「友人葬」と聞くと故人の友人たちが主体になって執り行う葬儀をイメージしますが、友人葬とは創価学会の葬儀のことです。
宗教団体である創価学会独自の葬儀を「友人葬」と言います。
創価学会の葬儀ではあるものの、参列者の宗教・宗派は問いません。誰でも参列できる葬儀です。
創価学会の葬儀である友人葬とはどのような葬儀なのか、一般葬との違いや葬儀の流れを解説します。
もくじ
創価学会の葬儀「友人葬」とは
友人葬とは創価学会独自の葬儀のことです。友人ではなく、遺族が中心となって葬儀を執り行います。
そもそも友人葬とはどのような葬儀なのか、一般的との違いを交えて解説します。
創価学会は法華経系の宗教法人
創価学会とは1930年に設立された宗教法人です。
大乗仏教の一派である法華経系の在家仏教で、会員数は国内で827万世帯(公称)にもおよびます。なお、世帯数は本尊の総数であり、脱退した世帯や信仰心を失った世帯も含まれています。
在家とは、出家せずに普通に家庭で生活しながら仏道に帰依する者のことです。
創価学会員は自宅に仏壇や小型の御本尊「お守り御本尊」を安置し、日々の勤行に励みます。
「創価」は「価値創造」の意味で、その価値の中心には生命の尊厳の確立があり、万人の幸福と世界の平和の実現を目標にしています。
創価学会の友人葬は遺族と友人が集う葬儀
創価学会の葬儀である「友人葬」が誕生したのは1991年ごろです。
友人葬は遺族と友人たちが集いあう葬儀で、法華経の「方便品」と寿量品の「自我偈」を読み「南無妙法蓮華経」の題目を唱え追善供養を行うもの。
友人葬は創価学会の独自の葬儀ではあるものの一般的な葬儀と大きく違うわけではないので、特殊なマナーや作法を身につける必要はありません。服装もマナーや作法も、一般的な葬儀と同じで結構です。
もちろん参列者の宗派や宗教も問わないので、創価学会員でなくても参列できます。
僧侶を呼ばないからお布施や戒名もない
友人葬の大きな特徴は僧侶を呼ばないところです。
仏教式の一般的な葬儀では、僧侶をお招きして読経や戒名などの儀式を行いますが、創価学会の友人葬では僧侶の代わりに友人の代表(儀典長)が導師を行います。
僧侶を呼ばないので、お布施や戒名のための費用も用意する必要がありません。もちろん、導師へ謝礼を支払う必要もありません。
長い葬儀の歴史の中で、僧侶を呼ぶようになったのは江戸時代からです。檀家制度に伴って、葬儀に僧侶を呼ぶ風習が広まりました。
仏教の開祖である釈迦(仏陀)には「僧侶が読経を唱えないと成仏しない」「故人には戒名が必要」などの考えはありません。
これらは後から付け足された風習であり、仏教の考えにはない儀式なので省いたところで魂が成仏せずに路頭に迷うことはないでしょう。
そもそも葬儀の形式と故人が成仏するかどうかは関係がなく、仏法では故人の生前の信仰や行いが重要だと考えられています。
だから、僧侶を呼ばずに葬儀を行っても問題ありません。
創価学会が葬儀において最も重視しているのが、故人を悼み冥福を祈る真心です。真心からの追善供養を行う友人葬こそ、仏法の本義に則った葬儀であるとして執り行われています。
友人葬で使う祭壇は「しきみ祭壇」と「白い生花祭壇」
一般的な葬儀で使用する祭壇は、白木祭壇や花祭壇(生花・造花)などですが、友人葬では「しきみ祭壇」と「白い生花祭壇」を使用します。
樒(しきみ)とは緑色の葉が美しい常緑小高木で、葬儀では花をつけていない状態で使用するケースが多いです。なお、しきみ祭壇は創価学会だけでなく、日蓮正宗でも用いられています。
また、友人葬では白い生花を使った花祭壇も使用します。
厳密に白い生花でなければならないわけではありません。創価学会によると、祭壇や遺影を色花で飾っても問題ないとしています。樒も花で代用して問題ありません。
ただ、同じ創価学会でも地域による違いは多少なりともあるので、予め地域の風習を確認しておいたほうがよいでしょう。
友人葬のお通夜、葬儀・告別式の流れを解説
友人葬には一般的な葬儀にはない儀式を行って、故人の冥福を祈ります。
では、友人葬のお通夜と葬儀・告別式の流れを解説します。
お通夜と葬儀・告別式の流れはほとんど同じ
友人葬の流れはお通夜と葬儀・告別式ともにほとんど同じ流れで進行します。ただし、地域によって友人葬の内容や順番が異なるケースがあります。
なお、友人葬には独自の儀式がありますが、流れ自体には一般的な葬儀との大きな違いはありません。
1.開式の辞
まずは司会による葬儀開始のご案内から始まります。
2.導師による読経・唱題
導師を中心に参列者で読経・唱題を行います。
読経:華経の方便品と寿量品の自我偈(2回)
唱題:南無妙法蓮華経の題目
3.焼香
1回目の自我偈に入ると同時に、導師→副導師→親族→参列者の順で焼香を行います。
4.御祈念文・題目三唱
焼香終了後に導師が唱題終了の合図に鈴を鳴らし、追善供養の祈念をします。
祈念が終わると鈴の合図に合わせて、参列者全員で題目三唱を行います。
5.弔慰文・弔電紹介
弔慰文と弔電を紹介をします。流れ次第では導師の挨拶の際に、まとめて紹介するケースもあります。
6.導師挨拶
導師からの挨拶です。弔慰文・弔電紹介を省いた場合は、導師挨拶でまとめて行います。
7.喪主による謝辞
喪主もしくは親族代表による謝辞です。
8.参列者全員で題目三唱
再度、導師による鈴の合図に合わせて参列者全員で題目三唱を行います。
9.閉会の辞
最後に司会による葬儀終了のご案内を行います。終了後に葬儀・告別式についての連絡や注意事項が伝えられます。
お通夜の場合は閉会の辞をもって終了し、解散もしくは会食となります。
10.お別れの儀式・出棺
葬儀・告別式の場合は閉会の辞終了後に、唱題する中で導師および遺族、会葬者が棺に花やしきみを納めてお別れの儀式を行います。お別れの時間を過ごしたあと、棺が霊柩車に運ばれ、火葬場に向けて出棺します。
参列時のマナーや服装は一般的な葬儀と同じ
参列する際のマナーや服装については、一般的な葬儀と同じで問題ありません。お通夜と葬儀・告別式の両日に参列される場合も、同じ服装で良いです。
ただ一般的な葬儀と違う点は、友人葬においては香典を必ずしも用意しなければならないわけではないところ。
創価学会の方針では、儀礼的な意味で香典を持参する必要はないとしているため、中には儀礼的な香典の受け取りを辞退するケースもあります。
ただ香典は気持ちとしてお渡しするものなので、辞退の有無に関わらず準備はしておいたほうがよいかも知れません。
友人葬は創価学会の葬儀で僧侶を呼ばないお葬式
友人葬は友人が執り行う葬儀のようなイメージがありますが、実際は創価学会独自の僧侶を呼ばない葬儀のことです。
僧侶を呼ばないので儀式の内容が一般的な葬儀とは違いますが、準備や喪主は遺族が行う点や、流れやマナーに関する部分は一般的な葬儀と同じです。
多少の違いはあっても一般的な葬儀と大きく異なるわけではないので、参列する際は一般的な葬儀と同じように真心込めて故人の冥福を祈りましょう。