通夜や葬式の際持参する香典に使うお札は、新札は避けるというマナーがあります。一方、結婚式や出産祝いなどのお祝い事のご祝儀には、新札を用意して渡すのがマナーです。
何故このような違いがあるのか、疑問に思ったことはありませんか?
実は祝儀や香典のお札には、単にお金を渡すというだけではなく、深い意味が込められています。そのことを理解しておけば、いざ不幸があった場合にも慌てずにきちんとした対応ができるでしょう。
香典の由来や意味に基づいたマナーについて解説し、実際に香典を渡す際に役立つ基本の知識を紹介します。
もくじ
香典に新札が使えない理由を解説
葬儀や通夜に参列する際に香典を持参しますが、香典として包むお札のマナーをご存知でしょうか。一番大切なマナーとして新札を使ってはいけないというものがあります。
新札しかなくても、古いお札を用意しなくてはいけないのでしょうか?
香典を用意する際に役立つお札のマナーをご紹介します。
香典は故人への弔意や遺族へお悔やみの気持ちを示すもの
現代では香典とは葬儀や通夜に持参する現金のことを指しますが、正式には「香奠」。「香(線香)を奠(供える、祀る)」という意味で、亡くなった方に供える香り、線香のことを表す言葉でした。
現代でもお供えとして線香を持参することもありますが、線香を供えるのはこんな理由があります。
仏教では人が亡くなると四十九日後のその日まで、「意生身(いしょうじん)」といって姿は見えませんが、現世にとどまって漂っているそうです。その間、亡くなった方は線香の香り食すると言われており、そのため、線香やお供えを供えて慰めます。
現代では線香のことを香典とは言いませんが、亡くなった方の魂を慰め、不幸のあった家族に対してお悔やみの気持ちを示すという点は昔と変わりません。
昔からの儀礼が今も大切に受け継がれているものなので、気持ちが伝わるようにマナーを守るようにしましょう。
香典で古いお札を使う理由は「慌てて準備したこと」をあわらすため
結婚式やお祝い事のご祝儀を包む際は、旧札は失礼にあたるため、前もって銀行に出向き新札を用意する必要があります。結婚式などのお祝い事は、新しい門出をお祝いするためのものだからです。
新札の場合は前もって準備しなくてはいけないため、「あなたのお祝い事を楽しみにして用意していましたよ」という気持ちが相手にも伝わります。
それとは逆に、香典を事前に用意するというのは、死を予想していたともとれて失礼になるのです。地域によっては特に気にしない場合もありますが、「新たな不幸を招かない」という意味でも古いお札を包むようにしましょう。
しかし、あまりにもボロボロのお札、汚れているものや破れているものはマナー違反です。新札を避ける必要があっても、ボロボロのお札は良い印象を与えません。
新札しかなかった場合は折り目をつけること
葬儀は急な連絡多く、場合によっては新札しか手元にないこともあるかもしれません。通夜の知らせを聞いて慌てて参列したら新札を持参してしまい、旧札を準備する時間がないこともあるでしょう。
そんな時は、新札を香典袋に入れる前に、2つに折って折り目をつけましょう。何度か折っておくと新札という印象は無くなるので安心して渡すことができます。
通夜に参列する際は喪服の用意などもあり、慌ただしいものです。万が一新札しかない時は無理にお店などで両替しなくても、新札に折り目をつけてて使用するほうが良いでしょう。
お札の入れ忘れには注意
あってはならないことですが、意外とありがちなのが香典袋にお札を入れ忘れてしまうことです。通夜の参列はその日に訃報を聞いて用意することも多いため、思っているより起こりうるミスのようです。
会費制ではないため、香典の金額に喪主家は口を出す立場ではありません。そのため、お札を入れ忘れた方に受付係や会計の担当者が「お札が入っていません」と声をかけるのは難しいです。
お札を入れ忘れたかもしれないと後で気づいた場合は、そっと受付の方などに確認するほうがいいでしょう。香典を渡す前に、入れ忘れがないかを確かめることが大切です。
その時、お札の向きなども見ておきましょう。お札の向きには表面を下にしておくのが正式で、そうすることによってお札の人物がうつむく形になり、亡くなった方への弔意を示すことができます。
まとめ|香典は新札ではなく古いお札を入れてお祝い事と区別すること
香典はお悔やみの気持ちを表現するものです。葬儀の際は、必ず旧札を使用します。
香典はただ渡せば良いものではなく、相手を思いやってマナーを守ることが大切です。
結婚式などのお祝い事は、新札を使用するのがマナーのため、混同しないように注意。マナーの意味まで理解することで、勘違いも起こりにくくなるでしょう。