墓じまいにかかる費用の内訳は大きくわけて5種類あり、その中でも「お墓の解体費用」と「新たに納骨するための費用」の2つはお墓の種類や規模によって大きく金額が変動します。
そのため一般的な墓じまいの費用相場が50万円〜150万円ですが、お墓の種類や規模によってはこれよりも高額な費用がかかってしまう可能性があるため注意しなければなりません。
墓じまいにかかる費用相場を、内訳別に詳しく解説します。
もくじ
墓じまいにかかる費用の内訳は大きく分けて5つ
墓じまいにかかる費用の内訳は、大きく分けて以下の5つです。
- お墓の解体費用
- 開眼供養のお布施代金
- 手続き用の書類代金
- 遺骨を新たに納骨するための費用
- 菩提寺などのお寺への離檀料
墓じまいにかかる費用について、内訳ごとにそれぞれ解説します。
お墓の解体費用は条件や規模で大きく異なる
基本的にお墓は墓地管理者から土地を借りて使用しているので、墓じまいをするときは墓石を撤去してから墓所を更地に戻して返却する必要があります。
お墓の解体・撤去にかかる費用の相場は、重機や運搬機が使用できる場合は、お墓の敷地1平方メートルあたり10万円です。
重機が使用できない場合、50万円を超えるなど高額な費用になることもあります。
お墓の解体・撤去費用は、お墓の大きさやお墓が建っている環境によって異なるので、あらかじめ石材店に見積もりを依頼しておくと良いでしょう。
墓石というのは産業廃棄が必要なので、あまりにも相場とかけ離れた安価で請け負っている石材店の場合は不法投棄を行っているケースもあります。
信頼できる石材店を見つけることが大切です。
閉眼供養のお布施代金は3〜5万円
お墓を解体するときには、ほとんどの場合、閉眼供養(魂抜き)と呼ばれる儀式を行います。
閉眼供養で魂抜きをしていただいた後でないと、納骨されているお骨を取り出す事はできません。
閉眼供養をするときに、お坊さんにお経を唱えていただきますので、感謝の気持ちを伝えるためにお布施をお渡ししましょう。
閉眼供養のお布施代金は、3~5万円程度が相場です。
手続き用の書類代金は数百円〜千円程度
墓じまいを行うには、受入証明書、埋葬証明書、改葬許可申請書を準備して改葬許可証を取得する必要があります。
受入証明書、埋葬証明書は、次と現在の墓地管理者に発行してもらいますが、それぞれ自治体や墓地によって数百円から1,000円ほどの費用が発生します。
なお、埋葬証明書は埋葬されている人数分発行する必要があるので注意しましょう。
もし、再びご遺骨を埋葬しない場合は改葬は必要ありません。
遺骨を新たに納骨するための費用はお墓の種類で変わる
新しい納骨先にかかる費用は、納骨先のお墓の種類によって大きく異なります。
墓じまい後の納骨先として多いお墓の種類の費用相場は、以下の通りです。
- 永代供養墓(合葬墓):10万円~30万円
- 樹木葬:10万円~100万円
- 納骨堂:20万円~150万円
- 散骨:3万円~30万円
お墓の移転先に支払う代表的な費用として挙げられるのが納骨費用です。
元々のお墓に先祖のお骨が複数納骨されていたと言う場合は、その数だけ納骨費用が必要となりますので注意しましょう。
納骨費用以外に必要な費用として、開眼供養のお布施代があります。新しいお墓や仏壇などを購入した際に僧侶(お坊さん)に読経をしてもらうものです。
浄土真宗では開眼供養は行われていないのですが、開眼供養とは別の法要が行われています。
開眼供養のお布施代の相場も同じく、3万円~5万円程度です。
永代供養墓の費用は10万円〜30万円程度
永代供養墓とは、承継者を必要としない新しいタイプのお墓のこと。寺院や霊園が遺骨を預かり永代(三十三回忌まで)にわたって供養することを意味します。
永代供養墓を利用する場合、高いものは100万円ほどのものもありますが、平均で10万円〜30万円程が費用の相場です。比較的料金が安いため、近年人気が高まっています。
永代供養の場合、単独墓・集合墓・合祀墓の3種類があり単独墓>集合墓>合祀墓といった具合に価格は高くなる傾向にあり、地域差もかなり大きく都心に近い人気のところになると数百万円というケースもあるようです。
樹木葬の費用は10万円〜100万円程度
樹木葬とは、墓石の代わりに樹木を墓標とするお墓のこと。費用相場は、10万円~100万円程度です
費用は個人で利用する場合と家族で利用する場合、または合同墓を利用する場合によって異なります。
納骨堂の費用は10万円〜100万程度と差がある
納骨堂とは、建物の中にある納骨施設のことを意味します。納骨堂は費用を抑えられるため墓じまい後の納骨先として人気です。
納骨堂に納骨する場合には、1人用の納骨堂と家族用の納骨堂で料金に差がありますが、安価なものでは10万円や20万円で利用できます。
高額なものは100万円を超える場合もあり、費用の幅が広いのが実情です。
散骨の費用は3万円〜30万円程度
散骨とは、ご遺骨を海や山などに撒くタイプの供養方法で、3万円~30万円程度が費用相場となります。
個別に行う場合は、30万円ほど。一番高額となってしまい、業者に委託する方法が一番安価です。
散骨の費用は個別に行う場合と合同で行う場合、業者に委託して行う場合で費用は大きく変わります。
手元供養の費用は種類によって大きく異なる
手元供養をしたいという場合、必要に応じて粉骨する必要があります。手元供養する際の粉骨費用も散骨する場合と同様の費用が必要です。
手元供養の場合は、ご遺骨をご自身のそばにいて供養する方法になりますので、安価にしようと思えば安価にすることも可能。
ご遺骨をそのまま収めるオブジェや、お好みのデザインに加工するタイプなど、手元供養の選択肢は様々です。
選択肢の幅が広いため、価格の差も大きく、安価なタイプは数千円ですが、高額なものになると100万円を超える場合もあります。
新しい墓石のお墓を建てる場合は100万円以上の費用かかる
改葬後も墓石を建てる場合は、いままで使っていた墓石を流用するか、新しく建立するかで費用が異なります。
新しく墓石を建てる場合は、墓石のサイズによりますが、100万円以上の費用がかかると考えておいたほうが良いでしょう。
高い場合は、200万円を超える費用がかかることも。
墓石を流用する場合には、墓石代はかからないものの、墓石の運搬費が必要で、石材店などの専門業者に依頼します。
石の大きさや移動距離によって異なるため一概には言えませんが、20万円から80万円程度かかります。
運搬費用やお骨の埋葬などは別料金にされているケースもあれば、全て含まれた料金にされているケースもあり、石材店によって異なりますので事前によく確認が必要です。
菩提寺などお寺への離檀料
寺院墓地のお墓を墓じまいする場合、「離檀料」を支払うのが一般的です。相場は10万~20万円(通常のお布施の2~3倍)と言われています。
墓じまいするお墓がお寺にある人は、離檀料がかかります。離檀とは、お寺の檀家をやめること。
離檀に関しては先祖代々お付き合いをしてきた場合には、お寺側の気持ちも考えて感謝を伝えつつ、やむを得ず離檀しなければならない状況を説明し、相談しましょう。
元々離檀という言葉自体最近になってできた言葉ですし、離檀料と言うと手切れ金のように受け取られて気分を害してしまうお寺も多く受け取らない事も少なくありません。
実のところ離檀料には法的な根拠がないため、極端なことをいえば支払う必要はないのですが、離檀料としてではなく今まで先祖がお世話になってきた感謝として最後にお布施をするという形で離檀料を支払うケースが多いです。
しかし、中には高額な離檀料を請求されてしまいトラブルになるケースもあります。
どうしても折り合いがつかない場合には、自分だけで抱え込まずに弁護士など、専門家の方に相談するのが良いでしょう。
費用はかかるが代行業者に依頼することも可能
墓じまいには様々準備や手続きが必要となるので、とても自分だけでは出来そうもないと感じてしまう方も少なくありません。
そういった方の強い味方となってくれるのが墓じまい代行業者です。
墓じまい代行業者の中には石材店などもありますが、墓じまいの手続きは法律に則って行われるため行政手続きに関わる書類の代行に関しては行政書士などの専門家に依頼しなければなりません。
行政書士が在籍していない墓じまい代行業者の場合は行政書士を紹介してもらい、墓じまい代行業者とは別に行政書士にも費用の支払いが必要です。
その場合、行政書士に支払う費用の相場としては3万円から6万円程度。
墓じまい代行業者と言ってもどこまで代行してくれるのかは業者によって異なります。
墓じまい代行業者に全ての交渉などもまとめて依頼するという場合には、どのような形で供養するのかによって必要経費なども変わってきますが100万円から250万円程度が相場です。
墓じまい代行業者も価格設定はかなり差があるため、安価に墓じまいをしたいという場合にはいくつかの墓じまい代行業者に見積もりを依頼するか、自分で出来ることは自分でするということが必要になるでしょう。
墓じまいの費用が変動する理由
墓じまいの費用が変動する理由としては、それぞれの費用の幅が大きくなることが挙げられます。
特に、「墓石の撤去代」と「新しい納骨先の種類」は、墓じまいの費用が変動する要因となりやすいものです。
墓石の撤去代は墓石の大きさや土地の広さで金額が大きく変動する
先ほども説明したように、墓石の撤去代は、墓石の大きさや土地の広さで金額が大きく変動します。
お墓の解体・撤去にかかる費用の相場は、お墓の敷地1平方メートルあたり10万円程度かかるため、お墓の敷地が広ければ広いほど、金額は高くなります。
重機などが入れるかどうかによっても変動するので注意が必要です。
遺骨の新しい納骨先の種類によって金額が異なる
遺骨の新しい納骨先の種類によっても、金額が大きく変動します。永代供養墓(合葬墓)や散骨は、比較的安価です。
樹木葬・納骨堂の場合は、100万円をこえるものもあり、価格の幅が広いのが特徴となります。
墓じまい後の納骨先には、永代供養墓(合葬墓)を選ぶ方が多いです。
費用が安価で、お墓の維持・管理を霊園管理者にお任せできることが人気の理由となっています。
まとめ 墓じまいの費用相場は墓石の撤去代金や新しい納骨先によって大きく変動する
「お墓の解体費用」と「新たに納骨するための費用」の2つはお墓の種類や規模によって大きく金額が変動します。
墓じまいを検討する場合には、この2つの費用をしっかりと調べて、予想外に高額にならないように注意するとよいでしょう。