仮通夜と本通夜の違いとは|仮通夜の意義と現代で減りゆく理由

投稿:2021-01-13
仮通夜と本通夜の違いとは|仮通夜の意義と現代で減りゆく理由

故人が亡くなった日に行う通夜を「仮通夜」と言います。

仮通夜は「本通夜」とは異なり、身内だけで執り行われる儀式です。本通夜や葬儀で忙しくなる前に、身内だけで静かに故人を偲ぶ大切な時間となります。

故人が友人や職場関係者の場合は本通夜に参列しますが、やむを得ず仮通夜に参列する場合は手短かに失礼するのがマナーです。

しかし、現代では住宅事情などの理由により、仮通夜が行われないケースも増えてきました。

仮通夜自体を知らない方も増えており、仮通夜と本通夜があると聞いて戸惑う人もいるでしょう。

仮通夜と本通夜の違い、仮通夜の意義と現代において減りゆく理由について、解説します。

仮通夜と本通夜の違いを解説

お通夜といっても、実は「仮通夜」と「本通夜」の二種類があるのを知っていますか?

仮通夜と本通夜の意味や違いを解説します。

仮通夜とは故人が亡くなった日に行う通夜

「仮通夜」とは、故人が亡くなった日に親族のみで執り行われる通夜のことをいいます。

本通夜は、葬儀の前日の夜に執り行われる通夜のことで、必ずしも亡くなった日の翌日に行うわけではありません。

仮通夜は、故人が亡くなった日の夜にゆっくりと故人と過ごすための時間です。

仮通夜は身内だけが参列するもの

仮通夜は、亡くなった日に遺族や故人とごく近しい関係にある親族のみで、基本的には自宅で営まれます。

親しい人たちが故人とゆっくり過ごす最後の夜という位置づけで、故人を見守り、ともに過ごすことを重視するため、、一般的には身内以外は受け入れません。

ただし、親族同様に親しく付き合っていた人ならば声を掛けることもあります。

現在では、仮通夜では読経などは省略することが増えてきました。遺族が希望し僧侶の都合が合えば、読経をお願いすることも可能です。

仮通夜で読まれるお経は「枕経(まくらきょう)」と呼ばれます。枕経は故人が亡くなった後、一番初めに唱えられるお経で30分程度で終わるものです。

枕経を行うか迷う場合は、葬儀社に相談するとよいでしょう。

仮通夜と本通夜との違いを解説

仮通夜と本通夜の違いを詳しく解説します。

本通夜は葬儀の前日に行われる通夜

一般的な通夜と呼ばれている儀式は、正式には「本通夜」と呼ばれるものです。

本通夜は葬儀の前夜に行い、遺族や親族のほか、知人や地域の人、遠い親戚なども参列します。僧侶を招いて読経が行われ、参列者には「通夜ぶるまい」と呼ばれる簡単な食事や飲み物が提供されることも多いです。

しかし、本通夜は昔のように夜通し行うことは少なくなりました。夜を通して故人を見守るようなことはなく、日が変わる前に辞します。これは今までの「夜を徹して見守る」通夜と区別され「半通夜」と呼ばれていました。

現代の本通夜は、約2~3時間で終了となるので、本来なら「半通夜」が正しい呼び方です。しかし、「日付が変わる前に辞する」という半通夜の方が一般的となったため「半通夜」を「通夜」と呼ぶようになりました。

半通夜は親族のみ自宅で、本通夜は多くの人が参列し斎場などで行う

仮通夜は、遺族や親族が自宅で故人とゆっくり過ごす最後の夜です。訃報を知った場合でも、一般の参列者は仮通夜に参加しないのがマナー。

一般の参列者は、本通夜、葬儀・告別式に参列しましょう。

どうしても仮通夜の日しか時間が取れない場合は、挨拶やお悔やみの言葉を述べるだけに留めて、短時間で失礼します。

親族の場合は、訃報が届いたとき可能であれば仮通夜に駆けつけましょう。三親等より遠い関係の場合や、すぐに訃報が届けられなかった場合は、無理に仮通夜に参列する必要はありません。

一方本通夜は、親族だけでなく、友人、職場や学校の関係者など一般の参列者が参列します。

本通夜は、自宅以外の斎場やお寺などで執り行われることが多いです。仮通夜と本通夜では、目的の違いがあるため、参列者や行う場所が大きく異なります。

本通夜では僧侶による読経や焼香、通夜振る舞いなどを行う

本通夜では、僧侶による読経や焼香が行われます。

また、通夜振る舞いと呼ばれる会食が行われることが多く、参列者で故人を偲びます。

仮通夜の意義と現代で減りゆく理由

仮通夜の意義と現代で減りゆく理由

現代は仮通夜を省略するケースが多く、意味を知らない人も多いのが現状です。

仮通夜の意義と現代で減っている理由を解説します。

仮通夜の意義は親族が落ち着いて故人とお別れをするための時間

仮通夜は、故人が亡くなった日の夜に、家族が故人と過ごすことの出来る最後の夜です。

本来の通夜は、親族が葬儀の前夜に集まり、故人が邪霊に惑わされないように一晩中付き添って別れを惜しむための儀式でした。ろうそくや線香を絶やさないように家族が故人に付き添って一夜を過ごします。

昔は線香やろうそくの品質も悪く、誰かが起きて炊き続けないといけなかったため、文字通り夜通しで行っていました。

また昔は生死の判定が難しく、一度「亡くなった」と判断されても後で息を吹き返す可能性があり、荼毘にふすまでに時間を置く必要がありました。故人が再び息を吹き返してくれないか、そう願って過ごす時間でもあったのでしょう。

現代では、医学が進歩したため息を吹き返すことはなくなりましたが、前述のような本来の通夜の意味合いが仮通夜に託されています。

仮通夜では特別な儀式はせず、ただ故人に寄り添って過ごす

仮通夜では、故人を見守り一緒に過ごすことに重点がおかれています。そのため、特別何らかの儀式を行うことはありません。

故人のお顔を拝見して手を合わせたのち、祭壇に線香を手向けて合掌します。

まれに僧侶による読経を行ったり、焼香を行ったりするケースもありますが、その際は流れに従いましょう。また、その日の食事を精進料理にする場合もあります。

服装は、亡くなった当日ということもあり、喪服でない黒やグレーなどの落ち着いた色の服装で問題ありません。

ただし、殺生を意味する革製品やリアルファー、結婚指輪以外のアクセサリーは身に付けないようにしましょう。

台所仕事を手伝う可能性もありますので、地味な色合いのエプロンを持参しておくと良いです。

「夜通し灯明(とうみょう)」を行う地域も

地域によっては「夜通し灯明(とうみょう)」と呼ばれる古くからの慣習を行なうところもあります。

灯明とは、神仏に供える灯火のことで、線香の火を一晩中絶やさないようにして親族が故人の遺体を守るというものです。

灯明には、「故人が冥界まで迷わずに行けるように導いてくれる案内役」という意味があります。

しかし、親族の疲労や火災の原因になる可能性を考慮して、夜通し灯明を行う場合でも就寝前には火を消してもよいとされることが多くなってきました。

蝋燭やお線香の火をを消してしまうことに抵抗がある場合は、電池式の蝋燭やお線香を利用してもよいでしょう。

現代でも仮通夜を行うこともある

現代でも、以下のような場合には、仮通夜を行うことが多いです。

  • 故人が深夜に亡くなったなどの理由で本通夜の準備が間に合わない場合
  • 本通夜に家族や親族が参加できない
  • 葬儀場の休みや葬儀の予定日が「友引」といった場合

仮通夜が現代で減りゆく理由

昔は自宅で亡くなる人が多く、病院で亡くなった場合もご遺体を自宅に搬送することが多く、仮通夜が営みやすい環境でした。

しかし、近年では大半の人が病院で亡くなります。亡くなった後も自宅ではなく、病院や斎場の霊安室に搬送されることが多くなりました。

こういった背景から仮通夜を営みづらくなり、現代では仮通夜を行うケースが減っていったのです。

理由1:住宅事情の変化〜故人を自宅へ安置することが減った

自宅にご遺体を安置することが減っている理由としては、住宅事情の変化も大きく影響しています。

現代は、特に都心などでは部屋が狭くご遺体を安置するスペースを確保するのが難しい場合が多く、病院や斎場の霊安室を利用する方が増えました。

時代の流れからするとやむを得ないことだと言えるでしょう。

理由2:近所付き合いの減少により通夜自体を行わなくなった

そのほかにも、ご近所付き合いなどの変化も影響しています。

最近では、ご近所付き合いもなくなり周囲との関係が希薄になってきました。そのため、通夜自体を行わないケースも増えているのです。

親族のみで一日葬とする場合には、仮通夜はもちろん、お通夜自体を行いません。

仮通夜は身内で静かに故人を偲ぶ大切な時間

仮通夜は親族などの身内で静かに故人を偲ぶための大切な時間。

本通夜では、家族は参列者への対応などで忙しくなるので、仮通夜が故人と落ち着いて過ごせる最後の時間です。

友人や職場関係者として訃報を受けた場合は、仮通夜へは参列せず、ご家族がゆっくりと静かに故人と過ごすことができるよう配慮しましょう。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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