墓石は国産海外産含め、300種類以上もの種類があると言われています。
庵治石など国産の墓石は硬度や吸水性に優れており、墓石として使うのに適している反面、価格が少し高めです。
それに比べて中国やインドなど海外産の墓石は、色味も豊富で価格は安い傾向にありますが、品質を見極めなければなりません。
様々な種類の中から、お墓に合った石をどのように選べば良いのでしょうか?
国産の墓石と海外産の主な墓石の種類や、その特徴の違いをわかりやすく解説します。
もくじ
墓石を選ぶ際に気をつけて見るべきポイント
墓石の種類はとても多く、国内外あわせると300種以上あります。石によって価格の幅があり、「品質がいい石=長く持つ石」と言うわけではありません。
広く出回っている石材もあれば、ほとんど出回ってない希少な石材もあります。
既に建てられた墓石を見たりサンプルの石を触ってみることが一番参考になりますが、選ぶ時に気を付けた方が良いポイントを3つの観点から説明します。
1.墓石の吸水率は0.2%以下が良い
劣化を防ぐために水を吸いにくい石がいいとされ、吸水率が0.2%以下が望ましいです。
石もスポンジのように水を吸い、冬の時期や寒冷地の場合、吸収された水分は凍結して膨張します。この現象により墓石は内側から圧迫され、ひび割れの原因となります。
ひび割れをなるべく防ぐには、吸収する水分の量をできるだけ減らし、内側からの圧力を下げる必要があるため、吸水率は気をつけるべき大事なポイントです。
しかしながら水を全く吸わない石は存在しないので、年月が経つと墓石が多少でもひび割れたり錆が出てくるのは必然と考えていたほうが良いでしょう。
2.墓石の耐久性は高い方が良い
墓石を長持ちさせるためには硬い石が適しており、圧縮強度と呼ばれる数値が墓石選びの大事な指針となります。
一定の強い力を加え続けた時にどこまで耐えられるかで数値が決まり、110~120MPaが標準値で、圧縮強度が高いほど衝撃に強いです。
また強度を確認する上で欠かせないのが、見かけ比重という石材1m3 (立方メートル)あたりの重さです。
2.60~2.70t/m3 が標準値とされており、2.90t/m3 を超えると非常に高いとされます。
重いということはそれだけ多くの鉱物を含んでおり、石の密度が高い=強度が高いのです。黒系の石が、高い数値の傾向にあります。
できるだけ丈夫な石を選んだほうが、自然災害の影響を受けにくいでしょう。
3.価格は石の産地で大きく変わる
採掘される石の産地が、価格の差に大きく関わってきます。
国産の岩石は10数種、200種類以上の銘柄がありますが、近年100銘柄以下になり希少価値が高まったため高級品となりました。
現在中国産の石材が、日本の墓石の大半をまかなっている状況です。
海外の採掘や加工コスト、人件費が安いため、国産に比べリーズナブルな価格で市場に出回り人気を後押ししています。
国産の墓石と海外産の墓石の違い
品質はさほど大差がないと言われる国産と海外産ですが、それぞれに特色があります。
メリットとデメリットを解説します。
国産の墓石のメリット
日本でとれた石は日本の気候に適応しやすく、安定した品質が期待できます。そして高い加工技術があわさり、数百年にわたり受け継がれているお墓もあるほどです。
北では主に黒系、南では白系の石がとれますが、日本各地で柔らかいものから硬いものまで、豊富な種類が手に入ります。
国産の墓石を使うと色味や風合いが、和型墓石によくマッチするだけでなく、お墓の雰囲気に柔らかさが出るのが魅力の一つです。
国産の墓石のデメリット
採石量が減少傾向にあるため、希少価値により値段が高いです。
海外産の墓石のメリット
墓石の色は大きく分けて黒系、グレー系、白系、カラー系の4種類ですが、カラー系といわれるグリーンやブルーなども手に入るのが海外産の大きな特徴です。
近年お墓のデザインが多様化しているので、より建てたいお墓の雰囲気に合った石が海外産の中にあるかもしれません。
国産と海外産の石の品質は大きく変わらないのに、海外産のほうが比較的安価なのは、供給量の違いと海外のほうが様々なコストを抑えられている側面にあります。
海外産の墓石のデメリット
良いものは国産と品質がほとんど変わりませんが、選ぶ際は慎重になった方が良いでしょう。
歴史が浅く、材質の良し悪しの幅が広いです。
国産の主な墓石
石材は取れる産地によって色や材質、耐久性がそれぞれ違います。
同じ日本といえど地域によって気候や気温、降水率も異なるため、その土地の風土に合った石材を、墓石として使うと良いでしょう。
例えば花粉の多い地域では、付着した花粉が目立たないように、白系で明るめの石が選ばれます。
庵治石(あじいし)
墓石のダイヤモンド、西の横綱石という別名がある、香川県の庵治地方で採掘される国内最高峰の石です。名高い石なので、値段も比例し高くなっています。
庵治石は最上とされる細目石と、少し目の粗い中目石に分類され、密度が濃く、硬度は水晶に匹敵するほどです。
磨き上げられた表面からは独特の斑(ふ)と呼ばれる紋様が浮かび上がり、石の艶や彩色が時を経てもほとんど変わりません。
石目に黒雲母が混ざっているのも人気の理由の一つです。
大島石(おおしまいし)
大島石は愛媛県で採れる西日本の大関と呼ばれる石で、昔から関西や西日本の人たちに愛されてきました。
同じ石の中で石質が異なるが、均等に青みがかった目合いはとても上品な印象を与えてくれます。
万成石(まんなりいし)
岡山県が産地の、淡いピンクやベージュ色が入り混じった独特な桜色の石材で、桜御影石とも呼ばれています。硬質で艶が良く出る、花崗岩です。
濃淡のはっきりした色合いが特徴で、年月を経ることに色は落ち着き味わい深くなります。
控えめながらも華やかさが感じられるその美しさが、人気なのです。
真壁石(まかべいし)
茨木県で採れるため、首都圏や関東地方で多くの人に使用されている石材。クセのない上品な石目で、磨くことで美しい光沢がでます。
目が少し粗いものの国産にしては安価で、なじみやすい青御影石です。
石目が細かいものほど価値があり、真壁小目(まかべこめ)」と呼ばれています。
浮金石(うきがねいし)
福島県で採れる日本で数少ない黒御影石で、価格は比較的高めです。黒色の中に金粉や白の斑が浮いて見えるのが最大の特徴。
関東地方や首都圏で黒いお墓が多いと言われる所以は、この浮金石に代表されているとも言われています。
稲田石(いなだいし)
茨城県が産地の石で、およそ6,000万年前に誕生したといわれている黒雲母花崗岩の稲田石は、1889年ごろから採掘されており、日本最大級の採掘場です。
粒が大きくはっきりとした模様が特徴の石目で、磨き上げると素晴らしい艶が出ます。
インド産の主な墓石
インドから墓石材を輸入していた歴史は、中国と比べるとはるかに長いです。
特に高品質な黒御影石の種類が中国に負けないくらい豊富で、赤系、青系、白系の墓石材もあります。価格は中国よりは高めです。
最近は独特な石目が特徴のグリーン系御影石の人気が高まっています。今後の注目石材は大理石に似たマルチカラー系の石材で、強くて美しいことに加え、複雑な模様が石の変化を目立たせないことに評価があります。
インドの石材は硬く色艶がよいのが特徴ですが、安定性は少々欠けるので、どのような環境のところにお墓を建てるのかが使用の決め手になるでしょう。
M1-H(エムワンエイチ)
黒と緑が入り混じった石目が美しく、重厚な雰囲気を持つグリーン系御影石。ベースが黒色なので、お墓の種類を問わずどのタイプにも合わせやすいです。
硬度が高く、艶のもちが良いのも特徴です。
インド赤(インドあか)
別名ニューインペリアルレッドとも呼ばれるインド産の人気の石。
赤系御影石の中で最も鮮やかな赤色を放ち、石目や艶も美しく、主に洋型墓石やオリジナルデザイン墓石などに好まれて使用されます。
硬質で耐久性に優れていているのが特徴です。
中国産の主な墓石
中国は御影石の産出が世界一位の国で、日本の墓石のシェアの大半を占めています。
吸水率はやや高めですが、品質も輸入を開始した当初より大幅に改善され、価格の割に高級感があります。
中国の石材の産地は、日本の業者との初の合弁工場が造られた福建省が中心です。
その他、黒龍江省、山東省、山西省などの産地があり、省ごとに数字によって石を分類しています。
G663(じーろくろくさん)
福建省が産地。明るい色合いが特徴で、桜小目(さくらこめ)とも呼ばれています。淡くやさしいピンクの色味が、女性に人気です。
G623(じーろくにーさん)
こちらも福建省で採れる薄いピンク色をした、G603と並び日本ではよく知られた石材。日本で最も多く使われている中国石です。
目の粗さから墓石にはあまり使用されませんが、長尺ものが採れるのでお墓の外柵材として日本各地で使用されています。
供給量が多いうえに港から近いため、輸送コストが軽減できる関係で安価です。
その他海外産の主な墓石
中国やインドの他にも、韓国の白御影石である栄州石やブラジルの一級黒御影石であるスーパーブラック、南アフリカのウルグアイが産地のバイオレットブルーなどの人気な石を輸入しています。
その他北欧の各国からも、取り寄せています。
ファイングレイ
北欧ではスウェーデンやフィンランド、ノルウェーなどから輸入されており、どれも優れた石材です。
特徴ある原石が多く、特にスウェーデンの代表石であるファイングレイは世界最高級の黒御影石と呼ばれています。耐久性が高く、石に磨きをかける際には特別な砥石が必要になるほど。
石目が細かく大変艶やかです。
まとめ〜墓石は国内外含め300種類以上の種類があり、それぞれ特徴が異なる
どの石材を用いてお墓を建てるかは予算をベースに、その土地の風土やお墓のデザインによって絞っていきます。
お墓は受け継がれるものだからこそ、それぞれの特徴を把握し、家族でよく話し合って決めてくださいね。
迷うことがあれば遠慮せず石材店に相談し、実際にサンプルやお墓を見て、みんなが心穏やかになるようなお墓を建てましょう。