荼毘に付す(だびにふす)はどんな意味?語源や使い方を解説

投稿:2021-11-08
荼毘に付す(だびにふす)はどんな意味?語源や使い方を解説

荼毘に付す(だびにふす)とは、仏教用語であり、日本では「火葬すること」を指します。

「荼毘」という言葉が葬儀を指すこともありますが、「荼毘に付す」は「ご遺体を火葬場で焼く」ことのみを指す言葉です。告別式や火葬場まで運ぶ段階のことは含まれていないため、正しく使えるように意味を知っておくと良いでしょう。

「荼毘を付す」という言葉の意味や使い方について、実際の使用例をまじえ解説します。

「荼毘に付す」とは?その読み方と意味

「荼毘に荼付す(読み方:だびにふす)」は、「故人を火葬すること」を指す言葉です。

亡くなった後のご遺体は、様々な行程を経てお墓等に安置されますが、荼毘に付すとはその中でも「火葬すること」のみを表わします。

荼毘に付すとは、日本では火葬にすることを指す

日本で行われた最初の火葬は、700年の道昭だと言われています。

それまでは遺体は「土葬」や「風葬」で弔うのが常識でしたが、古代インドから仏教が伝わってきたと同時に、古代中西部インド出身アーリヤ人の風習である火葬も伝来し、徐々に火葬文化が広まっていきました。

そもそも古代インドでは、遺体は「火葬」「土葬」「風葬」「水葬」のいずれかで葬っていました。その中でも「火葬」は最高ランクに位置付けられており、件数も最も多かった背景には、ヒンドゥー教の教えが大きく関係しています。

ヒンドゥー教では、遺体を死後速やかに焼くことで、肉体への未練を断ち切り、煙と共に天に昇れ、成仏が出来ると考えられています。

キリスト教は死後に復活するという考えから土葬がメインです。このように死に対する概念の違いが慣習の違いを作っていました。

インドでは川の横でご遺体を焼き、そのまま川に流す風習が今でも残っています。

現代の日本では、周りへのにおいなどを配慮した結果、煙が出ないような火葬の仕組みに進化しました。火葬後に親族で骨を拾い、骨壺に納めお墓等に安置する習慣は日本独特の文化です。

そういった背景から、外来語である荼毘に付すの言葉には「火葬」の意味しか含まれていません。

荼毘の語源は「パーリ語」から

仏教用語は古代インド中西部の「パーリ語」と、インドや南アジアの「サンスクリット語」がルーツと言われています。

荼毘の語源はパーリ語「jhapeti」から来ていますが、「荼毘」の漢字に意味はなく、外来語の音がそのまま形になりました。

他にも音がそのまま写されたものとして有名なのは、般若心経です。

パーリ語の「jhapeti」は焼身や梵焼(ぼんしょう)と訳すことが出来て、お守り等のお焚き上げを梵焼祭と言うこともあります。

参考:Jhapeti, Jhāpeti_ 2 definitions.html

「荼毘に付す」使い方や例文

「荼毘に付す」は「火葬のみ」を表すため、使いどころはかなり少ないです。また使用する際も注意点があります。

実際の使い方や例文、注意事項を解説します。

仏教の用語であるため、キリスト教や神道など他宗教信者を火葬にする場合には使わない

荼毘に付すは仏教用語です。そのため、宗教が違う故人に対しては使用しません。

日本の神道も仏教とは異なる宗教なので使わず、この場合は「火葬する」という表現になります。キリスト教やイスラム教の人にも使用しないよう注意しましょう。

また、火葬ではな他の方法で弔った時も、「荼毘にふす」ではなくその風習を表わす正しい言葉を使います。

ペットの火葬でも荼毘に付すを使用して良い

近年ではペット愛好家も増え、家族の一員として考えられています。ペットが亡くなった際、火葬をする人も増えてきました。

ペットを火葬した際でも、荼毘に付すという言葉を使ってもかまいません。

今ではペット専用の火葬場の数も、需要に比例して増えてきているので、以前より使われる機会も増えるのではないでしょうか。

「荼毘に付す」と「火葬」の違いは使いどころ

「荼毘に付す」と「火葬」はほとんど同じ意味の言葉になります。

ただし、「火葬」はだれにでも使うことができますが、「荼毘に付す」は仏教で火葬を行った場合しか使えません。

「火葬した」と表現するよりも、「荼毘に付された」とした方がやわらかい響きとなります。こうした理由から、通夜やお葬式の挨拶の時には「荼毘に付す」をを使うことが多いです。

荼毘に付すを用いた例文

遺族や火葬場が主語の場合は「荼毘に付す」と言いますが、故人を主語にした場合は「荼毘に付された」と受動態となります。

荼毘に付すの例文を見ていきましょう。

  • 辛いと闘病生活を終え、今年一月に父は無事に荼毘に付すことができました
  • 大好きな祖父が荼毘に付し、孫娘は一晩中泣き明かした。
  • 変死した男性の遺体は、解剖後に私たちの手で荼毘に付すことになった。
  • 愛犬を荼毘に付すために、ペット専用の火葬場に問い合わせた。
  • 仕事の後、駆け付けた頃には、もう友人は荼毘に付されてしまっていた。
  • 何らかの事情で、既に被害者の遺体は荼毘に付されているとのことだ。

荼毘に付す以外の表現方法、類語

荼毘を使った他の熟語表現には、「荼毘に付する」や「荼毘する」があります。

そもそも「荼毘に付す」とは遺族が自身の家族に対して用いる言い回しなので、家族以外の人が敬意と共に使う場合は「荼毘に付される」や「荼毘される」という受動態の表現に変わるのです。

荼毘に付すの類語は、「天に昇る」や「見送る」と言えるでしょう。

<例文>
父が本日、無事に見送られました。
父が本日、天に昇りました。

いずれもあの世に行く行為を表わしています。

最後に関連した表現として紹介するのが、「荼毘葬」と呼ばれるもの。これは通夜や葬儀を行わず、火葬する(荼毘にふす)だけで弔うことを意味します。最近では直葬(ちょくそう又は、じきそう)と呼ばれることが多いです。

まとめ〜荼毘に付す(だびにふす)は仏教用語で「火葬すること」を指す

荼毘に付すは火葬のみを表わしますが、場合によっては葬儀~骨壺安置までの一連の工程を指す場合もあります。

由来と一緒に本来の意味を知っておけば、大きく間違うこともないので安心ですね。

荼毘の意味とは

荼毘に付すとは、日本では火葬にすることを指します。

荼毘の由来から、仏教以外の人には使えますか

荼毘に付すは仏教用語です。そのため、宗教が違う故人に対しては使用しません。

荼毘に付すの語源とは

荼毘の語源はパーリ語「jhapeti」から来ていますが、「荼毘」の漢字に意味はなく、外来語の音がそのまま形になりました。

荼毘に付されるの例文を教えてください

仕事の後、駆け付けた頃には、もう友人は荼毘に付されてしまっていた。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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