諸行無常(しょぎょうむじょう)とは|釈迦が悟った教えを口語で解説

投稿:2022-01-20
諸行無常(しょぎょうむじょう)とは|釈迦が悟った教えを口語で解説

人生において自分の思い通りになることはほとんどありません。例え思い通りになったとしても、全ての物事は変化を続けているので、努力の末に掴んだ地位や財産も失う可能性があります。

だからこそ人はひとつの物事に執着し、思い通りにいかなかったときに苦悩を抱えてしまうのです。

釈迦が苦悩を理解して人生をラクに生きるための方法として残したのが、仏教の教えです。そして釈迦が悟った仏教の教えの中にある、重要なキーワードのひとつに「諸行無常(しょぎょうむじょう)」があります。

釈迦が悟った教えである「諸行無常」の意味を使い方や例文とともに、口語でわかりやすく解説します。

釈迦の教え「諸行無常」の意味を口語で解説

釈迦が悟った教えの中でも、仏教の基本となっている考えがいくつかあります。「諸行無常」は仏教の基本であり、悟りを開くために理解すべき真理です。

釈迦の教えである「諸行無常」の意味をわかりやすく解説します。

諸行無常は仏教の「三法印」「四法印」のひとつ

諸行無常とは釈迦が悟った仏教の教えである「三法印」と「四法印」のひとつです。

三法印とは「諸行無常」と「諸法無我」「涅槃寂静」のことで、ここに「一切皆苦」が入ると「四法印」になります。

  1. 一切皆苦(いっさいかいく):この世界の物事は全て苦しみである
  2. 諸行無常(しょぎょうむじょう):全ての物事は常に変化を続けている
  3. 諸法無我(しょほうむが):全ての物事は因縁によって生じ、単体としての実体するものはない
  4. 涅槃寂静(ねはんじゃくじょう):煩悩から解放され悟りを開くことで、安らぎを得る

要するに四法印とは「世界は苦しいものだが、物事は常に変わり続けており、全ては因縁によって生じることを理解し煩悩を消すことで、苦悩から解放されて安らぎの境地に至る」という釈迦の教えです。

そして、涅槃寂静は仏教が目指す到達点であり、諸行無常は涅槃寂静に至るために理解すべき仏教の基本的な教えです。

諸行無常の意味は「あらゆる物事は常に変化するもの」

諸行無常の意味は、1文字ずつに分けて見ていくと理解しやすいでしょう。

  • 諸:いろいろな、多くの、全ての
  • 行:物事、行い、出来事
  • 無:ない、否定
  • 常:いつも同じ、常に

全ての意味を繋げると「全ての物事は常に同じではない」と解釈できます。

要するに諸行無常とは、「あらゆる物事は常に変化し続けているものでり、変わらないものなどない」という意味です。

世界は絶えず変化をくり返し続けており、同じ状態のものは何ひとつありません。

しかし、人はお金や物、地位、名誉、人間関係、そして自分の肉体に至るまで、多くのことを変わらないものと思い込み、このまま変わらずにあって欲しいと願うこともあります。

そして願いは「執着」へと繋がり、苦しみ囚われてしまいます。

諸行無常とは「苦しみから解放されるためには、全ての物事は必ず変化するものであり、無常の存在であると理解することが大切」という教えを説く仏教用語です。

諸行無常の使い方の例文と類義語・対義語の意味を解説

諸行無常の使い方の例文と類義語・対義語の意味を解説

諸行無常はスピーチや文章でもよく使われる言葉であり、同じような意味で使われる類義語や、全く反対の意味で使われる対義語もあります。

諸行無常の使い方を例文とともに解説するとともに、類義語と対義語の意味をご紹介します。

諸行無常は自分自身ではどうしようもない変化があったときに使う

「諸行無常」は仏教の基本的な教えを説く「四法印」の中でも、日常からよく使われる仏教用語です。

主に自分自身ではどうしようもない変化があったときに使います。

例えば、
「いつも行くお店が休みだったのに、違うお店に行った日は開店していたとき」
「好きだったアイドルが嫌いな芸能人と結婚したとき」などが「諸行無常」
になります。

諸行無常の例文

具体的に「諸行無常」はどのように使われるのか、例文をご紹介します。

  • どんなに気を付けていても、毎回難癖を付けてくるクレーマーに心底怒りを覚えたが、諸行無常だと言い聞かせて対応した。
  • 久しぶりに同級生と会い、お互いに老けたと言い合って諸行無常を感じた。
  • お気に入りの皿を割ってしまい、諸行無常を痛感した。
  • あの出来事によって変わらないものはないと学び、諸行無常は人生の教訓となった。
  • 今の状態が変わらないと勘違いしている同僚たちに、諸行無常だとわからせるために仕事を辞めた。
  • ずっと綺麗に手入れをしていたのに改めて細かな部分を見てみると、家の至るところに錆や傷を見つけて諸行無常だと感じた。

諸行無常の類義語は「盛者必衰」「有為転変」など

諸行無常には似た意味で使われる類義語がいくつかあります。使用する場面はそれぞれ異なるので、場面に合わせて適切な言葉を使いましょう。

  • 盛者必衰(せいじゃひっすい):勢いがあって盛り上がっているものも、いつかは衰えて滅びること。
  • 有為転変(ういてんぺん):この世の全ての存在や物事は多くの原因や条件によって常に変化し続けるものであり、少しの間も一定に留まっていないこと。
  • 是生滅法(ぜしょうめっぽう):生命あるものはいつか必ず滅び死に至ること。
  • 生滅流転(しょうめつるてん):万物は永遠に生まれと滅びの間を巡り続けること。万物は常に移り変わっていくこと。
  • 万物流転(ばんぶつるてん):この世の全てのものは、絶え間なく変化し続けていること。

諸行無常の対義語は「万古不易」「永久不滅」など

諸行無常は変化し続けることを指すので、「変化しないこと」を指す言葉は対義語に当たります。

  • 万古不易(ばんこふえき):いつまでも変化しないこと。
  • 永久不滅(えいきゅうふめつ):いつまでも滅びずに残り続けること。
  • 恒常不変(こうじょうふへん):一定を保ち変わらないこと。

諸行無常は苦しみに囚われないための仏教の教え

人間は手に入れたものやいい状況は、この先も変わらずにあって欲しいと願いますが、世界は常に変化を続けているので変わらないものはありません。

ずっと同じ場所に存在している街のオブジェも雨風で汚れ、傷が付き、劣化します。状況によっては取り壊されることもあります。

変わらずあるように見えるものでも、常に状態や状況の変化をくり返しているのです。

常に変化をくり返していることを理解することで、執着による苦しみに囚われないようになります。

「諸行無常」は煩悩によって物事に執着し、苦しみに囚われないための釈迦の教えであり、人生をラクに生きるためのアドバイスであると言えるでしょう。

著者:葬儀のデスク編集部
葬儀のデスク編集部
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