喪章をつける意味とは?葬儀で用いる喪章の意味や目的、正しい付け方などを解説

投稿:2020-12-10
喪章をつける意味とは?葬儀で用いる喪章の意味や目的、正しい付け方などを解説

喪章は通夜や葬式で弔問客に遺族や喪主、あるいは受付のスタッフであることをわかりやすく示すためにつけるものです。

一般的に喪章は故人の4親等までにあたる人が身につけます。

しかし、これは厳密なルールではありません。小規模な葬儀が増加している現代では、喪主のみが喪章を身につける場合や受付の人だけが喪章を身につけるというケースもあります。

喪章をつける意味や目的を考察するとともに、正しい付け方などを詳しく解説します。

喪章は誰がつける?その決まりとは

喪章は、通夜や葬儀で遺族と弔問者を区別するためにつけるものです。その他にも故人への弔意をあらわすという意味もあります。

では、喪章を着ける人には決まりがあるのでしょうか?喪章をつける人やその目的など詳しく解説します。

喪章をつけるのは通例故人の4親等まで

喪章はお通夜やお葬式において故人に対する弔意を示すためもの。一般的に喪章を着けても良いとされるのは、故人との続柄が「4親等以内」の親族です。

4親等の親族と言われてもピンとこない方も多いでしょう。具体的に4親等の親族とは、故人から見て「玄孫(やしゃご)」・「いとこ」・「高祖父母」・「姪孫(甥姪の子)」までの親族のこと。

とはいえ、現代においてかなり遠い続柄である4親等の親族がお通夜やお葬式の場で実際に喪章を着けるケースは極めて少ないです。故人との生前の付き合いの度合で喪章をつけるかつけないかが変わります。

「喪章は4親等まで」というのはあくまで通例の基準であり、厳密なものではありません。そのため、4親等より遠い関係であっても故人ととても親しかった関係性ならば喪章を着けても良いです。

喪主や受付のみ喪章を付ける場合もある

現代においてはお通夜やお葬式の形式は様々あり、大規模な葬儀からこじんまりとした家族葬まで千差万別です。先述した通り慣例としては喪章は「4親等以内の親族が着けるもの」ですが、厳密なルールはありません。

ケースバイケースで、喪章を着ける人をもっと限定するお通夜やお葬式も多いのが実情です。弔問客によっては、誰が故人の遺族で喪主なのかわからないといったこともあるでしょう。

そのため「喪主のみが喪章を着ける」とし、故人の家族(遺族)であっても喪章を着けないケースもあります。

葬儀社との打ち合わせやお通夜やお葬式で挨拶を行う等、葬儀全体を取り仕切る立場にある喪主だけが目印として誰の目にも明かな形で喪章を着けるのです。

また喪主の他には、「受付役の人が喪章を着ける」というケースもあります。

お通夜やお葬式で会場の受付を務めるのは葬儀社ではなく、故人や喪主の職場の同僚や後輩、あるいはご近所さんなどが葬儀の受付を務めることがほとんどです。

弔問客には故人とは縁があっても、参列者や遺族と親しいわけではない人も珍しくありません。このような人々のために受付は喪家サイドの案内役として、弔問客の窓口になる必要があります。

そのため、一目で喪家の案内役とわかるように受付が喪章を着けるケースも珍しくありません。概して社葬などの比較的規模の大きな葬儀において受付が喪章を着けている場合が多いようです。

喪章を外すタイミングは火葬の後

喪章はお通夜~お葬式を通してずっと装着して良いです。喪章を外すタイミングは、一般的には喪主や遺族の場合には故人の火葬が終わってからとされています。

受付の人が喪章を外すタイミングはもっと早く、お通夜やお葬式の受付業務が終わったら外しても良いです。

ただし明確な決まりはありませんので、よくわからない時は葬儀社のスタッフに尋ねてみましょう。

正喪服であれば喪章を付けなくてもよい

喪章は一般的に故人の4親等以内の親族が着けるものとされていますが、絶対に喪章を付けなければならないといった決まりはありません。その遺族や喪主の判断で喪章を着けるか着けないかは臨機応変に判断しましょう。

また、通例として「正式な喪服(正喪服)を着ているならば喪章は装着しなくてよい」とされています。

正式な喪服(正喪服)とは、男性の場合は洋装なら白無地Yシャツに黒のネクタイ、上にはモーニングコート。和装であれば、紋付の黒い羽織袴、白足袋に草履が正喪服です。

女性の正式な喪服(正喪服)は、洋装なら黒のフォーマルドレス。和装であれば、紋付で黒無地の着物に白足袋と黒草履を合わせた服装が正喪服になります。

一般的に正喪服は故人と縁の深い遺族しか着用しないため、喪章をつけなくとも良いとされているのです。

いずれにしても、事前に遺族の間でこのような喪章装着の有無については事前に打ち合わせをしておくと良いでしょう。

喪章の正しい付け方と準備

喪章の正しい付け方と準備

喪章のには正しいつけ方があり、種類も腕章型とリボン型の2つがあります。

正しいつけ方やそれぞれの特徴、事前の準備などを解説します。

喪章には腕章型とリボン型の2種類がある

喪章は一般的に左胸など身体の左側に着ける弔用アイテムです。

なぜ身体の左側に着けるのでしょうか?

それは、仏教の考え方に由来しています。仏教では本尊から見て右側の方が上位、すなわち喪章を身体の左に着けることによって本尊である故人に対して弔意をあらわすという意味になるのです。

儀礼的に大きな意味を持つ喪章ですが、大きく分けて「腕章型」と「リボン型」の2種類があります。

飾りのない簡素な腕章型の喪章

腕章型の喪章は、黒い布製や黒いポリエステル製で飾りのない簡素なもの。その名の通り左腕に巻いて装着する喪章です。

10㎝前後の幅のものが一般的で、マジックテープでとめる形式のものが多いです。中には安全ピンでとめなくてはならないものもありますが、喪服に穴をあけてしまうのであまり推奨はされません。

多くの場合は黒い無地ですが、中には家紋を入れる腕章型の喪章もあり、この場合は白色で家紋が描かれます。

バリエーションに富んだリボン型の喪章

腕ではなく多くの場合、左胸に着けるタイプの喪章としてリボン型があります。腕章型に比べるとこちらのリボン型はバリエーションに富んでいて見た目のデザインも華やかです。

基本的には白い薔薇を模した花飾りに白黒の布を繋げて下げる形のものと、黒い布をねじってリボンのようにデザインしてあるものが主流です。黒一色か白黒かと覚えておくと良いでしょう。

一般的にはこれらのリボン型の喪章を喪服の左胸に安全ピンでとめて装着します。

喪章は葬儀社が準備してくれる

現代ではほとんどのお通夜やお葬式の葬儀全般は、葬儀社の用意した葬儀会場で執り行われます。それぞれの事情や予算に合わせた葬儀全般を葬儀社のスタッフがプランニングしてくれるのが一般的です。

その一環として喪章の準備も葬儀社のスタッフがぬかりなくやってくれます。必要な分の喪章を単価100円程度で用意してくれるので、必要な場合は事前に伝えておきましょう。

葬儀社近くのお店や通販などで手に入れることも可能

地域にもよりますが、葬儀社(葬儀会館)の近所には葬祭に必要なアイテムを販売している専門店があります。自分で葬儀前にお店に行き喪章を買っても良いです。

また葬儀まで日にちがある場合には、通販で取り寄せることも可能。

最悪何らかの事情でどうしても当日喪章が足りないといった場合は、自分で喪章を作ることも可能です。この場合は黒いリボンと安全ピンを用意してください。これらを左腕に巻きつけて固定すれば簡易的な喪章になります。

とはいえ、喪主や遺族はただでさえ故人に旅立たれてまだ気持ちの整理もつかず気が動転しているケースも多いです。しなければいけないことも多いので、葬儀社に準備してもらった方が良いでしょう。

まとめ|喪章は遺族側と弔問客を区別するために遺族側が付けるもの

古来、日本においては故人の死を悼み喪に服する喪服の色は黒ではなく白装束でした。古来の日本の葬送儀礼においては、遺族や喪主は白装束に身を包み、訪問してくる弔問客との差別化を計っていたのです。

しかし明治の世になると、西洋に準拠して日本の葬儀に参列する喪服も黒が基本となりました。喪主をはじめ遺族も一般の弔問客も同じ黒い喪服。そのため故人の遺族や関係者と親しくない弔問客は、一体誰が喪主や遺族でだれが受付の人なのかわかりづらくなってしまいました。

こうした際に喪主や遺族・受付のスタッフが喪章を着けていれば、一般弔問客が遺族側とただの参列者を一目瞭然で見分ける目印となるわけです。

喪章は絶対つけなくてはならないという性質のものではありませんが、こういう事情から必要になった弔用アイテムだと理解すれば装着する意義も生まれるでしょう。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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