ペットにも、専用のペット霊園があります。ペット霊園には公営・民営とありますが、個別のお墓は民営にしかありません。
民営の霊園は遺骨を納めるだけでではなく、ペット葬儀全般を行なっているところがほとんどです。同じところですべてお任せしたという飼い主さんたちもいますが、納骨だけお願いすることもできます。
環境省の調査でも、国民の約3割がペットとともに暮らし、私たちの生活に欠かせない存在です。
ペットの葬儀も定着しつつある中、事前にペット霊園について知っておくに越したことはありません。
ペット霊園選びの際に役立つ情報を、詳しく解説します。
もくじ
ペット霊園の種類や供養の方法を詳しく解説
一概にペット霊園といえども、いくつか種類があります。
ペットも火葬後、人間と同じように骨壷をお墓に納骨できます。納骨の方法としては、主に埋葬型と散骨型の2種類です。
民営の霊園での納骨する際は、お願いすれば人間と同じように僧侶にお経をあげてもらうことも可能です。民営の霊園では、ペットの供養方法に大きな違いはなく、霊園が寺院に属しているかしていないかだけが違いとなります。
ペット霊園はペットを埋葬するための霊園
ペット霊園はペットだけの墓地です。人間が一緒に入ることはできません。ペットと一緒のお墓に入ることができるのはペット可の人間用のお墓です。
宗教上、動物と同じ墓にはいることを禁じる寺院はまだ多くあります。
仏教には生前の行いの善悪によって地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の六道で輪廻転生するという六道輪廻の教えがあります。動物の意味の畜生に転生するとなかなか抜け出せず、畜生の立場では極楽浄土へは行けないと考えられていました。
近年のペット ブームを受けて、仏教界ではペットの極楽浄土に関する議論が行われてきました。宗派によっては、動物のままで極楽浄土には行けないと原理を守り通すところもあれば、日蓮宗のようにペットを受け入れるところもあります。
日蓮宗には、日蓮上人が自分を助けるために命を投げ出した犬のための供養を執り行ったとの言い伝えや、法華経の中に成仏した動物の話があることから受け入れやすかったのでしょう。
そこで、お寺に直接相談ができる・手厚い供養といった檀家制度の良い面を取り入れて、ペットを受け入れられる霊園を運営する寺院が出てきました。
寺院に人間同様の供養をしてもらえることで、飼い主さん家族の中には安心感を得られる人もいることでしょう。
仏教の法要が必要ではない方は、寺院に属さない一般的な民営・公営の霊園を選ぶと良いです。
ペット霊園は大きく3種類ある
ペット霊園は大きく3種類にわけることができます。個別墓、納骨堂、合葬墓です。それぞれの特徴を解説します。
個別墓
埋葬・散骨ともに一区画を購入し、埋もしくは散骨します。
タイプ:墓石・樹木
- 10万円~50万円前後/特注の場合は100万円かかる場合もあり。
- 管理費別途発生/1年毎もしくは数年契約。
- 後になって遺骨を持ち出すこともできる。
※改葬または家族と一緒に散骨する場合
納骨堂
屋内施設で、棚や扉付きのロッカーや、仏壇タイプがある。写真など飾れるスペースがあるのも特徴。
- 年間使用料:1万5千円~
- 所によっては合祀専用の納骨堂もある。
- 屋内なので天候に左右されない。
合葬墓
屋外施設で一つの納骨堂や慰霊塔に多くの他のペットたちと一緒に入る。
タイプ:墓石・樹木
- 5,000円~1万円
- ネームプレートの取り付け可能(別途費用発生)。
- 後になって遺骨を持ち出すことはできない。
ペット霊園での供養の方法
ペット霊園に納骨した後は、人間と同じようにお参りをすることもできます。供養も方法を詳しく解説します。
通常のお参り
ペットの好きだったおやつやおもちゃなどを持って、お墓参りにに訪れることが一番の供養です。ただその際、気をつけなくてはならないのが食品のお供え物。
霊園によっては野生動物に荒らされることを警戒して、食品のお供え物を置いて帰らないようにお願いしているところもあります。確認ができない場合には、帰る際にお供え物も一緒に持ち帰りましょう。
お供えのお花は仏花でなくても結構です。やんちゃだった子にはオレンジの大輪のガーベラといった、その子に似合うお花を供えてあげるのも良いでしょう。季節が感じられるお花も良いですね。
バラの花のように棘がある花は仏前にはNGだといわれますが、最近では棘さえ抜けば構わないといった風潮もでてきていますので、気にしなくても大丈夫です。
また、供える際は花束を包むフィルム類を取り外す必要がある場合もあります。供える前には必ず確認しましょう。
霊園が行ってくれる供養
霊園では、忌日法要・百か日・月命日・年忌法要をしてくれるところもあります。基本的には任意で申し込む必要があり、5,000円~10,000円ほどお布施として納める必要があるケースも。
霊園から届くお知らせに書かれていることが多いので、注意して見ておくと良いでしょう。
法要は一任することも立ち会うことも可能です。卒塔婆を建てる場合は別途費用かかります。
四十九日の法要だけは参加するという飼い主さんたちは多いようです。
また、同じ日に亡くなった・納骨された子たちの家族との合同慰霊祭を行うケースもあります。
月命日や年忌法要を行うのですが、席の数が限られていていることもありますので必ず参加できるとは限りません。費用は1家族5,000円前後~となっています。
合同慰霊祭は埋葬してから1〜2年の間は、葉書やメールでお知らせを一斉配信してくれるところもあります。もちろん、HP上でも案内されますので簡単に確認することも可能です。
寺院のペット霊園の場合、毎日のお務めの際に必ず一度は霊園のペットたちにお経をあげてくれます。中には、一日に何回か決まった時間ごとにペットたちへお経をあげるところもあり、予約をすればその場に参加することができます。
費用は無料、もしくはいくらかお布施が必要な場合もあります。最近はその金額も明記してくれているところもあるようです。もしない場合は、HPを確認するか、寺院に直接尋ねてみましょう。またはそのペット霊園の利用者のコミュニティーがある場合は、そこで聞いておくと安心です。
ペット霊園を選ぶ時のポイントを解説
2004年の衆議院において、ペット霊園事業に関する質問主意書が提出されたことがあります。
人間の墓地と異なりペットの場合は、墓地、埋葬等に関する法律が適用されません。そこでペット霊園の経営に乗り出した業者が増え、ペット霊園と利用者、そして近隣住民との間でのトラブルが当時頻発したのです。
※動物霊園(ペット霊園)事業に関する質問主意書 / 現 立憲民主党所属 泉 健太 衆院議員
その後、動物愛護の管轄でもある環境省もペット霊園業界と意見交換の場を設け、法の整備の必要性なども話し合われてきました。その効果もあって施設運営におけるトラブルは減ったものの、昨今では霊園の突然の倒産による被害が問題視されています。ある日突然、お墓の退去通知が届くことがあるのです。
そんなトラブルに巻き込まれないために、選ぶ際の7つのポイントを解説します。
- 自宅から通える
- 必ず下見をする (アポなしで訪れてみる)
- パンフレット・インターネットや口コミなどで情報を得る
- 長年の実績を持つ、老舗の業者を選ぶ
- 自治体が委託している業者を選ぶ
- 昔からある寺院 ・檀那寺や菩提寺に聞いてみる
- かかりつけの動物病院で聞く
あまりふさわしくないとされているのは、清掃・樹木の状態・施設の管理状態が行き届いていないところ。そういった霊園は仕事意欲のないスタッフが多いとも言えるでしょう。もちろん、霊園の経営状態も窺い知ることができるので、自分の目で見て確かめることが重要です。
自宅からの利便性
人間の墓地と同じく自宅から近く、高齢の方でも気軽にお墓参りができるように、交通の便が良い場所が理想的です。
ペットは我が子、家族同然です。時間があれば会いに行きたくなるでしょう。個別墓となると郊外になることが多いので、都会にお住いの方には納骨堂がおすすめです。気軽に会いに行けるのがメリットです。
気になる霊園があったら、その立地条件を自らの足と目で確認することを強くおすすめします。
霊園内やスタッフの雰囲気
葬儀後の家族の悲しみにそっと寄り添ったり、埋葬の際は自分の家族のように丁寧に対応してくれたりと、スタッフの対応がいいと評判の霊園はたくさんあります。
もちろんそういうところは、いつ訪れても心地よくいられるように霊園内も常にきれいに保たれています。
霊園内にドッグランを併設しているところもあり、ペットを家族に持つ者同士が交流することもできます。あるいは元気に駆け回るその子たちの姿に、在りし日の我が子の姿を見て涙するかもしれません。それがグリーフケアとなって、ペットロスを軽減することもあります。
また、亡くなった子の他にもワンコがいる方は、ともに訪れることで一家揃ってのお墓参りが実現するでしょう。
ドッグランがあるペット霊園
供養祭の有無
ペット霊園でももちろん、供養祭が行われます。
寺院に属しているところでは僧侶によって、その他では霊園利用者家族が一堂に会し、春と秋のお彼岸にあわせて供養祭が行われます。公営においても年に1~2回、行われることが多いです。事前に告知され、希望者のみ参加できます。
供養祭といっても仰々しいものではなく、ちょっとしたお祭りイベントになっているところもあります。口コミやHPから伝わるアットホーム感やフレンドリーさに魅かれて、霊園を決める人もいるようです。
寺院に属しているいないにかかわらず、ペット霊園に納骨をする際の僧侶の立ち会いや法要は任意です。必要であれば事前に霊園側に申し伝えましょう。
料金体系は明確かどうか
霊園選びの際は、多くの霊園の料金と比較し、不審な点があれば問い合わせましょう。それでも料金に不信な点があれば、他の霊園を探した方が良いです。
大手企業や有名企業が関わるものや、ペット霊園において老舗である業者のものと見比べると良いでしょう
霊園契約後に、管理費・法要費用などの名目で高額な追加料金を請求された、仏具等の購入を強制されたといった、お金にまつわるトラブル話を聞くことがあります。
寺院に属する霊園の場合、法要にかかる費用をお布施として納めなければならないところもありますが、トラブルにならないようにあらかじめ金額を明記しているところも増えています。
霊園の選びの際は、料金体系を詳しく提示しているところをいくつか候補にあげて、契約後に別途かかる費用の有無と金額の確認をしておきましょう。
まとめ|大切なペットを供養するためにもペット霊園は慎重に選ぼう
人間のお墓選び同様、大切なペットを埋葬するための霊園選びはとても大切です。人間のお墓とは違い、法律が整備されていない分、事前の確認が不十分だとトラブルにつながることもあります。
パンフレットや身近な人からの口コミ、インターネット、直接業者と話をするなど、事前に情報を得ておきましょう。愛するペットの安らかな眠りのためにも、ペット霊園選びは焦らず、じっくり探し、慎重に選ぶことを心がけてくださいね。