老若男女問わずSNSを利用している人が多い現代。自分の死後も家族や友人との思い出が詰まった投稿を残したいと思う人が増えたため、一部のSNSで追悼アカウントが実装されました。
追悼アカウントを設定すると、自分の死後もネット上に投稿を残せるうえに、凍結や乗っ取りからアカウントを守ることができます。
また、遺族が故人のアカウントを追悼アカウントに設定することも可能です。
追悼アカウントの基本的な使用方法と、SNS各社の対応、設定方法について詳しく解説します。
もくじ
自分の死後もログが残る「追悼アカウント」の使い方
追悼アカウントを設定することで、死後も自分のログを残すことができます。
そもそも追悼アカウントはどのようなものなのか、基本的な使用方法とともに解説します。
追悼アカウントにすることで死後、悪用や凍結などから守ることができる
近年では老若男女問わず、さまざまなSNSツールが利用されていますが、一方で利用者が逝去したため、放置されているアカウントも多々見られるようになりました。
アカウントを管理する人がいなくなると、乗っ取られて悪用されたり、凍結されたりする危険性が増します。
SNSのアカウントは、その人が生きていた証拠のひとつでもあります。なにより、遺族や友人にとっては、その人の「生」を感じられる大切なツールです。
しかし、悪用や凍結されてしまうと、故人との思い出が失われてしまうかもしれません。
そこで、故人のアカウントを悪用や凍結から守る手段として登場したのが「追悼アカウント」です。
故人のSNSアカウントを、追悼アカウントに設定することで、第三者からのログインを防ぎ、悪用や凍結から守ることができるようになります。また、アカウントのURLが限定公開となり、遺族や友人間のみでしか観覧できなくなるなど、プライバシー面の安全を守ることも可能です。
近年ではデジタル終活の一環として、追悼アカウントを設定する人が増えています。
追悼アカウントは生前に本人が申請するか、死後に遺族が申請する
追悼アカウントはまず、死後に追悼アカウントに切り替えるための申請を行う必要があります。
基本的に生前ならアカウントの本人が、死後なら遺族や友人が申請可能です。なお、SNSによって申請方法が異なるため、予めSNS各社の追悼アカウントの設定方法を確認しておきましょう。
そして、追悼アカウントに申請したら、死後に設定の手続きを行って、あとは放置するだけです。
二度とログインできなくなるので、放置しても第三者からの不正ログインや悪用、凍結などの脅威に晒されることはありません。
ログインはできなくなりますが、観覧自体は可能なので、故人との思い出を振り返るツールとして使用できます。
主なSNS各社の追悼アカウントの対応と設定方法を解説
追悼アカウントの対応や設定方法はSNS各社で異なります。
追悼アカウントは新しく登場したサービスなので、対応していないSNSがまだまだ多いです。
今後、追悼アカウントが設定可能なSNSが増える可能性は考えられますが、2021年時点でわかっている主なSNS各社の追悼アカウントの対応と設定方法を解説します。
Facebookの追悼アカウントは生前に設定可能
世界最大のSNSであるFacebookは、生前に追悼アカウントの設定が可能です。Facebookで追悼アカウントを設定する方法は2通りあります。
まず、生前に追悼アカウントの管理人を指定する方法です。
追悼アカウントの管理人とは、死後に追悼アカウントとして管理する権限が与えられた人のこと。生前に追悼アカウントの管理人を指定しておけば、管理者のいる追悼アカウントに移行されます。
そして、死後に追悼アカウントを設定する場合は、誰からも管理されない追悼アカウントになります。
違いは管理者の有無のみであり、アカウント自体は引き続きFacebookに表示されます。
追悼アカウントの申請方法は、アカウントの所有者が逝去した後に、Facebookのヘルプセンターから「追悼アカウントのリクエスト」を送るだけです。
なお、追悼アカウントのリクエストには以下の情報が必要です。
- 故人の名前
- 死亡日
- 死亡証明書
- 連絡可能なメールアドレス
ちなみに、アカウントの所有者が自分の死後にアカウントの削除を希望している場合は、Facebookに死亡の連絡が届き次第、削除されます。
Instagramの追悼アカウントは遺族や友人のみ観覧可能になる
Instagramでも追悼アカウントの設定が可能です。なお、追悼アカウントの申請ができるのは故人の近親者のみ。
追悼アカウントの設定は、ヘルプセンターの「亡くなった方のInstagramアカウントを追悼アカウント化するリクエストを送信」から可能です。
なお、追悼アカウント化リクエストを送信する際に、以下の情報が求められます。
- 申請者の氏名
- 連絡可能なメールアドレス
- 故人の氏名
- 故人のアカウント名
- 死亡証明書
- 死亡日
追悼アカウント移行後は、第三者のログインが不可能となり、投稿をシェアしていた人のみが観覧可能になります。
また、追悼アカウントへの移行だけでなく、アカウントの削除をリクエストすることも可能です。
TwitterとLINEでは追悼アカウントを実装していない
SNS大手の「Twitter」と「LINE」は、追悼アカウントをまだ実施していません。
Twitterの場合は、近親者からのアカウント削除の依頼のみ対応しています。ただし、リクエストは英語でのやり取りが必要であり、身分証明書や死亡証明書などいくつかの書類の提出が求められます。
また、LINEの場合は登録した本人のみにアカウントを管理する権限が与えられる方針で運営されているため、追悼アカウントが実施される可能性は低いでしょう。
ただし、アカウントの削除に関しては対応してもらえるので、故人のアカウントを削除したい場合は運営に問い合わせてみましょう。
ちなみに、TwitterやLINE以外のSNSも、追悼アカウントは実施されていません。
今後、実施されるSNSが現れるかもしれませんので、利用しているSNSの更新情報をこまめに確認しておきましょう。
死後もSNSアカウントを守り続けるならデジタル終活を行うこと
追悼アカウントを設定できるSNSはまだまだ少ないです。設定できるSNSを利用している場合は、ぜひ積極的に追悼アカウントの設定を行ってください。
また、追悼アカウントが設定できないSNSで、死後もアカウントを守り続けるなら、デジタル終活を行いましょう。
死後もSNSのアカウントを守り続けるためには、管理してくれる人が必要です。そのため、SNSアカウントを守るためのデジタル終活を行う場合は、最低限スマートフォンやPC、SNSアカウントのログイン情報を控えておきましょう。
ログイン情報を控えておけば、遺族によるアカウントの管理が可能になるので、悪用や凍結のリスクが下がります。
アカウントを悪用や凍結から守るなら追悼アカウントを設定すること
自分の死後も遺族や友人たちのために、アカウントを残し続けたいのであれば、追悼アカウントの設定をしましょう。
追悼アカウント自体、まだまだ対応しているSNSが少ないです。しかし、死後もアカウントを守ってログを残し続けたいと思う人が増えているため、次々と追悼アカウントを実施するSNSが増えていくかもしれません。
自分の死後にアカウントを悪用や凍結から守るなら、デジタル終活を進めつつ、追悼アカウントの設定や、SNS情報の確認を行いましょう。