相続による家の名義変更とは?必要な手続きや費用・書類について徹底解説

投稿:2024-10-30
相続による家の名義変更とは?必要な手続きや費用・書類について徹底解説

家の名義人が亡くなったら、誰かが相続する必要があります。そして、相続人が選出されたら、まずは家の名義を変更しなければなりません。

なぜならば2024年の法改正により、期限内に名義変更を行わない場合、過料が課せられるようになったからです。ほかにも、名義変更をしないことでさまざまなリスクが伴います。

この記事では、相続による家の名義変更はどのように進めたらよいのか、必要な手続きや費用・書類について解説します。

相続による家の名義変更とは

相続による家の名義変更とは

相続による家の名義変更とは、親や配偶者の死亡により家を相続した際に、家の名義を相続した人の名義に変更するための手続きです。

具体的には、不動産登記簿上の所有者名義を被相続人(亡くなった人)から相続人(相続する人)に変更する作業を指します。相続による家の名義変更手続きは、法律上「相続登記」と呼ばれ、相続した不動産の権利を公的に証明するために必要不可欠です。

名義変更を行うことで、相続人は正式に不動産の所有者として認められ、売却や賃貸、担保設定などの権利を行使できるようになります。

また、名義変更は単なる形式的な手続きではなく、相続した不動産の権利を法的に保護し、将来的なトラブルを防ぐ重要な役割を果たします。例えば、名義変更を行わないまま長期間が経過すると、相続人が誰なのかが不明確になり、後々の相続や売却の際に問題が生じる可能性が発生してしまいます。

ちなみに、2024年4月からは相続登記の義務化が始まり、一定期間内に名義変更が行われなかった場合、過料が科されるようになりました。法改正も踏まえ、相続が発生した際には速やかに名義変更の手続きを行うことが重要です。

相続した家の名義変更が必要になるケース

相続した家の名義変更が必要になるケース

相続した家の名義変更が必要になるケースは、被相続人との関係性によって異なります。主な相続のパターンと、それぞれの場合の手続きの流れについて解説します。

配偶者間の相続

配偶者間の相続は、夫から妻へ、または妻から夫へ家を相続するケースを指します。配偶者は民法上、常に相続人となるため比較的スムーズに手続きを進めることができます。

ただし、子どもがいる場合は、子どもも相続人となるため、遺産分割協議が必要になる場合があるでしょう。

直系血族間の相続

直系血族間の相続は、主に親から子へ家を相続するケースを指します。

直系血族間の相続の場合、配偶者と子どもがともに相続人となる場合があります。相続人が複数いる場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を相続するかを決定する必要があります。

そして、相続人の中から家を相続することが決定した人が家の名義変更を行います。

兄弟姉妹間の相続

兄弟姉妹間の相続は、親や配偶者、子どもがいない場合に発生します。

兄弟姉妹間の相続の場合、相続人全員の合意が必要となります。遺産分割協議で家の相続が決まったら、名義変更を行いましょう。

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親族以外の人が相続

遺言書によって指定された場合や相続人がいない場合は、親族以外の人が相続することもあります。もちろん、親族以外の人が相続する場合も名義変更が必要です。

なお、親族以外の人が相続する場合、法定相続人との間でトラブルが発生するリスクがあるため、遺言書の内容が明確で、法的に有効であることが重要になります。また、遺留分侵害の問題が生じる可能性もあるため、名義変更をする前に専門家に相談するとよいでしょう。

相続した家の名義変更の流れ

相続した家の名義変更の流れ

相続した家の名義変更の流れについて詳しく解説します。

家の相続人を決める

まず、家の相続人を誰にするのかを決定する必要があります。

被相続人が遺言書を残していた場合は、原則として遺言書の内容に従います。遺言書がない場合は、法定相続人の中で誰が家を相続するかを決めます。

法定相続人の順位
常に相続人となる人配偶者(妻、夫)
第一順位直系卑属(子ども、孫)もしくはその代襲相続人
第二順位直系尊属(両親、祖父母)
第三順位兄弟姉妹もしくはその代襲相続人

複数の相続人がいる場合は、遺産分割協議を行って相続する人を決定します。家の相続を決める際は相続人全員の合意が必要となります。

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各必要書類の準備する

家を相続する人が決まったら、相続登記に必要な書類を準備します。主な必要書類は以下の通りです。

  • 被相続人の戸籍謄本・除籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人の住民票
  • 被相続人の住民票除票
  • 不動産の登記事項証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 遺産分割協議書(複数の相続人がいる場合)
  • 遺言書(ある場合)

相続人が自ら作成しなければならない書類もあるため、必要に応じて専門家から指導を受けることも検討しましょう。

法務局へ申請する

必要書類が揃ったら、不動産の所在地を管轄する法務局に相続登記の申請を行います。申請方法は以下の3つから選択できます。

  • オンライン申請
  • 郵送申請
  • 窓口申請

オンライン申請の場合は法務局に直接出向く必要がなく、24時間いつでも申請可能です。ただし、事前に電子証明書の取得が必要になるため注意しましょう。

郵送申請や窓口申請の場合は、必要書類を直接提出します。

申請後、法務局で審査が行われ、問題がなければ登記完了です。登記完了後は法務局から登記識別情報が交付されます。

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相続した家の名義変更の期限

相続した家の名義変更の期限

2024年4月1日からの法改正により、法改正は所有者不明土地の増加を防ぐことを目的として、被相続人の死亡を知った日から3年以内に相続登記を行うことが義務付けられました。

期限を過ぎても相続登記が行われなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。ただし、相続人が相続の放棄をした場合や、相続財産管理人が選任された場合などは、名義変更の義務が免除されます。

また、相続登記の義務化に伴い、法務局が相続人に対して相続登記の申請を勧告する制度も導入されました。後のトラブルを防止するためにも、相続が発生した場合はできるだけ早く相続登記の手続きを進めましょう。

相続した家の名義変更時の主な必要書類と取得方法

相続した家の名義変更に必要な書類と取得方法について解説します。

被相続人の戸籍謄本・除籍謄本

被相続人の戸籍謄本・除籍謄本は、被相続人の出生から死亡までの身分事項を証明する書類です。被相続人の戸籍謄本・除籍謄本は、被相続人の本籍地の役所で取得できます。

戸籍謄本は現在の戸籍の写しであり、除籍謄本は過去の戸籍の写しです。被相続人が死亡している場合、除籍謄本が必要になります。

また、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍が必要となるため、複数の戸籍謄本・除籍謄本が必要になる場合があります。

相続人全員の戸籍謄本

相続人が複数いる場合は、全員分の戸籍謄本が必要です。また、相続人の中に既に亡くなっている人がいる場合は、除籍謄本も必要になります。

相続人全員の戸籍謄本は、各相続人の身分関係を証明する書類で、各相続人の本籍地の役所で取得できます。

遺産分割協議書

遺産分割協議書は、相続人全員で話し合って決めた遺産の分割内容を記載した書類です。遺産分割協議書は相続人が自ら作成します。

遺産分割協議書には、以下の内容を記載しましょう。

  • 被相続人の氏名と死亡年月日
  • 相続人全員の氏名と続柄
  • 相続財産の内容
  • 各相続人の相続割合や相続する財産
  • 協議の日付
  • 相続人全員の署名と実印の押印

わからない部分がある場合や、作成が難しい場合は税理士や弁護士など、専門家からアドバイスを受けることをおすすめします。

固定資産評価証明書

固定資産評価証明書は、相続する不動産の評価額を証明する書類です。固定資産評価証明書は、相続税の計算や登録免許税の算出に使用され、相続の対象となる不動産がある市区町村の役場で取得できます。

なお、取得の際は、被相続人の氏名や物件の所在地、相続人との関係を証明する書類(戸籍謄本など)が必要になる場合があります。

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相続した家の名義変更にかかる費用

相続した家の名義変更にかかる費用

相続した家の名義変更にかかる費用についてまとめてご紹介します。

自分で手続きする場合

自分で手続きを行う場合、主に以下の費用がかかります。

  • 被相続人、相続人全員の戸籍謄本:1通につき450円程度
  • 被相続人の除籍謄本、改製原戸籍謄本:1通につき750円程度
  • 被相続人、相続人の戸籍の附票:1通につき300円程度
  • 相続人全員の住民票:1通につき300円程度
  • 被相続人の住民票除票:1通につき300円程度
  • 不動産の登記事項証明書:1通につき600円程度
  • 固定資産評価証明書:1通につき300円程度
  • 登録免許税:不動産の固定資産税評価額×税率0.4%(4/1,000)

登録免許税は家の固定資産税評価額によって変動します。例えば、固定資産税評価額が2,000万円の家を相続する場合、登録免許税は80,000円(2,000万円×0.4%)となります。

専門家に依頼する場合

専門家に依頼する場合、専門家の種類によって費用が異なります。主な専門家ごとの費用内訳をご紹介します。

司法書士に依頼する場合
司法書士報酬約50,000〜150,000円程度
実費(登録免許税)不動産の固定資産税評価額×0.4%
雑費、戸籍謄本取得費約10,000〜30,000円程度
弁護士に依頼する場合
相談料30分5,000円〜10,000円程度
着手金200,000〜600,000円程度
報酬金着手金と同程度または相続財産の数%
その他手数料、実費数万円程度
税理士に依頼する場合
基本報酬200,000〜500,000円程度
加算報酬相続財産の金額や複雑さに応じて変動

専門家に依頼する場合、費用は高くなりますが、専門的な知識や経験に基づいたサポートを受けられるメリットがあります。特に、相続が複雑な場合や相続税の申告が必要な場合は、専門家への依頼を検討するとよいでしょう。

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相続した家の名義変更をしないとどうなる?

相続した家の名義変更をしないとどうなる?

相続した家の名義変更をしないと、いくつかのリスクが発生します。そのため、法で決められた期限内に相続した家の名義変更を済ませなければなりません。

相続した家の名義変更をしなかった場合に発生する、主なリスクについて解説します。

家の売買や譲渡ができなくなる

名義変更をしないまま長期間が経過すると、相続した家の売買や譲渡が困難になります。なぜならば、登記簿上の所有者名義が被相続人のままであるため、相続人が正当な所有者であることを証明するのが難しくなるからです。

また、金融機関からの融資を受ける際にも、所有権の証明が求められるため、名義変更が済んでいないと融資を受けられない可能性があります。

相続人同士でトラブルが起きる可能性がある

名義変更を行わないまま時間が経過すると、相続人同士でトラブルが発生するリスクが高まります。

特に複数の相続人がいる場合、誰がどの程度の権利を持っているのかが不明確になり、後々の相続や財産分割の際に紛争の種となる可能性があるでしょう。

例えば、名義変更をしないまま相続人のひとりが亡くなった場合、その人の相続人も権利を主張する可能性があり事態がより複雑化します。

また、相続人の中に認知症などで判断能力が低下した人がいる場合、後見人を立てる必要が生じるため手続きがさらに煩雑になる可能性があります。

登記義務違反による罰則がある

2024年の法改正により相続登記が義務化され、相続登記を行わなかった場合の罰則やペナルティが設けられました。

具体的には、相続による不動産取得後3年以内に登記を行わなければ、10万円以下の過料対象となります。

罰則は相続人に対して速やかな相続登記を促すものですが、同時に相続人の権利を保護し、不動産の適切な管理を確保するための措置でもあります。そのため、できるだけ早めに相続登記を済ませましょう。

相続した家の名義変更は専門家への依頼がおすすめ

相続した家の名義変更は専門家への依頼がおすすめ

相続した家の名義変更は、複雑な手続きを伴う場合が多いため、専門家への依頼をおすすめします。

特に以下のようなケースでは、専門家のサポートを受けた方がトラブルや負担を最小限に抑えられるでしょう。

  • 遺言書がなく相続人の人数が多い
  • 相続する不動産の数が多い
  • 不動産の売却を控えていて急ぐ必要がある

なぜ専門家に依頼することがおすすめなのか、相続した家の名義変更を専門家に依頼することで得られるメリットについて解説します。

専門知識に基づいて的確な助言をしてくれる

不動産登記の手続きは複雑で、専門的な知識が必要です。相続人にとって家の名義変更は初めてでも、専門家は相続や不動産登記に関する豊富な知識と経験を持っているため、スムーズな登記申請が可能です。

また、専門家ならば法律の知識が豊富で、相続法や不動産登記法などの関連法規に精通しているため、法的な観点から適切なアドバイスを受けられます。

税金に関する知識も豊富なため、誤った手続きによって脱税してしまうリスクを回避することも可能です。

負担が少なく確実な手続きが可能

家の名義変更は用意する書類や準備することが多く、複雑で負担の大きい作業です。

専門家ならば必要書類の作成から法務局への申請まで一連の手続きを代行してくれるため、相続人の負担を大きく軽減してくれます。

また、実績と経験により正確な書類作成や手続きを行ってくれるため、書類の不備や手続きのミスを防ぐことができます。

負担をできるだけ減らして、確実な手続きをスムーズに行いたいならば、専門家へ依頼することが最も有効な手段だと言えるでしょう。

安心感を得られる

複雑な手続きを相続人自身が行う場合、さまざまな書類の不備があったり、正常に手続きが進まなかったりなどさまざまなトラブルが発生する可能性があります。

家の名義変更のプロである専門家へ依頼することで、確実に手続きが進められるため安心して家の名義変更を進められるでしょう。わからない部分は不明点もしっかり解消し、最後まで責任を持って対応してくれます。

また、精神的な負担を減らすこともできるため、不安が多い場合は専門家へ依頼することも検討しましょう。

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まとめ

2024年4月からは相続登記が義務化され、3年以内に名義変更を行わないと過料の対象となる可能性があります。そのため、家の名義変更はできるだけ早めに済ませる必要があります。

しかし、名義変更の手続きには、さまざまな書類の準備が必要であり、複雑で専門性の高い手続きとなっています。相続人自身がひとりで手続きを行うことも可能ですが、書類の不備などを減らし、確実でスムーズに手続きを進めるならば、弁護士や税理士などの専門家を頼ることも検討するとよいでしょう。

相続による家の名義変更は、故人の遺志を尊重し、相続人の権利を守るための重要な手続きです。ぜひ参考にして適切に手続きを進めていきましょう。

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著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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