無縁仏とは?現代の社会問題を考える|仏教では地獄に落ちる謂れ

無縁仏とは?現代の社会問題を考える|仏教では地獄に落ちる謂れ

少子高齢化や核家族化など、日本はさまざまな社会問題を抱えています。そして日本が抱えている現代の社会問題は、無縁仏を増加させる原因にもなっています。

法整備は進んでいるものの無縁仏の増加は止まりません。無縁仏自体が行政だけでなく民間も一緒になって取り組むべき社会問題です。

無縁仏は仏教では地獄に落ちる謂れがあり、故人にとってもいいものではないでしょう。

無縁仏とはどのようなものなのか解説するとともに、現代の日本が抱える社会問題を考えます。


仏教では地獄に落ちる「無縁仏」とは

無縁仏は縁起の悪いものとして、高齢の方ほど忌み嫌う傾向があります。仏教では地獄に落ちる謂れもある無縁仏。

無縁仏とはどのようなものなのか、地獄に落ちる謂れとともに解説します。

無縁仏とは縁者がいなくなったお墓や故人の総称

無縁仏とは供養してくれる親族や縁者がいなくなったお墓や故人の総称です。

民間信仰では手厚い供養を通じて祖霊になっていくと信じられていますが、誰にも供養されないことで祖霊になることができない状態を無縁仏と捉えられています。

また、管理が行き届かずに放置されたお墓や、縁者がおらず人知れず死を迎えた人だけでなく、行き倒れのままになってしまった人や、遺体の引き取りを身内に拒否された場合も無縁仏となります。

災害や故事で身元不明となった遺体も、引き取り手が現れなければ無縁仏です。

ちなみに、親族や縁者がいなくなり管理されなくなった状態のお墓を「無縁墓」と呼びます。

無縁仏になると無縁墓地で合祀される

現代では引き取り手がいない無縁仏となった遺体は、地方自治体の手に渡って火葬が行われ、公営墓地にある「無縁墓地(無縁塚)」に埋葬されます。

なお、無縁墓地は個人でそれぞれ専用のお墓があるわけではなく、血縁関係など全く関係のない他人と合祀されます。無縁墓地の管理や供養は町内会などの手によって定期的に行われるので、誰にも供養されないまま放置されることはありません。

ただし、個々人に合わせて供養を行うわけではいので、四十九日や一周忌など、忌日に必ず供養されないことことがほとんどです。

一方、お墓に入った状態で無縁仏になってしまった場合は、法律に従って遺骨が取り出されて無縁仏を祀る施設や無縁墓地に合祀されます。

1999年(平成11年)に「墓地、埋葬などに関する法律施行規則」の改定が行われたことで、管理費が支払われずに放置されたお墓は、霊園や管理業者との契約を解除して整理を行っても良いことになりました。

なお、施設や無縁墓地に移された遺骨は、原則として取り出すことはできません。

また、管理費用は無縁墓地の管理者や自治体が負担するため、より多くの遺骨を埋葬できるように遺骨の一部のみ、もしくはより細かく砕いて体積を小さくしてから合祀される場合があります。

無縁仏になると地獄に落ちる可能性が高くなる

浄土宗・浄土真宗などの一部の宗派を除き、仏教では無縁仏になると地獄に落ちるという謂れがあります。

もちろん、無縁仏が必ずしも地獄に落ちるわけではありませんが、地獄に落ちる可能性が高くなると考えられているようです。

仏教では十王による裁判によって、故人の魂が天国(極楽浄土)に行くか、地獄に行くか決まります。

命日から7日目の初七日を迎える日に、故人の魂は三途の川のほとりに到着し、秦広王による最初の裁判が行われます。
以後、四十九日まで7日ごとに裁判が行われ、35日目には閻魔大王によって天国か地獄かおおよその裁きが下され、49日目に泰山王によって最終的な行き先が決定します。

裁判の結果は故人の生前の行いに左右されますが、生者が供養することで故人の得が積まれるため、生前の行いがあまりよくなかった人でも追善供養によって天国へ行ける可能性が高くなると考えられているのです。

四十九日の裁判で行き先が地獄になってしまった場合でも、追善供養が行われることで百箇日、一周忌、三回忌に行われる再審で天国へ行けるようになる可能性もあります。

しかし、生者による供養が行われない場合、得が加算されないので裁判が有利に進められず、天国へ行く機会が与えられなくなってしまいます。

そのため、無縁仏になると地獄に落ちると言われているのです。

地獄に落ちた故人の魂が眠るお墓に対し、縁起が悪い印象を抱いてしまうのは仕方ないことでしょう。

高齢の方ほど無縁仏を忌み嫌うのは、裁判によって行き先が決まるという仏教の考え方が影響しているのではないでしょうか。

無縁仏が増えている、現代の社会問題とは

無縁仏が増えている、現代の社会問題とは

現代、日本では無縁仏が急増しています。増加の背景には、日本が現在抱えている数々の社会問題がありました。

無縁仏の増加の背景と現代の社会問題を考えます。

日本では無縁仏が増えている

日本では縁者がいないまま亡くなる方や、管理者がいなくなって放置されてしまったお墓が増えています。

孤独死の定義が統計によって異なるため、正確な数字が出ているわけではありませんが、孤独死の件数は2011年時点ですでに2~3万件ほど発生しています。

民間の調査機関「ニッセイ基礎研究所」(東京)は11年、東京23区での孤独死者数と全国の人口動態統計のデータを使って、全国の65歳以上の孤独死者数の推計値を出した。「自宅で死亡し、死後2日以上経過」を「孤立死」と定義した場合、年間で2万6821人にのぼったという。

朝日新聞デジタル:孤独死、推計2.7万人 つかめぬ実態「国に定義なく」

さらに、全国20ヶ所の精霊指定都市にて、縁者のいない無縁仏の遺骨を受け入れた数が、2018年時点で8000柱を超えています。

18年度の最多は大阪市の2688柱で、横浜市の1244柱、名古屋市の932柱が続いた。最少は札幌市の4柱だった。政令市全体では13年度以降、右肩上がりで増えている。

日本経済新聞:増える無縁仏、年8000柱超 政令市で5年前の1.4倍に

そして地方では、お墓までが遠くて行きにくいなどの理由から放置されている無縁墓が増えており、過疎化が進んでいる地域の中には8割が無縁墓を占める墓地もあります。

熊本県人吉市は、2013年に市内の全霊園995か所の現況調査をしたところ、1万5,123基ある墓の4割以上に当たる6,474基が無縁化しており、なかには8割の墓が無縁化している墓地もあった。

墓地行政について

近年の日本では遺体、お墓ともに無縁仏になるケースが急増しており、無縁仏自体が社会問題に発展しています。

少子高齢化、核家族化などが無縁仏増加の背景にある

無縁仏の増加の背景にはさまざまな要因がありますが、やはり社会情勢の変化が最も大きな理由でしょう。

現代の日本は少子高齢化と核家族化が進んでいます。かつては子供の数が多く、跡継ぎが代々お墓を管理するのが当たり前でした。しかし、現代は少子高齢化と核家族化によって子供の数が減少し、お墓を引き継げる縁者がいない家庭が増えています。

また、お墓を管理する承継者自身も高齢になり、管理ができなくなってお墓が放置されてしまうケースも。

お墓を管理できる若い世代がいる家庭でも、経済状況の悪化によって雇用が不安定となり、不自由なく暮らせる収入を得られず共働きも増加していることで、お墓の管理まで手が回れないのが現状です。

さらに普段から人付き合いをしないひとり暮らしの高齢者が増えているため、その分孤独死の件数も増えています。

内閣府の調査によると、2011年時点ですでに5人に1人の高齢者が、困ったときに頼れる人がいないと回答していました。

人口減少が続き、高齢者の数が増えているため、現在はさらに多くの高齢者がこのような問題を抱えているのではないでしょうか。

時代の流れによってお墓に対する考え方が変わっているのも、無縁仏増加の要因のひとつです。

かつては家でお墓を「守り続ける」考えが当たり前でしたが、現代ではお墓を守るという考え自体が薄れています。
お墓の優先順位が低いからこそ、手が回らずに管理できなくなるのでしょう。

無縁仏になってしまう理由は人によって異なりますが、社会情勢と考え方の変化が、無縁仏増加の原因に大きく影響していると考えられます。

現在日本が抱えている社会問題を解決しない限り、今後も無縁仏が増えていくかもしれません。

無縁仏を回避するために永代供養を選ぶ人が増えている

無縁仏の増加が社会問題になっている一方で、無縁仏を回避するために近年注目を集めているのが「永代供養」です。

永代供養とは、親族や縁者に代わって霊園が遺骨を管理・供養してくれるお墓のこと。身寄りがなくお墓を引き継ぐ人がいない方や、親族に面倒をかけたくない方を中心に、永代供養を選ぶ人が増えています。

永代供養は無縁墓地のように他人の遺骨と一緒に埋葬されるケースが多いですが、無縁墓地と異なり、管理費をきちんと支払っているので、僧侶や管理者によってきちんとした管理・供養を行ってもらえます。

もちろん、無縁墓地でも定期的な管理・供養は行われますが、33回忌まで供養を行ってもらえるわけではありません。しかし、永代供養なら一般的に33回忌までは法要を行ってもらえるので、安心して管理を任せることができます。

また、通常のお墓のように個別の永代供養墓もある点も無縁墓地と異なります。

遺体の引き取り手がいない、誰にも供養してもらえないのは悲しいことです。自分自身や大切な家族が無縁仏にならないために、永代供養を選ぶ人は今後も増えていくでしょう。


無縁仏にならないための新しい供養やお墓が増える可能性が高い

無縁仏の増加は日本の社会問題であり、根本となっている問題を解決しない限りは今後も増えていく可能性が高いです。

少子高齢化や核家族化、そして経済状況の悪化に考え方の変化は簡単に変えられるものではありません。

そのため現代では、無縁仏を回避するために永代供養が人気を集めています。

社会問題は簡単に解決するものではないため、今後も永代供養のように新しい供養やお墓の形式が増える可能性は高いでしょう。

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