親が死んだらその日のうちから、葬儀の手配や公的な手続きを行わなければなりません。
まずは葬儀社や関係者に連絡を入れ、葬儀を行うために必要な死亡届や火葬許可証の手続きを済ませていきます。
手続きを行わないと進められないこともあるため、期限が早い手続きからできるだけ早めに取り掛かりましょう。
親が死んでからどうすればよいか、葬儀までの流れやしなければいけない手続きなどをわかりやすく解説します。
もくじ
親が死んでから葬儀までの流れ
親が死んでからまずやるべきことは葬儀の手配です。
死亡したその日のうちから手続きや手配が始まりますので、後悔しない葬儀を行えるようひとつずつ必要なことを確認しながら済ませていきましょう。
実際にやるべきことをポイントを押さえ詳しく解説します。
関係者へ訃報を知らせる
親が死んだら、まずは関係者へ連絡をしましょう。親戚や家族はもちろん、親が仕事をしている場合は職場にも連絡します。
また親の関係者だけではなく、自分の関係者、子供がいる場合は学校や塾などへの連絡も必要です。
関係者へ連絡を入れる場合は、メールやメッセージアプリではなく、電話が良いです。家族や親戚へは親が死んでからすぐに連絡する必要があるため、たとえ深夜や早朝でもマナー違反にはなりません。
葬儀社へ連絡して遺体の安置場所を確保する
親が死んだらできるだけ早くやるべきことは、葬儀社への連絡と遺体の安置場所の確保です。
葬儀社は前もって検討しておくことをおすすめしますが、死亡後に探す場合は、費用について詳細に説明してくれる葬儀社を選ぶことがポイント。
病院からも紹介してもらえますが、紹介手数料が上乗せされていることもあり、費用が高額になるケースもあります。
後悔しない葬儀を執り行うためには、葬儀社選びが重要です。気が動転し慌ててしまうこともあると思いますが、慎重に選びましょう。
もし葬儀社選びに迷った場合は、一旦「搬送」だけをお願いすることもできます。搬送を依頼したからといって、その葬儀社で葬儀をあげなければいけないという決まりはないので安心してください。
葬儀社が決まったら、遺体の安置場所を確保して搬送します。遺体を安置する場所は、スペースがある場合は自宅、無い場合は葬儀社や斎場の安置所が一般的です。葬儀社で安置する場合は、連絡をする際に安置所を使用したい旨を伝えましょう。
通夜や葬儀・告別式、火葬を行い故人を弔う
基本的に親が死んだ翌日から葬儀を行います。年末年始など、葬儀社が営業していない場合は死亡から1週間ほどかかることがありますが、流れは基本的に同じです。
では、親が死んでから葬儀を行うまでの流れを解説していきます。
葬儀社と打ち合わせて葬儀の日程を決める
まずは、段取りを決めるために葬儀社との打ち合わせをします。
打ち合わせではまず、葬儀に声をかける人と、お通夜の前に訪れる弔問者の数を伝えましょう。また神式やキリスト式、無宗教など葬儀の形式や、葬儀のスケジュールなどを決めます。
とくに打ち合わせで時間がかかる項目は葬儀内容についてです。祭壇や使用する写真、参列者への料理は返礼品、後飾り、骨壷、経帷子、お棺、供花や供物、会葬礼状はどうするかなどを細かく話し合います。
また喪主や連絡係、受付係、会計係、弔辞を依頼する人などの役割分担も一緒に決めていきます。
基本的に葬儀内容は、故人や遺族の希望通りに行ってもらえるので、費用を考慮しながら希望に近い形になるように調整しましょう。
通夜を執り行う
通夜は葬儀・告別式の前日に行います。一般的な通夜の流れは、弔問者、喪主、遺族が入場・着席後に参列者が入場後、僧侶の読経から焼香、説法、喪主挨拶、通夜振る舞いといった流れです。
もともとお通夜は夜通しで故人を守るために行われていましたが、現代では1~3時間程度で終わるのが主流となりました。なお斎場によっては、夜通しで故人の傍に着くこともできるので、予め確認した上で最期の時間をどう過ごすのかを決めましょう。
葬儀、告別式(お葬式)を行う
お通夜の翌日に葬儀と告別式を行います。
もともと葬儀と告別式は行う意味や目的が違いますが、現代では二つを合わせて「お葬式」と呼ぶことが一般的です。
葬儀、告別式の流れは僧侶の説法までお通夜と同じ流れで、僧侶が退場後に喪主の挨拶があり出棺となります。
出棺では、親族や弔問者が棺に生花や副葬品を納めてから蓋が塞がれ、火葬場へ出棺されます。なお、火葬には火葬許可証が必要ですので、火葬場に行く前に葬儀社に渡しておきましょう。
火葬場に着いたら僧侶の読経があり、焼香後に荼毘にふされます。火葬にはだいたい1~2時間ほどかかるため、火葬場の控室で待機します。火葬後に骨上げが行って終了です。
初七日を行う
初七日とは、お寺や葬儀を手伝っていただいた人などへ、お礼や挨拶をすることです。
本来なら親が死んでから7日目に初七日を行いますが、現代では葬儀中に初七日を行うことが多くなりました。挨拶やお礼ができていない関係者がいる場合は、初七日までにしておきましょう。
四十九日法要を行う
親が死んでからから49日目に忌明けの法要を行います。忌明けとは、故人の魂が旅立ち喪に服す期間である忌服終える日、または迎えた日のことです。
忌服の期間は仏式の場合は49日、神式の場合は50日と宗教によって異なります。宗教だけでなく、地域によっても違いがありますのであらかじめ調べておくと安心です。
四十九日を迎える前に、四十九日法要を行う会場を決め、僧侶や会食の手配を行いましょう。会場は付き合いのある寺や、自宅、葬儀を行った斎場などを利用するのが一般的です。なお、四十九日に納骨を行う場合は、納骨堂を会場にすることもできます。
親が死んでから必要な手続き
親が死んでからやるべきことは、葬儀の手配だけではありません。手続きを放置してしまうと、余分な費用がかかったり、葬儀を進めたりすることができなくなることもあるので、順番にひとつずつ手続きを終わらせましょう。
ここからは、親が死んでから必要な手続きを解説します。
死亡届と火葬許可証(7日以内)
親が死んでから最初にやるべき手続きは死亡届の提出です。まずは、死亡診断書または死亡検案書をもらいます。
死亡診断書は病気による死亡の場合に医師からもらえる書類で、死亡検案書は病気以外(事故死、自殺、変死など)で死亡した場合に警察医からもらえる書類です。
死亡診断書と死亡検案書の左側が死亡届になっているので、記入して7日以内に死亡地または本籍地、届出人の所在地の区市町村役場にて提出します。なお、死亡届は行政書士へ作成代行の依頼も可能です。
死亡届を提出後に火葬を行うための火葬許可証を発行します。許可なく火葬を行った場合、1,000円以下の罰金または、拘留もしくは科料となるので注意してください。
第 5条 埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。
墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)
第21条 左の各号の一に該当する者は、これを千円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
一 第3条、第4条、第5条第1項又は第12条から第17条までの規定に違反した者
墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)
社会保険と年金の確認
親が死んでから社会保険や年金の資格喪失届を提出しなければなりません。
社会保険は所属企業が手続きを行うため、親族が届け出を行う必要はありません。ただし、国民健康保険の場合は届け出が必要なので、親の健康保険についてはなるべく早めに確認しましょう。
年金を受け取っている場合は年金事務所、または年金相談センターへ行き、年金の支給を停止する手続きを10日以内に行います。親の個人番号と基礎年金番号が紐付けできている場合は届け出は不要なので、紐付けされているかの確認をしてください。
世帯主変更届、国民健康保険証資格喪失届など(2週間以内)
親が世帯主だった場合は、2週間以内に世帯主の変更届を区市町村の役場に提出しなければなりません。
第二十五条 第二十二条第一項及び第二十三条の場合を除くほか、その属する世帯又はその世帯主に変更があつた者(政令で定める者を除く。)は、その変更があつた日から十四日以内に、その氏名、変更があつた事項及び変更があつた年月日を市町村長に届け出なければならない
住民基本台帳法
期日を過ぎた場合は5万円以下の過料となりますので注意してください。
第五十二条 2 正当な理由がなくて第二十二条から第二十四条まで、第二十五条又は第三十条の四十六から第三十条の四十八までの規定による届出をしない者は、五万円以下の過料に処する。
住民基本台帳法
国民保険に加入している場合は、2週間以内に加入区市町村の窓口にて健康保険被保険者資格喪失届を提出します。世帯主の変更が必要な場合は、一緒に行うとよいでしょう。
葬祭費、埋葬費、遺族年金などの手続きをする
国民健康保険に加入している場合は葬祭費として、その他健康保険の場合は埋葬費として5万円ほどの給付金が支給されます。
国民健康保険の場合は区市町村、健康保険の場合は加入健康保険組合に申請することでもらえます。期限は親が死んでから2年以内と長いですが、忘れずに済ませておきましょう。
また、親が一定の要件を満たしている60歳以上65歳未満だった場合、遺族年金を受け取ることができます。自分が遺族年金を受け取ることができる対象かも確認すると良いです。
その他、期限はないが対応が必要な手続き
有料サービスを利用していた場合は、解約しない限り利用料金が発生し続けてしまうため、余分に費用を支払ってしまう前に解約することをおすすめします。
またシルバーパスを利用していた場合は区市町村役場へ、運転免許証を持っている場合は勤務先企業へ返却しましょう。
また、勤務先から死亡退職金や最終給与をもらえる場合があるため、なるべく早めに手続きした方がよいです。
相続に関する法的手続きは期限が決まっているため注意が必要
親が死んだらまず遺言書があるか確認をします。公正証書遺言または秘密証書遺言を残していた場合は、公証役場に保管されているので遺言検索をしてみてください。
遺言書を確認したら、相続人と相続分を決めるために戸籍調査を行うために戸籍標本をもらいます。この戸籍標本をもとに、相続人と相続分を決めましょう。
相続を認める場合も放棄する場合も、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所にて手続きを行います。事業所得や不動産所得があった場合は、被相続人の所得税の申告を相続を知った日から4ヶ月以内に行う必要があります。
期間は余裕がありますが、手続きをしないと相続の承認も破棄もできませんので注意してください。
まとめ|親が死んだら急ぎで必要な手続きをすませつつ葬儀の準備を行う
親が死んだら必要な手続きは、思った以上にたくさんあります。人によって違う部分はありますが、公的な手続きは期限が細かく決められているので、早めに済ませていきましょう。
まずはやるべきこと・確認すべきことを整理し、手続きを済ませつつ葬儀の準備を進めていくことをおすすめします。
忘れられがちな手続きも多いので、できれば生前から予め死後の手続きなどについて話合っておくとよいでしょう。