涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)とは|釈迦が悟った教えを口語で解説

投稿:2021-11-15
涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)とは|釈迦が悟った教えを口語で解説

宗教にはそれぞれ違う考えがあり、仏教には「空(くう)」の思想を基本とした教えがあります。そして悟りを開いた仏教思想の到達点とされているのが「涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)」です。

要するに、涅槃寂静は仏教徒が目指す最終的な目標のようなもの。

仏教の開祖である釈迦が悟った教えの涅槃寂静とはどのような意味なのか、口語でわかりやすく解説します。

仏教の基本「涅槃寂静」を口語でわかりやすく解説

「涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)」は仏教思想の到達点とされており、仏教徒が目指す最終的な目標のようなものです。

そもそも涅槃寂静とはどのような意味なのか、わかりやすく解説します。

涅槃寂静は「瑜伽師地論」に登場する言葉

「涅槃寂静」は、唯識思想における悟りの境地を詳説した大乗仏教の重要な経典「瑜伽師地論(ゆがしじろん)」に登場する言葉です。

天平16年(744)、讃岐国山田郡の舎人国足が発願し書き写した経典である。瑜伽師地論は仏道修行者の心得などを説く経典で、100巻からなる。平安時代に、石山寺に集められ伝来した。

瑜伽師地論 巻第六十一

唯識思想とはインドの大乗仏教の思想で、仏教の到達点とされています。

そして中国の僧侶である玄奘三蔵が、研究のために向かっていたインドから中国に持ち帰り漢訳し、7世紀後半ごろに日本にも伝わり、8世紀には奈良朝仏教の基軸となりました。

涅槃寂静(ニルヴァーナ)とは悟りの世界を指している

「涅槃寂静」は悟りの世界を指している仏教用語で、仏教が目指している最も理想とする状態です。

「涅槃」とはサンスクリット語の「ニルヴァーナ」で、「吹き消すこと」や「消滅の意」という意味があります。

欲望から生まれる煩悩によって苦しめられる日々から抜け出した意味を指しており、いわゆる悟りを開いた状態のことです。

そして、「寂静」とはひっそりと静かなことを意味しています。

涅槃寂静は涅槃と寂静の2つを繋げて、「煩悩が完全に消滅し心が静まり、安らかな境地である」ことを表現しています。

要するに「煩悩が無くなれば心が穏やかになり、安らかな気持ちで過ごしていける」ということです。

仏教では修行によって煩悩を消し、最終的に悟りを開いた状態である「涅槃寂静」を目指します。

涅槃寂静に至るための修行と教えとは

涅槃寂静に至るための修行と教えとは

涅槃寂静に至るためには、煩悩を消し悟りを開く修行が必要です。

涅槃寂静の教えと至るために必要な修行について解説します。

涅槃寂静は仏教の基本的な教えのひとつ

涅槃寂静は仏陀の4つの教え「四法印」のひとつで、仏教の基本でもあります。

  1. 一切皆苦:この世で生きることは苦しみであり、全てのことは思い通りにはならない。
  2. 諸行無常:全ての物事がは移りゆくものであり、生まれては滅びる変化を続けている。
  3. 諸法無我:この世の全ての物事は多くの因縁によって生じたものであり、単体としての実体は存在しない。
  4. 涅槃寂静:煩悩が全てなくなり、苦悩から解き放たれた境地。

まず、この世の一切は自分の思い通りにはなりません。それでも実際は自分の命やお金、地位に執着をして思い通りにしたいと考えるのが現実です。

しかし、この世の全ての物事は不変的なものではなく移りゆくもの。変化を続けるからこそ、生まれ、滅びます。

全ての物事はさまざまなものの因果関係によって作られたものであり、何ひとつ単体としての実体は存在しません。自分という存在も、さまざまな元素や親・先祖の遺伝子情報、細菌、環境や教育による思想など、さまざまな因縁によって作られた存在であり、単体としての実体はありません。

この世の全ての物事に単体としての実体がないことに気付き、執着をせずに煩悩を消すことで、あらゆる「苦」から解き放たれます。

そもそも「苦」の原因は物事に執着することによる不満や怒りです。

一切皆苦」「諸行無常」「諸法無我」を理解することで、執着心がなくなり「涅槃寂静」の境地に至ることができるというのが仏教の基本的な教えです。

涅槃寂静に至るためには「六波羅蜜」を行う

仏教では涅槃寂静に至るために「六波羅蜜(ろくはらみつ)」という6つの修行を行います。

  1. 布施(ふせ):他者に財物を施したり、相手の利益になるような教えを説いたりして安心させること。
  2. 持戒(じかい):仏教の戒律を守ること。
  3. 忍辱(にんにく):さまざまな苦難に耐え忍ぶこと。
  4. 精進(しょうじん):雑念を去って仏道修行にひたすら励むこと。
  5. 禅定(ぜんじょう):雑念を去って精神を統一すること。
  6. 智慧(ちえ):真実を自覚して悟りを得ること。

智慧は仏教の目標としている最終的な徳であり、5つの修行を極めることで到達します。そして完璧な智慧の体得を「波羅蜜(はらみつ)」と言います。

涅槃寂静に至るためには、真実を見極める「智慧」を得る必要があります。

涅槃寂静は煩悩から離れた悟りの世界を指す言葉

涅槃寂静は仏教における最終目標であり、悟りの境地を指しています。悟りの境地は煩悩から解き放たれた心穏やかな世界であり、絶対平安の境地です。

大切なのは涅槃寂静に至るまでの真実を自覚すること。

物事が全てうまく行くわけではないこと、変化を続けていること、あらゆるものは実体がないことを理解することで、苦悩から解き放たれて人生をラクに過ごせるようになるかもしれません。

なにか苦悩を抱えて辛いときは、涅槃寂静を思い出し、悩みに対する見方を変えてみるといいかもしれませんね。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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