「自分の葬儀は豪華にして欲しい」と言った祖父は正しかったのか?

投稿:2021-07-05
「自分の葬儀は豪華にして欲しい」と言った祖父は正しかったのか?

近年、家族葬という言葉が一般的になりはじめ、小規模な葬儀が増えています。

さらに、COVID-19(コロナウイルス)の流行から、コロナ禍で密を避ける必要があり、家族葬の需要が急速に高まりました。こうした背景からコンパクトな葬儀PRする葬儀社も増えています。

故人を偲び、残された人々のグリーフケアの役割もあるお葬式。質素なお葬式を望むことは、果たして良いことなのでしょうか。

葬儀にかけたい費用のアンケート調査結果から読み解きます。

自分の葬儀より家族の葬儀は費用をかけたい?

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「自分の葬儀にかける費用として適切だと思う価格はいくらですか?」という問いに、約60%の人が30万円から60万円と回答しました。

それに対し、「自分が喪主になった時にかける費用とし適切だと思う価格はいくらですか?」という問いには約56%の人が60万円以上と回答しています。

自分が喪主になった時にかける適正費用は?

多くの人が自分の葬儀より家族の葬儀に費用をかけたいと考えていることがわかります。自分の葬儀はなるべく質素に、家族はそれ以上にという意向です。

「自分」と「家族」、葬儀に対する考え方の違いを考える

「誰の葬儀なのか」によって葬儀の予算に違いが出るのはなぜでしょうか?この調査だけで断定はできませんが、結果を考察しました。

自分の葬儀を質素する4つの理由

自分の葬儀はなるべく費用をかけないようにという考えはどのようなものが背景にあるのでしょうか?

1.人間関係の変化

まずは、親戚関係やご近所づきあいの希薄化などから、人間関係が変化していることが考えられます。高齢になるほど生活圏も小さくなり、交友関係も減ります。

仕事をしている場合もプライベートなことは避ける傾向にあり、会社関係の会葬を辞退するケースも。

2.宗教観の変化

無宗教での葬儀が増加傾向にあり、宗教観の変化も考えられます。しきたりに対して寛容な宗教家も多くなり、故人や遺族の意向が重要視されるようになりました。

3.経済的な問題

厚生労働省の調査で生活が苦しいと感じている人の割合が増加傾向にあり、葬儀の費用をなるべく抑えたい人が増えていると考えられます。

4.喪主などの遺族の負担を減らしたい

自分の葬儀を考えるとき、喪主などの負担が最大の心配なのでないでしょうか。経済的なことだけでなく、弔問客への対応など、葬儀の規模が大きくなればなるほど遺族への負担は大きくなります。 

家族の葬儀に費用をかけたい3つの理由

なぜ自分より家族の葬儀に費用をかけたいと考えるのでしょうか?

1.宗教的儀式として重要だから

「質素な葬儀で故人は成仏できるのだろうか?」という心配があるようです。

もちろんかけた費用は関係ないとする宗教家も多いです。しかし死後の世界は誰にも分かりません。

できる限りのことをすれば安らかに眠れるのではないかと思うのは当然のことでしょう。

2.体面を保つために必要

「葬儀は遺族のメンツ、墓は本人のメンツ」という表現がありますが、ある程度の規模の葬儀は遺族の体面を保つために必要な場合があります。

故人の立場や住んでいる地域の価値観などで差が出るでしょう。メンツというとまるで悪いことのようですが、残された人が生活しやすくするために必要だと判断すれば、必ずしも悪いことだとは言えません。

3.遺族はできるだけのことをしたい

「故人が安らかに眠れるように」
「最期のお別れができるように」

遺族はできるだけのことをしたいと思うことでしょう。

「たくさんの人に見送ってもらえるようにしよう」
「棺を良いものにしよう」
「お花を多くしよう」

故人のためを思いさまざまな要望を叶えようとすると、必然的に葬儀にかかる費用は増えます。

弔問客へ感謝の気持ちを表わしたい場合も同じです。

「通夜振る舞いはなるべくよいものを」
「会葬御礼は使い勝手もよいものを」

感謝の気持ちを表わそうとすると、それだけ出費が増えます。もちろんお金をかければいいというものでもありません。

しかし、気持ちを表現するためには費用が必要なのだという考え方の人もいるでしょう。

「特別なことはしなくていいよ」はやさしさなのか?

葬儀の規模を小さくして祭壇などもごく一般的なものにすれば、遺族の経済的負担は減ります。弔問客も少なくなり、実務的な負担も軽くできるでしょう。

「小さければ小さいほどよいのではないか・・・。」と思ってしまいがちです。

しかし、それは本当に遺族のためになるのでしょうか?

アンケートの結果にもあるように、遺族は「自分よりも家族の葬儀を大切にしたい」と考えています。できる限りのことをしたいのに、当の本人がそれを拒否することは良いことなのでしょうか。

もちろん多大な苦労や負担を強いる葬儀は誰も望まないでしょう。しかし、葬儀の後の生活に支障のないくらいの大変さを経験することで、遺族は「きちんとお別れができた」と思えるのかもしれません。

もちろん本当に親しい人たちだけで最期を過ごしたいということもあります。たとえ規模が小さくても、思い出の写真を飾ったり、好きだった色のお花をお供えしたり、心をこめたお別れをすることはできます。

「特別なことはしなくていいよ」というのは残された人に対してのやさしさのようで、捉え方によってはそうではないのかもしれません。

「あの曲を流してほしいな」
「できれば家族ひとりひとりにお別れの言葉を言って欲しい」

家族ができそうなことをお願いするのもひとつと考えることもできます。

「できるだけ豪華な葬儀を」と言った祖父の本心

葬儀のデスク編集部スタッフの祖父は35年ほど前にがんで亡くなりました。

祖母にとって最愛の祖父。祖母はいつも誇らしげに、うれしそうに祖父との思い出を口にしていました。生前、祖父は自分の葬儀はできるだけ豪華にして欲しいと頼んだそうです。

喪主である祖母は願いを叶えるためにできる限りのことをしました。ご近所さんからは「今までで一番すごいお式だった」と言われたそうです。

幼いころその話を聞くと「おじいちゃん、最後はカッコつけたかったのかな。」くらいにしか思いませんでした。

しかし、大人になると祖母の負担が明らかであるお願いを不思議に思うようになりました。

誰よりも祖母を大切にしてきた祖父。

そんな祖父が葬儀で自分のメンツにこだわったのだろうか?遺族の負担は考えなかったのか?祖父の性格を考えると、なるべく質素なものをと言いそうなのに・・・。

ある日、ふと気づきました。祖父は祖母のために葬儀を豪華にして欲しいと願ったのではないか・・・と。

当時祖母は町内会の主要な役員。交友関係も広く、町内で知らない人はいないような有名人です。

弔問客は祖母を「素晴らしい葬儀の喪主」とらえるだけでなく、祖母ことを心配してくれたのだろうと思います。近所を歩けば「大丈夫?」と多くの人が声をかけてくれるのです。

祖父が自分の我がままとして言えば、他の家族もあきらめるしかありません。まるで自分のために豪華な葬儀をあげたと見せかけて、それは全て祖母のためだったのではないか。

忙しく過ごすことで悲しみを忘れさせ、味方を増やす。

「ああ、おじいちゃんは最期までおばあちゃんを想っていたんだな・・・」と感じました。

終活でも見られる「残された家族への配慮」と「伝えたい気持ち」

終活でも見られる「残された家族への配慮」と「伝えたい気持ち」

「終活でやっておきたいことはなんですか?」という質問に、所持品の整理や個人情報の整理をあげた人は約半数、遺書を残すという人も約40%でした。

エンディングノートや家族や大切な人に手紙を残すという意見も上位にあがりました。

「自分の死を考える」とは、自分のことよりも家族のことを考えることなのではないでしょうか。それは実務的な負担を減らすことと、悲しみや苦しみから楽にしてあげたいという2つの側面があります。

特に遺品や財産の整理などは思った以上に大変です。きちんと整理されていたら遺族はたすかるでしょう。

しかし、ここでも完璧な整理は本当に良いことなのか?という疑問が残ります。

人がひとり死ぬのです。恥ずかしい手紙や写真が出てくること、昔の悩みが綴られた日記が出てくること、片づけが面倒くさいから放っておいた引き出しが発見されること、それがない方が不自然なのかもしれません。

自分では価値のないと思っている物でも、遺族にとっては思い出の品となることもあるでしょう。遺品の整理は故人の人生を想い、自分との関りを思い出す機会になります。

所持品の整理よりも家族へ伝えたい気持ちを残すことの方が大切なのかもしれません。

例えば毎年自分の誕生日に家族へ向けて手紙を書き、それを箱などにしまっておく。毎年毎年家族も変化し、自分も変化します。

それが重なったものを遺族が見つけたとき、遺族は何を思うでしょうか。

家族を想う気持ちは同じ、「逆の立場だったら・・・」と考えることも大切

死にゆく人、残された人。どちらもお互いを想う気持ちは同じです。

「どうか穏やかな最期を。心をこめたお別れを」

これを叶えるために、自分の葬儀は質素に、喪主としてはできる限りのことをと考えている人が多いのです。

ここで大切なことは、逆の立場になって考えること。

「大したことはしなくていいよ」と言われて遺族はどう思うだろうか。
「頑張って頑張ってできる限りのことをします」と言われて故人はどう思うだろうか。

具体的に想像してみると、葬儀に対しての考え方が変わるかもしれません。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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