一周忌の案内状は法要の1か月前までに送り、2週間前までには出欠確認の連絡をもらえるようにするのが一般的です。
法要の内容や日時、会食の有無など必須の項目に加え、返信の依頼と宛先などの項目も記しておく必要があるため注意が必要になります。
一周忌の案内状について、書くべき必須の項目や送るタイミングなどを文例を交え詳しく解説します。
もくじ
一周忌の案内状で伝えるべきポイント
一周忌法要とは、故人が亡くなってから満一年目の祥月命日の法要です。
ご遺族や親族、故人の親しかった友人・知人などが集い、故人の冥福を祈ります。その後、会食まで行うのが一般的です。
一周忌と三回忌は四十九日法要に次いで大切な法要のひとつ。親族を招いて、比較的大きな規模で法要を営みます。
一周忌法要の案内状の大事なポイントは、法要の内容、日時・場所、会食の有無などの事項を明確に書くことです。
法要に引き続き、お墓参りなどを予定しているときは、その予定も明示します。書き方にはマナーがありますので、受け取った方に失礼のないようにしましょう。
案内状の主な記載事項と注意点を、6つのポイントに分けて解説します。
1. 差出人と故人の関係を明示すること
誰の法要か分かるように、差出人(施主)と故人の関係、故人の氏名を明示します。
例えば、「亡(父) 〇〇(氏名)」というように書くと良いでしょう。「亡父 〇〇〇〇儀」というように、名前のあとに「儀」をつける表記もあります。
また、「亡父 〇〇〇〇儀」という表記の他にも「故 〇〇〇〇儀」という表記があり、仕事関係で行なわれる法事の際には、後者に手を加え「弊社社長 故〇〇〇〇儀」とするのが通例です。
2. 頭語・結語をつけること
挨拶状を書く際は、なるべく頭語・結語を付けましょう。頭語と結語には決まったルールがあります。
例えば、文頭に「拝啓」が付けば、文末は「敬具」です。文頭に 「謹啓」が付けば、文末は「敬具」となります。
3. 時候の挨拶を入れること
頭語に続けて時候の挨拶も、季節にふさわしい言葉を書きましょう。季節を表す挨拶を「時候の挨拶」と言います。
文章の長さやスペースの都合により、時候の挨拶を入れるのが難しい場合には、省いても結構です。省く場合には、頭語の直後に「皆様におかれましては・・・」と開始しましょう。
以下、時候の挨拶について解説します。
時候の挨拶の文例
時候の挨拶は、手紙の冒頭の頭語に続ける季節感をあらわす言葉です。
一般に「初春」などの季語を使い、〇〇の候・〇〇の折・〇〇のみぎり、などとします。
以下に時候の挨拶で一般的によく使われる季語の例をまとめました。時候の挨拶は、季語を間違いのないように使うように注意しましょう。
月 | 季語 |
---|---|
1月 | 初春・新春・迎春・小寒・大寒・酷寒・極寒・寒冷・寒風・厳冬 |
2月 | 立春・寒明・季冬・余寒・春寒・残寒・残雪・立春 |
3月 | 早春・浅春・春暖・春雪・水ぬるむ・山笑う・菜種梅雨 |
4月 | 陽春・桜花・陽炎・暮春・花曇り・花冷え・春風駘蕩 |
5月 | 新緑・薫風・惜春・暮春・立夏・余花・軽夏・若葉 |
6月 | 初夏・向暑・梅雨・麦秋・黄梅・首夏・薄暑・梅雨寒 |
7月 | 盛夏・猛暑・大暑・炎暑・酷暑・灼熱・猛暑 |
8月 | 晩夏・立秋・残暑・残炎・新涼・秋暑・納涼 |
9月 | 初秋・新秋・新涼・白露・秋冷・野分・仲秋 |
10月 | 秋涼・秋雨・秋晴・夜長・紅葉・秋麗・初霜 |
11月 | 晩秋・暮秋・深秋・深冷・落葉・向寒・霜寒 |
12月 | 初冬・師走・寒冷・木枯・新雪・短日・歳晩 |
4. 法要の内容と場所を明確に書くこと
法事会場・法事日時は一周忌法要へ参列する方にとっては、最も気になるポイントです。
誰もが会場の場所を理解できるよう地図を添付して、日時は大きく記載するなどのわかりやすい表記を心がけてください。
5. 会食の有無を明記すること
法要が終わった後に食事の席(お斎:おとき)を設ける場合は、その旨を明記します。
特に、お斎の場所が法要会場から離れている場合は、お斎会場までのルートを含めて記載した方が安心です。
6. 返信の依頼と宛先を書くこと
一般的に一周忌法要についての案内状の差出人は施主となります。
参列者と何らかの事情で連絡を取り合うこともありますので、施主の氏名・住所以外にも電話番号を記載しておいた方が良いでしょう。
出欠の確認をとるため、返信先の「住所」「氏名」「電話番号」「返信期限」を明記します。
案内状が往復はがきでない場合は、返信用はがきを同封するのがマナーです。
往復はがきをつける場合
往復はがきは封筒も不要で、返信面に確認事項が印刷できるため非常に便利です。
本来は封筒を使った発送が正式な発送方法ですが、往復はがきだからといって先方に失礼というわけではありません。
往復はがきを使用する際には、次のことに注意するのがマナーです。
▼参加人数の確認欄を設ける
一周忌法要では食事の準備などもあるため、施主は参加人数の把握が必要です。そのため、案内状には参加人数を確認する欄を設ける必要があります。
実際にはご家族で法要に参列する方もいるため、人数確認欄は「ご出席(〇〇名様)」という形が望ましいでしょう。
▼卒塔婆(そとば)の確認欄を設ける
卒塔婆とは、故人を供養するために用いる細長い板のことで、卒塔婆をつける行為は良い行いだと考えられています。
施主は卒塔婆をつける人数を把握して、人数分の卒塔婆を事前に用意しなければなりません。
そのため、卒塔婆をつけるのかどうかの確認欄を設ける必要があるのです。
一周忌の案内状を送るタイミングは法要の1ヶ月前
案内状は法要の1ヶ月前までに送ることがマナーです。
会食の準備などを考えると、法要日の2週間前までには、はがきを送った方全員の出欠の確認が取れるとスムーズに一周忌の準備ができるでしょう。
案内状は封筒に入れて送る
案内状は封筒に入れて送ります。ただ、二重封筒は縁起が悪いとされるので、用いないようにしましょう。
案内状の印刷や送付は、必ずしも郵便局に依頼する必要はありません。案内先が親族などに限られるときは、メールや電話で連絡したほうがよい場合もあります。
また、法事の案内状は、ご自分で手書きした方が丁寧で良いと思われる方も多いでしょう。
しかし、案内状を出す人数が多い場合は手書きでは大変ですので、印刷でも全く問題ありません。
最近は案内状の作成・印刷は、テンプレートも多くご自分でもできます。ただ案内状を親族以外の方に出すときは、一般に郵便局を利用されることが多く無難でしょう。
案内状の切手は、普通の切手でも問題ありません。郵便局には弔事用の切手もありますので、これを用いてもよいでしょう。
一周忌の案内を往復はがきで送る場合のマナー
往復はがきの場合、返信面に確認したいことを印刷でき、封筒も必要ありません。その手軽さから、最近は往復はがきを使う方も増えています。
封筒を使った方が礼儀正しいですが、案内先にもよりますので、どちらがよいということはありません。
返信用はがきにも切手を貼っておくのが礼儀です。
一周忌の案内状の文例
一周忌の内容が宗派により異なるように、案内状に記載する必要のある内容も宗派により異なります。
宗派ごとに一周忌の案内状の文例をご紹介しましょう。
仏式の場合は縦書きが基本
仏式の案内状は、一般に縦書きにします。
頭語・結語や時候の挨拶は、通常の案内状と同様にきちんと書きましょう。法事の案内状では、句読点は用いないのが一般的なマナーです。
文例で句読点を入れている例も見られますが、用いない方がよいでしょう。
仏式の案内状の文例
次に紹介する文例は、仏式で行う一周忌法要の一般的な案内状です。
謹啓 〇〇(時候の言葉)の侯 皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます このたび亡父〇〇の一周忌にあたり左記のとおり法要を営みたいと存じます つきましては ご多忙中まことに恐縮ではございますが ご臨席賜りますようご案内申し上げます 敬具 日時 令和〇〇年〇月〇日(〇曜日)午前〇〇時〇〇分より 場所 〇〇 (住所・電話) ※なお 法要後に供養の粗宴をご用意しております(場所・住所・電話・地図) 令和〇年〇月 (差出人) 氏名(住所・電話) ※お手数ではございますが〇月〇日までに返信にてご都合をお知らせ下さい。 |
キリスト教の場合
キリスト教にも法事に相当する儀式はありますが、故人を供養する行事ではありません。
キリスト教では、死は悲しむものとされていないので意味合いが違うのです。亡くなって1年後の命日の集いのやり方などは、カトリックとプロテスタントで違いがあります。
それぞれの儀式を解説します。
カトリックでは「追悼ミサ(死者記念ミサ)」を行う
カトリックでは、教会に親族や知人、友人を招き、追悼ミサ(死者記念ミサ)を行います。
カトリックの追悼ミサは、故人が亡くなられて3日目、7日目、30日目に行われるものです。1年後の命日には死者記念ミサを行い、その後も毎年の命日に追悼ミサを行います。
追悼ミサでは、聖書朗読や祈祷などが行われるのが一般的で、終了後は、仏式ど同様に会食のようなお茶会が開かれることがあります。
プロテスタントでは「記念集会(昇天記念日)」を行う
プロテスタントは、故人の死後一年後に行う集会を「記念集会(昇天記念日)」と呼び、祭壇に十字架を飾り祈りを捧げます。
カトリックはミサを教会で行いますが、プロテスタントの記念集会は自宅で行うことも多いです。
自宅のときは、祭壇に十字架などを飾り、牧師と親族、知人、友人などが集まり祈りを捧げます。
記念集会は、亡くなって1週間目か10日目、あるいは1カ月後の命日に行われるのが通例です。
その後も1年目、3年目、5年目、7年目の命日に記念集会が開かれます。
記念集会の礼拝が終わった後は、引き続き教会や自宅で故人を偲び茶会を行うのが一般的な流れです。
キリスト教の案内状の文例
故〇〇が神様に召されてから はや1年が経とうとしています 故人を偲び お世話になりました皆様への感謝の意味を込めまして 〇月〇日〇時から 追悼ミサ(※)を行うこととなりました ご多忙とは存じますが 是非ご来席いただきたく ご案内申しあげます 日時 令和〇〇年〇月〇日(〇曜日)午前〇〇時〇〇分より 場所 〇〇(住所・電話) なお ささやかではございますが 追悼ミサ(プロテスタントでは記念集会)終了後 〇〇(場所)にてお茶会を予定しております 令和〇年〇月 (差出人)氏名(住所・電話) ※お手数ではございますがご出席の有無を〇月〇日までご一報いただければ幸いです |
上記の文例中の(※)「ミサ」はカトリックの場合です。プロテスタントの場合は「記念集会」にします。
宗派により命日の集いのやり方は異なりますが、集会後に参列者が参加するお茶会を開くことが一般的で、案内状の内容はほとんど変わりはありません。
神道の場合は「一年祭」を行う
神道では、故人が亡くなって1年後に行う祭祀のことを一年祭と言います。
神式の法要は、故人が亡くなられた日から数えて十日ごとに、霊祭(みたままつり)行うものです。
五十日祭は、仏式の四十九日に相当し、忌明けとなります。百日祭も重要です。
その後の節目が一年祭で、喪が明けます。一年祭は、故人の祥月命日に、故人と親しかった方を招いて行うのが一般的です。
一年祭の場所は、祖霊舎の前あるいは霊園の施設や墓前などで行います。
祖霊舎(それいしゃ)は、祖先の霊をまつる神棚で、仏壇に相当するものです。通常、一年祭を区切りに祖霊舎に合祀して、その後は家の守り神として祀っていきます。
一年祭では、神職による献饌・祝詞奏上・玉串奉奠などの神事に続き、参会者が玉串を奉奠行い、一年祭の式後には、通常、「直会」という酒食の席が設けられるのが一般的です。
一年祭の案内状は仏式とほぼ同様の内容ですが、ただ神式では「法要」、「冥福」などの仏教用語は使いませんので注意しましょう。
神道の案内状の文例
神式の案内状の文例は次のとおりです。
謹啓 〇〇(時候の言葉)のころ 皆様にはお障りもなくお過ごしのこととお喜び申しあげます 早いもので この度 (亡父)〇〇(故人の氏名)の一年祭を迎えることとなりました つきましては 左記の日時にて一年祭を執り行いたいと存じます ご多用中のところ恐縮に存じますが ご臨席を賜りたくお願い申し上げます 敬具 日時 令和〇年〇月〇日(〇曜日)午前〇〇時〇〇分より 場所 〇〇(住所・電話) ※なお 霊祭後に粗宴をご用意いたしております(場所・住所・電話・地図) 令和〇年〇月 (差出人)氏名(住所・電話) ※お手数ではございますがご出席の有無を〇月〇日までご一報いただければ幸いです |
まとめ 一周忌の案内状は法要の内容など必須項目をしっかり押さえることが重要
一周忌の案内状は、法要の内容などの必要項目をしっかりおさえて参列する方にわかりやすいものにしなければなりません。
案内状を受け取った方が参列するか否かを判断できるような情報を盛り込むこと、参列する方がお越しになるときに戸惑わないで済むような情報を書くことが大切です。
参列する方に問合せをさせる手間をとらせないためにも、しっかりとポイントを押えた内容にしましょう。