さまざまな想いから、香典返しを辞退する人がいます。
「香典返しは辞退します」こう書かれていても、本当になにも返さなくていいのか、迷うのではないでしょうか。
また、遺族のためを想い香典返しを辞退したいけれど、どうしたらいいのかわからないという方もいるでしょう。
香典返しを辞退する方法や辞退された時の対応など、それぞれ辞退した側と辞退された側の立場で詳しく解説します。
もくじ
香典返しを辞退する時・された時のマナーを解説
葬儀に参列する際、お悔やみの気持ちとして香典を包みます。香典をいただいた遺族は、基本的にいただいた金額の半分から3割程度をお返しするのが一般的です。
しかし、相手の負担や事情などを考え、香典返しを辞退したいと思うこともあるでしょう。香典返しを辞退する際は相手に余計な気遣いをかけないよう、気をつけなければいけないポイントがあります。
また香典返しを辞退された場合、本当にお返ししなくてもいいのかと気にやむ方もいるのではないでしょうか。
最近では香典返し不要と考える人が増えているので、受け取る側もそれほど過敏にならなくても大丈夫です。逆の立場で考えれば、自分も同じことを考えるかもしれません。
香典は相互扶助の精神が基です。香典をいただく側は、ありがたく頂戴しましょう。
まずは香典とは何かを解説、そしてお互いの気持ちを汲んだ香典返し辞退の方法もあわせてご紹介します。
香典返しは香典をいただいたことへの御礼
古の人々にとって、葬儀をおこなうことはお金がかかり、容易に庶民が単独で行えるようなものではありませんでした。
そこで食べ物やお線香などを持ち寄り、互いに助け合って生活していました。香典=お金になったのは、室町時代の武士がはじまりだといわれています。
主を失った遺族が生計を立てていけるようにという思いが、現実的な内容へと変化していったのでしょう。
昔は小さな集落単位での生活様式だったため、香典をくれた方の家で不幸があった時には香典でお返しをしました。助け合って生きてきた相互扶助の精神から香典返しはうまれたのです。
そして生活様式が変わった現代においては、香典をいただいた際は都度お返しをするように変化していきました。
香典返しは辞退しても失礼にはあたらない
香典を辞退するケースはさまざまあります。辞退するのが多いケースは、職場一同や同志一同など連名で香典を渡す時です。連名で渡した場合、一人のあたりの金額は千円程度のこともあります。
香典返しの多くは配送されるので、配送費用だけでも自分が出した金額になってしまうことへの心苦しさから辞退されるケースが多いです。
その他にも個人で渡した方でも遺族の負担にならないようにと、辞退を申し出る方もいます。辞退の理由は、香典の金額の多少にかかわらず遺族に役立ててほしいとの気持ちからです。
中には公的機関に勤務するからとの理由で、香典返しを辞退される方もいますが、常識の範囲内であれば香典返しは受け取れます。しかし、辞退理由としては相手も納得しやすいのは確かです。
【金銭、物品等の贈与】
問34:香典返しを受領することは認められるか。
答:香典返しの一般的な範囲内(半返し)であれば認められる。
実は、香典返しが不要なケースもあります。民間企業から会社名義でいただく香典です。これはお見舞金として福利厚生から出されていますので、香典返しをする必要はありません。ありがたく受け取りましょう。
辞退された場合は「お返し」は不要
香典返しを辞退された方へは、お返しは不要です。忌明けにお礼状を送ります。
遺族の中には、香典返し不要といわれても返したいと思う方もいるでしょう。
しかし、香典返し辞退は、香典をくださった人の遺族側への思い遣りの気持ち込められています。それを反故にしてお返しをするのは、その方の気持ちを拒絶することにもなりかねません。
そうはいっても、いただいた香典が高額だった場合はどうしてもお返ししたくなる気持ちが大きくなることもあります。
その場合は香典返しではなく、喪が明けたあとのお歳暮やお中元、お年賀などといった時候のご挨拶に乗じて、感謝の気持ちをお伝えます。お礼を一筆添えるとなお良いです。
勤務先の人たちが合同で香典をくれた場合は、後日出社した際にみんなで分けられるお菓子(お配り用スイーツ)を持って、お礼を伝えましょう。
寒い季節であれば、コップにお湯を入れるだけで飲めるお吸い物などもおすすめです。こちらはもなかの中に具材がはいっており、手軽にいただけて、かつ個別包装されているので配りやすいです。
他社の方々への場合は、手紙を添えて配達することも可能です。
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相手に失礼なく香典返しを辞退する方法
実際に香典返しを辞退する場合、どのようにしたら良いのでしょうか。
実は、香典に一筆認めるだけで、遺族に失礼のない香典の辞退ができます。不祝儀袋の裏側もしくは内袋には、渡す側の住所氏名・金額等を記入する欄があるので、そこに一筆、香典返しを辞退する旨を書き加えておきましょう。
または一筆箋を書いて同封しても構いません。一筆箋の場合は、遺族への心遣いを認めておくとなお良いです。
以下ポイントを解説します。
香典返しを辞退のする時の書き方ポイント
- 辞退する旨を記す場合は、不祝儀袋の裏側の場合は左端に、内袋がある場合は内袋の氏名等を書く欄の左端・もしくは中央に書く。
- 不祝儀袋に書く場合は、短文にする。
香典返しを辞退するときの文例
- お香典返しは辞退申し上げます。
- お香典返しは辞退させていただきたく、お願い申し上げます。
- 心よりお悔やみ申し上げます。なお、勝手ながらお香典返しは辞退したく存じます。
- 謹んでお悔やみ申し上げます。誠に勝手ではございますが、お香典返しなどのご配慮は遠慮いたしたくお願い申し上げます。
葬儀当日、受付にて口頭で伝えることもできますが、不祝儀袋に一筆書いておくのがマナーです。また、多くの弔問客への対応もしなくてはならない受付の人に、負担をかけるのは極力避けたほうが良いでしょう。
また、少額の香典に関しては、香典返しをしなくてもよいとされています。たとえば勤め先関係や友人関係の場合は5千円、ご近所づきあいであれば3千円と相場がありますので、それを超えなければ香典返しをしないケースが多いです。
それでも一筆書くことは忘れないようにしましょう。香典を郵送する場合も同様です。
香典返しを辞退する時の注意点
香典返し辞退については、喪主や遺族に直接伝えないようにしましょう。辞退は渡す側の気持ちであって遺族には関わりなく、何より遺族にかける言葉ではないからです。
香典返しと会葬御礼との違い
ごく稀に、葬儀出席者の中で会葬御礼を受け取らない方がいます。
会葬御礼は葬儀に出席された方への御礼として、遺族から渡されるものです。小型の手提げ袋には喪主の挨拶状とお清めのお塩、そしてお茶や砂糖、コーヒーといった心ばかりの品が入っています。
たとえ香典を渡していなくとも葬儀に出席した人すべてに渡されるものなので、会葬御礼を受け取るのは礼儀です。
昨今では、会葬御礼とは別に香典返しの即日返しを行う地域もあります。即日返しとは、香典返しを後日ではなく香典を渡した時にその場で香典返し渡すというもの。
香典の金額が高かった場合は、忌明けに改めてお礼の品物を贈ることもあります。
いずれの場合も香典返しを辞退できますので、受付で渡されそうになったら口頭でお断りしましょう。もちろん、お渡しする不祝儀袋にはその旨一筆書いておきます。
まとめ|香典返しを辞退された場合は御礼だけ伝えよう
日本における香典には相互扶助の精神が宿っています。香典返しを辞退された場合、相手の気持ちを尊重し、ありがたくいただきましょう。それでも、やはり感謝の気持ちを示すことは大切です。
香典返しの際の手紙は印刷でも構いませんが、香典返しを辞退された方へは手書きの手紙を送るとより感謝の気持ちも伝わるでしょう。辞退された方の心遣いに対する、何よりのお礼でもあります。