真言宗のお経についてわかりやすく解説!「般若波羅蜜多」の意味とは?

投稿:2021-11-29
真言宗のお経についてわかりやすく解説!「般若波羅蜜多」の意味とは?

真言宗は大日如来を本尊とした真言密教の宗派であり、慈悲の象徴である大日経と、智慧の象徴である金剛頂経、それらを一対とした曼荼羅思想を持ちます。真言(マントラ)を唱えて印を結び、宇宙(大日如来)と一体となる事で、生きながら仏になる即身成仏を目指しているのです。

真言を唱えたり印を結ぶのが特徴の宗派で、般若心経をはじめ大日経や般若理趣経などのお経が読まれます。

般若心経の正式な名前は「般若波羅蜜多心経(はんにゃはらみたしんきょう)」といい、仏様が説いた苦しみのない場所に至るための大事な教えという意味です。

真言宗のお経について、その種類や意味などを詳しく解説します。

真言宗のお経のひとつ「般若心経」とは

平安時代初期に弘法大師によって開かれた真言宗は、天台宗と並ぶ山岳仏教です。大日如来を宇宙の真理と捉えています。

真言宗の経典の大元である600巻60億40万字からなる「大般若経」の中に、わずか262文字の「般若心経」があります。大般若経のエッセンスが般若心経です。

この般若心経は日本の仏教の中で最も読誦されている経典で、梵字で書かれた世界で唯一現存する原本が奈良の法隆寺に残されています。

真言宗にとって大切なお経の一つであり、信徒勧行で唱えたり写経をしたりするものです。

般若心経について詳しく解説します。

般若心経とはどんなお経なのか

西遊記でお馴染みの唐の僧侶・玄奘三蔵が天竺(インド)から持ち帰ったお経を訳した中の一つが般若波羅蜜多心経、いわゆる般若心経です。

この般若心経には大本と小本があり、玄奘三蔵が訳したのはこの262文字の小本。しかし、これには全容を理解するために必要なエピソードがカットされており、補うには大本を読む必要があります。

般若心経の文字、「般若」は物事の背後や道理を見極めるための智慧、「心」は精髄、「経」は釈迦尊の教えです。釈迦が説く「空」とは、苦しみが生まれる原因が諸行無常という真理であることを悟るための、智慧の精髄であります。

次に、般若心経を知る上で鍵となる「空」と「五蘊」を簡単に解説します。

五蘊とは色・受・想・行・識

  • 色:物資・肉体
  • 受:感情・感受
  • 想:認知
  • 行:意思
  • 識:知性・心

<真言宗のここがポイント>

  • 人間も含めたこの世の全ては五蘊から作られている。
  • 五蘊とは存在を構成する要素であり、絶えず生滅変化する。

空とは|実体をもたず存在しない

  • この世の全てはたまたま五蘊が寄せ合って作られたもの=空は実体を持たない。
  • 空はこの世・宇宙のすべての現象を統括する一つの法則。

空とはサンスクリット語で数字の「ゼロ」であり、うつろ・空白の意味です。空の思想はゼロの概念が確立される前からありました。

<真言宗のここがポイント>

  • 空はここに存在しない存在としての認識。実体を持たない。数字のゼロに同じ。
  • 人間が言葉で説明できるほど簡単なものではなく、感じる事しかできない。

例えば、「桜」。それは見ている人の認識であり、同じ桜を見ていても知らない人や犬などの動物には桜という認識はありません。見ている人の感覚や環境によって「桜色」は同じではなく、ただの共通認識だけであって実体は無いのです。そして、姿形を変えて移っていきます。般若心経を代表する中心的真理、色即是空・空即是色です。

般若心経の概要

  • 場所:霊鷲山
  • 背景:釈迦尊と十大弟子、菩薩たちの修行中での出来事
  • 登場人物:釈迦尊・観自在菩薩・舎利子尊者

修行中、釈迦尊が深い瞑想の境地に入りました。

その場で般若波羅蜜多の修行中だった観自在菩薩が釈迦尊の心に感応し、この世の全ては「空」であるとの釈迦尊の悟りを理解してあらゆる苦しみから救われました。

その事を側にいた舎利子尊者に話すと、その般若波羅蜜多とはどんな修行なのかと質問し、観自在菩薩は空を説法、そしてこの真言を声に出して唱える事が修行方法だと教えます。

話し終えると釈迦尊が瞑想から目覚め、自分の考えを理解できた者が現れた事を大変喜び、これで多くの人々が救われると安堵しました。

般若心経の大約

この世の全て、万物は五蘊が偶然に寄せ集まってつくられたものなので実体がない。全ては「空」である。

老いや死、煩悩といった全ての苦しみも空であるから苦しみにとらわれる必要はない。智慧も悟りも空であるから得る必要もない。煩悩を払う=修行といった固定観念に捕らわれず「あるがまま」を受け入れればこだわりは消え、自分を責めることも恐れる事もなくなるので、この上ない安らぎの境地が得られる。これが仏が悟りで得た大真理である。「般若波羅蜜多」、すばらしい力を持ち暗闇をも照らし、すべての苦しみを取り除く真実偽りのない教えである。皆でこの智慧を実践して悟りの境地にたどり着こう。

真言宗「般若波羅蜜多」の意味とその教え

般若波羅蜜多の言葉は、「般若」と「波羅蜜多」とに分けられます。

  • 般若:釈迦による真実の智慧
  • 波羅蜜多:悟りの境地・究極に至る・完成

※波羅は悟りの世界である彼岸、蜜多は至るの意味

般若波羅蜜多とは、悟りの境地に導くための釈迦尊の智慧との意味です。

真言宗のお経の特徴

真言宗のお経の特徴

真言宗には根本経典以外に、他宗派には見られない「光明真言」大日如来の真言があります。

真言とは仏が説いた真実の言葉をサンスクリット語そのままで音読し、決して日本語や多言語に変えてはならないとの決まりごとがある、「聖なる音」です。

本尊の大日如来、釈迦如来などの仏たちのありのままの言葉を密教として、信仰しています。他に無念無想に達するための呪文である、陀羅尼も唱えられます。

「大日経」

正式名称:大毘盧遮那成仏神変加持経(だいびるしゃなじょうぶつじんべんかじきょう)

真言宗の根本経典、「事相と教相」の「教相」が大日経です。

第1章に印契・曼荼羅・護摩などの密教の秘儀と実践が書かれていることから教相の経典とされています。

他には三句の法門、修行を欲する菩提心は慈悲からくるものであるなど、大日如来が金剛薩埵に説法する形式で記述があります。

慈悲行を行い、内なる自分を見つめる修行によって内側に存在する宇宙(大日如来)の真理を観察する事ができ、悟りが開かれると説いているものです。それを可視化したものが胎蔵界曼荼羅です。

「金剛頂経」

弘法大師が唐で弟子入りしていた恵果より伝授され日本に持ち帰った経典で、2つある根本経典のうちの「事相」です。

大日如来の智慧は決して揺らぎ傷つく事のない金剛石に例えられています。禅定・瞑想で精神統一をはかり、三密、身(印相)・口(真言)・意(心)を本尊と一致(入我我入)させる、または大日如来の智慧、真言を唱えて自分を客観的に見つめ即身成仏へ導く実践方法を教えています。可視化したものが金剛界曼荼羅です。

「般若理趣経」

毎朝のお勤めなど、様々な場面で唱えられています。金剛頂経の第六会の理趣広経で特に読誦の功徳・悟りへの道を説く部分を抜粋した、密教的なお経です。

全17章から構成され、各章には印契と真言が記されています。

真言密教には自性清浄の思想があり、理趣経を毎日唱える事で浄化され、大変功徳の大きいお経とされています。

しかし、第1章で説かれている十七清浄句は男女の営みについて書かれており、欲望のままに生きてもいいと誤解を招くことも。

欲は執着、それを断ち切るべきとの従来の仏教の教えとは異なり、真言密教では十七清浄句を用いて人間とはそういうものであると存在を認めているだけです。生殖のための営みは悪(汚れ)ではありません。

個人が抱く欲は宇宙から見れば小さなこだわりであり、その欲を悟りへの欲に変えて真言密教で浄化すればより良い生活を送る事も、即身成仏になれる事も可能であると説いているのです。

「観音経」

法華経の観世音菩薩普門品第25章からの抜粋で、観音菩薩の功徳を説いたお経です。現世利益の菩薩として昔から人気があり、般若心経と共に好まれています。

すべての宗派で共通するお経はない

般若経は多くの宗派が教義の経典にしていますが、宗派によって御本尊が異なる事から、全宗派に共通するお経はありません。

無宗教の人でも知っている般若心経でさえ、法華経を経典とする宗派では唱えません。

まとめ|真言宗のお経は般若心経の他にも理趣経などが読まれる

真言宗では日々のお勤めに梵語の音読である真言、般若心経や理趣経が唱えられています。そして葬儀や法要の際は大日経・金剛頂経の経典も読まれます。 

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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