一般的に新盆(しんぼん、にいぼん、あらぼん)と呼ばれる言葉には、故人の四十九日以降に行われる初盆という意味での新盆と、一部地域で7月15日を中心におこなわれる7月盆としての新盆の2つの意味があります。
初盆としての新盆と7月盆としての新盆、2つの新盆についてそれぞれ詳しく解説します。
もくじ
新盆には2つの意味がある
新盆という言葉は、以下2つの意味があります。
- 故人の49日法要が終わり、忌明け後に迎える初めてのお盆
- 新暦のお盆(7月に行われるお盆)
それぞれ意味が違うので、意味や違いをわかりやすく解説します。
新盆の読み方
新盆の読み方は「にいぼん」「しんぼん」「あらぼん」と3つあり、地域ごとに異なります。
1番メジャーな呼び方は「にいぼん」で、多くの地域で使われています。
千葉県や長野県では「しんぼん」、北関東では「あらぼん」と呼ばれていますが、「にいぼん」に比べると少数派です。
また、九州など西の方では初盆「はつぼん」茨木県では「にゅうぼん」と呼び方自体が異なる地域もあります。
故人の四十九日以降に初めて行うお盆としての新盆
親しい人が亡くなって四十九日法要が過ぎた最初のお盆が新盆(初盆)です。
四十九日法要がお盆前に終わっているかいないかで、新盆の年は変わるので注意しましょう。
8月12日までに四十九日法要が終わっていればその年が新盆、12日までに法要が終わっていなければ翌年が新盆となります。
新盆(初盆)と普通のお盆の違い
新盆と普通のお盆は大きな流れは変わりませんが、新盆は故人が亡くなって初めて迎えるお盆のため、僧侶・親戚・知人・友人を招いて、丁寧な供養を行うのが一般的です。
新盆は一度きりなので、地域によっては盛大に行うこともあります。
新盆法要の準備と流れ
新盆(初盆)の準備と流れについて解説します。
地域によってお盆の時期が異なりますが、丁度一ヶ月違いなので、法要の手順は同じ日程で進みます。
お盆時期
- 8月13日〜8月16日(一般的)
- 7月13日〜7月16日(東京や一部の地域)
新盆法要の日程 | 法要の準備と流れ |
---|---|
13日まで | 仏具・仏壇、お墓、精霊棚を掃除しておく |
13日(迎え盆・お盆の入り) | 精霊(盆棚)の飾りつけ 迎え火を焚く |
14日~15日 | 法要・お墓参り |
16日 | 送り火を焚く |
1.精霊棚を準備する
お盆の入りの前日もしくは当日は、精霊棚の準備をします。
精霊棚は自宅にある仏壇の前に設置するのが一般的ですが、地域により玄関・庭先に設置する場合もあります。
下記の注意事項を守り、精霊棚でご先祖様を迎え、供養しましょう。
- お盆の期間が終了するまで飾っておく
- お盆期間内は仏壇の扉は閉める
- 精霊棚の火はなるべく絶やさない
- お供え物と水は毎日交換する
地域ごとにお供え物の種類や飾りは異なりますので、お寺に確認をしてください。
【精霊棚】
- 祭壇の設置仏壇の前に机を設置し、真菰のゴザを敷く
- 精霊棚の中央に位牌を飾る
※位牌が複数ある場合には、古いものを右側に、新しいものを左側に飾る - お供え物を飾る
- 盆提灯精霊棚の手前両側に盆提灯を並べる
※初盆では無地の白提灯を使い、お盆明けにお寺で供養してもらうか燃やして送り火とする - 精霊膳を1日3食お供えする
●精霊馬
きゅうりで馬、ナスで牛を作り飾ります。お迎えは足の速い馬で行い、お送りは牛でゆっくりとお帰りくださいと敬意の意味がこめられています。
●お供えもの
植物・食べ物季節の生花や果物のほか、落雁や団子といった盆菓子、炊き立てのご飯や味噌汁・漬物・餅・夏野菜などが一般的です。せんこう・香炉・ろうそく、供え花も忘れずに飾りましょう。
2. 迎え火(迎え盆・お盆の入り)
13日(盆入り)の夕方には、玄関・庭先で盆提灯に火を灯し「迎え火」とします。
迎え火は、ご先祖様を迎え入れるための目印ですが、近年では住宅事情の関係から火ではなく電球付きの提灯を使う場合も多いです。
3.法要・お墓参り
14日・15日は、ご先祖様と過ごすため、お坊さんを自宅に呼んで読経をしてもらいます。
一部地域では、お墓参りも法要と合わせて行うため、お墓の前で読経してもらうケースもあります。
4.送り火(盆明け)
迎え火で迎え入れたご先祖様を送るために、夕方に玄関・庭先で送り火を焚きます。
有名な送り火の一つに、京都の大文字山の送り火があります。
新盆法要のマナー
新盆法要で気になるマナーについて、迎える側と招かれる側、それぞれ解説します。
新盆法要で招かれる側のマナー
Q. どのような服装が望ましい?
A. 葬儀の時の喪服、もしくは略式の礼装でも構いません。ネイビー・グレーなどダークカラーのスーツやアンサンブル、ワンピースなど落ち着いた服装で行きましょう。
Q. 提灯は送るべき?
A. 故人の親族は、新盆に盆提灯を送るしきたりがあります。昨今では飾らない家庭も多いので、提灯を送りたい場合は先方に確認しましょう。不祝儀袋に現金を包んで表書きに「御提灯代」と書いて送ることもあります。
Q. 新盆に招かれた際の挨拶は?
A. 「この度は、〇〇様(故人のお名前)の新盆供養にお招き頂きましてありがとうございます。」など、感謝を伝えましょう。
新盆法要で迎える側のマナー
Q. どのような服装が望ましい?
A. 招かれた側より軽い服装はNGです。3回忌までと同じような、ブラックアンサンブルやワンピースといった喪服を着用しましょう。ただし、熱中症が気になる時期なので、年配の方や妊婦さんなどは体調に応じて多少ラフな服装でも問題ありません。
Q. 新盆法要の準備は?
A. 普段のお盆と大きくは変わりませんが、故人が初めて家に戻ってくる新盆ですから、親戚や知人を招いて丁寧に法要を行いましょう。宗派により準備の仕方が異なるので、僧侶の方に早めに連絡しましょう。
Q. 新盆のお布施は?
A. 新盆(初盆)の場合のお布施は1万円~3万円が一般的です。2回目以降の普段のお盆では3千円~1万円と金額が異なるので注意してください。ただし、お布施は地域や宗派やご用意される方の生活水準によっても異なります。
Q. 新盆は白い提灯を用意すべき?
A. 新盆(初盆)には無地の白提灯を使います。白提灯は新盆の時しか使えないため、近年では新盆でも絵柄のついた提灯を用意するケースが多いです。絵柄つきの提灯は毎年使えますし、マナー違反になることもありません。
Q. 新盆(初盆)で現金やお供え物を頂いた場合のお返しは?
A. お礼の挨拶や御礼状を送れば、お返しは不要です。志として品物を送っても構いません。
Q. 親戚からの御仏前を頂いた場合のお返しは?
A. 品物を送る場合は、タオル、お茶、砂糖、洗剤などといった日常で使いやすい消耗品が無難です。
7月15日を中心として行われる新盆
先ほど解説した「初盆」の意味合い以外で「新盆」と呼ばれる盆は、7月15日を中心として行われる7月盆です。
お盆の時期は、7月盆(新盆)と8月盆(旧盆)があります。
これは、明治時代に日本を国際基準に合わせるために行った改暦が関係しています。改暦を行った結果、日本の行事は30日遅れとなり、盆は7月から8月になったのです。
地域によっては、もともとの7月を盆とし、法要をおこなっているところもあります。そのため、7月15日前後に行うお盆、8月15日前後に行うお盆の二通りあるのです。
お盆の時期を全国的に見ると、8月に行われる旧盆の方が主流となっており、7月盆(新盆)は東京を中心とした首都圏近辺など一部の地域に限定されます。新盆で法要を行う地域では、7月にお祭りやお盆の催しが行われます。
新盆と旧盆はなにが違うのか
新盆と旧盆は、お盆の時期が違うだけで、内容に大きな差はありません。
7月に行う、8月に行うという違いはあるものの、目的は同じくご先祖の供養です。
新盆の意味を正しく理解してご先祖様を供養しよう
「新盆」と言っても、「故人を亡くしてから初めて迎えるお盆」と「7月15日のお盆」という二つの意味があります。
特に「故人を亡くしてから初めて迎えるお盆」には、盛大な法要を行うことも多いです。意味を正しく理解して、ご先祖さまや故人を供養しましょう。