大往生の意味と葬儀での使い方|人生100年時代を考える

投稿:2021-03-30
大往生の意味と葬儀での使い方|人生100年時代を考える

ある海外の研究では、2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳以上生きると推計されました。日本では、2017年9月に人生100年時代を迎えるために、政策会議の1つとして「人生100年時代構想会議」を設立。

長生きをした故人に対し「大往生」という言葉がよく使われますが、日本は世界で最も健康寿命が高い長寿社会を迎えているため、誰もが大往生と言われるようになるかもしれません。

しかし、大往生という言葉は、使いどころを間違えると大変失礼にあたることも。

人生100年時代で用いられることが多くなることが予想される「大往生」の意味と、葬儀での使い方について解説します。

大往生の意味と言葉の由来とは

長生きした故人に対してお悔やみの言葉として使われる「大往生」。

そもそも大往生とはどのような意味なのか、由来とともに解説します。

大往生とは長生きし安らかに死を迎えること

長生きをした故人に対してよく使われる「大往生」とは、苦しまず安らかに死を迎えることです。

病気や怪我で苦しまず、老衰や自然死のような穏やかな死を指します。

また、立派な死に方という意味もありますが、立派な死に方の定義は決まっていません。

大往生の由来は「極楽往生」

「大往生」の「往生」は仏教用語の「極楽往生(ごくらくおうじょう)」が由来と言われています。

「往」は故人の魂が極楽浄土へ向かう旅に出ること、「生」は極楽浄土で死後の世界を過ごすことを意味します。

そして「大」が加わることで「安らかに死を迎える」という意味で、使われるようになりました。

葬儀の場での大往生の使い方を解説

大往生は長生きをした故人に使われる言葉ですが、使い方を間違えると失礼にあたることもあります。

意外と使いどころを間違えやすい、葬儀の場での大往生の使い方を解説します。

大往生は遺族が使う言葉で、遺族以外は使わない

大往生は長生きをした故人に対して使われますが、葬儀の場においては基本的に「遺族」が使う言葉です。

お悔やみの言葉として遺族に「大往生でしたね」と声をかける方がいますが、遺族の捉え方次第では失礼にあたることもあります。

そのため、遺族以外が葬儀の場で「大往生」という言葉を使うのは慎むべきでしょう。

大往生に当てはまる具体的な年齢は決まっていない

大往生は「長生きをした人」に使われますが、どれくらいの年齢で亡くなった方に使われるのでしょうか?

実は、具体的な年齢は決まっていません。

現在の日本の平均寿命は2019年時点で男性が81.41歳、女性が87.45歳です。80代でも人によっては十分長生きだと思われるかもしれませんが、「大往生」は平均寿命よりも長く生きた方に使うのが無難でしょう。

健康寿命世界一の国である日本は長寿大国であり、今後も健康寿命だけでなく実際の寿命もどんどん高くなると言われています。

2007年に生まれた子供の半数が107歳以上生きると推計されているため、寿命を基準に大往生か否か判断するのであれば、いずれは90代で亡くなられても大往生と言えない未来がくるかもしれません。

ただし、平均寿命を遥かに上回った方でも、死因が病気や事故などの場合は大往生には当てはまりません。

誰もが大往生を迎えられる時代でも葬儀の場での使用は慎むべき

人生100年時代、誰もが大往生を迎えられる時代でも使用は慎むべき

人生100年時代と言われている現代では、誰もが大往生を迎えられる可能性を持っています。現代では回復が見込めない病気でも、将来は簡単に治せるようになっているかもしれません。

しかし、病気や怪我が簡単に治せるようになり、誰でも100年の人生が歩める時代になったとしても、遺族以外の人が「大往生」を使うのは慎むべきでしょう。

例え長く生き、寿命を迎えて安らかに亡くなった場合でも、遺族にとって大切な方を亡くされた痛みや悲しみは、どのような形で逝去したとしても変わりません。

中には「大往生なんて思えない」と捉える遺族の方もいることでしょう。

もちろん「大往生でしたね」はお悔やみの言葉として妥当であり、遺族以外でも使っていいと考える人もいます。健康で元気に長生きをしてお亡くなりになったことは素晴らしいことだと、故人を称える意味で使われる方もいるのでしょう。

しかし、賛否両論分かれているのが現状です。賛否が分かれる以上は、遺族が傷つく可能性も秘めているということ。

葬儀の場とは遺族への配慮を最優先にすべき場所です。そのため、葬儀の場において「大往生」を遺族以外の人が使うのは慎むべきでしょう。

誰もが大往生を迎えられるようになったとしても、お悔やみの言葉として使うのは避けるべきです。

類語の「天寿を全うする」も遺族以外は使わないほうが良い

似たような意味として使われる「天寿を全うする」という言葉も、同様に遺族以外の使用は慎むべきでしょう。

長生きされたことを称えるのであれば、単純に「長生きされましたね」と声をかけ、「お悔やみ申し上げます」などのお悔やみ言葉を添えるとよいでしょう。

大往生の使い方と例文

「大往生」は遺族が使う言葉ですが、具体的にどうように使うのか、例文を交えて解説します。

基本的に大往生は「大往生を遂げた」「大往生を迎えた」などの言い回しで使われます。身内の訃報を外部に伝える場合や、お悔やみの言葉をかけられたときの返しとして使われるケースが多いです。

  • 祖母は107歳で苦しむことなく安らかに眠りに就き、大往生を迎えました。
  • 祖父は大きな病気や怪我もなく大往生を遂げ、今は天国で穏やかな日々を楽しんでいるでしょう。
  • 父は大往生でしたので、満足していると思います。
  • 使命を果たせなければ、大往生することはできないと思っている。
  • まだやりたいことが残っているうちは、大往生を迎えられない。

大往生を誰もが迎えられる人生100年時代でも死の悲しみは変わらない

人生100年時代、これから多くの人が「大往生」だと言われる時代を迎えるでしょう。

例え亡くなった本人が「自分は大往生だった」と思ったとしても、大切な身内が亡くなった悲しみは変わりません。病気や事故などで亡くなったわけではなくても、死因に限らず悲しい気持ちは同じです。

もちろん、大往生自体に悪い意味はなく、いい意味でお悔やみの言葉として使われる方が多いです。大往生をお悔やみの言葉として使う方に悪意は全くないので、遺族が敏感に反応して傷つく必要はありません。

しかし、激しく感情が揺れ動き、深い悲しみで傷心している遺族の中には、大往生を言われるだけで傷ついてしまう方もいます。

葬儀の場とは、遺族の気持ちを考え、配慮を最優先にするべき場なので、捉え方が人それぞれで代わってしまう「大往生」は、遺族以外の人が使うのは慎むべきでしょう。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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