葬儀における焼香のやり方とマナーとは?宗派別の作法や回数の違いもわかりやすく解説

投稿:2020-10-27
葬儀における焼香のやり方とマナーとは?宗派別の作法や回数の違いもわかりやすく解説

仏教の葬儀の際、参列者は焼香をします。

どのように焼香をするのか、また自分が喪主家となった時、参列いただいた方にどのように案内すれば良いのか悩んだことはありませんか?

焼香には、決まった順番や作法、宗派ごとのやり方があります。それを知っておくといざというときに困りません。

まずはどの宗派でも共通している基本的な作法を身につけておき、参列する葬儀の宗派が分かる場合、宗派ごとに違う部分を確認しておくのがおすすめです。

焼香の基本的な知識について紹介し、葬儀における焼香方法やマナーについて宗派別の違いや焼香の順番などを詳しく解説します。

焼香とは仏事で香を焚くこと

焼香とは、葬儀や法要などの仏事で香を焚くことです。実は、線香も香を長もちさせ手軽にした簡易的な焼香のひとつ。

一般的に焼香といえば、シキミの葉や皮を細かく砕いた香である抹香を香炉にくべて香を焚くことを指します。

仏教では人は亡くなると香りを食べ物とすると考えられています。また、焼香する人自身の穢れを払うという意図や古くは遺体の臭いをカバーするためでもありました。

いずれにしても、仏教の葬儀の場には欠かせない大切な儀式の一つです。

葬儀時の焼香のやり方とマナーを解説

焼香の基本的な方法である「立礼焼香」「座礼焼香」「回し焼香」。それぞれのやり方や、その際の数珠の扱い方を解説します。

焼香の基本的なやり方

葬儀の焼香では「立礼焼香」「座礼焼香」「回し焼香」の3つの方法があります。それぞれの基本的な作法を知っておきましょう。

立礼焼香〜祭壇の前で立って焼香をする

最も一般的な方法である立礼焼香。多くの通夜や葬儀でこの方法を取っています。椅子が用意されている式場での通夜や葬儀で、祭壇の前に焼香台が設けられている場合は、立礼焼香です。

立礼焼香では、参列者は1人ずつ、または数人ずつ順番で焼香を行います。自分の順番になったら席から立ちあがり、そのまま焼香をするのではなく、まず焼香台の手前で立ち止まり、遺族や僧侶におじぎをしましょう。

次に祭壇の前まで行ったら、遺影に向かいおじきか合掌をし、その後焼香。再び遺影におじぎして合掌します。

焼香したら、サッとそのまま戻ってしまいそうになりますが、遺影に身体を向けたまま数歩下がって遺族や僧侶におじぎすることも忘れないようにしましょう。その後に席に戻ります。

座礼焼香〜祭壇の前に座って焼香をする

座礼焼香は、お寺や自宅など畳が敷いてある会場での作法です。椅子があるかないかの違いで、基本的には立礼焼香と手順は同じです。順番に祭壇の前にある焼香台で焼香します。

しかし、祭壇まで行く際は、腰を落とし姿勢を低くして移動しなくてはいけないので注意してください。その時、数珠を持っている場合は、畳につけないよう気をつけます。

姿勢を低くするだけではなく、祭壇の前までいった際、座ったままで畳に親指を立てて膝をするようにして移動する、「膝行・膝退」の作法を使うこともあります。

普段しない動作のため、畳の式場の際は練習しておくと良いでしょう。

おじぎや焼香の手順は立礼焼香と同じで、祭壇の手前で正座して遺族や僧侶におじき、膝行で焼香台の前まで行き、遺影に向いて合掌し焼香します。膝退で下がり、遺族や僧侶におじぎした後、腰をひくくして移動し、席につきましょう。

回し焼香〜お盆を順番に回しながらその場で焼香する

式場が手狭な場合や参列者の人数が多い場合、歩いて祭壇まで行くのが難しい方がいる場合などは、回し焼香の方法が取られることがあります。

お盆にのった抹香と香炉が順番に回されるので、席についたままで焼香をします。香炉の受け渡しや膝の上にのせる際に落とさないよう気をつけましょう。小さな子どもが参列している場合は、手を貸すようにしてください。

香炉は軽くおじぎをして受けとります。畳に座っている場合は膝の前に、椅子の場合は膝の上に香炉を置くようにしましょう。

焼香をする前に祭壇に向かい手を合わせることを忘れないようにしてください。焼香を終えたら、再び祭壇に向かって合掌した後、盆を次の人に渡します。

お葬式での数珠の扱い方

葬儀や通夜や法要に欠かせないのが数珠です。焼香の際の扱い方を覚えておきましょう。

焼香は右手で行いますが、そのとき、数珠は左手で持ちます。合掌する際は親指と人差し指の間にかけ軽く押さえるようにしましょう。

葬儀の際、数珠は使わないときでも無造作に床や椅子に置いてはいけません。中座する場合は、バッグやポケットなどにしまっておきましょう。

数珠は持ち主のお守りであり分身でもあるため、貸し借りするのはマナー違反です。

その一方で、数珠は寿珠とも呼ばれており、人に贈ることは良いことよされています。贈る人に対して法縁を与えて功徳を施すことと考えられているからです。入学や就職や誕生日などに贈るのも良いでしょう。

正式には宗派によって数珠の形が違いますが、略式のものは18~43個ほどで、一般的にどの宗派でも共通して使えます。

宗派によって異なる数珠を販売しているお店もあるので、もしも自分の宗派が分かるなら宗派のものを購入すると良いでしょう。

珠の素材は、水晶、ヒスイ、サンゴ、オニキス、メノーなどがありますが、好みのものでかまいません。宝石だけではなく、銘木や木の実のものもあります。

使用後はやわらかい布で軽く拭いて、袋や箱に保管するようにしましょう。小さな子どもが玩具にしないように管理してください。

宗派別|焼香のやり方とマナーを解説

焼香の作法で、宗派毎に異なる点は2つあります。まず何回抹香を香炉にくべる(焼香する)か、その際、抹香を押し頂くかどうかです。抹香を押し頂くとは、抹香をつまみ、額の前あたりまでもってきて祈りを込めることを指します。

焼香する回数と抹香を押し頂くのかどうか、それ以外の作法はどの宗派でも変わりません。

葬儀に参列する際は、宗派を把握してその宗派では何回、押し頂くのか、このことをあらかじめ調べておくことをおすすめします。

各宗派の作法をそれぞれ解説するので、参考にしてみてください。

真言宗は3回、押し頂いて焼香する

焼香の回数は3回、すべて押し頂きます。

天台宗は3回、押し頂いて焼香する

焼香の回数は3回。参列者が多いときには1回でもかまいません。すべて押し頂きます。

日蓮正宗は3回、押し頂いて焼香する

焼香の回数は3回、すべて押し頂きます。真言宗と同じです。

曹洞宗は2回、押し頂いて焼香する

焼香の回数は2~1回。2回が一般的ですが、1回でも結構です。すべて念じながら、押し頂きます。

浄土真宗大谷派は2回、押し頂かずに焼香する

焼香の回数は2回。押し頂くことはしません。

浄土宗は1回、少しだけ押し頂いて焼香する

焼香の回数は1回。焼香の際左手を下に添え、少しだけ押し頂きます。

浄土真宗本願寺派は1回、押し頂かずに焼香する

焼香の回数は1回。押し頂くことはしません。

臨済宗は1回、押し頂かずに焼香する

一般的には焼香の回数は1回。押し頂くことはしません。

参列した葬儀の宗派が分からないこともあるでしょう。その際は、喪主の真似をすると良いですが、見逃してしまったときは、自分の宗派の焼香をしてもかまいません。

自分の宗派が分からない場合は、お家にある仏壇や仏具の宗紋を確認してみてみましょう。また、お墓参りに行った際にお寺で確認すると確実です。

宗派によっては3~2回の焼香が正式ですが、参列者の人数が多いときは焼香の回数は1回でと案内されることもあります。

焼香の順番の決め方

焼香の順番の決め方

実は、焼香の順番については遺族や親族の間でドラブルになってしまうこともあるようです。参列者の多い葬儀では焼香の順番表を作成しておく必要があります。

焼香の順番は、家族だけではなく地域や職業や故人の交友関係によっても違うものです。いくつかのパターンを紹介します。

一般的な葬儀では個人と関係が近い人順で行う

基本的に焼香の順番は故人との関係が近い順で行います。

よって、喪主、子供や配偶者、兄弟姉妹、その他の親族の後で、友人や知人、職場の人です。

「代表焼香」「来賓焼香」は故人との親交の深さで順番を決める

故人と所属していた会社や団体を代表して焼香を行うことを「代表焼香」といいます。

また、町内会の代表者や地元の議員などが来賓として参列し、焼香することは「来賓焼香」といいます。複数そうした方がいる場合は、順番に悩むところです。

基本的には焼香の順番は喪主家が自由に決めてもかまいません。しかし、自分で決めにくい場合は、地域の慣習に詳しい方に聞いたり、葬儀社に相談したりすることをおすすめします。

親族の順番と同じように、故人との関わりの深さによって決めるのが正式なので、生前の故人のことを思い決めるのも良いでしょう。例えば、故人が地域の活動に熱心で貢献していた場合は、親族の次にまず地域の組織の代表者に先に焼香してもらうなどです。

焼香の順番のトラブルを防ぐ「止め焼香」

「止め焼香」とは、最後に焼香をすることで、「不幸を止める」という意味が込められています。また、それだけではなく、焼香の順番によるトラブルを防ぐためにも使われており、西日本にある独特の風習です。

止め焼香を行うのは、親族の代表者で故人の兄弟姉妹か喪主の家族のだれかになります。つまり、本来焼香の順番が早い人なのですがその人があえて最後に焼香することによって、参列者の方に焼香が順序不同であることを了承してもらうのです。

親族の順番に悩んだ場合は、一般参列者が焼香する前、親族の最後に止め焼香をし、来賓焼香などが複数あるときは一般参列者もすべて焼香を終えた後で止め焼香をします。

なお、喪主が夫で妻が亡くなった場合は、故人の兄弟姉妹ではなく、止め焼香を行うのは夫の兄弟姉妹など夫の親族です。葬儀だけではなく、通夜でもこの習慣はあります。

まとめ|大事なことは真心をこめて丁寧に焼香すること

焼香は、基本的な作法や立ち居振る舞い、宗派による違い、数珠の扱い方、焼香の順番など、それぞれややこしいマナーがあり、大変だと感じる方もいることでしょう。いざ葬儀の場できちんと作法通りできるか不安になってしまうかもしれません。

しかし、焼香は故人に対して自分の気持ちを捧げるもので、作法以上に慌てずに真心をこめて丁寧に行うことが一番大切です。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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