生前整理の進め方と費用|家族に負担をかけないために

投稿:2020-12-23
生前整理の進め方と費用|家族に負担をかけないために

死と向きい自分らしい人生を最期まで送るための準備として、近年「終活」をすることが当たり前となってきました。

そして終活が広まっている中で、生前整理を積極的に行う人が増えてきています。

しかし、生前整理で行うべきことは意外と多く、どこから手をつけたらいいか、いつから始めればいいかわからずに始められない方が多いのも現状です。

自分の死後に家族に迷惑をかけないためにやっておきたい生前整理の進め方と、業者に依頼する際の費用について詳しく解説します。

家族の負担にならないために生前整理を始めるタイミングと進め方

生前整理は自分の死後や病気の際に、家族にかかる負担を軽減できます。しかし、自分にいつ万が一のことが襲いかかるのかは誰にもわかりません。

では、生前整理はいつから始めて、どのように進めればいいのでしょうか。詳しく解説します。

生前整理はターニングポイントや区切りのいいタイミングに行う

生前整理を始めるタイミングはいつでも良いです。健康なうちから始めることが理想なので、少しずつでも思い立ったらすぐに始めましょう。

もし自分の死と向き合えず、なかなか生前整理を始められないのであれば、ターニングポイントや、50歳、60歳などの区切りのいいタイミングで始めると良いです。

おすすめのターニングポイントは、就職・転職・結婚・出産・子供の独立、引っ越し、昇進など。環境が一気に変わったとき、自分の身の回りを見直すきっかけとして生前整理を始めるとよいでしょう。

所有物と財産を把握するための財産目録を作成する

生前整理で必ず整理するべきものは自分の所有物と財産についてです。所有物と財産を整理するためには、自分がなにをどれくらい持っているのか把握するために、財産目録を作成しましょう。

財産は金銭だけでなく、土地や建物、宝石や骨董品、車、有価証券なども含まれます。

財産目録で正確に自分の財産を記載しておけば、遺族が財産の有無を調べる必要がなくなり、負担を減らすことが可能です。家族が財産相続をしやすくなるだけでなく、自分の財産を把握することで、税金や分与など相続に関する対策もしやすくなります。

これらの財産についてご自身が財産目録の中で正確に記載することで、遺族はあなたの死後に財産の有無を調べる必要がなく、比較的簡単に相続手続きが進められます。

少しずつ身の回りの不用品を処分する

遺留品の処分は遺族にとって大きな負担になりやすいです。あまりに家が広かったり、遺留品が大量に残されてたりする場合などは、遺族が遺留品の整理を業者に依頼するかもしれません。

しかし、普段から少しずつ不用品を処分していれば、遺留品は必要最低限のものだけになっている状態なので、業者に依頼する必要もなく、遺族の負担も軽減できます。

そもそも使わない物に囲まれながら送る生活は、ストレスの原因になることも。不用品を処分して居心地のよい住環境に整えれば、ストレスの原因がなくなり、よりよい人生を送れることでしょう。

普段の家事などにプラスして不用品を少しずつ処分を行えば、財産整理などほかの生前整理に集中することができます。一度で大量に処分する必要はないので、ゆっくり時間をかけて少しずつ使わない物などを手放していきましょう。

財産について意思を示したい場合は遺言書を作成する

もしも財産について示したい自分の意思がある場合は、遺言書の作成もしてください。

遺言書がなくても財産分与自体はできますが、遺族以外の特定の人物に財産を渡すことはできません。

また、財産が多い場合は遺言書が作成されていないと、誰がどれくらい相続するのか遺族の中で争いが起こってしまうケースも。

遺族同士で争って欲しくない場合や、遺族以外の人に残したい場合、相続の割合を自分で決めたい場合などは、弁護士などに依頼して法的効力を持つ正式な遺言書を作成しましょう。

希望に沿った財産相続をするなら家族信託の利用を検討する

生前整理の際に家族信託の利用を検討することもおすすめです。家族信託とは、信託の仕組みを利用して、財産管理を家族に委託したり、遺産の継承をしてもらったりする制度です。

信託銀行に財産を預ける場合、受託者である信託銀行に資産運用を代行してもらっているため、信託報酬を支払う必要があります。そのため、委託した自分自身や家族の希望に添えられないケースがでてくることも。

家族信託は信頼できる家族が受託者となり、財産管理を委ねるという仕組みです。財産は基本的に、本人の委託なく家族が管理したり売却したりすることはできません。たとえば、自分自身が認知症や脳梗塞などの病気で、判断能力が低下してまうと、有効に財産管理ができなくなってしまい、相続対策が難しくなるリスクが出てきます。

家族信託を利用して、信頼できる家族に管理を委託することで、元気なうちに財産の継承ができ、遺言書だけではカバーしきれない部分の財産処分も可能です。

希望に沿った財産相続をしたいのであれば、生前整理で財産目録を作る際に家族信託の利用も検討してみましょう。

通販サイトやSNSのアカウントなどデジタル関連の情報を整理する

インターネットでSNSや通信販売サイトを利用している人は、アカウントのログイン情報の管理しておくことをおすすめします。死後にアカウントの悪用を防ぐために、どこにどのような情報を登録しているのかきちんと把握しましょう。

とくに通信販売サイトでクレジットカードなどを利用した際は、カード情報が自動保存されてしまうため、必ずアカウント情報は確認してください。

また、月額料金が発生する有料サービスについても把握・整理をしましょう。有料サービスは解約されない限り、死後も料金が発生します。余計なサービスに加入していないか確認しつつ、デジタル関連の情報を整理しましょう。

希望や家族へのメッセージを書いたエンディングノートを作成する

エンディングノートを作成して生前整理を行うこともおすすめです。

エンディングノートとは、自分の死後に葬儀の形式や財産に関してなどで行って欲しいことや、家族へのメッセージを書き込むノートです。終活や生前整理のためのメモ書きのようなものなので、遺言書のように法的効力はありませんが、エンディングノートがあれば葬儀などの際に家族の負担を軽減できます。

エンディングノートに必要事項を書き出すことで、より身の回りの整理やしやすくなるので、生前整理の際に活用してみてください。

生前整理を業者に依頼する場合の費用やサービス内容

生前整理を業者に依頼する場合の費用やサービス内容

生前整理にかかる時間と労力は人よって大きく異なります。とくに、物が多い人や広い家に住んでいる人は、その分整理しなければならないことが多いので大変です。

自分自身だけでは生前整理が難しい場合は、業者への依頼も検討してみましょう。

では、業者に生前整理を依頼した場合は、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?

財産整理やエンディングノート作成以外は依頼可能

業者に依頼できる範囲か財産整理やエンディングノートの作成以外です。

  • 財産目録の作成
  • 遺言書の作成
  • 不用品や家財の整理・処分
  • デジタル整理

必要な分だけの依頼が可能なので、自力での生前整理が難しい部分は業者への依頼を検討してみましょう。

費用は間取りや依頼内容によって異なる

生前整理の料金は依頼するサービス内容や、家の間取りによって大きく異なります。

なお、生前整理そのものについて相談も可能であり、生前整理アドバイザーへの依頼だけならば、費用は1時間3000~5000円ほどです。

では、さらに細かなサービス内容に応じた費用相場を解説します。

不用品処分や家財の整理整頓は3万円から可能

不用品処分や家財の整理整頓の費用相場は以下の通りです。

  • 1R・1K:30,000~80,000円
  • 1DK・1LDK:70,000~200,000円
  • 2DK・2LDK:90,000~300,000円
  • 3DK以上:150,000~600,000円

間取りや物の量、作業時間によって料金が変わるので、同じ間取りでも2倍以上も費用が膨らむ場合があります。そのため、依頼をする前に必ず業者に見積もりを作成してもらうことをおすすめします。

PCやスマートフォン関係のデジタル整理は1~2万円前後

デジタル管理を依頼する場合、サービス内容によって費用が異なりますが、どのサービスも平均して8,000~20,000円程度で依頼可能です。

ただし、デジタル機器を業者に送る際に別途で送料が発生する場合があり、出張依頼なら出張費がかかります。このように、デジタル管理は提示されている価格よりも高くなるケースがあるため、依頼する際は必ず追加料金の有無も確認しましょう。

財産目録や遺言書の作成は内容や依頼先によって大きく異なる

財産目録の作成にかかる費用は、項目が多い場合や、作成に時間がかかる場合は料金が大きく変わります。安く済む場合では50,000円程度で依頼可能ですが、内容によっては100,000円近く跳ね上がることも。

また、遺言書の場合は依頼先によって料金が変わります。

・弁護士:100,000〜300,000円

法律の専門家なので、法律に則った正確な遺言書の作成が可能です。万が一、遺族感で相続に関する揉めごとが起きた場合にも対応してもらえます。

・行政書士:70,000〜100,000円

財産の特定調査が必要ない場合は、比較的リーズナブルな行政書士への依頼がおすすめです。なお、簡素な遺言書ならさらに費用を抑えて依頼可能です。

・司法書士:70,000〜100,000円

財産に不動産がある場合に、不動産の特定を含めた遺言書の作成を依頼できます。

・信託銀行・信託会社:1,300,000~1,800,000円

遺言書の作成のみだけでなく、財産の管理や遺言執行も含まれているため、費用が高額になります。担当者の質が重要なので、よく検討して利用することをおすすめします。

死後に家族への負担を減らしたいなら生前整理は行ったほうが良い

生前整理は自分の人生を見直すとともに、家族への負担を軽減できます。生前整理で行うべきことはたくさんありますが、とくに財産目録の作成と不用品の処分は最低限行いましょう。

生前整理を始めるタイミングはいつでも問題ありませんが、健康なうちにきっちり終わらせることが理想なので、早いうちから取り掛かることをおすすめします。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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