喪服には靴下やネクタイ、インナーなども全て黒に統一するのがマナーです。そして、葬儀の際に着用するコートにも、喪服と同じように細かいマナーがあります。
葬儀の場においてふさわしいないコートの色や素材があるので、コートを着用するときは葬儀で着用しても問題のないものか事前確認が必須です。
喪服でコートを着用するときのポイントを、色や注意点を交えて詳しく解説します。
もくじ
喪服のコートの色は黒で統一する必要があるのか
冬など肌寒い日は、喪服の上にコートを羽織っても問題ありません。しかし、コートまで喪服と同じように黒で統一する必要があるのでしょうか?
コートも黒で統一するべきか、喪服のコートとしてふさわしい色について解説します。
喪服のコートの色は基本的に黒で統一する
喪服は黒で統一する必要がありますが、喪服の上から着用するコートも基本的には黒で統一するのが理想的です。
ただし、喪服のような厳格なルールやマナーがあるわけではないので、絶対に黒で統一しなければならないわけではありません。
そもそも、第2次世界大戦以前の日本は喪服は白が基本で、偉い人の葬儀のときのみ黒の喪服を着用していました。「喪服=黒で統一する」という認識やマナーができたのは、第2次世界大戦以降からです。
現代は喪服は黒で統一するのがマナーですが、外国の文化を取り入れた比較的新しい風習なので、コートや子供の喪服のように厳格に決められていない部分もあります。
ただし、コートも黒で統一するのが理想的であり、人によっては気になってしまう部分なので、フォーマルコートを購入するなら喪服用にも使える黒を選びましょう。
和装の場合も基本的に黒の道行コートが無難
和装の場合は道行コートを着用しますが、洋装と同じように黒で統一するのが無難です。
黒がない場合は、地味な色合いのもので代用しても問題ありません。ただし、柄が入ったコートは避けましょう。
黒がない場合はダークカラーのコートでも可能
どうしても黒のコートがない場合は、ネイビーや暗いグレーなどのダークカラーのコートを着用しても問題ありません。
ただし、ボタンなどの装飾が派手なものや柄が入っているものは、葬儀の場ではあまりふさわしくないので避けるべきでしょう。
明るい色のコートはNG
喪服として着るコートは必ずしも黒でなければならないわけではありませんが、白やピンクなど明るい色のコートはNGです。
葬儀の服装で求められるのは地味で目立たないことなので、目立つような色のコートは着用しないように注意してください。
喪服でコートを着用する際のポイントや注意点を解説
喪服のコートには細かなマナーはあるものの、喪服のように厳格に守らなければならないわけではありません。
ただし、選び方次第では葬儀の場にふさわしくない格好になってしまうので、喪服と合わせても問題はないか注意する必要があります。
遺族や参列者へ失礼がないように、喪服でコートを着用する際に気をつけるべきポイントや注意点を解説します。
毛皮や革、ファーを使ったコートは避ける
黒い地味なコートであっても、毛皮や革、ファーを使ったコートは生き物の殺生を連想させるため着用しないように注意してください。
とくにファーは晴れの装いで着用される華やかな装飾なので、葬儀にはふさわしくありません。取り外せるのであれば、取った状態で着用してください。
フード付きなどカジュアル過ぎるコートも避けるべき
黒のコートならなんでもいいわけではなく、フード付きやダウンジャケット、ニットコートなど、カジュアル過ぎるコートも避けてください。
葬儀はフォーマルな場なので、カジュアルな服装はふさわしくありません。
冠婚葬祭の行事の中には、多少カジュアルでも許される行事もありますが、葬儀は遺族や故人への配慮が最優先なので、カジュアルなデザインの服装は避けるべきでしょう。
コートの丈は長めが好まれる
コートの丈はあまり気にする必要はありませんが、葬儀の場では長めの丈が好まれます。
男性ならお尻が隠れるか少し見える程度、女性ならスカートが隠れるか少し見える程度がおすすめです。
ちなみに女性がスカートタイプの喪服を着用する場合、着丈は膝下がマナーなので、喪服の上からコートを着用するならロングタイプのコートを選びましょう。
ダブルよりもシングルがふさわしい
コートにはボタンが2列になっているダブルと、1列のみのシングルがあります。
ダブルは軍服由来のデザインで、社会的立場がある人にふさわしいとされている一方で、シングルはシンプルで秩序を重んじる場にふさわしいとされています。
あまり細かく気にする必要はありませんが、葬儀の場合は秩序を重んじる場なので、ダブルよりもシングルがふさわしいです。コートを選びのポイントとして意識するとよいでしょう。
移動時のみ着用し、会場内では脱ぐのがマナー
喪服としてふさわしいコートを持っていない場合は、移動時のみコートを着用をして、会場に到着する前に脱いで対応しましょう。
重要なのは会場で場にふさわしい服装をしているかです。ビジネスではコートを着たまま屋内(会場)に入ることはマナー違反とされているように、葬儀でも会場内ではコートを脱ぐのがマナー。
そのため、喪服としてふさわしいコートがない場合は、移動時のみコートを着用してください。さらに配慮をするなら、脱いだコートは裏返しにして目立たないようにするとよいでしょう。
喪服のコートは基本的に黒で統一し、殺生を連想させる素材は避ける
喪服のコートは基本的に黒で統一するのが望ましいです。喪服のように厳格にマナーを守る必要はありませんが、最低限喪服としてふさわしい格好はするべきでしょう。
なお、黒のコートならなんでもいいわけではありません。
カジュアルすぎるコートはもちろんですが、お悔やみの場なので、毛皮や革、ファーなどの殺生を連想するような素材は避けるのがマナー。
葬儀の場にふさわしいコートなのか不安な場合は、移動時のみ着用して会場では脱ぐ対応をするか、葬儀社やフォーマルな衣服を取り扱う店舗などに相談してみましょう。