キリスト教 カトリックの葬儀と仏式の葬儀違いとは?流れや参列する際のマナー

投稿:2020-10-22
キリスト教 カトリックの葬儀と仏式の葬儀違いとは?流れや参列する際のマナー

キリスト教の葬儀というと、司祭の祈りと聖歌を多くの方がイメージされることでしょう。

日本では1545年、ローマ・カトリックのイエズス会の宣教師・フランシスコ・ザビエルによって初めてキリスト教の布教が行われたことは、学校の歴史で習いますよね。

しかし日本において、カトリック信者は約43万人、プロテスタント約55万人、オーソドックス約9千8百人、キリスト教徒は人口の1.1%にしか過ぎません。

仏教式の葬儀が大多数を占める日本において、カトリックの葬儀に出る機会はあまりなく、いざ参列するとなると戸惑う方もいるのではないでしょうか。

いざという時に備えて、カトリックの葬儀について解説します。

キリスト教カトリックの葬儀とは

日本ではあまり行われないキリスト教の葬儀。同じキリスト教でもカトリックとプロテスタントで葬儀の流れは変わります。

キリスト教にはカトリックとプロテスタントの2つがある

キリスト教の中には、カトリックとプロテスタントの2つがあります。大まかな違いを以下簡単にまとめました。

カトリック神を上位に、そして教会、聖書、最後に信者。女性は神父にはなれない。キリストの絵画など偶像崇拝を認めている。
プロテスタント神を上位に、そして聖書、最後に教会と信者。牧師になるのに性別は関係ない。偶像崇拝を禁じている。

カトリック教会は長い歴史の中で生まれた伝統的な儀式や慣習、聖母マリアや聖人の信仰崇拝を行います。

プロテスタントは聖書の教えこそ全てでありイエス・キリスト以外の人間の崇拝とカトリックの伝統を否定した、マルティン・ルターによって500年前に興りました。

同じ神を信じていても、信仰の方法は相反しているのです。

秘跡と多くの儀式で執り行われるカトリックの葬儀に対し、プロテスタントは秘跡にあたる礼典は行うものの、儀式は非常に簡潔です。

文化庁 平成30年版 宗教年鑑

2019年 東京基督教大学 国際宣教センター日本宣教リサーチより

仏教の葬儀とキリスト教の葬儀の違い

仏教の葬儀とキリスト教の葬儀には、さまざまな違いがあります。

  • 仏教には故人に戒名が与えられるが、キリスト教にはない。
  • カトリックには告別式はない。(但し日本のみ存在する)
  • キリスト教でお通夜があるのは日本のみ。
  • キリスト教で御花料があるのは日本のみ。
  • キリスト教ではお悔やみの言葉はNG。
  • 仏教では通夜振る舞い等にお酒がでるが、キリスト教はでない。
  • 通夜・葬儀後の会食の習慣もキリスト教にはない。

代表的なものをまとめました。同じキリスト教の葬儀でも、葬儀をあげる国によっても違いがあります。

カトリックの葬儀とプロテスタントの葬儀の違い

葬儀においての故人の立場が大きく異なります。

カトリックの葬儀は故人のための儀式であり、プロテスタントは神への感謝と遺族のための儀式です。

プロテスタントでは生きている時に天国へゆく保証を得ているためこのような違いがあります。

キリスト教カトリックの葬儀の流れ

カトリックの葬儀の流れ

カトリックは死を目前にした状態から、神父による典礼が始まります。

最後の典礼を終えた後日、その人が帰天(死去)すると通夜の祈りの儀式に入り、そして葬儀~告別式(日本のみ)~火葬もしくは埋葬の流れで儀式を執り行います。

臨終に際する儀式

最後の典礼として3つの秘跡がおこなわれます。

1:赦しの秘跡(日本では臨終告解)・神との和解

信者の罪の開示あるいは告白を神の名代の司祭が聞く、ゆるしの秘跡。

通常の告解と異なり、神が天国の門を開き永遠の喜びにあなたを歓迎してくださいますように、という祈りが捧げられます。肉体的に不可能な場合は告解なしに赦免となります。

2:病者への塗油(1972以前:終油の秘跡)

イエス・キリストが病人に油を塗って癒したことに由来した秘跡です。病気・臨終にある者が試練に耐えられるように、霊的な力を与える秘儀。その苦しみをイエス・キリストの苦行と結び付けることによって励まし、天国への旅立ちの準備をします。聖書の朗読が行われる中、オリーブオイルを額もしくは体の一箇所に塗油します。

3:ヴィアティクム(死にゆく人のための聖体拝領)

パンと血はイエス・キリストの肉であり血です。ご聖体と呼ばれるこれらを口にすることは、イエス・キリストと一体になること、そして三位一体の神と一つになることをも意味します。

神と神の子と精霊、そして教会と信者たちが一つに繋がる、カトリックにおいて最も重要な儀式であるのがミサの最後に行われる聖体拝領です。

ヴィアティクムはラテン語で旅の糧(あの世への旅立ちのための食事)を意味し、永遠の命の結実、最後の審判の日での復活のために旅立とうとしている信者にとって重要な儀式でもあります。

「わたしの肉を食べ、わたしの血を飲むものは永遠の命を持つのです。そして最後の審判の日にわたしは汝をよみがえらせよう」ヨハネ6:5

通夜の祈り〜ヴィジリア

ヴィジリアとよばれる夜を徹する集まりや儀式があります。カトリックでは葬儀の前に、故人と遺族のために友人知人が集まり賛美歌や詩の朗読、祈りを捧げる儀式を行うのです。

もちろん神父も同席し、儀式後、お茶・お菓子などを食べながら故人の思い出を語り合います。

日本のカトリックではこれを通夜の祈りと呼び、司祭と身内、もしくは故人ともっとも親しかった人のみでおこなわれることがほとんどです。

葬儀ミサ〜3つの儀式を行う

葬儀は、通夜、それから葬儀ミサの流れで行われます。そして葬儀ミサでは3つの儀式を執り行います。

1.入堂式

聖歌が流れる中、十字架を先頭に司祭とともに棺が運ばれ聖堂の中央へと安置されます。司祭の祈りの言葉を参列者たちが復唱し、聖水を祭壇と棺に巻きます。司祭による入祭の言葉によって葬儀が始まります。

2.ミサ聖祭式

故人(帰天者)がカトリック信者のみ行われる儀式です。

司祭と従者による死者のためのミサの祈りが唱えられ、参列者も唱和して故人の安息を祈ります。この時に信者のみの聖体拝領が行われます。

3.赦祈式(しゃとうしき)

故人の生前の罪の赦しを神に乞うて、天国に入れるように祈る儀式。赦祈式は故人がカトリックでなくても執り行われます。

祈りと聖歌斉唱後に香炉と聖水を持った従者によって、故人の罪を清めます。そして香炉をゆっくり振りながら棺の周りをまわる撒香を行い、再び司祭の祈祷と聖歌斉唱にて儀式は終わり、その後出棺されるのです。

最後に、埋葬もしくは火葬場にて司祭は最後の祈りを捧げます。

告別式は日本のカトリックだけが行う儀式

日本のカトリックだけが行います。弔辞・弔電を読み上げ、献花、喪主の挨拶、その後、火葬場へと向かいます。

カトリックの葬儀でのマナー

カトリックの葬儀では、司祭の後に聖書の一節を復唱したり、賛美歌を歌ったりします。

信者でなければそれに倣うことはありませんが、たいていは教会に入る際に賛美歌の歌詞カードが渡されまるので、できるだけ一緒に歌ってあげると良いでしょう。

立ち上がったり座ったりといった動作があるのもカトリックの葬儀の特徴です。その際は周囲の動作に倣いましょう。

最も気をつけなくてはならないのが、カトリック信者にとって重要な儀式である聖体拝領です。始まったら、信者でない方はそれを受けないように静かに見守りましょう。

服装は仏教と同じで黒を基調としたものを

仏教のように喪服といった明確なルールはありませんが、基本は黒のセミフォーマルで、持っていない場合は自分が持っている物の中で一番暗い色のものを着用します。グレーやネイビー、トープが好ましいです。

男性は白襟シャツ・ネクタイ着用、女性は肩と膝を出さず、スカート・パンツ・ドレスのいずれかを着用します。

帽子は、教会内で男性は着用はNG。しかし女性は周囲の視界の妨げにならず、華美なものでなければOKです。トークハットの場合、ベールを着用できるのは喪主および近しい近親者のみなので気をつけましょう。

女性の靴はピンヒール、また、サンダルといったオープントゥはNGです。ジュエリーに関しては華美になりすぎなければ問題ありません。

子どもの服装は、まずは快適であることが第一です。暗い色の服装であるにこしたことはありませんが、流行の服装や派手でなければ色やデザインにこだわりはありません。

幼稚園や学校の制服がある場合は、それを着用するのが無難です。

大人も子どもも、汚れた靴を履いて行くのはNG。

仏教でいうところの数珠は、ロザリオにあたりますが、信者でなければ必要ありません。

カトリックの葬儀ではお悔やみの言葉を使わない

カトリック教徒による死とは、肉体という物理的な死であって、魂は不滅であり、天国へと登り最後の審判の日にイエス・キリストの復活とともに蘇るとされています。

また、イエス・キリストが人類の罪を一身に背負いましたが、それでも人間は罪深きアダムとイブの原罪を背負うことで苦難な道を歩んでいると考えられています。

自死を除く死はその苦しみからの解放であり、神の思し召しとされ祝福に値するものです。

言葉がけをするのであればお悔やみではなく、故人の安息を祈る言葉をかけてあげてください。

▼例文

  • 安らかに眠られますようお祈り申し上げます。
  • みなさまに、主のお慰めがありますように。

香典ではなく「御花料」を差し出す

「御花料」はカトリック・プロテスタント両方に使えますが、カトリックの葬儀の場合は「御ミサ料」とも書いても良いです。

十字架や百合の花がエンボス加工などされたキリスト教専用の不祝儀袋もありますが、通常は水引のない白無地の不祝儀袋を用います。

モノタロウ / 地紋風の模様が入った不祝儀袋

渡すタイミングは、通夜の祈りの際は直接喪主に、葬儀当日は記帳を済ませ受付で渡します。

御花料の金額相場は仏教の香典と変わらない

金額は仏教の香典と同じです。

▼金額相場

  • 両親: 5万~10万円
  • 兄弟 :3万~5万円
  • 親族 :1万~3万円
  • 会社関係: 5千~1万円もしくはそれ以上 

※付き合いの程度によって変動します

まとめ|カトリックの葬儀では死は終わりではなくはじまりである

カトリックの葬儀は、故人が神に御許へ行くことへの赦しを乞う儀式です。そのため、在りし日の故人を讃え、神へ感謝の祈りを捧げます。

カトリックにおける死は終わりではなく、復活して永遠の命を得るための旅立ちです。神の御許、先祖代々、そして愛する全ての人々が待つ世界に行き、故人もまたそこで皆を待ち、最後の審判の日を待ちます。

カトリックの死は約束された再生へと続いているといえるでしょう。たとえあなたが信者でなくとも、故人の魂の安息と再生を祈る気持ちは届きます。違う宗教・宗派の葬儀に参加する際も、故人を偲ぶ気持ちが一番大切なのです。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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