神社のご神札(ごしんさつ/おふだ)を祀ることもできます。その際、祀る順番は以下の通りです。

一社造りの場合

神宮大麻→氏神神社→崇敬神社
※左から順に下に重ねます

三社造りの場合

崇敬神社・神宮大麻・氏神神社
※左・中央・右

神宮大麻(じんぐうおおぬさ/じんぐうたいま)は伊勢神宮のお神札です。

氏子(うじこ)になるには氏子入りという儀式を行う

氏子の資格はその土地に住むすべての人にあります。そして昔は氏子入りの儀式をおこなうこともありました。

転居(嫁入り含む)の際、転居先にある神社で氏神様に神饌・玉串料を奉納して神官が氏子入りを奉告する祝詞をあげます。

現在では一部地域にその儀式は見られるようですが、ほとんど行われることはありません。

しかし、氏神様に奉納するということは、その神様を信じ敬う=氏子であるとも言えます。

決まった氏子納金はしなくとも、多くの人々が七五三や家内安全、安産祈願、新車の安全祈願といった祈願に奉納する初穂料がそれにあたります。

そもそも多くの自治体・町内会では住民=氏子の認識を持ち、自治体の活動の一部としての氏子・氏子総代を継承している場合があります。

自治会・町会費の中に氏子納金の項目があり、住民すべてに請求される場合がありますが、強制力はありません。(月200円程度)

また、老齢化など事情により続けられなくなった場合は氏子を辞めることができます。

氏子入り・脱退にも法的拘束力はありません。しかし多くの自治会が住民全員が氏子であるとの認識に基づいているため、氏子に関するトラブルは後を絶ちません。

ただし、崇敬神社で氏子崇敬者になると年間サポーター料のようなものを氏子納金として

支払い、毎年お神札を発行してもらいます。また、例祭への参加もあります。

一般的に年間2〜3千円ほどで、氏子証明証のようなものを発行してくれるところもや、神社によっては、オリジナルの手ぬぐいやグッズなどがついていることもあります。

ここ近年ではお宮参りと氏子入りは同一のものとされる

産土神は、土地に住む人々の生から死までを見守ります。生まれたことを産土神に奉告するすのが初宮参り、通称お宮参りです。

現在では、新生児が生後(男児31日目・女児32日目)におこなわれるお宮参りをもって、氏子入りとみなされています。(氏子札の授与)

地元の氏神様に誕生の奉告をすることは、古来より氏子がおこなってきたこと。現在の人々にはその自覚はなくお宮参りは慣習化されたものとなりましたが、氏神様との関係は昔も今も変わりはありません。

まとめ 氏子(うじこ)は住んでいる居住地で決まる

本来の意味とは随分変わったものの、神社がある地域に住んでいる人が氏子であることには変わりはありません。

そして神社は古代より豊穣祈願など、季節を通じて人々の暮らしととともにありました。そして今でも地域の人々の安全と幸せを見守り続けています。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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