初めてでもわかる 通夜と葬儀の受付の仕方と作法|受付側、参列者側両方の立場で解説

投稿:2020-10-29
初めてでもわかる 通夜と葬儀の受付の仕方と作法|受付側、参列者側両方の立場で解説

通夜、葬儀の受付は遺族に代わり、弔問客を最初にお迎えするという重要な役割。香典を受け取り、参列のお礼を述べ、返礼を渡すなどやるべきことも多いです。

また、受付を担当する通夜や葬儀についても知っておく必要があり、事前の準備もあります。

参列者は、受付で香典を渡し記帳を行いますが、黙って事務的に渡して記帳するのではなく、仏事ならではの決まり事があります。受付の担当者同様、言葉遣いやマナーを確認しておきましょう。

通夜と葬儀の受付について、参列者側と受付側の両方の視点からその作法とマナーを解説します。

通夜、葬儀の受付の担当者とその役割

通夜や葬儀の際、ほとんどの場合受付が必要です。通夜や葬儀の受付はとても重大な役割になります。

いつ、自分も頼まれる機会があるかは分かりません。いざという時のために、どのようなことをするか把握しておきましょう。

受付の具体的な役割や誰が担当するのかなど、基本的な内容を解説します。

受付の役割は、会計、芳名帳を書いてもらう、返礼を渡す

通夜や葬儀では会場に入る前に受付が設けられており、そこで芳名帳に記帳をして香典を渡し、返礼品を受けとります。また、会計や弔電や供物などの届け物を受けとるのも受付の担当者です。

他にも、クロークがある場合は、荷物やコートなどを預かることもありますし、会場の案内係でもあるので、トイレの場所や駐車スペースについて案内することも。さらに、終了時間や会食の時間など、タイムスケジュールを尋ねられることもあるでしょう。

誰が受付を担当し、必要な人数は?

完全に家族だけで行う式でない限り、通夜や葬儀に受付の存在は欠かせません。葬儀社にお願いしたいところですが、通常は遺族が誰かにお願いすることになります。

なぜ葬儀社にお願いすることができないのでしょうか。

それは、受付は香典を受け取るという役割があり、お金の管理上の問題で、葬儀社のスタッフには任せることができないからです。

しかし、近親者は法要に参列するため受付をすることができません。受付は、喪主の友人や会社関係の人や近所の人、少し遠い親戚などが担当します。

いずれにしても、お金のことを任せて安心できる相手でなくてはいけません。また、受付は遺族側の人間として仕事をします。そのため、遺族の立場で弔問客に対して失礼のないように振る舞う必要があります。

だからこそ、受付を頼まれるということは、それだけ信頼されているともいえます。負担は少なくない役目ですが、持ちつ持たれる、遺族を支えるという意味でも、できる限り引き受けましょう。

どうしても引き受けられない場合は、その理由を伝えた上で、代わりに弔電を送ります。

受付には最低でも3~4人必要で、弔問客が多い場合はそれ以上の人数が必要です。滞りなく受付を行うためにも少し余裕のある人数にしたほうがよいでしょう。

通夜、葬儀にて弔問客をお迎えする場合の受付の作法

通夜や葬儀の際、弔問客を迎える受付を頼まれた場合、具体的にはどのようなことをするのでしょうか。

事前に準備しておくべきことや実際の受付の流れ、気をつけるべきマナーを紹介します。

受付の事前準備

受付自体は、通夜や葬儀開始の30分~1時間前からスタートします。受付担当者はその前に遺族や葬儀社と打ち合わせ、受付の準備の必要があるので、その30分前には到着しておくとよいでしょう。

事前にすべきことは以下の通りです。

●会計、芳名帳、返礼、それぞれの担当者を決める

誰がどの役目をするのかを決めておきます。特に会計は間違っては困るため、通常1人が一貫して担当することが多いです。

●芳名帳、筆記用具を用意する

芳名帳にはノートタイプやカードタイプがあります。紙質に合わせて書きやすい筆記用具を複数用意しておくとよいでしょう。葬儀社で準備してくれている場合もあります。

●会場の見取り図を把握する

どこにトイレがあり、どこで会食を行うかなど、弔問客から聞かれることがあります。大まかな見取り図を把握しておきましょう。

●式のタイムスケジュールを把握する

式が終わる時間や会食の時間などを聞かれた際、答えられるようにしておきましょう。

受付を行う際の流れ

基本的な受付の流れは以下の通りです。

1.遺族に代わって参列者に挨拶

受付は遺族の代理の立場であるため、弔問客のお悔やみの言葉に対して「本日はお忙しいなかお越しいただきありがとうございます」などと挨拶します。

2.香典を受け取り、記帳してもらう

香典を受けとる際は「お預かりします」と一礼し、両手で受け取りましょう。その後、「恐れ入りますが御記帳をお願いします」と記帳してもらいます。

その時、「ありがとうございます」とは言わないよう注意が必要です、香典はもらうものではなく、故人や遺族に代わって預かるものです。そのことを心得ていれば、うっかり「ありがとうございます」と言ってしまうことはないでしょう。

記帳は後に誰が参列してくれたかを確認するために必要なものです。名前や住所を丁寧に書いてもらいます。

3.返礼品や会葬礼状を渡し、参列者に会場に入ってもらう

記帳した参列者には返礼品や会葬礼状を手渡し、会場に入ってもらいましょう。

4.供物や弔電を受けとる

供物や弔電を受けとった場合は、受付に弔問客がいなくなったら遺族や葬儀社のスタッフに渡します。

受付での作法とマナー

受付は遺族側の立場になりますので、失礼のないように気をつける必要があります。受付の作業よりも、一番悩むのは通夜や葬儀ならではの挨拶です。

お悔やみの言葉に対しては「ありがとうございます」と言わずに、「恐れ入ります」「ご丁寧に恐れ入ります」。香典を受けとった際は「お預かりいたします」「頂戴いたします」とこたえます。

受付を何回も経験している方はあまりいないので、言い慣れない言葉は練習しておくと安心ですね。

また、大声を出したり、葬儀以外の話題を話したり、笑ったりすることはその場にふさわしくありません。

遺族に対して慰めたいという気持ちはあるかと思いますが、遺族は大切な家族を無くした直後で大きなショックを受けています。だからこそ、安易に励ましたり慰めたりすることは逆効果になってしまうこともあるでしょう。

丁寧に心をこめた短い言葉で、お悔やみを述べるようにすることをおすすめします。

通夜、葬儀に参列した場合の受付の作法

通夜、葬儀に参列した場合の受付の作法

会葬者、参列者として葬儀に通夜や葬儀に参列する場合でも、受付でのマナーは大切です。特に記帳は、自分の立場によって変わるので注意しましょう。

参列者としての受付の作法を解説します。

香典の渡し方

受付ではまず香典を渡します。通夜の場合、うっかりお札を入れ忘れてしまう方が時々いますが、そのことを遺族側が指摘することは難しいです。香典を渡す前に、必ず中身を入れたか確認しましょう。

受付に香典を渡す際は、お悔やみの言葉を述べます。「この度はご愁傷様でございます」「お辛いと存じますが、お悔やみを申し上げます」「この度は急なことで言葉もありませんが、ご冥福をお祈りいたします」などです。

あまり言う機会のない言葉なので、言いにくい場合もあるかと思いますが、言葉をつまらせてしまったとしても、気持ちが込められていれば心配ありません。

ただ大勢の人が弔問するので時間がかかりすぎないように心掛けましょう。

香典はふくさに包んで用意しますが、渡すときはふくさから取り出して、ふくさを畳んだ上に香典を置くようにします。ふくさごと香典を相手側に向けて「お供えください」といってから渡すようにしましょう。

通夜と葬儀どちらも参列する場合は、通夜の際だけに香典を渡すのが一般的です。同じ方の通夜と葬儀で二度も香典を渡すことは、不幸が重なるという意味なり、演技が悪いこととされています。

受付での記帳の仕方

記帳で一番大切なことは、住所名前を分かりやすい丁寧な字で書くことです。芳名帳は参列者の大切なデータであるので、名前や住所が不明の場合、相手側に迷惑がかかります。大勢が受付で並んでいる場合、焦ってしまいがちですが、丁寧に書くことを意識しましょう。

自身で個人的に香典を用意して参列する場合は問題ありませんが、困るのは代理や会社代表の場合です。以下を参考にしてください。

●代理で香典を持ってきた時

家族や会社に人などの代理で香典を持ってきた際は、香典を用意した人の名前と住所を書きます。

なお、他の人の香典だけではなく、自分も香典を用意した場合は、2人の名前と住所を書くようにしてください。

●会社を代表して参列する場合

名前の欄には社名、所属先、自分の名前の順で書き、住所は会社の所在地を書きます。

●夫婦で参列した場合

一般的には夫婦で参列した場合でも、2人の名前をフルネームで書きますが、地域によっては夫の名前のみの場合もあります。未成年の子どもの場合は、求められない限りは名前を書きません。

忌み言葉を使わないよう気をつける

受付に限らず、通夜や葬儀では、以下のような忌み言葉を使わないよう気をつけましょう。

●不幸を感じさせる言葉

死や不幸を感じさせる言葉、具体的には数字の「4」「落ちる」「消える」が挙げられます。また、「とんでもない」「大変」も避けたほうがよい言葉なので気をつけるようにしましょう。

●重ね言葉

同じ言葉を重ねた表現は避けるようにします。「重ね重ね」「ますます」「いよいよ」「たびた」などです。普段から使っている表現なのでつい口から出そうになりますが、で意識して言わないように心掛けましょう。

●繰り返す、続くことを連想させる言葉

不幸を繰り返す、続くことを連想させる言葉は控えるようにします。例えば、「繰り返し」「再三」「再び」などです。

忌み言葉については、故人の宗教によって考え方が違うこともあります。

まとめ  受付は弔問客を最初にお迎えする立場

通夜や葬儀受付を担当する機会は、あまりないでしょう。実際にやってみないと、受付の立場の大変さや大切さに気づきにくいと思います。

弔問客を遺族に代わってはじめにお迎えし、挨拶をする重要な役割です。また、慌ただしい中で、スムーズに対応必要もあります。もし、受付を頼まれた場合は前もって準備をするようにしましょう。

受付でのお悔やみの言葉のマナーや香典の渡し方、記帳の仕方なども戸惑うことが多いと思います。前の人を真似して同じようにするのもよいですが、自分でも言葉遣いやふくさの扱い方は練習しておくのもおすすめです。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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