「厄落とし」「厄除け」「厄払い」それぞれの意味の違いと厄の落とし方を解説

投稿:2021-12-03
「厄落とし」「厄除け」「厄払い」それぞれの意味の違いと厄の落とし方を解説

日本では、一般的に人生に3回、厄災が降りかかりやすい厄年があると考えられています。

「厄落とし」とは、その厄年の厄を払う行為です。その他にも「厄除け」「厄払い」もあり、同様の意味で使われていますが、厳密には違いもあります。

「人生山あり谷あり」「楽あれば苦あり」ともいいますが、できることなら厄災は回避したいですよね。

厄年の意味や由来、「厄落と」「厄除け」「厄払い」のそれぞれ意味と厄の落とし方について解説します。

厄落としの由来・厄年について解説

熱心な信仰をもたない方であっても、厄年を気にされる方が日本人には多いです。

なぜこれほど厄年に対して多くの人が敏感なのでしょうか。厄年の起源やどのような根拠があるのかを詳しく解説します。

平安時代から意識されてきた厄年の起源

厄年は平安時代の文学「源氏物語」「宇津保物語」にもこの概念が登場しており、その歴史は非常に古く、起源は大きく2つの流れがあります。

1つ目は、古代中国の陰陽五行説が元になっているという説です。陰陽道というと、現代では呪術のイメージがありますが、東洋医学の基礎的な概念でもあります。

暦学や占術により身体が変化する年齢をはかり、人々に注意を促していました。その注意がいつしか厄年として定着したといわれています。

2つ目は、地域に根強いた通過儀礼としての役割が「厄」となったという説です。日本ではそれぞれの村の共同体で、ある年齢に達すると、神社や寺に使える役割を担うことが通過儀礼とされていました。

この2つの流れが融合して、今のような厄年となったのは江戸時代以降のこと。

民間暦が広く伝わって、檀家制度が確立した時点です。この頃から、今なお信じられている男性25、42、61歳、女性19、33、37歳の厄年が定着しました。

厄年は厄災がふりかかりやすい年

厄年は、大病を患ったり災難や不幸に見舞われたりと、人生において波乱が起きやすい年といわれています。厄年の方にとって大切なのは、喪に服すように、身を慎むこと。つまり、派手なことをせずに大きな決断を控えることです。

具体的には、結婚、引っ越し、転職、出産などですが、それも所説あります。

例えば、出産の場合、女性の30代の長い期間が厄年にあたってしまっているので避けるのは難しいでしょう。そして、逆に出産は厄落としになる縁起の良いことという説もあります。

また、結婚、引っ越し、転職なども避けがたいでしょう。厄年を恐れるあまりせっかくの幸運を逃してしまうのも本末転倒です。

ただ厄年のあたりは、身体が変化する年齢であり、その上に大きな環境の変化は負担になります。そのことを自覚したうえで、自分の体調と相談しながら余裕をもって行動することが大切なのではないでしょうか。

厄年に推奨されているのは、食生活に気をつけること、気持ちよく過ごし運気を呼び込むように、こまめに整理整頓して掃除することです。自分の生活を振り返り、大切に毎日を過ごすことを心がけましょう。

厄年の数え方

厄年は実年齢ではなく、数え年が基準になります。

よって、2022年に厄年を迎える人は、下記の通りです。

▼男性

  • 1962年(昭和37年)生まれ
  • 1981年(昭和56年)生まれ
  • 1998年(平成10年)生まれ

▼女性は

  • 1986年(昭和61年)生まれ
  • 1990年(平成2年)生まれ
  • 2004年(平成16年)生まれ

厄年にあたる年を本厄、その前の年を前厄、後の年を後厄とよび、その3年間は気をつける必要があるともいわれています。前厄には禍の前兆が現れ、後厄では禍が薄れ去っていくというわけです。

しかし、長崎地方の慣習では、本厄にあたる年が厄入、後厄にあたる年が厄晴としています。

厄年の期間ですが、実は1月1日までではないのでご注意ください。厄年の場合、旧暦が基準で2月3日、節分が切り替わる日です。よって、1月1日~2月3日生まれの方は自分が生まれた年ではなく、前年が厄年になります。

子どもにも厄年があるという考えもあり、それは1歳、4歳、10歳、13歳、16歳です。子どもの場合は、初宮参、七五三参、十三参を欠かさずに行い、ご加護を祈りましょう。

「厄落とし」「厄除け」「厄払い」それぞれの意味とやり方

「厄落とし」「厄除け」「厄払い」それぞれの意味とやり方

「厄落とし」「厄除け」「厄払い」。すべて厄とつきますが、元はそれぞれ違うことを指しています。神社や寺に行く際は違いを把握しておきましょう。

それぞれ3つの意味とやり方を解説します。

厄落としの意味とやり方を解説

厄落としとは文字通り、厄を“落とす”ことです。悪いことが起きた際、大切なものやいつも身につけているものをわざと落とすことで、これ以上禍に見舞われないようにします。

例えば、古くは豊臣秀吉の嫡子秀頼が、兄が生まれてすぐに亡くなったため、健康を祈願するため、生まれてすぐに一旦捨てられたという話があります。まさに同じ禍を避けるため、厄を落とす行為です。

もちろん、その年の初めに神社や寺での祈祷も厄落としのひとつ。地域によっては、無事に厄が落とせた感謝と共に年の終わりに祈祷してもらう場合もあるようです。

厄除けの意味とやり方を解説

厄除けは禍がこちらに近づかないように祈祷してもらうことを指します。日本の各地には「厄除け大師」と呼ばれる寺院がありますが、密教系の寺であることが多いです。

意味としては、禍が近づかないように“防御”してもらうことで、厄年だけではなく、よくないことが続いたときや、大切な行事を控えているときに厄除けをお願いします。

厄除けでは、薪を人間の煩悩にみたて、それを大道師が焼く護摩祈祷が一般的です。煩悩を清めることによって心を強くし、厄から己を守る力を与えます。

厄払いの意味とやり方を解説

厄払いは神社で行うもので、祈祷によって禍を追い払います。厄除けは予防する意味合いが強いですが、厄払いは既に身についてしまった禍を排除するというイメージです。

厄払いを依頼すると、神職が祓詞を奏上し、大麻でお祓いをしてもらえます。厄払いの際にお札をいただいた場合は、神棚に収めるようにしましょう。神棚がない場合は、目線よりも高い位置に場所を作り、置いておきます。

尚、厄除けと厄払いどちらも行っても問題はなく、回数にも制限はありません。

プレゼントで簡単に厄落とし

厄年を迎える家族や友人に贈り物をすることで、それが厄除けとなり、その人を禍から守るという風習があります。

厄年をあえて意識しない人もいますが、そうした心遣いは嬉しいものです。プレゼントとして厄落としの品を送ってみてはいかがでしょうか。

厄年に身につけるとよいものは、長いもの、七色のもの、うろこ模様のものが挙げられます。コロナ禍の中で注目されている、足元まである長い髪と輝くうろこをもつ妖怪「アマビエ」の姿を思い浮かべていただけるとよいでしょう。

アマビエのイラストの入ったものや置物もよいですが、女性にはネックレスやブレスレットなどのアクセサリー、スカーフ、マフラーもおすすめです。七色の石やカラーのものならピッタリです。男性にはネクタイやベルトや時計などが贈りやすいでしょう。

厄年用の贈り物も販売されているので、その人の誕生日などにそうしたものを選ぶのもおすすめです。

まとめ〜厄落としをすることで気持ちを落ち着けよう

人それぞれの事情や考え方もあるため、厄年だからといって必ずしも気をつけなくていけないわけではありません。

しかし、厄年は多くの人が実際に感じたからこそ、今も守られている風習とも言えるのではないでしょうか。健康的に楽しく過ごすために用心しておいて損はないでしょう。

厄落としをすることによって、自分のことを顧みて、心を落ち着けることもできます。気にしすぎることはよくありませんが、自分を大切にするという意味で気をつけてみるのもよいでしょう。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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