「ご冥福をお祈りします」とは故人の幸せを祈る言葉|意味と正しい使い方、言い換え

投稿:2020-12-04
「ご冥福をお祈りします」とは故人の幸せを祈る言葉|意味と正しい使い方、言い換え

「ご冥福をお祈りします」とは、故人に対して使う言葉でです。死後の幸福を祈る言葉であり、遺族を慰める言葉ではありません。

「この度はご愁傷様でございます。〇〇様のご冥福をお祈りいたしております」

このように、故人への言葉である事がわかるように名前の後に冥福を祈る言葉を続けます。

ご冥福をお祈りしますとの言葉の正しい使い方、「冥福」の意味や使ってはいけない場面など詳しく解説します。

「ご冥福をお祈りします」の意味と正しい使い方

「ご冥福をお祈りします」という言葉、お葬式や訃報を伝えるニュースなどで耳にしたことがあ方も多いのではないでしょうか。

「ご冥福をお祈りします」の意味と正しい使い方を解説します。

「ご冥福をお祈りします」故人に対して使う言葉

「冥福」と辞書で調べると、下記のように記されています。

  1. 死後の幸福。「―を祈る」
  2. 人の死後の幸福を祈るために仏事を修すること。追善。

仏教では人は亡くなると極楽・地獄の行き先が決まるまでの四十九日の間、中陰と呼ばれる世界に留め置かれると考えられています。死後、死出の山路と呼ばれる暗く寂しい道を一人歩き、その後三途の川を渡り閻魔大王の前へと進み、来世の行き先が決まります。

この冥土の旅での故人の幸運・幸せを祈る事が「冥福」の意味です。

「ご冥福をお祈りします」は故人に対して「死後の幸せを願っています」という意味のため、族に向けて使う言葉ではありません。

そして、死者の死後の幸福を祈る必要のない一部宗教においては、使わない言葉でもあります。

※中陰(ちゅういん)とは、死後、転生先の来世が決まるまでの状態

「ご冥福をお祈りします」を使う時の文例

「冥福」は冥土に旅立つ故人に対して祈る言葉です。「冥福」を用いる際は故人の名前の後に続けて用いましょう。

▼例

「〇〇様のご冥福を心よりお祈り申し上げます」

「〇〇様の訃報に接し、謹んでご冥福を申し上げます」

通夜や葬儀で使う際の文例

通夜や葬儀の場では、手短に哀悼を表します。「ご冥福をお祈りします。」と簡潔に伝えましょう。

重ね重ね・呉々も・皆々様・さらに・亡くなる・迷う・冷える・切れる・離れる・忙しい・痛み・去るなどの、忌み言葉を使ってはいけません。

ご冥福をお祈りしますと似たような意味の類語

冥福と似た言葉、死者に手向ける言葉には「安らかな眠り」「平安」があります。

「安らかな眠りにつかれますように」「御霊の平安をお祈り申し上げます」などの表現で用いられます。

「ご冥福をお祈りします」を使ってはいけない場面

「ご冥福をお祈りします」を使ってはいけない場面

ニュースやワイドショーなどで訃報の際に、「謹んでご冥福をお祈りします」と締め括られる事が多く、そのため「冥福」をお悔やみ全般に使えるものと勘違いしている人も多くいます。

しかし厳密には使えない場面もあり、媒体によっては「お悔やみを申し上げます」のフレーズも用いて、使い分けて報道するところもあります。

冥福は特定の宗教宗派には使えない言葉であるため、たとえば大勢の人が亡くなった事故や災害の際は「お悔やみ」のフレーズを用いると良いでしょう。

故人に対して使う言葉なので遺族に対して使わない

冥福は傷心の遺族をいたわる言葉ではありません。「ご冥福をお祈りします」を用いる際は生きている人にではなく、死者へ手向ける言葉である事を認識して使いましょう。

また、通夜・葬儀などで遺族にかける言葉は、不幸で嘆き悲しむ人を気の毒に思う気持ちを表す「この度はご愁傷様でした」もしくは故人を惜しむ気持ちを表す「お悔やみ申し上げます」を用います。

「冥福」を使ってはいけない宗教宗派がある

あの世での幸せを祈る必要がない、死後の幸福を祈ることが死者を冒涜する事になる宗教宗派もあります。

なぜ「冥福」を使ってはいえないのか、理由とお悔やみの言葉の例文をご紹介します。

キリスト教で「冥福」は使わない|言い換えの文例(日本語/英語)

キリスト教では、死と復活を再現した洗礼を行う事でキリストと信者は結びつきます。肉体の死は人間の原罪(アダムとイブの罪)を背負って死んだキリストと同じく原罪への報いであり、解放された魂は再び肉体と一つになる復活の日を、イエス・キリストのもとで待ちます。そして最後の審判を経て、新しい神の国の住民となるのです。

キリスト教は、死者の魂は神の子であるイエス・キリストと共に在るので冥福の必要はなく、むしろ原罪から解放されて天国の住民になるので「祝福」にあたります。

そのため、キリスト教では故人を偲ぶ言葉や遺族を気遣う言葉を伝えましょう。

▼キリスト教のお悔やみの文例(文語)

「〇〇様のご逝去を悼み 謹んでお悔やみ申しあげます 
ご家族の皆様のお心の痛みが癒えますようお祈り申し上げます
神のご加護がありますように」

「神の御許に召されました〇〇様が 安らかな眠りにつかれますようお祈り申し上げます」

▼キリストのお悔やみの文例(口語)

「心よりお悔やみ申し上げます。皆様に神のご加護がありますように」

「この度はご愁傷様です。〇〇様には生前お世話になりました。私にできる事があればいつでも連絡をください。」

▼英語圏のキリスト教(カードなど文語)

Eternal peace to your Father(or Mother , son , daughter※).
May God watch over your family and bless them with his goodness

(ご尊父の永遠の平和に。神があなた方ご家族を見守り、そしてご尊父の生前の人徳とともに皆様に神の恩寵がありますように)
※家族に関する名詞
May your heart and soul find peace and comfort.

(あなたの心と魂に安らぎと慰めが戻りますように)

▼英語圏のキリスト教(口語)

I am so sorry to hear of your loss.

「心よりお悔やみ申し上げます」

この後に“Please remember that you are not alone. I am always here for you.”(私がついているから)との言葉を添えたりします。

※Our thoughts and prayers~、キリスト教で一般的に用いられるこのフレーズは、政治家などが災害やテロの犠牲者に向けて発するお悔やみの言葉の定番でもあります。しかし現在のアメリカにおいて、このフレーズは「何もしない/言葉だけ」とのネガティブなイメージがあるので他の言葉を用いた方が無難です。

神道で「冥福」は使わない|言い換えの文例

神道には天国も来世もありません。魂は神と同じく永遠であると信じられており、その魂を祀り続けることで守り神となられます。家族の場合は先祖の御霊とともに子孫の守り神となって幸せを見守ります。

神道では魂は神の分霊でもあるので成仏の概念はなく、「冥福」は意味を成しません。

▼神道のお悔やみの文例(文語)

「〇〇様のご逝去の報に接し 在りし日の姿を偲び 謹んで哀悼の意を表します」

「〇〇様の訃報に接し哀悼の意を表すると共に 御霊の安らかなる事を心よりお祈り申し上げます」

▼神道のお悔やみの文例(口語)

「この度は御愁傷様でした。謹んでお悔やみ申し上げます」

「この度は思いがけない事でとても残念です。どうかお力落としなさいませんように」

浄土真宗で「冥福」は使わない|言い換えの文例

「往生浄土」「往生即成仏」。浄土真宗は死後すぐに阿弥陀如来の西方浄土に生まれ変わるとされています。

即、成仏する浄土真宗には「死出の旅」は存在しないので「冥福」の言葉は使われず、むしろ使ってしまうと故人に対して失礼にあたりますので注意が必要です。

▼浄土真宗のお悔やみの文例(文語)

「〇〇様のご逝去の報に 謹んでお悔やみ申し上げます」

「〇〇様のご遺徳を偲び 哀悼の意を表します」

▼浄土真宗のお悔やみの文例

「この度は誠にご愁傷様でございます。どうぞお心強くお持ちになられてください」

「この度の突然のご不幸、ご愁傷様でございます。心よりお悔やみ申し上げます」

宗教宗派問わずに使えるお悔やみの言葉

お悔やみの言葉を伝える前に、相手の宗教を知っておくのもマナーの一つですが、わからない場合は宗教宗派問わず使える言葉を用いるのが良いです。

宗教宗派問わず使えるお悔やみの言葉は、下記を参考にしてください。

▼どの宗派でも使える文例(文語)

「〇〇様の急なご逝去を受け、心より哀悼の意を表します」

「〇〇様の訃報に、謹んでお悔やみ申し上げます。どうかお力落としされませんように」

▼どの宗派でも使える文例(口語)

「この度は御愁傷様でございます」

「心よりお悔やみ申し上げます」

まとめ 「ご冥福をお祈りします」は故人の死後の幸福を祈る言葉

「冥福」とは、故人の死後の幸福を祈るために用いる言葉です。遺族にかける言葉ではないので、故人に向けた言葉として使いましょう。

特定の宗教宗派では使えない言葉でもあります。冥福を用いる際は、故人の宗教宗派を確認し、それぞれふさわしい言葉を使いましょう。

もし故人の宗派がわからない場合は、「この度は御愁傷様でございます」「心よりお悔やみ申し上げます」など宗派に関わらず使える言葉を使うとよいです。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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