ペットを火葬で弔うことは、珍しいことでもなくなってきました。
今や三世帯に一世帯はペットと暮らす時代であり、大切な家族の一員です。そして多くの飼い主にとって、ペットは永遠の子供のような存在でもあります。
しかし、彼らをお迎えした日から、必ず訪れる別れへの覚悟を持たなければなりません。悲しい現実ですが、ほとんどのペットの寿命は人間よりもはるかに短いからです。
火葬で弔うことも、愛するペットが虹の橋を渡るためのお手伝いのひとつ。いざという時に慌てないよう、ペットの火葬について種類や費用などを詳しく知っておきましょう。
もくじ
ペット葬儀の⽕葬種類や⽅法を詳しく解説
三世帯に一世帯はペットと暮らす時代。ペットは人々にとって家族のような存在です。内閣府の令和元年度の世論調査でのペットが人に与える影響に、75.1%の人が「生活に潤いや安らぎが生まれる」と回答しています。
愛するペットが亡くなった場合、多くの方が火葬をしペットを弔います。
人間とは違って火葬の方法はいくつかあり、かかりつけの動物病院では、ペット葬儀を行なっているお寺や業者を教えてくれるところもあるようです。
しかしそれができない時、どうしていいかわからず、途方に暮れてしまうこともあるかもしれません。
そうならないように、ぜひご一読ください。
ペット葬儀とはペットを⽕葬し弔うもの
ペット葬儀とは、ペットを火葬で弔うことです。。
その昔、ペット葬儀という概念はありませんでした。ペットが亡くなったら自宅の庭に埋葬したり、公園の木々の根元や花壇などに埋めたりすることもありましたが、現在は廃棄物処理法違反に問われるためできません。
ただし、鳥やハムスターといった超小型動物であれば自宅の庭での土葬は可能です。しかし、犬などの大きさともなると土に還るまでに時間がかかり、公衆衛生の問題や、引っ越しを余儀なくされた場合は土壌の処理を行う必要が出てきます。
犬と猫をあわせた令和元年の推計飼育頭数は1,858万頭近くと、ペットと暮らす人が多いことがわかります。人とペットとの関係もより近くなった近年、家族同様に弔いたいとの思いがペット火葬(葬儀)の需要の拡大の一因といえるでしょう。
飼い主が心の区切りをつけるためにも、ペットにとっての葬儀である火葬は弔いに必要な儀式です。
※一般財団法人ペットフード協会令和元年度:全国犬猫飼育実態調査結果PDF
ペットの火葬は自治体か民間業者で行う
ペットの火葬の種類は大きく3つあり、火葬は、自治体か民間のどちらかで行うことができます。
自治体での火葬を解説
2つの自治体を取り上げ比べてみました。
【横浜市】
- 総合計50kgまで引き受け可能
- 合同・個別ともに対応
- 骨上げ可能/全骨回収
- ダンボールに綿素材であればタオルやブランケットの同梱可能
- 出張回収なし
※横浜市
【名古屋市】
- 総合計30kgまで引き受け可能
- 合同火葬のみ
- 骨上げ不可
- ダンボールは亡骸のみ。
- 持ち込み手数料500円
- 出張回収1,000円別途必要
※名古屋市
ペットが亡くなった時、お住まいの自治体に電話で予約をいれます。自治体の火葬場は年末年始のお休みが基本ですが、月内の週によってはお休みとなる場合もあるので、事前にHPで確認しておきましょう。
合同火葬の場合、持ち込み・出張回収費含めて1,500円~7,000円前後と自治体によっても幅があります。ただし横浜市では回収は行われていません。
個別火葬の場合、横浜市を例に見ると10,000円~30,000円で、その中に骨壷代金も含まれています。
一方、名古屋市のように骨を持って帰れない・個別火葬に対応していない自治体は多く、遺骨は合同の納骨堂や供養塔に納められ供養されます。合同慰霊祭も行われるので、それに立ち会うことも可能です。
ちなみに、東京都にようにペット火葬が可能な公営の火葬場がないところは、環境課が担当します。この場合、遺骨は返されません。
管轄の区や町が委託している業者に直接依頼をするのも方法のひとつです。
民間業での火葬を解説
民間業者はお寺と提携しているので、火葬のみならずお坊さんに立会いによる葬儀・供養もお願いすることができます。また、寺院に属するところもあります。
各地方の業者
全国対応の業者
大手流通系
お寺による火葬・葬儀
ペット葬儀には⼤きく3つの種類がある
ペット葬儀には、大きく3つの種類があります。それぞれ詳しく解説します。
合同⽕葬
他のペットたちと一緒に行われます。骨上げ・遺骨の回収はできません。
寂しくないように多くの仲間たちと一緒に虹の橋へ、そうお考えの方におすすめです。
個別⽕葬
一頭での火葬を行います。しかし、個別火葬にも下記2通りあります。
- 立ち会わず、火葬から骨上げまで業者にまかせる一任火葬
- 立ち会いのもと、家族が骨上げをする立会い火葬
費用に差はありませんので、余程のことがなければ、家族で骨上げをする立会い個別火葬をおすすめします。一部・全骨回収は業者によってはことなりますので、確認が必要です。
「いつも一緒にいたい」
「自分が死んだ時にお骨を一緒にして欲しい」
このように願う方は、個別火葬をおすすめします。
訪問⽕葬・移動⽕葬
火葬を行う場所が火葬場ではないというだけで、実際は個別火葬と同じです。
焼却炉を搭載したバンやミニバンで、自宅や指定した場所まできて火葬を行います。一見、火葬専用車とはわかりづらいのでご近所の目を気にすることはありません。
ただ、臭いと煙に関しては100%問題ないとはいえないため、火葬の際は住宅街から離れた所で行う方が無難です。事実、匂いや煙でご近所や業者とトラブルになったケースがあります。
こちらも、一任と立会いの2通りの方法があります。
⽕葬後の対応はさまざま
個別火葬にしても遺骨を持ち帰らず合同納骨堂などに納めたり、一部のみ持ち帰る人もいます。
イオンペット株式会社が2019年に行なったアンケート調査によると、ペット霊園で火葬後に霊園等に納骨・埋葬した人が31.2%、火葬後に自宅にて保管もしくは庭に散骨が23.2%、行政機関に依頼した人が13.4%との結果が報告されています。
このことからも火葬後の対応が様々であることがわかりますね。
自宅で遺骨を保管する際のアイテムもさまざまなものが販売されています。部屋のインテリアに馴染みやすく、かつ洗練されたデザインのコンパクトな仏具セットやフォトフレーム、遺髪を収めるケース、常に一緒にいられるようにとロケットやカプセルタイプのチャームがついたペンダントなど、多種多様です。
また、自分が死んだ後も一緒にいたいとの思いから、ペットとともに入れるお墓や散骨に関心を持つ人も増えています。あるアンケート調査でも、7割もの人が同じ墓に入りたいとの結果がでました。
土葬がメインであるキリスト教圏の国でも、最近では亡きペットをそばに置いておきたいとの理由で、ペットを火葬する人が徐々に増えています。
ペットが亡くなってからの流れを解説
では、実際にペットが亡くなってしまった時、どのような手続きで火葬をすれば良いのでしょうか。
実際の流れを解説します。
1.ペットの亡骸を納めるダンボールを用意する
そのまま火葬できるように、金具やプラスティック等ついていない箱を用意します。
病院で亡くなった場合、もしくはかかりつけの病院で購入することができます。なければスーパーなどでわけてもらいましょう。
そして、ダンボールの底にビニール袋を敷き、保冷剤・タオルを入れます。保冷剤がない場合は、氷を入れた袋で代用しましょう。
2.亡骸を清める(エンゼルケア)
※病院で亡くなった場合は病院で対応してくれます。
まずは体を拭いてあげ、不自然な体位の場合は自然な姿勢に戻しましょう。ただし、死後硬直で戻せない場合は硬直が解けた後に行います。
その後、お尻に綿を詰めて体液がでてこないようにし、最後のブラッシングで毛並みを美しく整えてあげましょう。
清め終わったら、亡骸の周りやお腹に保冷剤を置きます。ダンボールの中をお花で埋め尽くしてあげてもいいです。ただし、骨への色移りを避けるため、お花は色の薄いものにします。
民間に任せる場合、タオル・お花・包装なしのおやつ、可燃扱いのおもちゃ1点を入れてあげられる場合もあります。
3.火葬の依頼・予約をする
自治体と民間、どちらで火葬をお願いするか決め、連絡を入れます。
ペットを亡くしたばかりで辛い時ではありますが、エンジェルケアと同時進行、あるいは病院から戻ってきた時に火葬の予約や業者への連絡を行います。
当日可能な場合もあれば、日にちがかかることもありますので、連絡は少しでも早い方がいいです。
火葬の際、亡骸とともに納めていた副葬品を持ち帰らなければならないケースがあります。そのための袋を持参します。
そのほか愛犬を失った場合に必要な手続
ペットが犬の場合、お住いの自治体に30日以内に死亡届を提出しなくてはなりません。病院で亡くなった場合は医師が書類をくれますが、そうでない場合は自治体の専用窓口(保健センター等)に出向く必要があります。
場合によっては、HPから用紙をDL可能だったり、直接出向く方法のみならず郵送やオンライン申請、または電話のみで受け付けがでたりするところもあります。すぐに申請しなくてはならない訳ではないので、落ち着いてからでも大丈夫です。
死亡届とともに、鑑札と注射済票(狂犬病)も提出します。
ペット葬儀の⾦額相場は⼤きさによって変わる
火葬における現実的な金額相場について解説します。
ダンボールを含めた総重量によって火葬費用が異り、また、合同・個別による違っても金額相場は変わるのです。
自治体の場合
- 合同火葬・・・1,500円~7,000円前後
- 個別火葬・・・10,000円~30,000円
民間業者の場合
合同火葬
- ~2kg:12,000円~
- 2~5kg:16,000円~
- 5~10kg:20,000円~
- 10~25kg:30,000円~
- 25~40kg:40,000円~
- 40kg~:50,000円~
個別火葬
- ~2kg:17,000円~
- 2~5kg:21,000円~
- 5~10kg:25,000円~
- 10~25kg:35,000円~
- 25~40kg:45,000円~
- 40kg~:55,000円~
※個別火葬で骨上げを家族が行う場合は、個別火葬費に2,000円前後プラス
※価格は税抜きの表示
※価格.com葬儀
訪問火葬の場合
- 一任火葬:所要時間約 90分:9,000円~50,000円前後
- 立会い/骨上げあり:所要時間約120分:16,000円~56,000前後
※立会い/骨上げなしは骨上げありよりも2,000円前後安い
※骨壷・骨壷袋が別途料金発生する場合もあり
※キャンセルした場合、キャンセル料が発生することもあり
火葬場での心づけは任意
ペット火葬は、心づけ、いわゆるお布施を渡さなければいけないという決まりはありません。
公営の火葬場の職員の場合は公務員なので、刑法197条及び198条に抵触する可能性があります。迷惑になるので渡さないようにしましょう。
民間のペット専用の火葬場には最近、お布施箱が設置されているところがあります。金額が知られることもないので、ほんの気持ち程度でも心づけを納めることができます。
基本的に1,000円~3,000円、多くても5,000円。もちろん心づけは任意です。
まとめ|⼤切なペットも⼈間と同じく⽕葬で弔うことができる
ペットは今もなお、法律上は物と同じ扱いです。ある自治体のHPにこのような記述があります。
『合同火葬さえもおこなえない場合は、環境事務所までご連絡ください』
つまり、ゴミの回収と同じ扱いとなることを示唆しています。ペットがかけがえの無い家族である人もいれば、そうでない人もいるのでしょう。それでも多くの人にとってペットはコンパニオンアニマル(伴侶動物)であります。
ペットを火葬で弔うことができるようになった現在、人々は自分たち亡き後も家族と同じお墓にペットが入る、新たなる葬送のカタチをもつくりだしたと言えます。
家族同然である大切なペット、後悔しないお見送りができるよう、事前に調べてから行動することが大切です。